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フォアグラ さんのレビュー一覧 

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  • 8人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2019/08/31

    オペラの達人、真の巨匠クナッパーツブッシュを堪能できるセット。とりわけ「マイスタージンガー」52年、55年、60年が最高。実に楽しく、そして深く感動させられる圧倒的なもの。次いで「バラの騎士」2種。音はウィーン盤のほうがよいが、演奏は甲乙つけがたい。「オランダ人」も「トリスタン」も「神々の黄昏」も本当に特別な演奏だ。クナの振るオペラは呼吸というか音楽の振幅が深く、とてつもない迫力の一方で人間味が滲みだし退屈する暇がない。音の古さなんかどうでもよくなってしまう。歌手も皆素晴らしい。クナは練習なし、といわれているがこれほどの表現が練習せずに生まれるとはとても思えない。プラッソンがまだ楽団員のころ、リハーサルでおしゃべりに興じていたらクナに「出ていけ!」と怒鳴られた、というエピソードをかつて語っていたが、これがクナの実像ではないか。練習嫌いだったかもしれないが、必要な練習はしっかりやったに違いない。「フィデリオ」は音楽を進める覇気が落ち、冗長になってしまったが、それでもクナのドラマを作るコツは見える。戦前の演奏では「フィガロ」が面白い。モーツァルト・オペラの全曲が残っていないのは全く残念。

    8人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2019/07/15

    ほぼ同時にメンブランからセットが出たが、値段は張るがスクリベンダムのほうをお勧めしたい。ドイツ音楽が収録されているからで、アルヘンタが決してラテン系の音楽だけの人ではなかったことがよくわかる。中でも「ザ・グレート」は名演であり、セント・ソリ管も優秀だ。ブラームスではメニューインがテクニックは荒れ気味ながら凄いテンションの演奏を披露している。「アランフェス」「スペインの庭の夜」アルベニスの「イベリア」は今もなお決定盤といってよくリマスタリングも優秀。チャイコフスキーの4番はデッカのスタジオ録音とライブの両方があり、どちらも優秀だが、やはりライブの迫力は格別。ただし、スイス・ロマンドは下手だ。アンセルメは自分の後任にアルヘンタを考えていたようだが、アルヘンタは役不足。グリュミオーとのデュオでのピアノの腕前も聴けるなど、アルヘンタを知るには格好のボックスだ。、いつもながらHMVのアルヘンタ年表は読みごたえ十分。カザルス、ピカソなどから「フランコ=悪」が日本では定着しているが、年表を見ると、そんな単純な図式ではなかったことを教えられる。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2019/07/04

    日本音楽界にとっても記念碑的なコンサート記録だと思う。なるほど当時の読響は上手くない。管楽器のミスは数知れず弦は響きに高級感がない。読響が特に下手なわけではなく、これが東京のオケの水準だったのだが、やはり第1楽章を聴いていて残念な気持ちが強かった。楽団も大物マゼールを迎え極度の緊張もあったろう。だが、短い休憩を挟んで第2楽章から音楽は豊かに流れ出す。マゼールはオケの能力を考慮してか、思わぬ声部を引き出す、ということは今回せず、テンポのデフォルメで音楽を引き立たせようとしているが、それは第3楽章あたりから打つ手打つ手が決まるという感じになってくる。そして終楽章。ミスもあるもののオケはマゼールの指揮に憑かれたような集中度の高い演奏を繰り広げる。合唱が入ってきてからの高揚は凄まじいとしか言いようがない。これほどの燃焼度のコンサートがこれまでどれだけあっただろう。ブラボーの絶叫は興覚めだが、気持ちはわかる。私もマゼールの来日公演は数多く聴いたが、これは別格であり、こんな凄みのある人だと初めて知った。販売目的で収録されたものではないので、音は鮮明だが潤いに欠ける。だが、この記録が残ってよかった。

