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mimi さんのレビュー一覧 

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/02/01

    Pinnock/The English Concertが「自国の」大作曲家として、Bach以上に愛情を込めて演奏しているヘンデル作品集。やはり「水上の音楽」は今もって、登場時の素朴さ・瑞々しさ・爽やかさを全く失っていない圧倒的な名演奏。このような全く平易でともすると通俗に陥りかねない音楽においては、Pinnockの高貴な音楽性が(Vivaldi同様)最大限に生かされ、一聴して他の誰にも求められない個性が刻まれています。次いで、オルガン協奏曲全集は、Simon Prestonとの息がぴったり合って、強烈さは全くないが、どこをとっても上品で誠実な音楽性に溢れた好演。合奏協奏曲集は、もともとCorelliなどに比較すると、曲によって質の差がかなり幅があるために、どうしてもすべてが名演とは行かないものでしょうが、一つ一つを誠実に、丁寧に演奏しています。本来的に声楽作曲家であったヘンデルですから、こうやって管弦楽だけ集めてみるとやや無い物ねだり的な印象も湧きますが、値段面も含めると本CDは、現在でも総合的にやはり最も上質な、ヘンデル管弦楽作品集と言えるのではないでしょうか。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/11/11

    ゲオルク・ベームの鍵盤作品全集における好演が印象的で購入しました。ブクステフーデのチェンバロ作品全集を聴くのは初めてなのですが、これも好演と思います。ブクステフーデにとって、おしらく最も重要であった楽器はオルガンでしょうが、オルガン作品に比較するとチェンバロ作品の印象は控えめです。聴く方の偏見も相当あると思うのですが、曲構造がどこか壮大なオルガン演奏の響きで初めて生きるような傾向を感じるので、よりインティメートなチェンバロ・クラヴィコードなどでは、細部のデリケートさ、構造の精密さに欠ける印象が少し拭えず、やや緊張感の途切れる瞬間も散見されます。Stellaの演奏も、この後のベーム作品集程のレベルにはまだ達していないかな、とも思わせます。おそらく過去にも複数あったであろう、チェンバロ作品全集の最上位には来ないでしょうが、それでも堅実・誠実な作品全集としての価値は高いのと思います。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/11/01

    リアルタイムで聞き始めたのは「インディゴ地平線」辺りからなので、それ程コアなファンではなく、昔に較べてどうこう言える立場ではありませんが、それでも、これまで及びこれからも続く長いスピッツのキャリアの中で、特別なアルバムではないでしょうか。おそらくスピッツ全作品のみならず、あらゆるJ-P0P作品でこれだけナイーブで純粋な盤は稀でしょう。聴かせよう、とか、訴えよう、とか、の何らかの意図(欲?)が凄く希薄で、さりとて自分の枠に閉じこもってる訳でも無く、臆病と感じられる位にその音楽全体が謙虚です。おそらく、ここ数年の社会の激動に直面して、音楽家としての無力さを骨の髄まで感じ、それでも自分たちに出来る事は何かをぎりぎりまで考えた結論がこのアルバムなのでしょう。そこには巷に山と溢れた復興ソングの欠片も感じられません。一曲目からまるでRequiemの様な光景が目に浮かぶ。タイトルの最高にシンプルで控えめなバラードを経て、アップテンポの3曲目に至っても決して陽光の降る明るさからはほど遠い。それがラストから2曲目の天真爛漫な「潮騒ちゃん」までも、続きます。アルバムのどこにもそんな歌詞はないけれど、やはりこの基調にあるものは「祈り」としか言い様がないかも知れません。やっと「救い」に出会えるのはこれ以上ない美しいラストで、ここに至ってようやく本当の希望が垣間みえます。日本で最も美しく、ささやかで、謙虚な、まさにアルバムタイトル通りの作品であり、グループであると思います。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/10/06

