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mimi さんのレビュー一覧 

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     2018/10/26

    Rudolf Lutz/J.S.Bach-Stiftung St. Gallenのカンタータ第6集。今回第140番を中心に、主の来訪を喜ぶカンタータ3曲が選ばれていますが、演奏技能の確かさ、高度さ、そして指揮者としてのR.Lutzの能力の高さに関しては、第5集までと何ら変わる事はありません。しかしながら、中心となる第140番は名曲中の名曲、全カンタータ中ではもちろん、ひょっとするとBachの全声楽作品中でも一二を争う程の美しさに溢れた作品です。R.Lutzの演奏は例によって、早めのテンポとリズムによってきびきびと進める現代的なものですが、この全てに美しさで満ち満ちた曲の再現には、あまりにも細部の美を掘り起こせておらず、正直曲の魅力の半分も表現できていないと言わざるを得ません(実は十分に掘り起こせた演奏は稀ですが。でもS.Kuijkenなどの涙が出るほどの美しさ、清らかさに較べると...)。他の2曲も今回、決して単純とは言えない複雑な魅力を有するだけに、やはり真価を十分に見いだした演奏とは言えず、全体として満足できる盤とは言い難い。少し前に彼らのロ短調ミサを聴いた時に、あまりにも見事で完璧な演奏だけど、どこか外面的で何か足りない想いが拭えませんでしたが、この140番の美にまだまだであることを考えると、やはり演奏者・指揮者としてこれからの人たちであるのが明らかではないでしょうか。公平にみて、好感を持てる演奏ではありますが、多くの方にお薦めできるレベルではないように思います。

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     2018/10/14

    Rudolf Lutz/J.S.Bach-Stiftung St. Gallenのカンタータ第5集。例によって、非常に高い演奏能力を有する古楽器集団と指揮者による、きわめて推進力に溢れた、ある意味現代的な好演集です。その美質が最もよく顕れてるのは、独立のシンフォニアとして、一時期Trevor Pinnock/English concertがテーマ曲のように演奏していた、第42番冒頭曲で、その生命力と引き締まった響きは、English concertの演奏すら超えています。次いで、地味なようでいて実は従来より人気が高い180番「装いせよ、わが魂」が、これも引き締まった響きによる好演ですが、この曲に関しては最も優美で心の篭った冒頭合唱曲の演奏は深い情緒を湛えた古のK.Richterや、ひたすら素朴でさりげないS.Kuijkenの美しさに比較すると、演奏全体の外形は質が高くとも、篭められた感動の面で今一歩の感がないではありません。ロ短調ミサ第一部Gloriaからの転用によるクリスマス・カンタータ、191番についてもH.Winschermannの、ひたすらに滋味溢れた表現に比較すると、特に優位な演奏とは言い難いようです(おまけ感がどうしてもでてしまう!)。しかしながら、全体としてはもちろん、現在進行中のカンタータ全集の中で、トップクラスの演奏には違いなく、万人にお薦めできる程ではないにしても、Bachファンなら一聴の価値は十分あると思います。

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     2018/09/24

    古今の数あるWilliam Byrd鍵盤作品集中でも、疑いなくトップクラスの名演と思います。実はHMVに出るより前に、FinlandのALBA recordより直接購入したのですが、期待を上回る素晴らしい出来。前回のHakkinenの、ほぼデビュー盤に近いと思われるByrd鍵盤作品集が23歳時、その録音からほぼ20年経ってるとはいえ、本盤録音時も実はまだ若干42歳。それでいてこのByrdの音楽に対する適合性の良さは驚異的です。前回盤における瑞々しさを十二分に保った上で、今回の演奏は、特にPavan&Gaillardのような楽曲で、遥かに精緻で堅固、隙の無い多声構造を見事に再現しています。しかしながら、より驚くべきはWilliam Byrd特有の親しみやすい旋律、近代的な和声の合間にちりばめられた音と音の微妙な、さりげない、それでいてしみじみとした間、ニュアンスが、このまだ若い奏者の手によって、ものの見事に再現されていくことで、これだけの再現は正直、Leonhardtの晩年盤くらいでしかみられないのではないでしょうか。もちろん、ここにはこの20年間のHakkinenの、様々な時代、様々な音楽様式とその背景に触れ、研究してきた経験と学識が大きな力となっているのでしょうが(それだけなら近年のRichard Egarrの方がむしろ上のはずなのに)、Hakkinenにはそれだけでなく、天性のByrdの音楽に対する適合性、相性の良さがあるように思います。Praeludium MB1、Fantasia MB25、Callino Casturame MB35、やMonsieur’s Almanなどの作品における、滋味溢れる表現は、ちょっと容易な事では手に入れられないこの奏者の音楽性の賜物ではないでしょうか。決して目立つ盤ではありませんが、自分の知る限り、現在入手可能な他のByrd鍵盤作品集のいずれにも劣らない演奏であり、Brydの鍵盤音楽の魅力を余すところ無く味わえる希有な名盤として、バロック以前の音楽を愛する、多くの方に一聴をお薦めしたいです。

