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かっぱ人間 さんのレビュー一覧 

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     2022/03/14

    クナッパーツブッシュは録音嫌いだったそうだが、こうしてひとまとまりにしたものを見ると、驚くほどの名盤揃いであることがわかる。
    ウィーンフィルとのブルックナーの交響曲3、4、5、ミュンヘンフィルとの8番など、いずれもそれぞれの作品を語る上で欠かすことのできない名演ばかりである。確かに、すべて弟子たちが編曲した、いわゆる「改竄版」であるが、演奏そのものは素晴らしい。
    他にも「ウィーンの休日」と題されたワルツ、ポルカ集、「ポピュラー名曲集」、「ブラームス小品集」などは、いずれも小品ながら大曲のようなスケール感を持つ、まさにクナッパーツブッシュの巨匠ぶりが遺憾なく発揮された名盤ばかりである。
    また、戦後のバイロイト音楽祭で、死の前年まで「パルジファル」を指揮し続けたことから、ワーグナーの同曲異演が多く含まれるが、フルトヴェングラーと並んで即興の大家であったクナッパーツブッシュゆえ、たとえ同じ曲でも、それぞれに違った表現を見ることができ、興味は尽きない。
    とくにウェストミンスターにミュンヘンフィルと行った二枚のワーグナー序曲、前奏曲集は、凡百の指揮者が束になっても敵わない、唯一無二の人類の至宝である。
    昨年末に発売されたフルトヴェングラー正規録音集や同時発売のオペラエディションと合わせて、すべてのクラシック・ファン、必携のセットと言っても過言ではない。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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     2020/07/04

    朝比奈隆のブルックナー交響曲第5番は、全て揃えるべきである。
    実演で複数回聴いた者として、残念ながらあの感動が伝わるCDは皆無である。
    特に、第1楽章の展開部や、第3楽章スケルツォ主部、あるいは金管群が陪管に強化された終楽章コーダなどの激烈な音響は、どれほど優秀な録音やオーディオ機器をもってしても再現不可能であろう。
    しかし、残された全ての5番録音を聴くことで、客席での感動を思い浮かべることができるのではないだろうか。
    この晩年の都響盤は、第2楽章がやや枯れすぎた印象を受けるが、第1楽章コーダや終楽章再現部の第3主題で驚くようなテンポアップがあるなど、即興的な指揮ぶりを朝比奈が示しており、だからこそ、朝比奈の同曲異演は全て見逃せないのである。
    何より、当時90歳を過ぎた朝比奈が、何度も繰り返し指揮してきたブルックナーの第5交響曲に新たな表現を加え続けていた、求道者的な姿勢に深い感銘を受ける。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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     2018/09/25

    3、4、8番が第1稿、ヘ単調、0番、サマーレ、マツッカによる9番の完成版が含まれた、貴重な全集である。一応、ノヴァーク版使用となっているが、例えば2番の2楽章最後の部分でノヴァークのスコアではクラリネットになっているところがハース版のホルンに変更されたり、7番の2楽章では打楽器が省略されるなど、完全にノヴァーク版のスコアどおりではなく、随所にハース版の要素が含まれており、インバルの綿密なスコアの比較研究の後を見ることができて興味深い。
    ハース版主体の全集としては、朝比奈隆の3回目かヴァント(1番はウィーン稿)、ノヴァーク版主体ではヨッフムの新旧ということになるが、第1稿主体ではインバルがベストではないだろうか。
    ただし星四つにしたは、海外版では解説にこうした版の問題をあまり深く記しておらず、ノヴァークの名前が一切書かれていないこと、できれば紙ジャケットを初出のデザイン(ブルックナーの肖像がテレビや電光掲示板に映し出されており、面白かった)にして欲しかったという、二点を差し引いたためである。

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     2017/06/14

    アムネスティは以前から聞きたかった。凄い!名前を伏せられてもバーンスタインと分かる力と勢いに満ち溢れる豪演。ピアノ協奏曲第4番は、コンラート・ハンゼンとフルトヴェングラーが演奏だけとればベストだが、いかんせん大戦中のライヴのため、音が悪すぎる。他にもバックハウス、クナッパーツブッシュという名演もあるが、やはり音が悪い。しかし、ようやく音質も含めて最高の名演に出会うことができた。
    ついでに1989年の第九について。これも音を含めて最高の名演。フルトヴェングラーの1942年盤、バイロイトの51年盤、演奏だけ取れば素晴らしいが、やはり音がよくない。バーンスタインのベルリンライヴはオケが寄せ集めだからアンサンブルが悪いなどという批判がある。では、フルトヴェングラーのバイロイトライヴはどうなのか。第一楽章が始まっていきなりフルートがこける、第三楽章でホルンがこける。最後のプレストではオケが合っていない。それでも多くの評論家や愛好家がバイロイトライヴを最高の第九に挙げるではないか。バーンスタインのベルリンライブはアンサンブルが悪いからよくないという批判と矛盾している。もし、問題があれば、FreudeをFreiheitにした替え歌になっていることぐらいか。それも全体の感銘を傷つけるようなものではなく、むしろ当時、奇跡と言われたベルリンの壁崩壊の喜びに満ちた時代の雰囲気を伝える歴史的な記録という意味でも価値があると思う。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/10/25

    音はよくない。とくに、終楽章の合唱が入る部分では、極端なことをいえば、オケはティンパニしか聞こえない部分がある。演奏自体もEMIの51年盤の方が全体として上回ると思う。しかし、評価を星五つにしたのは第三楽章が素晴らしいからである。この演奏を現場で耳にした故吉田秀和氏の文章を読んだことがあり、ベートーヴェンはここで夢を見ているのだということを改めて感じ、一枚のベールで隔てられたような別世界の出来事のように響いた、という内容だったと思うが、実際にこの録音を聴いて、吉田氏の文章が大袈裟ではないことを実感することができた。とにかく、この第三楽章はフルトヴェングラー以外には誰にも不可能な神秘的で感動的な世界であり、この楽章だけでも後世に残すべき貴重な音の遺産であると思う。

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