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ぷぅすけ さんのレビュー一覧 

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  • 9人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/02/08

    この演奏を,「勘違い」とか「内容はきわめて空虚にして浅薄」と酷評する方がおられるが,その方が方々に書き散らしておられる長文レビューこそ「勘違い」と「きわめて空虚」な表現の最たるものではないだろうか。もちろん,この『悲愴』は音楽が停滞しているとか,恣意的な溜めが耳障りに感じるという人もいるだろう。だが,バーンスタインがそれを知らないはずがない。実際,若い頃の演奏はもっと直截である。老境の彼は,自然な音楽の流れを敢えて犠牲にすることで表現されうる何かを,聴き手の心に呼び覚まそうとしたのではないだろうか。たとえば、目の前にあるようで決して手が届かないものへの憧憬,遠い記憶への郷愁といったものを。次の音が来るだろうと聴き手が予期するタイミングをわずかに裏切って音が到達する。その遅れも一定ではなく,微妙な振幅を伴っている。それが聴き手の心に何をもたらすか。指揮者が表現しようとしたものを可とするか不可とするか。聴き手により,あるいは同じ聴き手でも聴く時により,受け止め方は千差万別あってしかるべきであり,某大人が仰せのように「空虚」と一蹴すべきものでは決してない。

    9人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/03/10

    <*2016 年発売 Blu-spec CD 2 盤(SICC30361)のレビュー>
    本盤は、正規テイクのリマスター版です(おそらく世界初)。名盤の誉れ高いアルバムだが、実際には 2000 年ごろの DSD リマスタリングの際、ホロヴィッツ本人が認めたものとは異なるテイクが「クライスレリアーナ」に使用され、本来はボツになったはずの演奏が販売され続けてきた。正規テイクは、クライスレリアーナ 第一曲での強弱や緩急の付け方などが顕著に異なり、明らかに従来のリマスター版を上回る緊張感の高い演奏である。版権を持つ米国の CBS Sony が 20 年近くも改善を怠った影響を考えると腹立たしい限りであり、今後はこのリマスターが使用され続けることを願ってやまない。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/09/24

    クライスレリアーナに関しては、2000年頃に DSD マスタリングが
    行われた際、ホロヴィッツが認めたのとは異なるテイクが使用された。
    それ以来発売された CD はすべて、この本来ボツになったはずの
    テイクを使用したものである。

    この LP 復刻も同じリマスタリング音源からのプレスかと心配したが、
    嬉しいことにホロヴィッツが認めた正規テイクが使用されている。
    しかも、最良の CD 版に勝るとも劣らぬクリアな音質の復刻である。
    復刻担当者の炯眼と誠実な仕事に敬意を表したい。

    ちなみに、現在 HMV で取り扱いのある CD の中で正規テイクが聴けるのは、
    DSD マスタリング以前に発売された、カタログNo : MK42409、
    (発売日 : 1987年01月01日)のみの模様。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/04/26

    10枚の中でも,フランク作曲(バウアー編曲)「前奏曲,フーガと変奏曲」が,特筆すべき名演です。フランクにおける彼は特に,ホロヴィッツと似て,メロディーラインを際立たせた,大変美しい演奏を聴かせてくれます(ホロヴィッツが同曲を弾いているという訳ではありません)。原曲はハーモニウムですが,原曲よりも数倍陰影の濃い,ロマンティックな演奏で,この演奏で初めてこの曲に魅了されて以来,数週間毎日のように聴き続けました。美しいの一言に尽きます。このフランクは,ぜひお聴きください。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/04/20

    ホロヴィッツの人となりに接することのできる6枚組。ただし,商品説明に「特筆すべきは…『序奏とロンド』」とある,1974年の演奏は含まれていない。感動的な演奏であるだけに,この映像は是非とも含めて欲しかった。


    1982年のロンドンの演奏を「目玉」・「見所」としているレビューに,私は全く同意できない。そこに見られるホロヴィッツは,翌83年来日時の不調を予感させる絶不調な状態で,あのように髪を乱して老けた表情をしているホロヴィッツは来日時のNHK映像以外には見たことがないほど。スカルラッティではミスを連発し,ショパンでも全くホロヴィッツらしさが出ていない。むしろ,見所は,83年の来日後,演奏活動から引退したホロヴィッツが見事なカムバックを果たすきっかけになった「ホロヴィッツ・ザ・ラスト・ロマンティック」であろう。83年来日の悲劇をもたらした精神科医(このやぶ医者の精神薬大量投与が82〜83年の不調の最大の原因だった)と訣別し,最晩年をもう一度栄光で飾るためアルコールも一切絶ったというホロヴィッツ。音楽家として見事に舞台に帰って来た一人の老巨匠の姿を捉えた素晴らしい作品である。86年の「モスクワ」も絶品。「モーツァルト」のホロヴィッツの茶目っ気たっぷりな指揮ぶりや,演奏を終えた後の笑顔も忘れられない(演奏はかなり濃厚な味付けで好みは分かれるであろうが)。