    一聴して非常に好印象を持ちました。ロ短調ミサという曲は、おそらく西洋音楽の中で最も一筋縄でいかない難曲だけに、どういうタイプの演奏でも何らかの不満を抱かないではいられないと思うのですが、この演奏、決して粗いところが皆無でも無いのに、聴き終えた印象が非常に良いのです。少人数ながら合唱使用、オケもそれなりの編成を使い、必要とあらばかなり大音量を使うことも厭わないタイプですが、その演奏は極めて現代的であり、時に劇的と感じるところはあっても(これはロ短調ミサには必ずしも必要ない要素)、恣意的ロマン的な解釈は一切ありません。再現の基本はあくまで作品の(多声音楽としての)全体構造再現で、そのために時に性急ととらえられる様な瞬間もありますが、指揮者がこの巨大作品の全体構造把握をしっかり行っているため、結局聴き終えた時には納得させられています。そしてバッハ作品再現の最も困難な点である、瞬間瞬間の適切なテンポ、リズム、フレージングの選択において、これほど納得させられる演奏は稀かも知れず、それも結局指揮者があくまで曲全体構造をしっかり見据えた上で、細部に解決を与えているからであることが解ります。時にソリストなどに不安定さは感じることはあっても(ここらへんは若さ故でしょうが)、声楽・器楽ともに演奏技量は極めて高いものです。指揮者、演奏団体ともに非常に若いですが、近年これほどのロ短調ミサの演奏は少ないかも知れません。もちろん未完成の部分もあるでしょうし、これからも発展途上の演奏であるとは思いますが、それでもできるだけ多くのバッハ・ファンに聴いていただく価値がある盤と思います。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/08/09

    自分が若い頃、このルネサンス期である意味、最も高名なミサ曲を実際に耳にすることは困難でした。それを考えると、中世・ルネサンス音楽の楽譜も読めないただの音楽愛好家が、Missa Prolationumを比較試聴できる時代というのは信じられない想いです...。自分の数少ない試聴経験では、やはりThe Hilliard Ensembleの名演が印象に残っておりますが、Ensemble Musica Novaの演奏は女声を充分活かし、Hilliardの演奏より柔らかで叙情的な仕上がりです。実はHilliardの演奏に接した時も、この有名曲がOckeghemの最高の作品と言えるかどうかは(もちろん音楽史上最も驚異的な作品であることには何の異論もありませんが)、個人的に少々疑問に想う事もあったのですが、Ensemble Musica Novaの今回の演奏も一つ前のMissa Cuiusvis Toniの感動にはやや及ばないかも、と思います。特にGlora/CredoのややTextの長い部分では、曲の構造的再現が曖昧でメリハリの無い平板な瞬間が時折存在する。けれども、こういった事はHilliardの演奏でも無くは無かったし、どちらかと言えばこのミサ曲に内在する課題かも、とも思えます。ともあれ、この音楽史上の奇跡的作品の再現としては、おそらくThe Hilliard Ensembleの名演奏につぐ、またそれ以上に美しい、第一級の演奏には違いありませんし、古楽・ルネサンス音楽ファンなら充分お薦め出来る好演盤と思います。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/07/17

    R.Egarrの思い入れが感じられる全集盤と思います。L.Couperinをまとめて聴いた経験はそう多くないですが、その作品は甥のF.Couperinと全く異なり、ルネサンス的に非常に堅固な構成を骨格としていると思います。Egarrの演奏は作曲家のその点を活かしつつ、常に柔らかな詩情を漂わせており、古典的骨格と詩情、そして時折見せる強い表現のバランスが素晴らしいと思います。CD構成も、一枚一枚、曲の性格を考慮して構成されていると思われます。往年のレオンハルトや数年前のルセに比較すると、音楽構築の厳格さの点では一歩劣る面もありますが、全体として第一級の全集であることは間違い有りません。やや価格は高いですが、古楽ファンなら揃えておく価値が充分あると思います。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/07/10