    7人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2019/07/02

    音質は極めて良好。クナッパーツブッシュの鼻息や指揮台を踏み鳴らす音まで捕らえられ生々しい限り。往年の大演奏を満喫できる。「コリオラン」は巨大なスケール。「皇帝」のクナッパーツブッシュの録音はカーゾンとのデッカ盤があるが、ピアニストの「格」が違う。ここでのバックハウスは絶好調。圧倒的な推進力、輝かしい音色、多彩なタッチが素晴らしい。テンポを揺らすのもクナッパーツブッシュではなくバックハウスだ。7番は期待通り第2楽章、終楽章のテンポが遅い。ただし終楽章は興が乗ってどんどんテンポが速くなる。こういう即興性こそクナッパーツブッシュの魅力だろう。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2019/06/26

    本当に素晴らしい演奏で深い感銘と興奮を受けた。ケンペはウィーン・フィルとのセッション録音も名演だが、演奏の白熱度、合唱の圧倒的迫力でこちらのほうが上だ。歌手はハーパーが声質が合わないが、他の歌手は皆見事。同時期のベームの「マイスタージンガー」に比べはるかに音質が良いのもありがたく、このオペラのベスト演奏だと思う。もはや現在のバイロイトではこんな演奏は不可能だ。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 10人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2019/05/16

    エラートとEMIフランスがワーナー傘下になったことで実現したルーセル・エディション。CD11枚は多いとは言えないが、主要作は網羅されており便利だ。ワーナーのBOXの楽しみはリマスタリングだが、今回エラート録音の音質改善が著しい。フランス国立放送管やコンセール・ラムルーはシカゴやボストンと比べメカニック的には勝負にならないが、音の鮮度を増したことにより往年のフランスの音が溢れんばかりに耳に届くのは嬉しい。演奏は総じて高水準だが、デュトワのようなルーセルの命である躍動するリズムを表現できなかったものも混じっているのは仕方ないところ。貴重なのはCD2の室内楽とオペラ・バレエ「パドマーヴァティ」。これだけでも価値があるし、演奏も大変優れている。なお、表紙のルーセルのカラー写真は百年程前のものだろうし、オリジナル・ジャケットも復刻され、相変わらずワーナーの仕事は極めて良心的であり、心から感謝したい。欲を言えばエラートのジャケットにはエラートのロゴもオリジナルのものを復刻してほしかった。

    10人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2019/05/11

    イギリスの若手ローワン・ピアースのソロ・デビュー盤。といっても既にAAMやレザール・フロリサンで活躍し、動画サイトでも見ることができる。まず、その伸びやかな美声と確かなテクニック、若々しい溌溂とした歌唱に魅了される。曲もパーセルの名曲がずらりと並ぶし、エガー、カーターの素晴らしい伴奏も聴きものだ。美人だし、数年後にはバロックではなくてはならない人気歌手になっているだろう。録音優秀。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2019/05/04

    ウォレンスタイン以降のLAP録音を収録。ウォレンスタインは米デッカ音源だそうだが、それならオリジナルジャケットにしてほしかった。まあ、それでもLAPはメータから。立役者のメータがCD5枚とはドゥダメルの評価は辛口ぎみだが、今聴いても当時のメータの若々しい活力に満ちたダイナミックな演奏は魅力的。後年ルーズになってしまった内声への目配りも効いている。音質が良くなっているのも嬉しい。次のジュリーニは「悲愴」を除く全てのDG録音を収録。ぐっと大人の音楽になる。同時期のシカゴやロンドンのオケでは音楽の充実が推進力を妨げる面が感じられるのだが、LAPではそれがない。オケの若さとやる気がジュリーニの欠点をカバーしたと思われる。ジュリーニ芸術の頂点にLAPという手兵がいたことは本人にとっても音楽ファンにとってもこの上なく幸せなことだった。これまた音質向上しており、ドビュッシー、ラヴェルの色彩は眩いほど。プレヴィンはプロコフィエフ1枚だけだがこれも名演。LAフィルの粗めのざっくりとした響きはプロコフィエフにピッタリであり、このコンビでの交響曲全集が完成しなかったことは残念だ。サロネンはショスタコーヴィチ4番が超名演。「オランゴ」のハチャメチャさも強烈でお客も圧倒されている。サロネン自作もセンスある優れた作品。これらに比べると現音楽監督のドゥダメルのものは聴き劣りする。ブラームスは新登場といっても2012年録音と新しくない。ゆったりとしたテンポのしなやかな演奏だが、詰めの甘さも散見される。ジョン・アダムズの作品もいまいち。彼の曲は「中国のニクソン」あたりの20世紀のもののほうが冴えている。ただ、DVDでのドゥダメルはメリハリがきき生彩ある演奏で魅了する。彼やソフィエフなど今の若手はパフォーマンス込みというところがあり、音だけでは魅力が伝わりにくい。ボーナスCDのライブがなかなか面白い。クレンペラーは音が悪く欠落もあるが、むせるような歌は戦後の演奏では聴けないもので興味深い。ベイヌムの2曲はステレオで「ラ・ヴァルス」は光彩陸離たるもの。メータ、ジュリーニあたりは既にお持ちの方も多いと思うが、で総合点でお薦めするに足るボックスだと思う。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2019/03/28

