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千葉のアリアドネ さんのレビュー一覧 

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/03/31

    1975年、多くの音楽ファン待望のベームVPOの初日(3月16日)、私は翌日の演奏会を控え期待に胸をふくらませつつ、入念にオープンリールをセットしてエアチェックの準備をした。いよいよ放送(生中継)開始。緊張と期待が極に達して会場が張り詰めている様子がスピーカーを通しても感じられた。君が代とオーストリア国歌が美しくも荘重になり響いた後、第四の序奏が非常に強い緊張感をもって鳴り始めた(解説の故大木正興氏が「初めのところ怖かったですね」と感心していたことを思い出す。日本のお客さんは真剣すぎて怖いと話した団員がいたそうだが、指揮が怖い怖いベーム、団員の緊張も大変なものだったのだろう)。この序奏から主題への部分は素晴らしく、弦が3回クレッシェンドしながら強奏した後VPOの音が全開した時は本当に感動した。第二楽章は往時のVPOの魅力をじっくりと味わせてくれる。第三楽章から第四楽章もベームらしい堂々たる足取りだが、この部分はリズムが大事だから録音が明晰なセッション録音の方が良い[今回のこのシリーズ全体に感じるが、マスターの経年変化なのか音が丸まってしまって、このコンビのずっしりとした低音の迫力がぼやけてしまっていないか。高音の伸びも不十分でリズムが減殺されて聞こえる。以前辛いことを言った77年来日時のCD(Altus)より劣るように思うが]。全体的にテンポは当時でもゆったりしているとの評であったが、当時名盤の誉れ高かったワルターのステレオ盤とはテンポ感が似通っている。フルトヴェングラー(52セッション)も、クレンペラー(57)もゆったり派で、この世代では快速派はトスカニ-ニ(51)だ。この後はクライバーが超快速、ピリオトアプローチのアーノンクール、ガーディナ-と快速化が続いて、21世紀にはこの曲の演奏速度が上がっているから、この演奏はゆったり、優美派の名演奏の掉尾を飾るものと言えるかも知れない(劇的な奇数番VS優美な偶数番という表現も最近は耳にしなくなったように思う)。尚ベームVPOには69年ザルツブルクのライブ(Orfeo)もあり、壮年期の切れ味を残した名演だが、こちらの70年代の熟成と是非聴き比べをお薦めしたい。
    「レオノーレ3番」(3月17日)、私にとっては最初に生で聴いた曲だ。演奏時間は15分強。ベームにとって「宿命のオペラ」である「フィデリオ」(63年日本初見参のベームが同曲で世界的権威とされていた本人も驚愕するほどの反響を引き起こしたことが、75年来日への大きな期待に繋がっていたことをもう若い方はきっとご存知ないことと思うが)、その内容を凝縮した同曲には数多くの録音があるが、その中でも一番長い方に属する[例えば緊張とドラマ性に満ちた69年SKD(全曲盤)は約13分半、55年ウィーン国立歌劇場再開公演ライブ約14分15秒、77年東京ライブ14分22秒]。最初から遅めのテンポ設定、かつインテンポで堂々と曲を進める。この曲のもつ美しさ、VPOの巧さ、底力のある響きに魅了されつつも、例えば主題が呈示される部分などではもっと劇場的なアギーギク、追い込みがあればと思ったりもした。しかし、コーダのプレストのところ、弦が鳴り始めた時にはこの部分がこんなにも美しいのかと驚嘆。続いてウィンナホルンの強奏、重量感にあふれた響き、ティンパニの強連打、終結部には全く圧倒された。最後に「美しき青きドナウ」。ウィーンの音楽でありながら「ウィーンに媚びない」この格調の高さ。脱帽という他は無い。企画については諸氏ご指摘の通り。折角復活させたのに非難轟々では仕事をしたかいがないではありませんか。今回はまず残りの曲の追加発売を!!