    まず自分はロマン派交響曲を日常的に聴く人間でないし、Schumannの2番は過去、Sinopoli,Bernstein,Kubelikなど含め4-5種類しか聴経験が無いので、客観的に比較批評する資格を持ちません。それでも、この演奏はいままでのどの演奏とも違うように思います。実は感じるものが大き過ぎて、どこが違うかまだ冷静に書けないのですが、とにかくこの曲でこんなにも感動してしまうとは予想外でした。言い換えれば、この曲が真価を現した時に、こんなにも凄い曲であることを、恥ずかしながら初めて知りました。Abbado/Orch.Mozartの演奏、とにかく美しくない瞬間、意味のない瞬間が一瞬たりともありません。まるでこの曲の中の宝物を、どんな小さなものでも決して逃すまいとするかのように、時にはゆっくりと時には軽快に、音楽を確かめながら一歩一歩進んで行きます。そのため全体の印象として、決してスマートとか見通しが良いとかでは、ありません。ただこのように全ての細部を一つだに無駄にせず、着実に積み上げて行くことで、いつしか今まで見た事も無いような深く大きな音楽の姿が現れて行きます。とにかく、演奏者全員がこんなにも曲の全てに寄り添って、曲と、Schumannと一体となっていく姿は、自分はSchumannの管弦楽曲では(Kempff晩年のピアノ協奏曲など少数を除いて)ほとんど見た事がありません。Abbadoの、オーケストラのこの姿は、もはや「解釈」などという次元を完全に越えて、「この曲と共に生きている」としか言い様がないのではないでしょうか。第2楽章の有名な警句もここでは諧謔を越えた深い歌ですし、第3楽章のどこまでも美しい深遠への沈潜はBeethoven第9の3楽章をも凌駕しています。おそらく演奏史上でもごく稀にしか起らない、Schumannの交響曲への心の底からの共感と献身によって、初めてこの曲の深く大きい真価が明らかになったのではないでしょうか。第4楽章が終わった時は、正直、よもやこの曲でここまで自分が涙することになるとは思ってもみませんでした。どう書いてもうまくは言えませんが、もはやこの演奏はAbbadoの、Schumannの、希望と絶望、挫折と再生の人生の歌そのものなのかも知れません。Berlinを自ら去って以降のAbbadoの中で、疑いなく最も心に残る演奏の一つと思います。

    6人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 8人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/06/28

    非常にきめ細やかで、美しい演奏と思います。ベームの作品集は、Leonhardt晩年の名演が耳についていますが、Leonhardtの演奏が北ドイツ楽派らしい、堅固な構築を前面に打ち出した、論理的でがっしりした性格であったのに比して、Stellaの演奏は遥に優美で繊細です。もちろん、ドイツ・バロックの巨匠の一人として、どんなに優美な楽曲においても、決して構造が曖昧になる事がないのですが、それでもこの演奏の面持ちはどこかはるか南の国への憧れを宿しているように感じられます。これは前半のチェンバロ曲において顕著ですが、後半のオルガン演奏も壮大ではあっても、どこか愛想良く人懐っこい印象が強く、ベームの音楽の性格によくマッチしていると思います。全集としてももちろん貴重ですが、それを越えた美演盤で、ルネサンス・バロック音楽に親しむ方なら手元に置いておかれて損はないのではないでしょうか。

    8人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/05/30

    自分は特段のMozartファンでもなく、このK622の聴経験もせいぜい6-7種類なので大きな事は言えませんが、最近のAbbadoの一連のMozart録音で、一際印象的なものに思えます。第1,3楽章は、早めのテンポで一切の感傷と無縁、むしろ急ぎ過ぎるのではと思える位に音楽が流れて行き、時折現れる劇的な部分も作為的な強調が全くなく、すべてが心からの明るい日差しの中に解決して行く。しかしながら、おそらくこの世で一番、何らかの思惑から解き放たれた音楽は、故吉田秀和でしたか、「あまりにも美しく明るい故に、その背後にある悲しみを感じさせないではいられない」という言葉を実感させる、本当に数少ない瞬間にまで自分たちを連れて行きます。ことに第3楽章の天上を走っているとしか思えない音楽は、それが故に知らず知らず抑えきれないものがこみ上がってきます。そして第2楽章Adagio、誰がやったって美しいけれど、ここに聴かれる程に(決してもたれたり感傷的でないのに)生との別れ、を実感させることは稀ではないでしょうか。ソリスト、楽器、オーケストラ、指揮者が結び合った名演と思います。他の2曲も、最上の美しさを湛えており、目立たないけれど、心からお薦め出来る盤ではないかと思われます。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/05/12

