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mimi さんのレビュー一覧 

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/01/31

    現在S.Kuijken/La Petite BandeのJ.S.Bach演奏の日本発売が無い事は、日本の多くのBachファンにとって不幸なことではないでしょうか...。Bachの作品は、そのリズム、テンポ、音色、フレージングに至るまで、全ての要素が有るべきバランスの上にはめ込まれた時に初めて真の魅力を発すると思いますが、そのバランスを実現するのはとてつもなく難しい。S.Kuijkenは、前のマタイ・ヨハネ両受難曲の名演奏において、歴史上、晩年のLeonhardtのみがなし得ていた、Bach声楽演奏における理想的なバランスのレベルに近づきつつあることが伺われましたが、このカンタータ集の最新盤も、目立たないながらそれをはっきり確認するものとなっています。有名無名が入り混じるカンタータ各曲において、どの瞬間においても至適なテンポ・リズム・声楽と器楽の理想的なバランスがとられ、どんな些細な響きをとってもこれ以外にあり得ない、無駄を一切そぎ落とした、簡素でありながら充分な音空間が実現している。当然OVPPによっていますが、このぎりぎりの編成もS.Kuijkenのこの理想的な音空間を実現するのに、必須とは言わないまでも、大いに貢献している。特筆すべきはこのような全ての要素がバランスをとれた空間においては、おそらく若手中心でスター不在の演奏者であっても演奏の輝きに何ら不足を感じず、よく言われるようなアルトが不満だとか、テノールが今一歩だ、などを感じさせる瞬間は一切ありません。ただしLa Petite Bandeはこの盤においても、おそらく現在進行中あるいは過去のBachカンタータプロジェクトの器楽演奏全てと比較しても、圧倒的に群を抜いた演奏をみせているのも確かです。CDのラストに置かれた140番の想像を絶する美しさは、過去現在のあらゆる他の演奏ともレベルを異にする素晴らしいもので、正直あまりの純な美しさに感動して涙を抑えられませんでした。J.S.Bach教会カンタータの真正な魅力を明らかにする、歴史上稀に見るプロジェクト.....どうか一曲でも多く、録音して欲しいと切に願います。

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     2013/01/26

    ことBeatlesのラストレコーディングとなると、わずかでも思い入れのある人間ならば、何か特別なものを期待せずにはいられないのが人間であり、この傑作に対しての受け取り方に温度差が出るとすれば、それは提示された音楽以外の背景に対する聴く者の受け止め方の影響が大きいでしょう。過去、自分も時折そうでした。ただ、今回数十年ぶりにBeatles全作品を聞き通した上で、どんな事情があれ、絶対的・客観的に言えることは二つ。第一は人間的・グループ的・社会的・音楽的あらゆる意味で崩壊していたGet backセッション(アルバム「Let it be」)の後で、いかなる人間であれグループであれ、こんな作品を作ることが可能であったのは、奇跡を通り越して音楽上の謎としか言いようがないこと....それが起り得た事自体が、The Beatlesという存在が音楽そのものの力によって、ポピュラー音楽とアートの境界の概念を打ち壊し、20世紀社会に新たな価値基準を開いた唯一無二の存在であったことの証明。第二は、このアルバムに詰め込まれた音楽内容が、どこをどうみても、過去の全Beatles作品と比較しても群を抜いて素晴らしいこと。Come together~Becauseの8曲は、John, Paul, George, Ringoの4人の紛れも無い生涯の最高傑作に属する名曲ばかりだし(ロンドン五輪閉会式の壮大な音楽劇が、Because~Here comes the sunで始まったのは記憶に新しい!)、それ以降のメドレーおよび終結に至る音楽の内容・構成はただただ圧倒的。特筆すべきはPlease please meから始まったBeatlesのRock/Pops音楽の常識を覆す作業は、このアルバムでも一瞬の緩みも無く続いているにも関わらず(様々な新技術・楽器の導入・演奏概念の改革等々)、ここにはいささかの実験臭もなく、全てがまるで自然から何の意図も無く生み出されたような、透明な高貴さを湛えている。あらゆるBeatles作品で、そしておそらくあらゆるポピュラー音楽中でも、このラストレコーディングほどに高い品格と高貴な存在感を感じられるものはないのではないでしょうか。たとえ背景にどんな人間・グループ・社会があるにせよ、The Beatlesという奇跡の存在が、Sgt.Peppers→The Beatles→Abbey Roadと上昇し続けていた....そして現在に至るまでの音楽界は、このAbbey Roadの開けた扉を通って未来に歩んでいる......。掛け値なしの20世紀最高の音楽遺産の一つです。