    今一推しのカルテットがルーマニアのアルカディア。これまでのメンデルスゾーン、ブラームス、ヤナーチェクもよかったが、今回のバルトークで一段と熟成した音楽を聴かせる。前にも書いたが、このカルテットの特徴は4人の技量が完全に均一なことで、それにより通常のカルテットより第2ヴァイオリン、ヴィオラが前に出てくる。響きは練り上げられタペストリーのよう。その分、民族性やバーバリスティックな面は後退するが、音楽は洗練され濃密である。これまでのバルトークとは明らかに違う。アルカディアはレーベルを転々としていたが、シャンドスには是非腰を入れて録音継続してほしい。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 28人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2019/03/20

    CDは2枚ずつ紙ジャケットに入っており紙ジャケの作りもいい。そしてジャケットが美しい。私は70年代マーラーを一所懸命集めていたのだが、ハイティンク盤の美しいジャケットは大いに気になっていた。だが当時ハイティンクの評判は酷く、バーンスタイン、ワルター、クレンペラー、ショルティ、アバドと購入しているうちにハイティンクは全て廃盤。やがて再録音が始まり、まあハイティンクは再録音があればいいか、と思っていた。今回懐かしいジャケットにそそられて購入したのだが、これが色々発見があった。まず、ハイティンクの得意とする3番から聴いたのだが、早めのテンポで実に瑞々しく歌にも溢れた名演であり、シカゴ、バイエルンよりいい。次いで私の好きな7番。かつて支離滅裂といわれたこの曲の魅力を見事に引き出しまとめ上げている。6番の凄まじい熱量には驚かずにはおれない。これがハイティンク?8番は覇気をもって大曲を引っ張る。9番終楽章は宗教的厳粛さすら漂う。2番、5番はベルリン・フィルのほうが上だがこちらも決して悪くない。歌曲がまた素晴らしい。プライによる「さすらう若人の歌」「子供の死の歌」のなんというナイーブさ。「子供の不思議な角笛」もシャーリー=カークじゃなくプライにしてほしかった。「大地の歌」のキング、ベイカーは70年代コロ、ルートヴィヒと並ぶ名唱だろう。ハイティンクのバックも実にいい。さて、この当時ハイティンクは凡庸、つまらない、指揮者不在と散々ないわれようであったが、私には皆目わからない。ひとつ思い当たるのは、ハイティンクの指揮姿は洗練されたものではなかったこと。この頃こっぴどく切り捨てる評論家ほど人気があるという不健全な環境がクラシックにはあり、ハイティンクは標的にされたのだろう。70年代中頃からLPOとの録音も登場しハイティンクがヨーロッパで評判がいい、という外電が伝わると、慌てて「ハイティンク円熟」と方向転換した姿はまるで陰湿ないじめだ。60年代からハイティンクは優れた指揮者だったと声を大にしていいたいし、この全集も優れたものであり再評価すべきだと思う。

    28人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2019/03/10

    この演奏を初めて聴いた時の驚きと感動は今も鮮明に覚えている。これほどの水際立ったアンサンブルをバッハで聴いたことがなかった。そして40年経った現在聴いてもそのすばらしさは減じていない。ガーディナーのバッハ遍歴のスタートとなったもので、その後おびただしい録音を残し、モテットも再録音しているが、それらと比べてもこの演奏の清新さは際立っている気がする。それは、ヨランタ・スクラによる録音の良さも大きく貢献していると思う。実質モテットの2つのカンタータも入りこの価格は絶対お得だ。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2019/02/26

