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独居人 さんのレビュー一覧 

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/04/17

    第一楽章では疾走感と安定感、この相反する感覚が交互に訪れる。
    アッチェレランド、デュナーミクを駆使しての演奏は戦時下においてはより一層顕著である。ましてやフルトヴェングラーお得意のブルックナーにおいてはなおさらであろう。
    面白く聴かせることにおいてはこの上ないので時間が短く感じる。

    第二楽章においてはゆったりとした序奏で始まり弦楽が流れるころには人生の悲哀を感じる。
    弦のアッチェレランドは不安感を増長させるが、かたやアダージョの幸福感も共存する。
    終結部の上昇と下降を含むフレーズでは信仰告白ともいえるカタルシスを感じた。

    第三楽章には多彩なテンポで楽しませてくれる。
    トリオではのどかな室内楽風。
    終結部へのアッチェレランドは凄まじい。

    最終楽章冒頭のピッチカートは貼り付けらしいが、違和感は全く感じられなかった。
    冒頭から落ち着いた風だが、途中から怒涛のような管弦楽とティンパニの打撃音が風雲急を告げる。
    管楽器の男性的ファンファーレが力強く響きそれに続く弦楽が女性的に美しく答える。
    陰陽相まみえる展開だ。
    この辺りはワーグナーからの影響も垣間見えるのだろう。
    そしてデュナーミクを駆使したフーガを経たのちは、まさにフルヴェンの心拍数が感ぜられるアッチェレランドから壮大なるフィナーレへとなだれ込む。

    音質は、高音、低音がしっかりと満遍なく出ている。
    1st リマスターならではの威力だ。
    メロディア盤(MEL CD 10 01103) に比べても生々しさでは一枚も二枚も上である。
    ダイナミクスも秀でていてティンパニの音が非常によい。

    最弱音から最強音まで歪みのない音で収録されているのは驚きだ。
    これらは音量を上げればなおさら実感できる。
    まさに奇跡と呼べる驚異的な録音だ。

    所々でテープのヨレのような音があるがしょうがない。
    聴衆ノイズなどは無理に取り除いてはいないようだ。
    ヒスノイズはヘッドホンで聴くと聞こえるレベルだ。

    このたびの震災において被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。
    思えばフルトヴェングラーも時代の波に巻き込まれ、戦火の中から復活した。
    戦災と天災の違いこそあれ今の日本の現状も同様ではないか。
    この時期このタイミングでの発売はフルトヴェングラーからのエールではないかとふと思った次第である。

    7人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/01/30

    冒頭のホルンがこれから始まる壮大な英雄叙情詩への期待を膨らませてくれる。
    さほど褒められた音質ではないが、ノイズも除去され、十分観賞に耐えうるものだ。
    (ただしリマスターは1990年である)
    巨匠の指揮は単なる劇伴としてではなく、共演者としての役割を果たしていると言えるだろう。
    ワーグナーの意図したところを余すことなく表現しつつ、かといって、でしゃばることはなく、実に絶妙なバイ・プレイヤーとなっている。
    魔法の世界を魔術的なタクトによって面白く聴かせるのでその長大さを忘れて引き込まれてしまう。
    超一流のワーグナー指揮者の下、歌手陣も歌いやすかったのではないか?
    オケへの不安も聴き進むうちに払拭されてしまう。
    この値段、この内容ならば、文句なくライブラリーに加えられる。
    聞き流しても良し、じっくり聴いても良し。
    指輪の決定版として永遠に語り続けられていく名盤であろう事は疑う余地もない。
    なおCD-ROMに台本と概要が収録されている。(英語)

    7人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/01/09

    ソロキャリアー2作目となる本作は期待されたほど伸びなかった1st Alubum がチャート・イン中にリリースされた戦略的な一枚である。
    急遽制作されたせいかシュープリームスを彷彿とさせるナンバーから、R&B、バラード、カバーまでバラエティに富んだ構成内容となっている。
    中でもビートルズ・ナンバーは3曲入っていて特筆されるべき点である。
    これは当時の未完成プロジェクト”Diana Takes On The Beatles”の為に録られたもので、原曲の味を損なうことなくファンキーなアレンジが施されている。