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 17人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/03/30

    何度か書いてきたが、21世紀には忘れられるなどという輩の発言をよそに、ベーム盤の現役率は高く(この世知辛い世の中、販売実績がなければたちまち廃盤になろうに)、当セットの内容も現時点で全て購入可能。だが、求めやすい価格で集成として発売されることは大変喜ばしく、まずはイタリアユニバーサルに感謝したい。演奏内容は20世紀後半における各作曲家の演奏として(国内外の受賞歴など引き合いに出すまでも無く)最高水準を示すものであり、また21世紀にも息長く聴き続けられるであろうものと断言する(ベートーヴェンはベーム、VPOなら更に上をいけたのではないかとの思いはあるが)。ベームの楽曲に対する視座は戦前のドレスデン時代から基本的には変わっていないと私は考えているが、50年代、60年代、70年代で異なる面を見せるのも事実で、どれを良しとするか、最盛期はいつかなど多くの議論がなされてきた。当セットでもそれは感知されることあるが、もし初めてベームをお聞きになるのであれば、これを皮切りとして、70年代のVPOとのモーツァルト、ハイドン、シュトラウス、50、60年代のブラームス、ベートーヴェン等へと聴き進めていただければと思う。その際問題なのは50年代の名盤で入手しにくいものがあること(ブラームス交2、ベートーヴェン交5、ミサソレムニス いずれもBPO等)。 どうせならカラヤンの様に、50、60、70の年代別に声楽曲、協奏曲等も含むコンプリートなセットを出して欲しい(95%位は買い揃えた私も必ずや買ってしまうだろう)。
    ベームの偉大な点は、コンサート指揮者としてだけでなく、オペラ演奏における卓越した解釈と、強力な(すぎる?)指導力で演奏水準を大いに引き上げたことにある。モーツァルトからシュトラウス同様親交深かったベルクに至るまで独墺系オペラ演奏史に巨大な足跡を残した(ベームがベルクの普及にどれだけ貢献したか、バイロイトでの「新解釈」でいかに旋風をまきおこしたかなど若い方にはもはやピンとこないのではないか)。名盤も数多く、オペラを聞かずしてベームを語ることは不可能だ。こちらも「指環」がつい最近リマスター化されるなど、全盤現役の映像を含め現役盤がかなりを占めるが、「影の無い女」(旧-これは凄い)、「薔薇の騎士」(新、旧)、「イドメネオ」「ティートの慈悲」「ドン・ジョバンニ」(旧)「アリアドネ」(69DG)、「アラベラ」(47)が現在入手不可(「影」「アリアドネ」以外はDGはネット配信は実施)、「ヴォツェック」と「ルル」のセットが「入手困難」になっているのも気になる。こちらのほうは新、旧あるものは全て包含した作曲家別のシリーズを出して欲しい(できればきちんとした楽曲解説と日本語訳付きで)。韓国やイタリアの後塵を拝してばかりの日本のユニバーサルに頑張ってもらいたいものだ。ついこの間も75年VPOライブを復活させたものの、何とも中途半端な企画でファンの憤激を買っていることは当HMVのレヴューでご覧の通り。ここは是非名誉回復を目指していただきたい。

    17人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/01/06

    ヘンデルの傑作オペラ「アルチーナ」。クリスティの指揮、フレミングの外題役、ルッジェーロ役にグラハム(二人ともこの時が初めてだそうですが、二人にとって当たり役となったのは周知の通り)、更にモルガーナ役にデッセーを配すという大変な顔ぶれですが、期待を裏切らない素晴らしさです。ミンコフスキ、ハルテロス、カサロヴァの映像も大変魅力的で甲乙つけられませんが、全体としては指揮の違いもあり、ミンコフスキ盤は音楽の運びも歌唱もより動的、ひるがえって本盤はヘンデルの音楽の美しさを十分堪能させてくれる感があります。ただフレミングによれば、クリスティの指示は「様式を守れ。ノンヴィブラートの透明な混じり気のない響きで歌え」ではなく「もてるもの全てをぶちこめ、気持ちのよいことなら何でも良い」だったとか。「最初はノンヴィブラートで、次第に私(フレミング)の好きなジャズの様に少し崩して」。こうすることでアリアでの繰り返しが本当に面白くなっています(フレミング「魂の声」春秋社2006)。当盤日本語訳はもちろん、歌詞もついていませんが、アマチュアの方々による「オペラ対訳プロジェクト」には「アルチーナ」「オルランド」とも対訳があります。ネットで簡単に閲覧できますので是非ご参考に。