    まず非常に率直な印象として、こんなに魅力的で何度も繰り返し聴きたくなる第2巻は、珍しいのではないでしょうか。一般に第2巻は、第1巻に比較して、有名な曲も少なく地味で、また比較的長い年月の間に書きためられたものをまとめたため、全体にまとまりが薄く、また軽い曲から奥深い曲まで幅があり、とっつきも悪いと言われることが多いと思います。R.Egarrの演奏でまず感じるのは、平均律に拠っていない調律法の響きの純なことで、これは今までのどんな平均律演奏と比べても際立っており、いくつかの曲はまるで違う曲に聴こえる程です。この新しい学説に基づく調律法の是非について、もちろん自分は判定する資格なぞありませんが、少なくとも素人にも分ることは、J.S.Bachのこのようなどちらかといえば抽象的な作品に属する曲集においても、響き、音色というものが、音楽の真の姿を鑑賞する上でかけがえのない要素であること。もちろん、この演奏の意義は調律法だけでないのは言うまでも無く、Egarrの演奏はあくまで歴史的なチェンバロ音楽の伝統に立脚して、各々の曲に最も相応しいテンポ、リズム、音色そして装飾を控えめにかつ確実に付与して、曲の姿を描き分けていくもの。従って、これまでいまひとつかな、と思って通り過ぎることが多かったような曲でも、思いがけない魅力を放っていて、立ち止まることが多い。この第2巻は多声音楽の聖典のような数曲を含んでいる訳で、そういった曲においては、いささか曲構造の厳格な表出に今一歩かと思われる面もないではありませんが、一方でどんな曲も残らず魅力的だという点で、ちょっとこれまでにはなかったような平均律演奏であるかも知れません。多くのBachファンに、ぜひお薦めしたい良演と思います。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/04/11

    実はまともなオーディオ・システムを持たず、MP3化してiPhoneで聴いているような者に評価の資格はないのでしょうが、この盤の最大のポイントが最新学説による調律法であることは理解できます。尤も、きちんとしたアンプで聴いても純正律などの響きの価値が自分にわかるか自信は無いですが、確かに通常の平均律によるチェンバロ演奏とはかなりイメージが異なり、まず各曲の性格の違いが露骨に強調され過ぎることがありません。ピアノによる近代的な演奏ならば、盤によってはかなり悲劇的な曲、楽天的な曲、..といった多様な(落差の激しい)性格が意識されることもありますが、そういった側面は希薄で、どの曲も典雅な響きの中に微妙な性格の違いを感じ取る、といった趣です。演奏自体は、基本的にバロック・チェンバロの時代様式に則したものですが、フランス物を得意とする奏者らしく、リズムのゆれ、楽想のちょっとした誇張・装飾などを結構ふんだんに織りまぜながら、ゆったりとした世界を築き上げています。反面、J.S.Bachの厳格な音楽構造の表出は曖昧で、誰もがよく知っている有名曲が多い第1巻の演奏では、やや甘く中途半端な印象も否定できません。ただ、こういった調律法による平均律演奏は、自分の乏しい知識では決して多いものではないと思いますので貴重と思います。最高の演奏、というまでには至らないと思いますが、非常に安定感のある、味わい深い平均律演奏の一つには違いないのではないでしょうか。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/03/25