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     2018/08/31

    2008年の録音なので、Hakkinenの録音としては10年前、キャリア最初期ではありませんが、それでもまだ32歳での録音。数多あるGoldbergの中でも良演に属すると思います。この西洋鍵盤音楽史上で、ひょっとすると最も大きな包容力を有する傑作には、それこそ無限のアプローチがあるでしょうが、Leonhardt, Hantaiに師事し、わずか23歳でWilliam Byrdの作品集で希有の良演盤を記録し、その後もFrescobaldiをはじめ、数々の歴史的音楽に携ってきたHakkinenのアプローチは(Leonhardt, Hantaiの流れをくむ?)作品の一つ一つの歴史的多声音楽的背景を踏まえた、いわば完全に「基本に忠実な」ものと思われます。こういったアプローチは当然の事ながら、奏者の音楽的思考、経験がもろに出てくるので、この演奏も、特に中盤から後半にかけて、やや一曲一曲の細部の構造再現で掘り下げがどうかな、と思われる面が見過ごせない瞬間がいくつもみられます。ただ、曲冒頭から前半部分にかけての美しい再現は、それでもこの若い奏者が年齢に相応しからぬ(?)深くてひろい学識と、Bachの音楽に対する適合性の良さを有している事の証明と思います。特筆しておきたいのは、各変奏の前半・後半すべての反復を行っているにも関わらず、そこに(時折みられる)決まりだから反復しておいた、風の不自然さが一切なく、各変奏から曲全体があくまで一つの流れの中に自然に流れていくことで、トータル80分の演奏時間が全く長く感じられませんでした。Goldberg variationという汲めども尽きぬ傑作の、最上の再現にはまだ及ばないかも知れませんが、それでも昨今のチェンバロによる演奏ではかなり上位にランクするのではないでしょうか。やや甘いかも知れませんが、多くの方に聴いていただきたい演奏として、推薦させていただきます。

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     2018/07/16

    最近、Lark Ulrik Mortensen/Concerto Copenhagenの、数々の素晴らしいJ.S.Bach演奏に感銘を受けたので、ほぼ30年前、Mortensenのまだ30そこそこの頃のFroberger演奏を入手しました。結論から先に申し上げると、特上の名演とまではいかないかも知れませんが、これも誠実でこの奏者にしか出せない魅力を持った良演と思います。Frobergerの名演奏は個人的に思うに、その堅固な曲構成と、時に重々しすぎる位に憂愁を湛えた曲調のバランスの再現が決して容易ではないため、そう滅多に出会えるものではなく、少し前、あの当代最高の奏者であるRoussetをしても、立派だけどやや重く、もう少し別の再現もあったのでは、という印象が拭えませんでした。この若き日の演奏においてMortensenは、Frobergerの作品の堅固な曲構成を完全に自分のものにしたとまでは言えず、随所にやや曖昧な表現も散見されるかも知れませんが、反面、どこをとっても深刻に重々しくなり過ぎず、その演奏が常にデリケートさを失わないために、非常に優しく味わい深いものになっています。昨今の決して自分を主張せず、Bachの自然な姿を再現した名演奏の数々を思い起こさせますが、これはMortensenが、若くしてすでに他の多くの奏者が通り過ぎてしまうような、Frobergerの曲の細部に秘められた構造ー魅力をしっかりみつけて再現していたから実現できたことと思います。どの演奏も美しく繊細な魅力を有していますが、特に組曲第6番冒頭のPartitaの滋味深さはたとえようがありません。古い録音ですが、Lark Ulrik Mortensenの若き日の良演盤として、古楽ファンなら一聴していただく価値はあるのでは、と思います。