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     2013/01/20

    ラジオのエアチェックが唯一の音楽入手手段であった、子どもの頃の自分にとってこのアルバムは、(2枚組のため)全曲放送されることがまず無いため、後期Beatlesの中で最も触れる事ができない作品でした(これ以外の後期LPは大抵全曲放送してもらえた)。大学生になり都会に出てやっと全貌に触れることが出来たために、後々まで最も馴染が薄かったのが正直な所です。ただ、今回Remasterをまとめて購入し、久しぶりに聞き通して改めて圧倒されました。Revolver以降の、Sgt.Peppers, 本作, Abbey Roadの4作は、その質と完成度において、あらゆる20世紀の音楽中の最高峰であり、どれが最高傑作かという議論は、所詮個人の好みでしかないと思うのですが、非常に非常に客観的にみて、Sgt.Peppersと本作が頂点であるのは、認めざるを得ないのではないでしょうか。こんな貧弱な文でこの大作の巨大な意義の、千分の一、万分の一でも明らかには出来ないのはもちろんですが、Revolver~Sgt.Peppersのサイケデリックをベースとし、当時の録音技術を駆使した電子音楽とさえ言える工芸品と本作は、全く制作の姿勢が変わっています。アコースティックを多用し、ほぼ全編にわたってポピュラー音楽として生演奏に立った、当たり前のものしか使用していない。そのようなどちらかといえば、シンプルで切り詰めた演奏形態によっているにも関わらず、出てくる音楽はSgt.Peppersで実現されていたものと全く同等の、おそらくポピュラー音楽史上かって無かったぎりぎりの密度の表現が見事に実現されている。題材とされた音楽がこれまた、当時そして今にいたる20世紀音楽の多種多様なジャンルから選ばれているのも象徴的ですが、そういった博物館的題材をThe Beatlesの最高の音楽を通して、全く一期一会の機会として提供してくれる。しかも、Sgt.Peppersのような明らかなるストーリーを持ったものでは無くとも、このWhite albumは冒頭の航空機の音から、最後のハリウッド風の人工甘味料的音楽のフェイドアウトまで、すべての部分が一つの大作の欠くべからざる要素として見事にはまっている意味で、音楽的にSgt.Peppersをすら超えるトータルアルバムである。Wild honey pie, Why don’t we do it in the roadなどの小曲、さまざまな間奏部、そしてメンバーの叫び、つぶやき、雑音にいたるまで、無駄な部分が何一つ無いまでに完成されているのは、真に恐るべき作品と思います(Beethovenの後期弦楽四重奏曲の、各部分を思い出します...)。このWhite albumの完成と成功は、この当時そしてその後現在にいたるまでのポピュラー音楽界を、Sgt.Peppersとはまた異なる方向で決定づけたと言えるでしょう。この作品が無ければ20世紀音楽の意義付けは違ったものであったかも知れない....。それくらいの大きくそして、清濁併せ持った深い作品として、末長く聴き続けられて行くと思います。

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     2013/01/09

    一年に一回もショパンとか聴かないこともあって、I.Mejouevaについては初めてで全く予備知識なく、不純ながらほとんどジャケットの美しさにつられて購入したようなものですが、いい意味で予想を裏切られました。まず冒頭に置かれたFrench suite Nr.5は、非常な美音ながら歴史的背景を充分に踏まえた訳でもなければ、音楽構造を徹底的に分解して独自の解釈を出す訳でも無く、やや中途半端な演奏。続く半音階的幻想曲は、未だ曲の構造把握が確立していないのか、テンポと強弱のぶれが強く、特にフーガは全く多声構造が見えず混乱しているので、ここまで来てやはりまだまだの若手なのかな、と思っていました。ところが、本題のGoldberg、演奏はGouldが新旧2種の録音で完全に打ち立てた、モダン・ピアノ演奏伝統からほとんど逸脱せずそのままで、特に何ら新しい事はどこにも見られないのに、非常に印象が新鮮です。おそらく自分等より20才位若い、I.Mejouevaの世代にとっては、もはやG.Gouldは直接的な影響でなく、教育などを通じて間接的にその伝統が伝えられてるのでしょうが、演奏の外形はGouldと変わらなくとも、模倣とかコピーとかの印象は微塵も感じません。音楽の細部が(ミスの無い完璧なものでは無くとも)、完全にI.Mejouevaその人の表現に完結されており、そこにはGouldの影も、また反対に西洋古典派〜ロマン派のピアノ演奏伝統の影も(皆無ではないにしても)希薄です。おそらく彼女の世代なら、幼少時ベームやカラヤン、バーンスタインなどよりも、Rock,Popsなどに包まれて育っているのは想像に難くなく、その西洋クラシック音楽の軛からある程度自由に育った音楽背景が、このGoldbergの各変奏、テンポ、とりわけリズムなどに随所に表れては消えるように聴こえる。少し下の世代のBacchetti程自由ではなく、またJ.MacGregor程に広大な背景を感じさせる演奏ではないですが、彼女の辿ってきた音楽背景が素直に反映されている意味で、Goldberg変奏曲という唯一無二の傑作の巨大な包容力を改めて感じます。また逆にこの名作に、己の音楽背景を投入し、自己表現を実現する充分な能力を持った、Mejouevaという演奏家の非凡さも感じられました。決して決定盤と言うほどではなく評価は甘いかも知れませんが、非常に新鮮でこれからが楽しみなGoldbergの好演盤の一つとして、多くのBachファンに一度聴いてみて頂きたいです。ちなみにライブにもかかわらず、この大曲を殆どミス無く弾きこなす能力と体力は、凄いものだとも思いました。