    自分がJordi Savallの演奏を初めて聴いたのは、CDというものが発売され、バイト代の2ヶ月分をつぎ込んでCDプレーヤーを購入して初めて買ったHesperion XXの「ルネサンスのナポリ」で、Hesperion XXの驚異的な演奏と、故Monserat Figuerasの水晶のように透き通った声が、CDでそれこそ腰をぬかす程クリアに聴こえたものでした。以来30年、今やSavallはすっかり古楽演奏の大家であり、個人的にも現役演奏家の中で高い学識と音楽性を兼ね備えた稀有の存在であると思っています。ただ自分の乏しい知識では、J.S.Bachの声楽大曲の録音は少ないようで、Monteverdi/Vesproはあるものの、それ程目立った存在感を有する盤ではなく、この盤がどのようなものになるのか、正直若干半信半疑の想いでしたが、その想いはよい意味ではずれたと思います。これは、少し前のF.Bruggenの演奏と並んで、現代の最も高レベルのロ短調ミサの一つではないでしょうか。演奏形態は基本的に合唱使用ですが、BruggenやHereweggheと異なり、曲によってかなり使用方法は変えてあり、例えばCrucifixusやCredoの出だしなどは、完全にOVPPに準じる形の小編成で、かと思えば各曲の終結合唱やSanctusなどは、かなり器楽も含めて編成を大きくしてあるようです。ライナーノーツが手元に無いので、詳細は不明ですが、器楽の扱いも含めてSavallが、現在までのBach演奏に対する最新の研究をも、充分に取り入れた上で己の方針に基づいて、誰のまねでも無い、自分たち自身のロ短調ミサ演奏を主張しているのがよく判ります。そしてその演奏は、ライブであることも大きく影響しているでしょうが、厳格というよりは、相当にその場その場の音楽的感興の流れによって、臨機応変に生成させて行く自由なものと思います。もともとSavallという音楽家が、そのあまりに高く専門的な学識とは裏腹に、あくまで不世出の一ガンバ奏者であることを一瞬たりとも忘れさせない、非常に直感的な生きた音楽を生み出す存在であるからでしょうが、このロ短調ミサも、どこをとっても学究的な臭いがしない。もちろん、演奏の構築は入念な考察に基づいたものなのでしょうが、そこに出てきた音楽は有る意味、即興的とさえ感じられる程に隅々まで活き活きとしたものです。西洋多声音楽史上の最大の遺産であるこの大曲は、掘り下げれば掘り下げる程、その巨大な建築構造が浮かび上がってくるとてつもない作品と思いますが、Savallは一見そうした分析的アプローチとは見えなくても、長い長いルネサンス・バロック器楽の沃野を知り尽くした者だけが可能な、確かな洞察力を持って、この難曲の隅々に光を当て、適切なリズム、テンポ、フレージングそして器楽と声楽のバランスを我々に提示してくれます。その成果はまさに驚異以外の何物でもありません。多声的、構造的にこれを越えるロ短調ミサも存在するでしょうが、少なくとも自分が聴き得た限りで、ライブ録音で此れ程この曲の真の姿に迫り得た演奏は無いのではないかと思います。Jordi Savallの最も素晴らしい名演奏の一つとして、また最も優れたロ短調ミサの演奏として是非お薦めしたいですね。

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/03/17

    私たち日本人にとって、特別な想いを抱かずにいられない名匠、Wolfgang Sawallischの数多くの遺産でも、第一級に属する名盤ではないでしょうか。とにかくSchubertの合唱曲集を網羅した仕事は、自分の乏しい知識ではそう無かったし、また今後もそうそう現れるとは思えません。加えて、このSawallischの全集の質を超えるものはまず出るとは思えず、その意味で空前絶後の偉業であると思います。たいていミサ曲5,6番位で、後はほとんど顧みられていない宗教曲ですが、ここで聴いてみると、あらためてSchubertという楽聖の本来の仕事が、紛れも無く人間の声による音楽にあったことを認識させられます。ほんの作曲し始めの10代の頃の習作的なものから、決してSchubert以外ではあり得ない暖かく、美しくそして親しみやすい旋律が、少年のものとは思えない卓越した形で提示され、どの盤も美しくないものは一つもありません。学生時代に少しドイツ語を齧ったレベルでは、後半の世俗合唱曲を充分鑑賞できる能力はありませんが、確かに言える事はこれ以上無いくらいに身近で親しみやすく、しかも高貴なSchubertの世界が充分繰り広げられています。そしてこれらすべてが、考えられない位に誠実で手抜きの一切ない、上質な名演奏で刻まれている。Schubertを生涯、心に大切に抱き続ける自分たちのような者には、一生の密やかな宝物です。Sawallischに心から感謝を捧げ、ご冥福をお祈り申し上げます。