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     2013/01/06

    「オペラを見ずしてヘンデルを語ること勿れ」などと言う資格のない私ですが、この魅力満載の映像はお勧めです。「アルチーナ」は1735年の作、43曲のオペラ中34番目、初演は勿論ロンドンです。反対派との抗争たけなわの頃の作曲で力も入っていたのか、ほぼ同時期の傑作「アリオダンテ」に比べても、劇的迫力、曲想の豊かさとも上をいっていると思います。魔女が主人公なんてストーリーが非現実的?(だったら非現実筆頭は「指環」では)。ハルテロスの熱唱、熱演を見ていると「愛する者の哀しみ」がひしひしと伝わってきます。カサロヴァは確かに絶好調ではないと思いますが演技は立派。全体をぐいぐい引っ張っていくのはミンコフスキ、流石です。演出は美しく、生彩あるもので(奇怪な「解釈物」でないのが実にありがたい)素直にこのオペラに入っていけます(特典のメイキング映像は必見)。この作品の後暫くして、抗争に倦んだヘンデルは次第にオラトリオへ創作の中心を移していきます。オペラに関心のある者としては少々残念な気もします。ヘンデルの生涯に興味を持ち出して図書館に行ったら、あのホグウッドの書いた伝記を発見(原著1984 三浦寿喜訳、東京書籍1991)。なかなか面白いのですがとにかく分厚い(500P強)。いつ読了できることやら。

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     2013/01/03

    ブラームスの室内楽では「純粋弦楽」よりも「異種協奏(クラリネット、ホルン、ピアノ)」の方に人気曲が多いが、弦楽四、五、六重奏の価値が低いわけでは決してない。今回この演奏聴いてやはり名曲の宝庫であると強く認識させられた。確かに華やかさに欠ける面はある(私は20歳の頃、名演の誉れ高いブダペストSQの五重奏を買ったものの良さが全く分からず-ブダペストSQ&ゼルキンのP五重奏は当時から愛聴していたのに-永らくこの曲を聞かずに来てしまった。若すぎたのかなあ)が聞くほどに味わい深い。アマデウスSQの1種ロマン性を持った、表情の大きなアプローチが、これらの曲への扉を開いてくれていると思う。永く評価されてきた所以であろう。是非皆さんにも聴いていただきたい。一方、今回ブダペストSQの四重奏3番を久々に聴き直したが、朴として、構築的なブラームスにも大いに惹かれた。残念なことに60年代のステレオ録音は四重奏(3番以外)、五重奏とも入手困難らしい。ベートーヴェンの再発が引き続き大いに支持されているが(永く廃盤になっていたほうが不思議だが)、こちらの方の再発も是非ともお願いしたい。

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/12/24

    私同様待っていた人も多かったのではないでしょうか。室内楽では珍しく総合ランキングでも暫く上位にありましたから。演奏は素晴らしい。一週間たたずして8枚組を2回以上聴いてしましましたが、飽きることがありません。初期の曲も魅力的に再現していると思います。評論家筋の投票ではABQやジュリアードの票数が多く(私は両者少々敬遠気味なのですが・・・)、さらに豊潤なアマデウス、滋味豊かなベルリン、スマートなスメタナなど多くの往年の名盤の中にあっても、豊かで明るい歌と自発性あふれる闊達なアンサンブルが永く支持を集めてきたということでしょうか。音質については国内プレスのハイドン(ひばり他)と比べてみましたが、皆さんご指摘の点は確かに感じられます(私も少々高音を抑えて鑑賞しています。愛聴盤の同SQのシューベルトもデッカプレスでやや音が固い)。もし若い世代の方がリマスタリングを担当していたとしたら、近年よくある痩せた音や、ピリオドの音に慣れた彼らは、我々が当たり前に思っていた朗々と輝くしく鳴る弦楽器の響きが理解できないのではと危惧されてなりません。

    7人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/12/24

    いい買い物をしました。この曲前から気になっていたのですが初めて聴きました。現役盤少ないですよね。フランス勢ではイザイSQ(作曲家のイザイはベルギー生まれですが)-これはセットもので少々高い。ベルギー勢ではシュピーゲルSQ位でしょうか。プロ・アルテ、パレナンといったところは今は入手不可のようです。という訳でつい新譜で目に付いたこの盤を購入したのですが、曲、演奏とも大変気に入りました。名曲だが渋いなどとも言われますがそうでしょうか。第一楽章はロマン性豊かで、節回しが如何にもフランクです。第三楽章の叙情も良いですね。第四楽章の凝りようもフランクの面目躍如。フランク最晩年1890年に完成、初演。初演はフランクが生前に味わった最高の(唯一の?)晴れやかな場であったと伝えられます。是非皆様にも聴いていただければと思います。プラハSQの演奏はフランスのエスプリではないと思いますが、滋味豊かな彼らの演奏はやはりこの曲の優れた演奏と言って良いのではないでしょうか。