    M5:”I’m still waiting” 当初社長のBerry Gordy はダイアナらしくないと気に入らなかったが、後に大ヒットして特に英国では記録的なヒットとなる。
    M11:”(They long to be)Close to you” はカーペンタースでおなじみのヒット曲だが、ダイアナのバージョンを一度聴いたら他では物足りなくなる。
    (Bonus Track)
    M14:”Something” はイントロがど演歌風(笑)なサックスのイントロで始まりその後は体裁を取り戻し、後半はゴージャスなスウィングジャズ風アレンジとなる。当時のMotownの創造性が窺えて楽しい。
    M18:”I’m still waiting (1990 Phil Chill remix)” は、 クラブ風のリミックスが施され、まったく新しい感覚で生まれ変わっている。
    ソロアーティストとしてスターダムに登りつめようとする者だけが発するオーラに満ちた一枚だ。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/12/21

    ダイアナのソロ・デビューにして4枚目で、絶頂期の傑作アルバムだ。
    どちらかというとソウルよりもポップスよりで誰にでも楽しめる作品となっている。
    スロー、ミディアムテンポの曲が大半を占めていて、全体を通して喜び、安らぎといった雰囲気に満ちている。
    歌唱力も力強さと若々しさを兼ね備えていて魅力を増している。
    今回リマスターに加え、同時期に録音されていた未リリース盤「To The Baby」sessionからの曲を[Disc 2]として収めていてファンとしては喜ばしい限りだ。

    [Disc 1]
    オリジナルリリース盤でリマスタリングも大成功だ。
    ボーカルが前面に出て力強く歌い上げる姿が崇高だ。

    [Bonus Track]
    M10: Alternative#1 [2009MIX] Vocalが別バージョン。
    M12: オリジナルはより悲壮感、寂しさを表すために深めのエコーを加えてあったらしく、これはエコーも正常になっている。作者がダイアナに感じた母親とアーティストとの狭間での悲しみを歌にした。
    M14: Alternative#2 [2009MIX] 管弦楽のみのイントロで始まる、最高のリミックス・バージョン。最後のくしゃみが愛らしい。

    [Disc 2]
    リリースされなかったアルバム「To The Baby」からの曲が大半を占める。
    5人の子供を育て上げたダイアナの若き日の記録だ。
    これらの曲は妊娠中に彼女の子供たちのために録音されたという。
    ツアーや仕事に追われたダイアナの、彼らへの心からのプレゼントだったのだろう。
    未発表曲も素晴らしくバカラックやカーペンターズにも通ずるポップ・チューン揃いだ。
    聴きこめば聴きこむほど新たな感動を与えてくれる作品だ。

    M1: カーペンターズの”SING”を連想させる上質のポップ・ソングに仕上がっている。
    M2: 涙なくしては聴けない感動的なナンバー。
    M3: アンソロジー収録曲とは別ミックス。
    M4: イントロの語りで娘Rhondaにささげている。
    M5: マイケル・ジャクソンのヒット曲。ダイアナはマイケルにも母親代わりだったらしく、絵の勉強を教えたり、美術館にもよく一緒に出かけていたという。
    M6: 荘厳な雰囲気さえ漂うオーケストレーションが見事だ。兄弟の”T-Boy” Rossの作品。
    M12:[Disc 2]の中では唯一の既発表曲。 子供たちと語り合うダイアナの姿が目に浮かぶ。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/12/18

    フレッシュ、且つ意欲的な作品で当時の音楽制作のレベルの高さが際立つ。
    アップテンポからバラードまで名曲揃いで飽きさせることがない。
    プロデューサーのアシュフォード・シンプソンの楽曲提供を含めての成果といえる。
    ダイアナの声も若々しくて力感にあふれているのが魅力的だ。
    音質は分離、解像度とも良好で最高レベル、リマスターは大成功だ。
    70年代の良質なソウル・ポップスを代表する一枚だ。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/12/15

    今回はレーベルをVerveからIslandへと移籍してのリリース。
    これは、結構インパクトのある移籍ですね、Jazz系からRock・Pops系へ…。
    例えは悪いが、大相撲から異種格闘技への転身みたいなものか?