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     2018/07/10

    これは良演盤です。A.Hakkinenは、近年師(?)のHantaiらと組んだ、J.S.Bach/チェンバロ協奏曲全集で初めて耳にし、そこでのチェンバロ奏者としての技能はともかく、重層的かつ生命力に溢れたJ.S.Bachのコンチェルトの構造再現まで、全く手が及んでおらず、やはりまだ若いのは如何ともし難いか、と思わせられましたが、このByrdではうってかわって素晴らしく美しい成果を見せています。元来、歴史的に豊饒なネサンス〜バロック・イギリス鍵盤音楽の分野で、William Byrdは質的にも量的にも、疑いなく最も大きな存在と思いますが、その名演奏に出会うことは決して簡単ではありません。西洋ルネサンス最大の作曲家の一人として、もちろん精緻で強固な多声様式がベースにあるわけですが、それに加えてByrdの音楽は、そのあまりに親しみやすい旋律、イギリス音楽伝統の和声法を纏い、決して劇的ではないがそのちょっとして瞬間瞬間に無限のニュアンスを秘めており、この微妙なニュアンスを十分に表現できる演奏にはちょっとやそっとではお目にかかれません。この盤にも多く収録されてるような名作が多いにも関わらず、自分の乏しい聴経験では晩年のLeonhardtのアルファ盤と、Gouldのピアノによる演奏くらいしか無かったのではないかとさえ、思います。A.Hakkinenはまだたかだか42歳、この盤はキャリア初期だからたぶんまだ30歳になるかならないかの若さでの録音だったと思うのですが、あまりにもさりげなく見事に、Byrdの音楽のさりげない瞬間瞬間の微妙なニュアンスが再現されており、こうした音楽の演奏が決して年齢と経験だけで解決できない、奏者の音楽への適合性が大事であることを痛感させられます。もちろん、Leonnhardtなどに較べると、曲によってはやや細部の精緻さが劣り、やや一本調子で雑に感じられる部分も無くはありませんが、それでも若き日のGouldのかけがえのない名演にあったような、新鮮さも備えており、繰り返して聴きたくなる魅力に溢れています。決して目立たない地味な盤かも知れませんが、W.Byrd鍵盤音楽の、紛う事無き良演奏であり、できるだけ多くの古楽ファンに聴いていただけたらと思います。

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     2018/06/15

    Rudolf Lutz/J.S.Bach-Stiftung St. Gallenのカンタータ第4集。冒頭のカンタータ第78番は、J.S.Bach/教会カンタータ全曲中でも10指に入る位の有名曲ですが、Rudolf Lutzの演奏は無数にあるこの曲の演奏中でも、記憶に残るべき演奏の一つと言えるかもしれません。導入合唱のパッサカリアを、やや遅めのテンポながら、鋭角的なリズムでラメント・バスを強調し、非常に厳しく悲劇的な世界を印象づけ、これに続くソプラノ・アルトの二重唱、たいてい夢見るようなテンポで奏でられるのを、早めのテンポでこれも厳しく描いていきます。これ以降、終曲に至るまで、コラール・カンタータとしてあくまで統一された厳格な音楽を、一瞬も弛緩しないリズムで組み立てており、このそうは長くない曲がいやが上にも壮大な建築物に仕上がっていきます。もう少し個々のアリアの美しさにゆったりと浸りたい気もしないではありませんし、こういった厳格な演奏には、好みは分かれそうですが、近年の78番中でも屈指の演奏ではないでしょうか。この第78番の名演奏に較べると、ヴァイマール・カンタータ中の有名曲である第54番、第63番の印象が強くはないですが、例によって精緻なリズムとテンポによる一級の演奏の一つには違いありません(やや後者においてテンポ変動の幅が、少し演奏会的に強調され過ぎかも知れませんが)。現在進行中のJ.S.Bach/教会カンタータ全集中で、客観的にみて最も質の高いプロジェクトとして、多くのBachファンにお薦めできると思います。