    画質・音質は過去のDVDから向上しているように思われない。また,78年ゴールデン・ジュビリーのラフマニノフ協奏曲3番や,68年カーネギーホールの映像が含まれていないのも残念。くれぐれも82年ロンドンからはご覧にならないでください。お薦めは,「ザ・ラスト・ロマンティック」→「モスクワ」→「想い出」→「モーツァルト」→「ウィーン」。ここでやめてもいいけど,不調のホロヴィッツを見てもこの音楽家を正しく評価する自信がある方のみ→「ロンドン」でしょうか。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/04/20

    この演奏を,「勘違い」とか「内容はきわめて空虚にして浅薄」と酷評する方がおられるが,その方が方々に書き散らしておられる長文レビューこそ「勘違い」と「きわめて空虚」な表現の最たるものではないだろうか。


    たしかに,この演奏で初めて『悲愴』を聴く人は,音楽が停滞していて少しも曲に魅力を感じないかもしれない。恣意的な溜めが耳障りに感じる人も少なくないだろう。バーンスタインがそれを知らないはずがない。若い頃の演奏はもっと直截である。老境の彼は,自然な音楽の流れを犠牲にすることで表現されうるものを,敢えて表現しようとしたのではないだろうか。恐らくは,目の前にありながらあと一歩で手が届かないものへの憧憬,あるいは,遠い記憶へのノスタルジーといったようなものを。
    聴き手が予期する次の音が来るべきタイミングを,わずかに裏切って音が到達する。その遅れも一定ではなく,微妙な振幅を伴っている。それが聴く人の心に何をもたらすか。指揮者が表現しようとしたものを可とするか不可とするか。聴き手により,あるいは同じ聴き手でも,聴く時により,受け止め方は千差万別あってしかるべきであり,某大人が仰せのように「空虚」と一蹴すべきものでは決してない。

    7人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 8人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/09/19

    これはこれで名演かもしれないが(批評家諸氏が何の指摘もせずに1位に選ぶところをみると),ここに収録されているクライスレリアーナの演奏は,ホロヴィッツ本人が認めた正規テイクではないことを申し述べさせていただきたい。

    90年代に音源のリマスタリングを行った際,正規テイクではない別物をリマスタリングしてしまったもので,それ以降のリリースは,ブルースペックもオリジナルジャケットも皆,非正規テイクが使われている。

    演奏の差は第1曲で特に明白であり,この盤では第1曲に不自然な休止があって音楽の流れが途切れてしまうのに加え(練習テイクか?),ホロヴィッツらしい弱音から強音の幅,緊張感など,いずれを取っても,正規テイクからは遥かに見劣りがする演奏になっている。

    何度も指摘されているはずであるのに,なぜ正規テイクに修正しないのか。 国内版全集の発売にあたって問い合わせたところ,「2種類のテイクがあることを当方でも確認しました。全集では間違いなく正規テイクを使います」と仰っていたが,これが自動車部品の欠陥などであれば,世界中でリコールを行って無償交換を行わなければならない所であろうに,ソニーは20年に亙って自分たちのミスを隠し,放置し続けてきたことになる。

    本来の演奏との比較(第1曲のみ)が某サイトの ”watch?v=wW9zYCCmiZo” で行われている。聴き比べてみていただきたい。本来のホロヴィッツのクライスレリアーナは,ここに収録されているよりも更に素晴らしい演奏である。このような本来世に出るはずがない演奏でホロヴィッツが評価されている状態が正され,正規テイクの演奏が音楽を愛する人のもとに正しく届けられるようになることを願う。

    8人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/07/31

    「展覧会」は音質・演奏いずれをとっても51年ライヴ盤がマイベスト。だが、リストのピアノソナタには感激した。技巧の絶頂にあったホロヴィッツなだけに、ガンガン鳴らしまくっているかと思っていたが、むしろ静かに歌わせる部分に魅かれた。ため息が出るほど美しい。ホロヴィッツのリストがこんなに繊細で美しいというのは、ちょっと予想外。昨今、リストをゆっくり演奏して美しさを装わせた演奏が、「知的」だとされもてはやされているが、その程度の作為的な演奏とは根本から異なっている。情感溢れる美しさとでも言えばよいだろうか。今の録音技術で録れていればいればそれは勿論もっと感動的ではあっただろうが、贅沢は言うまい。これを世に出してくれただけでも感謝!

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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