    そのせいかどうか、今回はボーカル・ナンバー中心で、カバー曲もクラシックからロックまで広がりのあるものとなっています。
    そういえば何となくボーカルもコンプがきつくて音が立ってるなあ…、それはそれで好きな感じなのだが…。
    ティル自身の変化なのか、あるいは第3者からの要請なのか…それはともかく変化を楽しんでいきたいです。

    M1: And I Love Her ティルらしく、クールに処理しているが、もう少しアレンジしても良いな。

    M3: Human これはカントリー色の強いナンバー、Oceanaの時からこういう要素はありましたがよりルーツに近いというか…ジーンズの似合う曲。

    M5: Summer Breeze これはちょっとしたサプライズだ!!シールズ&クロフツの大ヒット曲だ!!しかもオリジナルに忠実というか、変わりない…。まあ、好きなナンバーだから良いんですが…。
    M7: Your Life スケールの大きなオリジナル曲。こういうのは良いな、好きだな。もっとオリジナルを聴きたいな。
    M8: I’m Only Human 言わずと知れたHuman Leagueの大ヒット曲。Jam&Lewisのダンスナンバーだ。これは意外だ、Tillの音楽によく合う…。
    M9: Space Oddity うーん、ボウイか…。バラード系はえてして以外と合うな。これは良いな。かなりの冒険が楽しめる。ボーカルなし。
    M12: Everybody’s Got To Learn Sometimes これは曲が良いね。
    M13: Air これぞ、Till節だ。もともとクラシック畑の人だからね、得意だね。後半は、いつものティルらしさに溢れている。

    ここではトランペッターとしてより、ボーカリストの方が際立っている。
    このアルバムを息子に捧げたティル、どこへ向かおうとしているのか。
    どうせなら”Blue Eyed Soul”風なハウス・ジャズ的アプローチにも立ち帰ってくれ。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 8人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/12/05

    ショパンやラベル・ドビュッシーのボックス・セットを所有していたので、躊躇していたが、期間限定盤の表示にあえなく購入したが大正解。
    今年再発されたショパンはともかく、ラベル・ドビュッシーの旧ボック・スセットのマスタリングは古く、お世辞にも良いとは言い難いものだった。
    しかしながら、本盤はデジタル・リミックス、デジタル・リマスタリング(ADD表示)されており、中低域の充実感、ダイナミクスレンジ、音量アップに加え、この人の特徴的なピアノの

    ペダルトーンが美しく響き幻想的な雰囲気もさらに深まっている。
    若干マイルドな印象だが旧盤からの買い替えにも十二分に満足できるものになっている。
    録音的には決して新しいとは言えず(1950年代〜1970年代)、MONO/STREOが混在していて音質には差がある。

    [Disc 15]
    Ravel: 「クープランの墓」は音色も美しく抑制された演奏だ。

    [Disc 19]
    Faure: 即興曲第2番:流れるようなフレーズに表情豊かなテンポ、ダイナミクスが魅力的。
    Debussy: 「沈める寺」は全集より以前のトラック。(1961)テンポ速めで、力強いフォルテシモを聴かせる。派手なミストーンもあるが、魅力的。音質良好。

    [Disc 20]
    Debussy: 前奏曲集第1巻は幻想的なイマジネーションに変化自在の演奏で怖さすら感じる。ドビュッシー・ラベルにおいてはこの人の演奏を凌駕する者は少ないように思う。


    [Disc 23]そして何より、フランソワの自作曲が聴けるのがうれしい。
    Samson Francois: 「Piano Concerto」はバルトークや、ストラヴィンスキーを彷彿とさせる近代的な作風となっている。演奏も充実していて緊張感のあるものとなっている。
    「Ballade Pour Un Voyou」はアクション映画のサントラ・・・。内容は近代風からジャズまでバラエティに富んだもの。