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  • 8人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/01/05

    自分はWispelweyの最初の無伴奏を未聴ですが、14年前の2回目の録音は、バロック・チェロを使用した演奏としては、当代随一といえるくらい、透き通った美しい演奏でありました。今回の3回目の無伴奏はバロックチェロながら楽器が変わり、ピッチもケーテン宮廷の時代に合わせてさらに低くなり、まるで別の奏者のように音色が変わっています。2回目がまるで水晶を思わせるような透明な音色であったのに比較して、低音を強調しヴィブラートを目立たせ、演奏内容にもよりますが、くすんだまるでいぶし銀の如き演奏です。演奏も前回が客観的でクールであったのに比して、今回は必要ならテンポと強弱をかなり大胆に変化させ、自分の表現したい内容に合わせて行きます。基本的にはWispelwey特有の誠実で控えめな演奏なのですが、それでも年輪を経たのでしょうか。第6番におけるテンポの伸縮と全体の遅さは、この演奏の正確を端的に表しています。ただ、Wispelweyの今回の演奏解釈があくまでBach音楽の文脈を解析して、Bach音楽構造を表現するためのみに行われたものか、それとも己の感じるものをBach音楽に託して代弁させるために行われた恣意的なものなのか、が曖昧になる瞬間を所々で感じます。だいぶ昔、Bylsmaの再録音に接した時にも強く感じたことであり、この点が無伴奏チェロ組曲の再録音における最も難しい所かもしれません。ともあれ、現代の一級品の演奏の一つには違いないと思います。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/12/31

    不勉強にしてJosquinとほぼ同世代のJean Moutonの作品に、実際接するのは初めてですが、The Tallis scholarsの名演のおかげで、初回ににしてこの作曲家の真価に十二分に触れる事ができたと思います。コンペールの曲によるミサは、堅実にして重厚で、やはり同世代のIssacのように夢見るような旋律をちりばめることはないですが、西洋音楽史上の多声音楽の一つの頂点としての通模倣様式を存分に駆使した佳品。さすがにJosquinに較べると、各声部の自由さと表現強度の強さは劣るかも知れませんが、フランドル楽派のポリフォニー・ミサを鑑賞する喜びは充分に得られます。ただ、おそらくMoutonの本領は、後半に収録されたMotetの方で、王妃の死を悼むQuis Dabitの深々とした時間、Ave Mariaの各声部が自由に飛翔しながらどこまでも音空間を紡いでゆく様など、テキストの内容に極めて則した掛け替えのない表現を実現しており、ルネサンスの隠れた名曲の数々と言えるのではないでしょうか。The Tallis scholarsを聴くのは、実は久しぶりなのですが、衝撃的なMissa Pange linguaで世界中に知られてはや四半世紀、おそらくメンバーも相当に入れ替わっているでしょうに、未だにこの質の高さを維持しているのは奇跡的としか言いようがありません。当時活動していた他の古楽合唱団のほとんどが、もはやいなくなった中でThe Tallis scholarsの存在は、自分たち古楽愛好家にとってどれだけ幸せなものでしょうか。個人的にはルネサンス盛期だけでなく、もう少し曲の時代幅を拡げて欲しいところですが、それは無い物ねだりなのでしょう。非常に地味で目立たない盤ですが、名演名盤と思います。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/11/16