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     2013/02/17

    J.S.Bachの作品中でモテットは、Bachが忘れ去られていた時代も歌い継がれ、MozartによるBach発見の逸話でも有名で、歴史的には高名です。また必ずしも大編成のオケや高名な独唱者を必要としないからでしょうが、Bach声楽作品中でも屈指の新譜数を誇り、多い時では年間10を越える新譜が出るのではないでしょうか?しかしながら、作品として有名で録音数も多いにも関わらず、自分の過去数十種類の聴体験(近年のKuijken,M.Suzuki, Gardiner,Hereweggheなど含む)によれば、これはと印象に残る盤が本当に少ないように思います。そこには色々な理由があるでしょうが、まずやはり演奏団体にとって(おそらく)近寄り易い曲集にもかかわらず、実は真の姿をとらえるのが最も難しい作品に属するのではないでしょうか。しかしながら、今回のFrieder Berniusの新盤(旧盤は未聴)の演奏は、自分の知る限り過去のどの演奏とも異なる質とインパクトを備えているように思います。実は器楽の比重が多くないBachの声楽作品はこの曲集以外は稀で、それだけにこの曲集の演奏は他のBach声楽作品に無い独特の問題点があり、そこに多くの他の演奏が真の魅力を明らかに出来ない原因の一つがあると思うのですが、F.Bernius/Stuttgartの演奏はまさにその点で他と全く異なる。複数の声部の個々に、いついかなる時も対等な独立性を与え、各々が独立したメロディ・リズム・フレージングを、徹底的に磨き抜いて表現している。通常小規模で何気なしに過ぎてしまうBWV226の中間部「Der aber die Herzen forschet...」の部分など、SuzukiにしてもGardiner,Herweggheにしても、全体の大まかなリズムのなかで各声部のリズムを従属させてしまっているのに、Bernius/Stuttgartは各声部が全く独立ししかも個々の声部がそれぞれに彫琢しつくされてるために、まるで現代のポリリズムの音楽を聴いているような大きく複雑な姿に感じられる。しかもその基礎になる姿勢は、あくまで歌詞内容と音楽の結びつきを徹底して検討した結果であるのが、あまりにも明白に感じられます。従って、この盤ではどんな演奏でも印象に残るBWV225や大規模なBWV227以外の全てのモテットも、一つ一つ珠玉のような傑作であることが強烈に印象づけられます。おそらくBach/モテットの演奏史上最もその真の姿に迫り得た演奏であり、おそらくそれはBernius/Stuttgartが、あの膨大なHeinrich Schutzの名演を長年に亘って生み出してきた経験を経て初めて実現されたものなのでしょう。確かにここには、Schutzの生み出した「ドイツ語による言葉と音楽の完全な一致」が存在しており、それなくしてはこの名盤は生れなかったと思います。決して気楽に聞き流せるような音楽ではありませんが、他の全ての演奏を圧倒する徹底的な彫琢とその見事な表現の実現において、これまで稀にしか明らかにされてこなかったこの傑作集の真の魅力を明らかにした意味において、多くのBachファンに聴いてみていただきたい演奏です。

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     2013/02/11

    10年近く前のライブをなぜ新録音として発売したのか、だいぶ気になるところですが、ライブ録音であることを酌量するとしても、Gardinerの録音として、名誉あるものとは思い難いものです。指揮者の力量、モンテヴェルディ合唱団の力量が、基本的にもともとそこらの団体とは段違いなので、たとえスタイル的に前向きな所が皆無でも、全体として手慣れていてまとまりは上々、非常に安定しています。ただ、いまや第一人者となった福音史家のPadmoreはじめとしたソリスト含め、そこかしこに粗い所が散見され、局所的には盛り上がる所はあっても、全体としてどうも緊張感が見受けられません。Gardinerの演奏理念としても、宗教的にテキストに深く切り込んで他の奏者にない確固とした主張を打ち出すわけでもなければ、音楽的・歴史的に曲構造の分析・再現に沈潜していくわけでもなく、どうみても無難なまとまりを第一にしているとしか思えないものです。一昨年のブランデンブルグに聞くように、若い頃のGardinerの非常に前のめりなリズムの強調は影を潜め、誰が聴いても外見上美しい姿に曲をまとめてはいますが、昨今個性的な名演が目白押しのヨハネ受難曲の中で、存在感を主張できるものとは、どう考えても言えないのではないでしょうか。高齢にして教会カンタータ全曲録音という立派な仕事を進行させているために、受難曲に余計に取組む余裕はないのでしょうが、ならばこのような価値の高くないライブを敢えて発売しないといけないのか、少々疑問です。

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