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     2018/06/09

    久しぶりのGuillaume Dufay作品集、特にモテットが収録されている盤はおそらくCantica Symphonia以来で貴重と思います。CD趣向としては、Dufay作品による架空の宴という設定であり、そのテーマになるのがDufayの有名シャンソンの一つ”Ce jour de l’an”(新年を迎えて楽しもう)ですので、新年がらみの宴席? 収録されている曲は、上記の曲を始めとした有名シャンソンが20曲ほど(重複あり)に、イソリズム・モテット5曲で、モテットは処女作とされる”Vasillisa, ergo gaude”を始めとしてほぼDufay前期、西洋音楽の歴史を変えた1436年の”Nuper rosarum flores”以前の作品がほとんどであり、宮廷の愛を歌うシャンソンと相まって、どちらかと言えば近代的であるより中世的な色合いを中心とした演奏集といえるでしょうか。しかしながら、Dufayのシャンソンが常にそうであるように、音楽自体が非常に強烈な表現意欲を発する、同時代としてはかなり個性的なものであり、有名曲が選ばれてるのもあるでしょうか、一度聴けば忘れられない旋律に満ちています。不勉強にしてGothic Voicesの演奏を本格的に聴くのは初めてで、その演奏は特にモテットにおいては上記のCantica SymphoniaやHuelgas Ensembleなどの、強烈に透徹した構造再現に比較すると、やや多声構造のクリアさが劣る傾向も無くは無く、現代の最高レベルの古楽再現とまでは言えないかも知れません。しかしながら、時代に即した、生き生きとした新鮮な演奏は、一方で魅力でもあります。モテットだけで言えば、他にこれを上回る演奏も複数ありますが(上記2団体のモテット全集は画期的だった!)、CD全体としての新鮮な演奏と好企画の故、推薦とさせていただきます。地味な盤かも知れませんが、ルネサンス以前の音楽に関心がある方なら、お聞きになって損はないかと思われます。

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     2018/05/25

    Rudolf Lutz/J.S.Bach-Stiftung St. Gallenのカンタータ第3集で、第1,2集同様、精緻で現代的なリズムとテンポ、指揮者の確信を持った楽曲解釈・実践による極めて質の高い演奏です。冒頭の132番は、高名なクリスマス・カンタータで、3人の独唱者によるアリア中心ですが、生き生きとしたテンポながら過度に力みすぎず、余裕を持った歌唱が美しい。アルトのソロ・カンタータである35番は、結構長大なので難しい面もあり、この演奏でも独唱と曲の解釈が、過去の他の演奏者と比較して必ずしも最高とは言えないかも知れませんが、それでも演奏の質は明らかに上々。そして、コラール・カンタータの名作中の名作である1番、予想通り、沸き立つようなリズムによる強力な演奏で、古のヴェルナーらのような、ゆったりしたしみじみとした味わいは希薄ですが、やはり古のK.Richterの生命力に溢れた演奏を彷彿とさせます。第5曲などはややリズムが前のめりになりすぎるような印象もなくはないですが、こういった解釈になると、合唱・オーケストラの技術が(おそらく決して常設メンバーではないでしょうに)非常に高いのが何と言っても強み、見事な演奏です。様々なタイプのBachカンタータ演奏を選べるようになった幸せな現代ですが、本企画は過去に完成した全集、現在進行中の全集含めて、疑いなく最も清新で質の高いJ.S.Bach/教会カンタータ全集企画の一つであり、Bachファンなら聴いていただく価値が必ずあると思います。

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     2018/05/24

    好企画・良演奏です。Schubertの傑作Sonata for Arpeggioneの、本来楽器であるArpeggione演奏によるCDは、自分が把握してる限りで現役盤は、世界初?録音であるKlaus StorckのArchiv盤(1974年録音)、本盤(2000年録音)、Nicolas Deletaille盤(2008年録音)の3種ではないかと思うのですが、本盤はSchubert以外のArpeggioneのための作品も集めたCDで、Vincenz Schusterに、Anton Diabelli、Friedrich Burgmullerの3人の作曲家の作品が演奏されています。この3人の作品では、Arpeggioneの教則本を書いたSchusterの作品が一番聞き応えはあるかも知れませんが、とは言っても、こう並べてみるとSchubertの音楽が光り輝いてしまうのはやむを得ない。まさに西洋音楽の歴史に残る傑作の一つです。Alfred Lessingの演奏は、時代が新しいだけあって、Klaus Storckよりは演奏法の研究・復元が相当進んでいるようで、技術的に軽々と弾きこなしており、ここまで見事なら確かにチェロやヴィオラなどの代用楽器の必要を全く感じませんし、何よりArpeggioneならではの軽く浮遊するような魅力が存分に生かされています。近年のPaul Badura-Skodaと組んだNicolas Deletailleの好演も見事でしたが、Alfred Lessingの本盤はそれと比較しても決して劣らない秀演です。正直Schubert以外の他の3人の作品は、繰り返し聴きたくなるものではないですが、Arpeggione演奏によるSonata for Arpeggioneの良演奏は貴重なので、推薦とさせていただきます。