    おそらくポピュラー音楽史上、様々な意味で最も問題を抱えたアルバムではないでしょうか。自分のようなBeatlesを魂の拠り所と考える人間にとっても、これほど複雑な想いを抱かせる盤は、他にありません。正直、とても単純に好きという気持ちにはなれない...。40年近く前、初めてこのアルバム全曲に接した時の戸惑いは、今もって忘れられない。(当時)LPのあらゆる部分が無気力で覆われている。何だ、このやる気の無さは?何だこの中途半端さは?何だこの演奏の下手さは?...ミスが無い曲など皆無、途中で声を出すのをやめてしまうメンバー、神の曲と言われるLet it beにしても、あんなほとんど手を付けたばかりのようなアレンジで、世に出るなんて....Let it beの最後が、あんなにも陳腐な和音で投げ出されるなんて、Beatlesならばあり得ない....。一緒に歌ってても、ちっともハーモニーも対位法も何も無いI’ve gatta feeling、それは意図的な雑音ですらなく、ただすべてが「もうどうでもいいや」と言ってる音楽....。ただそういう状況に反して、それでもその素材の一つ一つは、どんな酷い状況で提示されても光り輝いて、間違いなく人類の遺産として後世に残るだろうと言う事...。この究極のジレンマを前にして、若い頃は正直、このアルバムを正視することができませんでした。ただ自分も歳を重ね、聴きかえして想う事は、此れ程に人間的なアルバムは全Beatlesのみならず、全音楽中でも稀であろうということ。それが音楽的価値を有するかどうかはさておき、この当時Beatlesの陥っていた状況、メンバーの人間関係、社会状況そのすべてが、この輝くような名曲の数々とどうしようもなくやる気なく投げ出してしまった演奏・アルバム制作の物凄いギャップに、余すところ無く詰め込まれている。Charlie Parkerが麻薬で意識朦朧となりながら残した凄演「Loverman」を連想してしまいますが、とにかく音楽が人間を写し出す芸術である以上、その特殊な形としてこのような人間ドラマを永遠に刻み込んだ点で、Paulの忌み嫌ったPhil Spectorはやはり偉大な仕事をしてくれたのかも知れない、と今は思います(Across the universeは複数あるVer.の中でやはりこの盤がベストと思う。ただSpectorの伝記作者が言うようにはLong and winding roadのアレンジはベストとは思いませんが)。JohnとGeorgeがその点を見抜いてSpectorを称賛したとすれば、彼らは自分たちをも超えて偉大だったでしょうし、またPaulが執拗にこのアルバムとSpectorの仕事を嫌い続けたのも、結局そのような物凄いギャップの中でこの名曲の数々を永遠に残さざるを得なかった状況に対するやるせなさに尽きるのではないでしょうか(その後のPaulの活動をみても、Paulがたとえ自分でやったとしても、もはやこの素材の数々をBeatlesとして満足のできるレベルにまで完成させることができないのは、自分で理解していたでしょうから)。せめてもう2年前なら、この素材でどれだけ凄いアルバムが完成されたか判りませんが、しかしながらそれに代わるこの、ずたずただけれども、あまりにも人間的で哀切に満ちたアルバムもまた、20世紀を代表するThe Beatlesのかけがえのない遺産であることは間違いありません。音楽史上、最も特異でしかもヒューマンなドキュメント・芸術の一つです....。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/11/14