    [Disc 24]Bachは厳粛に厳しさを求めるむきには向かないが、明るく享楽的なバッハだ。各フレーズを明確にしつつ緩急自在で、面白く飽きさせない演奏だ。
    Beethoven: 「月光」はロマンティシズムにあふれた演奏。

    [Disc 30]
    Prokfiev: 「Piano Concerto Nr.3 」は音質も鮮明で、緩急自在のテンポで力強い演奏。

    [Disc 31]
    Samson Francois: 「黒魔術第2番」おどろおどろしいタイトルだが調律の狂ったホンキートンクピアノの様な音で始まる。近代風で管弦楽に編曲すると面白そうだ。

    [Disc 36]
    Schumann: 「子どもの情景」聞き覚えのある曲集だが、面白く飽きさせない。「トロイメライ」は絶品だ。

    演奏もさることながら、作曲にも多彩な才能を持っていたフランソワ。
    改めて夭折が惜しまれる。
    このセットは永久保存版と言ってよいだろう。

    8人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/12/05

    残響時間の長いホールでのライブ。
    そのホールトーンをDSD録音で余すところなく収録している。
    ステレオ感、解像度とも充分で一音一音が美しく響く。
    金管が融合した音はまさにオルガントーン。
    オーケストラが一つの楽器のようだ。
    これは狙って出したのだろうか、ブルックナーの理想の音響だ。
    インテンポで淡々と進むが時にアッチェレランドも多用して変化をつけている。

    ここにあるのは田舎の朴訥さではない、まさに威風堂々たる洗練度の高いゴシック建築。
    音質は超優秀録音である。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/12/05

    「ローエングリン」は完璧な演奏で音質も優秀だ。美しくうねりを持った音楽が奇跡を起こす瞬間に立ち会えるだろう。
    「タンホイザー」はドラマチックに聴かせる。
    「牧歌」はアッチェレランド、デュナーミクも多用してオーケストラを十二分に歌わせきっていて幸福感に満ちている。
    「ラインの旅」は中間部の盛り上がりの変化自在のテンポが圧倒的だ。
    「葬送行進曲」は重く引きずるような迫力あるもので陰鬱な雰囲気で始まり、終わる。

    音質はノイズも少なく聴きやすく仕上がっている。
    巨匠の魅力を充分堪能出来る一枚だ。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/12/05

    アセテート盤よりの復刻という事で、シュトラウスはお世辞にも良いとは言えない音質。 
    エアチェックなのか各種ノイズ、ダイナミクス、F特等、戦時中の録音よりひどい。
    しかし、フルヴェンの場合、聴かせきってしまうから驚きだ。
    ノイズの中から霊妙なる弦の調べが聴こえた途端、磁力のように心奪われるのに贖う事が出来ない。
    オーディオ的には不可だが音楽的には十分満足させる、そこがフルヴェンの凄いところだ。
    まあこれでも以前より改善されているとのことだが…。

    それにしてもこの歌曲(4つの最後の歌)の美しい事…。
    この世界初演の9か月前に亡くなったシュトラウスの人生の幕引きにふさわしい白鳥の歌だ。
    シュトラウス自らが要請したフラグスタートも、この音質では全貌を窺い知れないが、名演であることは疑いもない。

    ワーグナーはノイズもほとんど気にならないほど音質はましになる。
    「トリスタン」はゆったりとしたテンポで陰影の深い演奏。
    「愛の死」のフラグスタートは情感たっぷりと感動的に歌い上げ、フルヴェンの伴奏も絶妙だ。
    「夜明けとジークフリードラインの旅」は弦楽の響きが美しくティンパニの力強さが尋常ではない。
    「自己犠牲」は、ドラマティックな展開を経て感動的に幕を閉じる。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/11/07

    ”Emergence”はLP発売時「ニールセダカ・ナウ」という日本語タイトルであったと思う。
    M-3[Super Bird] は当時(1971頃)のヒットチャートを賑わせたものだ。
    当時は洋楽のチャートには良質のポップソングが目白押しで毎週「オールジャパンポップ20(文化放送系列)」を聴くのが楽しみであった。
    今のチャートはどうだろう。
    まったく興味がないので分からないが見る影もないのではないか?
    80年代以前と以後で音楽が変わったといわれているが、実感させるものだ。