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/03/20

    天馬空をゆくようなブレインは確かに素晴らしい。ナチュラルホルンのバウマンも良い。だがこのヘーグナー-ベーム盤もウィンナーホルン代表としてその地位は揺るがない。何度も再発され、録音後30年を経た今も本国でも日本でも現役なのは、ウィンナーホルンの伸びやかで深い味わい、往時のVPOの魅力的な節回し、加えて最晩年のベームの大らかで深みのある指揮が三位一体となった「滋味あふれる美しさ」が人の心を捉えてやまないからだろう(私は77年にベーム、VPOでモーツァルトの29番を聴くことができたが、このCDを聞くと4楽章のホルンの響きをいつも思い出す。75年のブラームスの1番のホルンも凄かった-あの演奏でウィンナーホルンの素晴らしさを認識した人も多かったのではないか)。こうした演奏傾向から、軽快な1番より、最も充実した出来栄えの3番、あるいは4番の方が素晴らしく、特に緩徐楽章における陰影の豊かさを特筆したい。没後30年を超えてもベームのモーツァルトが、50年代のDECCA、DGの録音を除けば殆ど現役なのは大変結構なことだ。様式論を超えて生き続ける「音楽の生命」の存在に、今も多くの支持があるからと考える。没後30年企画では、交響曲と協奏曲・管弦楽曲のセットものが出たが、オペラにおける20世紀のモーツァルト復権にベームの果たした役割を考えたとき、これは片手落ちのそしりを免れないだろう。現在廃盤の「イドメネオ」「ティートの慈悲」(DGはWeb配信は行なっている)、入手困難の「ドンジョバンニ(旧盤)」(Web配信はあり)の復活や、全部を取りまとめたセット(全盤ユニバーサル傘下なのだし)をリーゾナブルプライスで提供する等の企画を是非とも実施して欲しい。

    6人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/03/11

    まず未完成。この録音(シューベルト音楽祭のライブ)は明瞭さを欠き演奏の細部がわかりにくい。演奏自体は75年来日時の驚嘆すべき演奏とテンポ、解釈とも同傾向なのだが、アタックが丸まってしまって、曲想の急激な転換をベームがいかに深くダイナミックに表現しているかが伝わってこず、弱奏部の天国的な美しさも不充分にしか味わえない。私の様にエアチェックテープを頭に「擦り込んだ」世代はベームがここでこうやっているとわかるが、そうで無い方にはどのように聞こえるか不安。やはり晩年スタイルの未完成なら来日時のDVDの方が良い。どれほどの緊張感があり(本当に恐いほどだった)、VPOの求心的なアンサンブルがどうような演奏に到達したか是非味わっていただきたい(CDもリマスタリングの上再発して欲しい)〔現役のCDではBPO盤(66)も名演だが、VPO盤(54年)が往時のVPOの叙情と壮年期のベームの構成感がマッチしたすばらしい演奏。カップリングの5番がまた良い〕。次に新世界だが、チャイコフスキー同様、発売自体が大きなニュースだった。新世界は最晩年の80年迄そこそこの演奏記録があり(8番は全くみかけない)、こうした曲を自分のディスコグラフィーに載せたいという思いも案外強かったと聞く。晩年のベームらしく大きな流れを大切にしながら、彼なりの構成感を打ち出した演奏だが、第一楽章では、メロディーライン中心のこの曲に骨を与える反面、内声部が幾分表に出るところが、好悪を分けるかも知れない。聴きものは第二楽章だ。許光俊氏は「類例がない美しさである。とにかく音色が柔らかで品があること。オーケストラが強いられるのでなく、自ら進んですぐれた合奏を行なっているのもいい。味わい豊かなソロの饗宴といい、弱音のデリケートさといい、これほど高級感がある贅沢な「新世界」第二楽章は、他に探すのが難しい」(「世界最高のクラシック」2002年、光文社) と書いているが全く同感。この楽章のみならず、全体が望郷というより何か哀切の念を感じさせるところもある。是非ご一聴を御薦めしたい。ところで、ここのところの再発で、オペラを除くベームの60年以降の正規盤は@シューマンの交響曲4番(78年)、Aハイドン88、89、90番(72.73年)を除いて全て入手可能となる。忘れられつつあるなどと書きたがる一部評論家やジャーナリズムの言とは裏腹でまことに結構ではあるが、この2盤、特にAは当サイトでの評価も大変高かった名盤中の名盤であり、早々の復活をお願いしたい。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/03/11