    ちょっと重みのない表現で恐縮ですが、良い意味でとても面白い演奏と思います。フランス組曲は、「パルティータ」に次ぐBachの傑作組曲で、演奏もチェンバロ・ピアノ双方に非常に多いですが、意外に名演と言えるものは少ない。A.Bacchettiのこの録音は、面白さという点ではチェンバロによるルセ以来かも知れません。ピアノによる多くのBach演奏は、過去30年近く、表面上Gouldの影響を受けてるけれど、その中味は一皮むけば19世紀を引き摺るロマンティックなものという、「ヒツジの皮を被ったオオカミ」的な演奏が横行しており、特にこのフランス組曲はその傾向が極めて強く、外面上の典雅さに惑わされない本質的な名演は数える程でした。A.BacchettiはGouldが亡くなった時、おそらく4-5歳、ToscaniniやFurtwanglerはもちろん、ひょっとしてKarajanの全盛期すらリアルタイムでは知らないような若さでしょうが、その演奏からは古典派〜ロマン派〜新即物手技に至る、18~20世紀のクラシック演奏伝統の影響がほとんど感じられず、さりとて反対の意味で表面上G.Gouldに引き摺られることも全く無く、全く新しい世代が自分の感性と自分の時代を背景に、まっさらの眼で音楽に相対してその魅力を紡ぎ出す自由さに溢れています。抽象的な性格も強いGoldbergと違って、もろ時代の制約を受ける組曲を多く含んでいるだけに、バロック音楽演奏としては問題もあります。特に傑作と言える5番、6番などは、ルネサンス〜バロック音楽の様々な舞曲とそのリズムが、さながら百花繚乱の如くに聴かれるので、Bacchettiの歴史的背景を(未だ?)充分に踏まえていない演奏では(この点でGouldがあの時代にどれだけ優れた歴史的感性を有していたかは驚くべき)、どうしても充分その魅力を明らかに出来ていない印象が否定できません。ただそれでも、どちらかと言えば地味な前半3曲の多彩で魅力的なことは驚くべきで、この若い奏者のBach音楽に対する適合性の良さと、リズムと声部構築の直感の凄さを感じないではいられません。未完成な部分は多いでしょうが、それでも、これだけ魅力的でBachの本質に迫り得るピアノ演奏は貴重と思います。Bachに傾倒される方なら、ぜひ一聴をお薦めしたいです。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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     2012/11/12

    このあまりに歴史的なアルバムについて、新しいことを言える人など数千、数万人に一人もいないと思いますが、自分にとって一番確かなことは、これほどに凝縮された時間の詰まった作品は、おそらくごく一部のJazzを除くポピュラー音楽史上これ以前にはなかったであろうし(自分は同世代人ではない。初めて聴いたのはBeatles解散後数年経過してからです)、これ以降現在に至るまでも自分の知る限り、無さそうであろうということ。「Sgt.Pepper’s...」の出だしの聴衆のざわめきから、「A Day in the Life」の最後の和音が鳴り終わるまで、あらゆる音、あらゆる静寂がピンと張りつめた濃密な時間の中に一個として完成されている....Beatlesがこの、濃密な時間を手に入れ始めたのはRevolver辺りからでしょうが、その完成形としてBeatlesのキャリアのある意味の頂点であり、同時にBeatlesという社会的存在がこれ以降、全く異なる局面に入り、それはBeatlesが体現した(若者)文化が新しい局面に入ったということでしょう。この作品が現れて以降、世界にとってロック、ポピュラー音楽、そして若者文化はもはや以前と同じではあり得なくなってしまった....その歴史的意味を前にしては、Johnを含むメンバーが後で何を言おうと、作品の比重がPaul主体であろうと無かろうと、また個々の曲がどうであろうと、何ら大した問題ではありません。「Sgt.Pepper’s〜A Day in the Life」という一つの「作品」の強烈な密度は、疑いなく20世紀が生んだ最も偉大な人類の音楽遺産の一つとして、個人的な好悪や思惑(Beethovenの英雄・運命が嫌い、と言ったってその歴史的価値が揺らぐことなど些かも無い!)などを遥かに超えて後世に生き続けるでしょう。今は亡きJohn,George、ひた向きにBeatlesを守り続けてくれるPaul,Ringoに、心よりの尊敬と感謝を捧げます!

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     2012/11/06

    現在までに発売された正規盤のBeatles Liveは、これとCD化されていないHollywood Bowl Liveの2種のみですね。このBBC Liveはある意味、一般的な取っ付きは良くない。大部分カヴァー曲で、有名なBeatlesナンバーは少数。しかもカヴァー曲もアルバム未収録中心ですので、よほどBeatlesの初期をききこんでるか、あるいは50〜60年代前半のRock’Roll/R&Bに精通した聴き手でないと、この盤を正当に評価はできないかも知れません。かくいう自分もその資格があるか、甚だ自信ありませんが...。しかしながら、演奏内容はおそろしく質が高い。演奏は63〜64年中心ですが、Beatlesの演奏技術がどんどん上がって行った時期だけに、その演奏の見事さは既発売のスタジオ録音を凌駕してることも珍しくない。何よりもBeatlesのあの見事な自作曲の基礎に、これだけ広範な音楽的経験があることを実感させてくれます。既にアルバム収録されてたカヴァー曲についても、多くの場合、Beatlesの演奏はオリジナルを超えていることが圧倒的に多いのですが、おそらくこのBBC Liveのカヴァー曲の名演の数々は、50~60年台Rock’Roll/R&Bの最良の名演集の一つではないでしょうか。The Beatlesの音楽的価値の中心が、その唯一無二の自作曲にあることは議論の余地がないでしょうが、それを離れても演奏集団として、歴史に残る存在であったことを証明する貴重な記録と思います。