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     2018/05/13

    Rudolf Lutz/J.S.Bach-Stiftung St. Gallenのカンタータ第2集で、非常に高い演奏能力を有するピリオド集団と独唱、合唱によって、精緻でかつ現代的な推進力に富んだ、好演奏と思います。第22番はJ.S.Bachにとって、ライプツィヒのカントル就任試験の課題曲ですが、同じ課題曲の第23番と比較しても、決して目立つ曲ではありません。R.Lutzはどちかと言えば地味なこの作品を、生命観に溢れたリズムとテンポ、ひきしまった表現で、鮮やかで美しい演奏に生まれ変わらせます。個人的にはこの曲は、Leusing盤などにみる、あくまでしみじみとした演奏が合うように思うのですが、R.Lutzのこの表現も決して悪くなく、何より演奏が見事。第60番、第34番は華やかな有名曲に属すると思われますが、特にJ.S.Bachライプツィヒ時代の最後期の34番は、R.Lutzの演奏に時にみるやや過激に傾くまでの劇性が現れており、曲全体がまるで沸騰するような生命観を湛えています。この最後期の傑作において、ここまでの(やや)外面的な劇性が必要か、少し疑問も無くはありませんが、これも少なくとも演奏の見事さにおいては現在のカンタータ全集(プロジェクト)の中でトップクラスであることは間違いありません。価格は決して安くありませんが、Bachファンなら一度耳にされていい、カンタータ全集プロジェクトとではないでしょうか。

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     2018/05/11

    自分が若かった頃、J.S.Bachの教会カンタータは未だ全集が存在せず、H.RillingとHarnoncourt/Leonhardtが全集化を進めていましたが、やはり圧倒的な存在感を放っていたのはKarl Richterの選集でした。あれから40年、今では全集も上記のH.Rilling、Harnoncourt/Leonhardt以外にも、片手に余るくらい存在し、進行中の全集も複数で、Bachファンとしては考えられない位に恵まれた選択肢がある幸せな時代になりました。Rudolf Lutz/J.S.Bach-Stiftung St Gallenの進行中の企画も、その有力な選択肢の一つで、自分はロ短調ミサの好演で初めてその実力を知り、それ以前から徐々に発売されていたカンタータを購入しました。20世紀における古楽復興の発祥の地でもあった、バーゼル・スコラ・カントルムの教官であるRudolf Lutzを中心としたこの演奏は、当然の事ながら、演奏法・楽譜考証に厳格な作業を経た歴史的演奏であるわけですが、(近年のロ短調ミサがそうであったように)それ以上に非常に強靭な生命力と現代的なリズム感覚に満ちあふれたもので、ともすると歴史的であるよりもやや劇的に傾くくらいの、生き生きとしたものです。声楽・管弦楽とも、ベテランでないにしてもかなり実力者揃いのようで、その演奏能力は全く不安のない、非常にレベルの高いもの、おそらくプロばかりでないと想像される合唱も、適切な指導のもとにプロ集団に何ら遜色の無い素晴らしい歌唱を聴かせています。第1集に収録されてる3曲は、教会カンタータとしては、Richterの選集にも収録されている有名曲ばかりですが、過去のどの演奏者のカンタータ集にも負けない好演を聴かせており、ピリオド楽器ながら、その表現意欲の強い鮮明な演奏はそれこそ古のRichterの名演を懐かしく思い起こさせます。これだけ選択肢の拡がったJ.S.Bach/教会カンタータ集において、様々なタイプの演奏が割拠するのは当然の事で決定盤というものは存在し難くなってると思いますが、そういった中でこのRudolf Lutz/J.S.Bach-Stiftung St Gallenの全集は、現在最もレベルの高いものの一つであることは間違いないのではないでしょうか。ルネサンス・バロック音楽ファンにはもちろんですが、ピリオド楽器が苦手な方にも十分御薦めできる好演、好企画ではないかと思います。