    ベームはVPOとの初来日となった75年3月、記念碑的名演とされたブラームスやシューベルト等の6回の公演の後、最終公演(3月25日)は前半はジュピター、後半はヨハン・シュトラウスというプログラムで締めくくった。後半の曲目は「南国のばら」、「アンネン・ポルカ」、「皇帝円舞曲」、「常動曲」、「ピチィカ-トポルカ」、「こうもり序曲」、そしてアンコールがトリッチ・トラッチとマイスタ-ジンガー前奏曲であった。この時日本ヨハン・シュトラウス協会がベームを名誉総裁に迎える形で発足(ベームの発案とも言われる、この年は生誕150年)、現在も活動中である〔発足に尽力したのは故大屋政子女史(財界首脳の名物夫人-セレブタレントのハシリ?-面白い人でしたな)、指揮者の大町陽一郎氏等)。こうもりと青きドナウを入れ替えれば71.72年のセッション録音の曲目(当CD)とほぼ同じ。ベーム好みの選曲なのであろう。ヨハン・シュトラウスといえども大真面目、渋い面持ちでやや重厚ながら格調高い演奏を展開していたのを思い出す(こうもりなど立派なシンフォニーのようだった)。このCDが出たときにも我
    が国では「意外感」があったようだが、74年末にはシュターツオーパーでの好評を受けた「こうもり全曲」(デッカ)が発売され話題を呼んだ(CDも映像も現役、この映像はお薦め-国内盤が売り切れなのは残念だが)。オーストリアの音楽家としてベームにとってはヨハン・シュトラウスもまた大事な音楽であったようだ。日本公演では常動曲の最後、客席の方を笑顔で振り返ったベームは「いつもでも」と日本語で話しかけた(このシーンのみはNHKから出ているDVDの付録、ドキュメント番組の最後で今も見ることができる)。憶えるのに大分苦労した(真鍋圭子氏の著作による)とのことだが、ベームの心には日本のファンとの交流がいつまでも続いて欲しいとの願いがこの時すでに芽生えていたのではなかろうか。このCDの再発ももちろん結構なことだが、75年東京公演のライブ(映像、CD)は現在NHKからでている映像以外入手困難である。90年代には大方の公演を収録したセット物のCDや、単発のブラームスやシューベルトが発売されたことがある。大指揮者の晩年の奥行の深い大熱演と日本のファンとの暖かい交流を「いつまでも」語り継ぐために是非丁寧なリマスタリングを施しての再発売をお願いしたい。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/02/25

    20世紀のヴァイオリン演奏史を語るうえで、クライスラーははずせないと言われるが、私は自作自演を少々聴いた程度で、ポルタメントのきいた甘美な演奏をする古いタイプの名人位にしか考えていなかった。しかし今回、自作は勿論、3大協奏曲はじめ色々な曲を聴き、今更ながらヴァイオリン界における一大巨人であると認識を新たにした。と同時にヴァイオリンの魅力とは何か、現代の演奏が失っているものは何か等深く考えさせられてしまった。協奏曲ではメンデルスゾーンやブラームスとの適性は想像できたが、予想外にベートーヴェンが素晴らしかった。確かに叙情的ベートーヴェンではあるのだが、クライスラーの演奏は気品、雅味のある歌いまわしに絶大な魅力があると同時に、力強さをも兼ね備えており(人々を魅了したその音色については今では完全に味わうことは不可能だが)、実に魅力的な演奏となっている。メンデルスゾーンは、聴いているとまさにクライスラーのためにある曲のごとく思えてくる。正直「苦手な曲」だったのに購入以来何度聞いたことか。絶えざるロマンの息吹、ある種の官能性と「人なつっこさ」に陶酔感すら覚え、再びCDに手が向かってしまう。当セットで3大協奏曲は35年、36年盤が用いられており、ブレッヒ指揮の26、29年盤を推す向きもあることから、Naxos盤(ベートーヴェン、メンデルスゾーン)を購入して聴き比べをした。やはり51歳と61歳の差なのか、力強さ、芯の通った感じは26年盤が勝るものの、30年代の盤はクライスラー節満開との感もあり、好き好きといって良いのではないか。音質面ではNaxos盤はマーク・オバート=ソーンの丁寧な復刻だが、こちらも聴きやすく、10年の差は特にオケの鮮明度に明らかだ。グリークのソナタはラフマニノフ、バッハの2重協奏曲はジンバリスト、若きバルビローリの指揮など共演者についての興味もつきず、正に価千金のセットである。ヴァイオリンを愛する全ての人に強くお薦めしたい。