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     2012/11/05

    この盤は、自分たちのように、Beatlesを聞き続けて数十年、っていう人間よりも、全くBeatlesを知らない方が正当に評価できるでしょうね。たとえ入ってる曲が100%Beatlesのものであれ、作ったのが他ならぬG.Martin親子であれ、結局舞台音楽なのですから....。自分たち、隅々まで知っている人間にできる事は評価することではなくて、ショウが素晴らしかったという評判を信じる事と、Beatlesの音楽がどんな断片であれ、使われ方であれ、輝きを放っているという、当たり前のことを確認できて喜ぶ事ですね。でも、Sun kingの逆回転すらこんなに味わい深いとは....。何だかJ.S.Bach/フーガの技法を連想していしまいました。Bachの音楽がまさにそうであるように、Beatlesの存在すら知らないような土地・人々の中にも、日々彼らの音楽の断片はこれからも入り込み、親しまれて行くのでしょうね....。

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     2012/10/23

    昔赤盤・青盤が発売された頃は、LP”Hey Jude”と並んで、アメリカ発売のシングル集+α(サントラ?)のような位置づけだったと思うのですが、内容はおそろしく質の高い楽曲・演奏揃い。ほとんどの曲の録音時期がSgt.Peppersと同時期なので、当然と言えばそれまでなのですが、とにかく一曲一曲の精巧に練り上げられた出来映えは、当時のポピュラー音楽界を一変させてしまったパワーに満ちあふれています。言うまでもなくアルバムとしてのまとまりは望むべくもないものの、全てが傑作揃いということでは、ある意味これほどのアルバムは稀かもしれません。Remasterされて曲の細部がクリアになればなるほど、隅々まで彼らの音楽構築の凄さが明らかになってさらに圧巻。絶対推薦です!

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     2012/10/18

    ミュージック・ウィーク誌(英)かビルボード(米)のいずれかでNo.1をとったナンバーのみのコレクション。従って名曲でも入ってない場合がありますが、全体として非常にバランスのとれたベスト盤の一つであることは疑いありません。他でもないBeatlesなのですから、他のあらゆるアーティストとは次元が異なり、これ一つで充分なベスト盤など、永遠に不可能。それくらい、名曲にきりがないのです....。わずか7年間で彼らが、20世紀の社会と音楽を変えて行く姿が垣間見れるでしょう。名企画と思います。

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     2012/10/14

    おそらく複数のファンの方々同様、LP時代には手を出さなかった(若くて出す余裕がなかった)albumですが、CD、特にremaster後にまずiTunesでダウンロードし、目から鱗が落ちCD購入しました。もともとRevolverの曲である1、語るまでもない名曲ながらどこでも聴ける6、Beatlesの音楽に実質何の関係もない7~13を除いて、実質は2~5の4曲のみ!なのですが、その一曲一曲全てどれだけに素晴らしい作品であることか!Remasterされて細部がクリアになるにつれ、細く聴けば聴くほど、如何に彼らが音空間隅々まで神経を張り巡らせ、緻密に作品を構築して行ったかが判り圧倒されます。はっきり言ってこの4曲、もちろん他の多くのBeatles作品がそうですが、かけがえのない20世紀音楽の遺産の一部です。値段やコストパフォーマンスなど、考えるのも傲慢だったと自分を反省.....。当たり前ですが、ただただ素晴らしい!

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     2012/10/04

    この盤の衝撃的な発売とそれにまつわるごたごた(CCCD含めて)、さらに轟々たる賛否両論の騒ぎから、もう10年になるんですね。自分も密やかなBeatlesファンとして、少し熱に浮かされたクチでお恥ずかしい限りですが、現在その熱が冷めてみると、改めてこの盤の存在意義に思いが至ります。The long and winding road, Across the universe、他のnakedなバージョンの意味は、聴くものそれぞれでしょう。しかしながらGET BACKセッションがもし成功していたら、おそらくBeatles唯一の公式ライブアルバムが残される事になっただろう、と言う事は、このNakedが出てより現実味を持って考えられるようになったと思いますし、それは物凄くスリリングです。その意味からOriginalなLet it be(アルバム)の意義もまた違って考えられます。20世紀の音楽を根本から変えたBeatlesの、意義深い遺産の一つであることは疑いありません。

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