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     2018/05/04

    普段自分は、古典派以降の音楽をほとんど聴かない人間なので、William Christie/Les Arts Florissantsの名は、当然の事ながら馴染み深いものでしたが、不勉強にして彼らのメインレパートリーである、フランスバロック・オペラ/オラトリオをほとんど聴く経験が無かったために、実際にこれまで彼らの演奏を聴いたのはたかだか1−2度でした。今回聴くに当たって少し勉強したところ、William Christie/Les Arts Florissantsは、あれだけの長い演奏経験・実績を誇るにもかかわらず、J.S.BachのCDはなんと初めて!、その初めてのBachに「ロ短調ミサ」を持ってくる事自体、Christieの今回のプロジェクトに寄せる想いが尋常なものでなかったのは、容易に想像されます。で、その演奏ですが、OVPPでない合唱・管弦楽団による演奏形態のロ短調ミサとして、こんなに素晴らしい演奏は、ちょっと無いのではないでしょうか。演奏の外形としては、上述したように何か目立って新しい事をやっているわけでないのですが、とにかくこんなにも自然でありながら力みの無い演奏は思い当たりません(しかもこれがLiveであるというのが、却って驚き!)。大編成の合唱・オケを使用していながら、この大曲の隅々まで、どこをとっても威圧的な表現がなく、KyrieやGloriaの冒頭、Cum Sancto Spirituから6声部のSanctusに至るまで、全体にむしろ静かとさえ言えるくらいの演奏ですが、その内実に込められた美しさと強い想いが計り知れず、それが聴くものをいつしか感動に導きます。演奏全体として、決して緻密な分析を全面に感じさせるわけではないのに、GloriaにしてもCredoにしても、全体を聞き通すのに何の抵抗も疲れも感じさせないのは(感じさせることの方が多い)、W.Christieがいかにこういった大曲の構造把握と実践を的確に行っているかの証明ですが、紛れもなくこの演奏者のバロック・オペラ/オラトリオにおける他に類をみない知識と経験のすべてがここに生かされているのでしょう。実際、特に変わった解釈を行っているわけでは無くとも、子細に聴くと、細部で決して他の多くの演奏者にはみないような演奏表現・解釈が、非常にさりげなくはりめぐらされており、それがちょっと聴いただけでも解るこの演奏の自然さの根底にあるようです。Christe eleisonのデュエットの伴奏や、Crucifixusの悲劇的なリズムはその顕著な例と思いますが、とにかく一見新鮮で無いようでいて、実はこれほどに同時代のあらゆる音楽の演奏実践の経験がすべて盛り込まれた「ロ短調ミサ」は、自分の知る限り決してあるものではありません。英文解説に寄せたW.Christieの文章には、Christieにとってロ短調ミサが決して敬遠していた対象でなく、実は遙かに幼少期から母を通じて経験してきた特別な音楽であったことが簡潔に綴られており、半世紀以上暖め、まさに満を持しての今回の演奏であったことが良く解ります。近年の数多ある新盤(OVPP以外)の中では、Gardinerの新盤はもちろんのこと、ある面ではSavall盤やBruggen晩年盤をも凌ぐかも知れません。美しく、静謐で、奥深い「ロ短調ミサ」として、全てのBachファンに一聴をお薦めしたい名盤の一つと思います。