    6人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/02/25

    1昨年ブダペストの全集を購入。その強く、深く、荘厳な音楽に圧倒されたが、今回もノックアウト。ある批評家がかつて「この2つの演奏は今世紀(20世紀)に生きるベートヴェンの音楽の腹背両面をあらわし、しかもそれぞれにこの音楽の旗を射抜いている。レコードの2大金字塔」と評したが全く同感である。以前はABQ、スメタナ、ラサールなどで聞いていて、それぞれ立派ながら今ひとつしっくりこずにいたが、これで鑑賞のベーシックが
    できたという思いがある。「剛」のブダペストに対し、「柔」のバリリと言われるが、確かに往時のVPOメンバーらしい流麗さを備えたものではあるけれども、それは甘ったるさとは全く無縁の、内にはがっしりした構成感と力をもった外柔内剛というべきものだ。初期の曲では、ウィーンの弾き手ならではの節回しと、はつらつとした音楽の運びが、曲の魅力を大きく増しているが、中期の例えばラズモフスキーの1番では、やたら張り切るのではなく、音楽が充満してくるようなエネルギー感が感じられる。セリオーソも魅力的だ。もちろんハープも良い。だが圧巻は後期の14番、15番だろうか。14番の終盤、15番の3楽章・・・。録音はモノながら鑑賞には何の支障もない。ところでこのCD、当サイト(マルチバイ)では9千円弱から1万円程度で販売されている。この演奏の価値からすれば高価とは全く言えないし、1枚あたり1千2百円の価格に文句を言うわけではないのだが、ABQの1回目の全集が2千円強で手に入ってしまう今、多くの人にこの演奏の価値を知ってもらうには、国内レコード会社には苦しいところだが、やはり価格は再考して欲しい。同時にバリリ四重奏団の他の演奏(フラームス等)やバリリ-スコダのモーツァルトのVnソナタ等の再発売を是非お願いしたい。私だけでなく待っている人は必ずいる筈だ。

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     2012/02/25

    アドルフ・ブッシュのヴァイオリン演奏やブッシュ四重奏団の室内楽は今どれほど聞かれているのだろうか。70年代にはEMIのGR(GeaatRecordinngの略だったか)シリーズなどで手に入りやすく(決して安価ではなかったが)、私も当CDに含まれるピアノ五重奏に圧倒されたものだった。ゼルキン-ブダペスト、ポリーニ-イタリアも素晴らしい演奏だ。が、内面からふつふつと情熱が放射されるような、それでいて感情の奔流に流されるのでなく、構成感のくっきりとした、どこまで気品高い音楽は、他の演奏とは全く違った個性の光を放つもので、ブラームスのロマン的側面を最上の形で示すものと考える。ブラームスを愛する人には何を置いても聞いいていただきたい演奏だ。他の演奏も傾向を同じくする昔から名高い演奏だが、今回あまり得手な曲でなかったVnソナタ2番、ピアノ四重奏曲2番の魅力に開眼させられた。ソナタや四重奏の3番も聴きたいものだが(ソナタ3番のライブ盤はあるようだ)、ブッシュの高貴なブラームスをまとめて聴けるCDとして当盤の価値はすこぶる高い。音質はLPに比較してノイズが低減された位だろうか。それにしても、ブッシュといえば、死と乙女であり、バッハのシャコンヌであり、またベートーヴェンでもあるのだが、全く遺憾なことに、ベートーヴェンの後期四重奏のみは手に入りやすい(EMI)が、シューベルト、バッハのセッション録音は現時点入手困難である。限定版でもよいから、何としてもまとまった形での再発売をお願いしたい。