    このアルバムには奇跡のような珠玉のメロディーがいっぱい詰まっている。
    Sedaka/GreenfieldのコンビはBacharach/David,Lennon/McCartnoy,Elton/Bernie,Goffin/Kingにも勝るとも劣らないと言って良いだろう。
    特にA面(M1〜M7)は強力で繰り返し聴いたものだ。
    アレンジも秀逸で今聴いても十分満足できるもので、
    この人の認知度は一般的にはオールディーズ時代(恋の片道切符、オーキャロル等)の方が強いだろうが、真価はこのアルバムにあると言っても過言で

    はなかろう。

    ”Solitaire”の方はタイトル曲はカーペンターズで有名であるが、ポップロック調でバラード主体の前作とは全く異なる印象だ。
    ただしバックを務めるリズムセクションにはのちの10ccの中核メンバーであるKevin Godley,Lol Creme,Graham Gouldman,Eric Stewartらがクレジットされているのは

    注目すべき点である。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/11/06

    タイトルの”For Lack Of Honest Work”(正直な仕事の不足のために)がいかにもユニーク。
    公式ブートと呼べる、オフィシャル盤には含まれないライブのボックスセットである。
    ライナーや、インナージャケットには出自となる不正直な仕事(ブート盤)のジャケ写が載っている。
    しかしながら各演奏がすこぶる素晴らしく、オフィシャル盤の隙間を埋めるべく、まさにトッドのベスト・オブ・ベスト的な内容となっている。

    [Disc 1]は比較的初期のソロ〜ユートピア時代の作品集だ。
    デビュー当時からマルチ・タレンテッドなトッドの片鱗をうかがわせる内容だ。
    当初はポップ・ロック的なヒット曲が多数あったが、M-2[Broke Down And Busted]はブルースロック的なナンバーでトッドのギターソロもそれ風。
    M-4[Utopia Theme]では、ソロでは表現できない、プログレ路線でやはりギターソロが秀逸だ。
    この人のギターは美しい音色でメロディアスかつエモーショナル、手数の多いのが特徴だが、その典型とも言える出だしのソロだ。
    M-8[The Wheel]では、お得意のBlue Eyed Soul的なナンバーを、アコースティックな演奏で聴かせてくれる。
    M-10[Real Man]は、アカペラバージョンで聴かせてくれる。

    [Disc 2]のM-3[Mister Triscuits]はユートピアの演奏だ。
    ここでの演奏は、プログレの雄”YES”を彷彿とさせる密度の濃い演奏となっていて、最後まで飽きさせないものだ。
    後半に[Something’s Coming(West Side Storyより)]が挿入されている。
    M-4[The Last Ride]は初期の傑作バラードでブッ飛んだギターソロが素晴らしい。
    M-9,10は地味なナンバーで印象が薄かったが、ここでは見事に弾き語りで蘇っている。

    [Disc 3]M-3のマーヴィン・ゲイ・メドレーはライブではひと頃の定番ナンバーであったが、トッドらしさにあふれてしんみり聴かせる。
    M-9はトッドのミュージカル書き下ろし”Up Against It”からのナンバー。
    ブロードウェイ・ミュージカル嗜好は初期のころから随所に見受けられる。
    M-12は唯一オーディエンス録音のようなブートらしい音質。

    全体的な音質はデジタルリマスタリングで極めて良好。
    既存のブートとは異質のクオリティーだ。
    トッドの近年までの仕事を俯瞰するにふさわしい内容となっている。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/10/27

    [Disc 1]ブルックナー交響曲No.9(スタジオレコーディング)は、Tahra盤(TAH207)と比較すると一枚ベールがとれたように高音域が鮮明に出ている。
    1st Masterからの復刻ならではだろう。
    その反面、より古いマスターであるためテープ劣化によるものと思われる音の息継ぎの様なものが複数存在する。
    悩ましいところである。
    第1楽章冒頭では航空機の騒音の様な低い音がかぶさっている。
    当時はベルリン封鎖などの影響もあり航空機による物資輸送が頻繁だったせいなのか。
    「未完成(スタジオレコーディング)」は徐々に盛り上がっていく様がドラマティックだ。