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     2018/04/08

    Frescobaldiが当時活動していたローマ近郊、中部イタリアの3台の歴史的オルガンを引き分けたFrescobaldi/オルガン曲選集。Bernard Foccroulleらしく、楽器の選定、曲の選定、演奏法に徹底的に拘っており、数あるFrescobaldiのオルガンCDの中で、現在最も素晴らしいものの一つではないでしょうか。個人的に思うに、世界の現役のオルガニストの中で、演奏の明晰さ、透明性、声部一つ一つのクリアさにおいて、Foccroulle以上の人は無く、その意味でまるで幾何学模様の如きFrescobaldiの複雑な多声鍵盤作品にFoccroulleは最も相応しいと考えられます。数年前の驚異的な「フーガの技法」でもそうでしたが、この演奏においては、細部から全体、ピアノからフォルテに至るまで、声部、構造のクリアでない瞬間が全くありません。常に明晰である一方で、威圧的な大音量やテンポ変動は皆無(そこにこの奏者に対する好悪の分かれる部分もあるのでしょうが)、まるで眼前に楽譜そのものがめくられていくような錯覚にすら陥りますが、それでいて無機質な部分は一瞬たりともなく、演奏すべてにFrescobaldi特有の高貴な詩情が溢れています。Buxtehudeの時のような全集でないのが残念なところですが、現在Frescobaldi/オルガンCDで、疑いなく最も質の高いお薦め盤と思います。FoccroulleによるCD解説も、例によって極めて精緻、誠実で、充実した情報を提供してくれます。

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     2018/04/03

    一言で言って、非常に精度が高く、にもかかわらず現代的な躍動感にも溢れたロ短調ミサです。昨今、若手(といってもR.Lutzは60過ぎ)の優秀な指揮者によるロ短調ミサが立て続けにリリースされていますが、この演奏はその中でも、演奏の質から言えば疑いなくトップクラス、どんな細部をとっても曖昧な部分がなく、Bachの音楽として考え抜かれた回答が与えられており、OVPPでない様式のロ短調ミサ演奏としては、ひょっとしてBrugghenの晩年盤や、Savall盤をも超える完成度を有しているかも知れません。特に凄いのは、実は多くの演奏で躓きの石になってしまう、第2部Credoが、全体から細部に至るまで、構造的に完璧に分析された上で演奏実践されていることで、この部分だけとってみれば、もはや伝説的なLeonnhardt盤に次ぐかも知れません(言い過ぎ?)。自分はR.Lutzの録音を聴くのはこれが2,3回目なので、CD解説以上の情報は知らないのですが、経歴をみると、ながくBach研究家、オルガン・チェンバロの即興演奏の専門家として教育・演奏に地道に携ってこられたようで、その経歴がこのロ短調ミサの分析・演奏実践に、他の多くの指揮者にはない、強固で説得力のある根拠を与えているのが理解できます。演奏者も、独唱者、合唱、管弦楽すべて、決して誰でも知っているような著明演奏家ではないにもかかわらず、その演奏のどこをとっても上質で破綻の無いものであり、こちらも現代のバロック演奏団体として疑いなく現代のトップクラスです。…と書いてきて、客観的には最高評価をつけるべきなのでしょうが、これだけ質の高い演奏でも、不満が無い訳でないのが、この難曲の難曲たる所以でしょうか。正直なところ、最初に聴いた時はかなり鮮やかでインパクトの強い印象だったのですが、いくどか聞き返すうち、どうも、ここかしこに「何かが違う」感を覚えます。それが何なのか、実は当初よく解らなかったのですが、CD解説のR.Lutzのインタビューを読んで、朧げながら見えてくるものがあります。R.Lutzはこの難曲の演奏実践にあたり、当然のことながら、自己の深い音楽史上の知識と長いBach演奏家としての経験から来る、Bach音楽に対する確かな直感で、錯綜とした音楽諸要素の構築に回答を与えており、それはそれだけで大変に見事な成果です。ただ、そういった学識と経験から来る作業を経た上で、最終的な演奏実践の形を決めるに当たって、R.Lutzが拠り所としているものは、自分が考えるにこの大曲が現代の演奏場で鳴り響く時に、いかに効果的に現代的に、演奏者にも聴衆にも聴かれるか、という一点に収束しているようです。従って、紛う事無き歴史的演奏なのですが、最後の最後で優先されるものが、KuijkenやLeonhardtがあくまで拘ったような「それがその当時いかに響いたか」ではなく、「現代の聴衆にいかに訴えかけるか」であるために、時にやや物量的、外面的な演奏に聴こえ、それが幾度も聴いてくると、こちらを疲れさせる原因になっているのではないでしょうか。ともあれ、大編成、大合唱団を使用したロ短調ミサの中で、最上級の演奏であるのは間違いないところで、演奏形態としてあくまでその形態を好まれるBachファンには、疑いなく一番にお薦めできる演奏の一つではないでしょうか。

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