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     2012/02/19

    日本人にとりベームのワーグナーと言えば壮年期の名高いバイロイトの実況録音を指していた。引き締まった響き、そして何といってもその劇的表現の素晴らしさに皆感嘆したものだ。そして75年のVPOとの来日公演、アンコールのマイスタージンガー前奏曲で、我々はベームの熟成されたワーグナーの別の素晴らしさを知ることになる(当時実況放送解説の故大木正興氏とゲストの故吉田雅夫氏がこんなマイスタージンガーはめったに聴けるものではないと大興奮していたのを思い出す。ベームは77年の来日でもアンコールにとりあげ、幸い私もその興奮を追体験することができた)。当CDに含まれる録音(といっても曲目明細が今日時点では記載されていないが)は、78年から80年の最晩年に行われ、LPでは2枚に分けて発売された。CDになってからのこの演奏の扱いは中途半端で、1枚にするため9曲のうち数曲をカットされたり、トリスタンの愛の死が入らなかったり、他の指揮者とのオムニバスになったりと厚遇されていたとは言い難い。今回国内盤が復活するが1枚とのことなのでどの曲がカットされるのか心配ではある。演奏はなかなか気合の入ったもので、リエンッイなど若々しいところもあるが、やはり「浄化」ということを強く意識させられる。その意味でやはり最も素晴らしいのはトリスタン(特に「愛の死」)であろう。バイロイト盤が抗えない運命の愛へと突き進んでいくとすれば、当盤は永遠の愛への至純の憧憬を感じさせる(80年最後の来日時にDGが届けたテストテープをテア夫人と夢中で聞き入り、ベームが寝不足に陥るエピソードを眞鍋圭子氏の著書で読んだ往年のファンも多かろう)。カラヤン等も含むDGのワ-グナー管弦楽曲集(2枚組)は、パルシファル第一幕前奏曲と、マイスタージンガー第一幕前奏曲を除く7曲が含まれており、当盤のラインナップと見比べて選択していただければと思う。ところで60年代のベーム、VPOはどんなワーグナーを聞かせたのだろうか。バイロイトとは違った味があった筈だ。ニルソンの自叙伝での記述などを見るつけ、聞いてみたいという思いが募る。

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     2012/02/19

    ベームは76年から40、41番を皮切りにVPOとの交響曲の再録音を開始した(ユニテル-DGから出ているVPOとのDVDは別テイク)。この中では特に41番と当38番の評価が高く、評論家によるベスト盤選びなどでも良く名前があがってきたが、壮年期のBPO盤が何度となく再発売されているのに対し、VPO盤は40,41番を除きここ数年入手しづらい状態になっていた。BPO盤(38番59年、39番66年)は、明確な造形と推進力による大きなスケール感、凛とした気品と格調の高い歌、各声部の絶妙なバランスによる立体的な響きの深さを備え、確かに今持って「スタンダード」たりえる名盤だが、当盤(79年)も晩年のベームの大きく包みこむようなスケール感のなかで、これもベームのモーツァルトの特徴である陰影の豊かさ(特に転調するときなど)をVPOが思う存分に歌い上げていて魅力は尽きない。ある評論家は-これは41番に関してのコメントだが-VPO盤は窓が開いている感じ、BPO盤は鍵を開けて入っていく感じと評したが、柔かみのあるVPO盤の支持者も少なくない(最もピリオドばやりの昨今はBPO盤を含むベームのモーツァルト全体が優美、ロココ的などと評される状況ではあるのだが)。38番、序奏部はやや重いが、主部に入ってからは快調そのもの。立体的な響きで大きく曲を構成していくが、響きは熟成された(ケバケバしさのない)極上の美しさが常に保たれおり、少しも威圧的になることがない。第二楽章はしみじみとした情感に溢れ(テンポはワルター旧盤と同じ程度、新盤よりやや速い)、第3楽章は一転決然、堂々と曲を締めくくる(ワルター新旧盤よりゆっくりだが、BPO盤とは大差無い)。39番も同傾向の誠に美しい演奏だが、ベームの晩年様式との適合度は38番が上だと思う。テンポは遅いわけではなく、全曲でBPO盤よりは30秒ほど長いが、ワルターの新盤より約1分短い(ワルターは2楽章がゆっくりだ)。

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