    [Disc 2]ブルックナー交響曲No.8(スタジオレコーディング)と、Tahra盤(TAH206)との音質の差は殆どないと言ってよい。
    同一テープからの復刻の可能性もある。
    強いてあげれば本盤の方が高音域が僅かにクリアで生々しいといえる。
    高音域に若干のテープサチュレーション、響きはややデッド。
    音色はもちろん、アッチェレランド、デュナーミク、などの表情の付け方が、同時期のフルヴェンによく似ている。
    もちろんフルヴェン存命中のベルリンフィルは、その影響下にあり当然のことだろう。

    [Disc 3]ベートーヴェン交響曲No.8は、スローテンポでありながら嵐の様なアタック、フォルテシモ、トゥッティでフルヴェンもかくやと言わんばかりのパワフルな熱演。

    [Disc 4]チャイコフスキー「くるみ割り人形」は力強い躍動感があるデュナーミクの大きい元気な演奏である。
    「未完成(ライブレコーディング)」は[Disc 1]より若干スローテンポで、デュナーミクが大きく、激しい演奏である。

    [Disc 5]ブルックナー交響曲No.9(ライブレコーディング)は[Disc 1]よりパワフルでアッチェレランドもデュナーミクも大きい。
    高音域もさらに出ていてメリハリのある音。
    録音状態は当時としては良い方だろう。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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     2010/10/17

    バッハの様な出だしに続きワーグナーのクライマックスの様な金管の炸裂…。多用される総休符。
    1度聴いただけではよく分からなかったが、何度か聴いているうちに少し見えてきた。

    第一楽章は、ソナタ形式と言われているが、共通要素がなくテンポ設定もそれぞれ異なる複数のモチーフで曲が構成されている。
    ピアノッシモとフォルテッシモが交互に現れて、かなり取っつきにくい。
    巨匠の棒はアゴーギグ、アッチェレランド等でそれらの対比を鮮明にし、立体的に浮かび上がらせている。
    第二楽章は祈る様な木管で始まる。
    弦楽による美しく壮大なデュナーミクがドラマティック感を演出している。ラストのフーガも圧巻だ。
    第三楽章のスケルツォもデュナーミクの大きな演奏だ。メロディーのつながりも良く、比較的普通に聴ける。
    第四楽章は第一楽章のモチーフが繰り返される。金管と弦楽のコントラストが美しい。
    各部のアッチェレランドの激しい追い込みが強烈なフィナーレの頂点を形作る。
    後期交響曲三部作のような親しみやすさはないので最初は拒否反応を示すかもしれない。
    一部のブルックナー党に排斥されるのも無理からぬことだろう…。
    が、何度も繰り返し聴いていると、病みつきになること請け合いである。

    音質はノイズ、歪みも少なく当時としては奇跡のような優秀さと言える。
    最新リマスターして欲しい一枚だ。
    ステレオプレゼンスは加えてあるだろう。

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     2010/10/16

    「第4番」は弦楽の音が生々しい。
    各旋律の細やかなところまではっきり聴こえる。
    一糸乱れぬアンサンブルと強烈なアッチェレランドが見事だ。 

    「ピアノ協奏曲」はいきなりドラマティックなトゥッティで開始される。
    アルペジオを伴った部分はえも言われぬ美しさがある。
    ギーゼキングの演奏は、ロマンティシズム溢れる優雅さと力強いダイナミズム、正確無比なテクニックを共存させたものとなっている。
    ピアノの音色の美しさも特筆されるべきで、減衰が長く高音部に品のある見事なものである。

    音質はノイズ、歪み等多々あるがこの時代のものとしては優秀であると言えまいか。 
    リマスタリング時にステレオプレゼンス等の追加がある。
    このあたりの状態の良いmelodiya盤のマスターを、なんとかAuditeでリマスタリングできないものかなあ・・・キング様。

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