    ここのレビューでクルレンツィスの「悲愴」を絶賛した者だが、最近全く聴かなくなりクルレンツィスへの疑問が強くなってきていた。マーラーもレビューはスルーするつもりだったが、星1つはいくらなんでも辛すぎると思い拙文をしたためる。「悲愴」は誰とも似ていない演奏と感じたのだが、このマーラーはシノーポリ/シュトゥットガルトに似ている。その分驚きは随分減ったが面白いことは面白い。ただ、抜群に面白いところとそうでもないところが混在している。先のシノーポリと比べると、シノーポリは夢中で棒を振っており、アンサンブルも崩れる寸前までいく。一方クルレンツィスは徹底的に醒めた目線で作り込んでおり、完成度ははるかに高い。半面、シノーポリの迫真性はクルレンツィスにはない。シノーポリのデフォルメは彼の心の吐露として聴き手の琴線に触れるが、クルレンツィスは面白いからやってみた、という以上の印象は残さず心を揺さぶられることはない。否定ばかりのようだが、それでもここまでスコアを読み説く力は非凡としかいいようがないし、それを認めるのにやぶさかではないのだが、この路線ではいずれ行き詰まるのではないか。そしてゲルギエフのような指揮者になってしまうのでは、と危惧している。

    6人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2019/02/07

    ブルックナー・ファンには要注意。メータは「ブルックナーではやってはいけませんよ」となっている表現を総動員している。メロディに合わせてのテンポの伸縮、リタルダント、アッチェレランド、ときにはポルタメントまで。70年の4番では至極真っ当なブルックナーを聴かせたメータが豹変した理由はわからない。何にしてもメータは彼が得意とするマーラーの前期交響曲のような「歌の交響曲」として8番を捉えているようだ。これをダメと切り捨てるのは簡単だが、それでは惜しい何かがあるのも事実。ブルックナー円熟期の大伽藍の代わりに、若者が大聖堂に紛れ込んでロマンティックな妄想に浸っているような演奏であり、ちょっと変わった視点のブルックナーを求める人にお薦めしたい。デッカにしては録音の抜けがよくないのは残念。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2019/01/28

    HMVの紹介にあるようにプフィッツナーの出世作。愛の園の騎士ジークノットが森の女王を助け、闇の世界を支配する夜の魔法使いと戦う、というストーリーだが、音楽はフンパーディンクのようなメルヘン調ではなくドラマティックで濃厚なもので十分に聴きごたえがある力作だ。ただ、本編とはあまり関係がないプロローグが50分、オペラの1/3を占め、実際の上演ではここをどう処理するか演出家が手こずりそうだ。マーラーもワルターも褒めたこのオペラが忘れられたのはこのあたりに原因があるのではないか。ケムニッツ歌劇場による演奏はすこぶる優秀。ドイツ地方オペラの充実ぶりを実感させるものだ。これで馬鹿げた演出がなければいうことなしだが。ちなみにこれは演奏会形式での上演。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/12/29

    ブルックナー・セットの思わぬ名演で驚かされたロスバウトだが、こちらのセットのはロスバウトの本領というべきもの。ニューヨーク・フィルとのヒンデミットのみ録音がよくないが、他は極めて良質の音源であり、嬉しいことに「アゴン」とベルク、ウェーベルンはステレオ収録。まずはマーラーの5番を聴いていただきたい。この演奏水準、音質が1951年のものと誰が思うだろう。解像度が高いのは当たり前として十分白熱的なものであり、あまりいい演奏のない5番の最右翼といいたいほどだ。シェーンベルク、ベルク、ウェーベルンも抜群。「モーゼとアロン」の凄まじい感情表出はどうだろう。ロスバウトが大変な人であったことはブルックナー以上にわかる。メンブランには今入手困難になっているエクサンプロヴァンス音楽祭でのモーツァルト・オペラも出してほしい。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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