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meji さんのレビュー一覧 

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/03/24

    名人J・ダンカーリーの録音による上原彩子の第2弾である。ダンカーリーのように演奏会場の空間をまるごと切り取ってくるスタイルの録音においては、録音会場の選定が極めて重要であり、ロンドンの聖ルカ教会でのコンチェルトとヘンリーウッドホールでのソロとでは、ホール音響の差がダイレクトに表れており非常に興味深い。聖ルカ教会は暖色の木質系の響きが特徴で、特にピアノや低弦楽器の胴鳴りが楽器の脚を伝って、木のステージを共鳴させる際の豊かな低域を最大限漏らさずマイクに収める手法はダンカーリーならではであり、いつもながら体験する、録音会場とリスニングルームの境界線が曖昧になる不思議な陶酔感はダンカーリー録音の真骨頂である。これに対しヘンリーウッドホールの音響は少しドライで細身に感じるが、どちらも鳴っている楽器が同一であることが、間違いようがないほど正確に捉えられているのを聴けば、ダンカーリーが到達した孤高の技術に打ちのめされる思いだ。上原のピアノは第一作のグランドソナタの時よりも肩の力が抜け、展覧会の絵では女流らしい細やかな表情付けを見せる。指の廻りや打鍵の正確さは相変わらず完璧で、楽器を鳴らしきっていることに好感が持てる。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/03/24

    本SACDは先のXRCDと同じ96-24マスターを用いたXR-SACDと呼ぶべきディスクである。しかしマスターは同じでも仕上がりは大きく改善された。XRCDはエッジの立った隈取のきついサウンドで、音場は中央にモノ的に展開し、全奏部では飽和気味でやかましさを感じさせるのに対し、本SACDでは弦はぐっと目が詰んで、金管は伸びやかさと力強さを増し、ティンパニも張りが出てよりライブに近い響きになった。音場はゆったりと左右に広がり、奥行きすら感じさせる。全奏部でDレンジの拡大と分離の向上もXRCDとは全く別物で、フルオーケストラで音量を増して盛り上がる部分の迫力は鳥肌モノである。特に北村源三のトランペットがこんなにも輝かしく響き渡るとは驚きだ。それに関係してかライナーノーツには北村氏へのインタビューが掲載されており、これがなかなか面白い。「当時の演奏は技術は劣るが精神力は上だった」などと自身の演奏の言い訳をするあたりはなんとも微笑ましいし、30年近く経ってもN響のトランペットの技術が少しも向上してない事実を考えると、後輩の関山幸弘を庇っているようでもありこれもまた興味深い。話がそれたが本SACDの音質は、本演奏の文字通り最高峰であるとともに「XRCD24はCDに24bit相当の音を収録する技術である」との件が誇大広告であり、「所詮XRCDとてCDでしかなく、SACDの足元にも及ばない」ことを自ら証明する結果となった。これを機にLIVING-STEREOのXRCDシリーズもSACD化して欲しいものである。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/03/21

    SACD録音評。従来ARTと比較して、特に弦楽器の高音域はルカ教会の豊かな残響成分に埋もれがちであったのに対し、今回のSACDではほどよく分離している。本ディスクの影の主役であるゾンダーマンのティンパニは、従来CDがやや浮足立っていたのに対し、SACDではオケとほど良く溶け合っている。またいざというときの迫力もSACDの圧勝で、第2番スケルツォ終結部でのゾンダーマンのパフォーマンスには思わず身震いしてしまう。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/03/18

    今度のSACD-SHMの音質は途方もなく素晴らしい。91年オランダプレスCDとの比較だがその差はマスターテープ3世代分は違っているかもしれない。キングスウェイホールを満たしたクレンペラーサウンドのパワフルかつクリアなサウンドを最小限のマイクで忠実に拾い上げたD・ラーターの手腕には本当に敬服するし、このSACDにして初めてこの演奏の凄みを味わい尽くすことができるといえよう。随所に新しい発見が満載で固唾をのんで聴き入っているうちに全曲があっという間に終わってしまった。本ディスクは今回のSACDリマスターシリーズ中最高の出来かもしれない。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 11人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/03/07

    多くの録音がオルガンの大音量によるレベルオーバーと重低音による混変調歪みを避けるために、オケとオルガンとを別収録しミキシングで逃げるケースが多い。この場合ナチュラルなサウンドの溶け合いと音場とを両立できるエンジニアはざらには居ないし、事実不自然なバランスの録音の方が多いのが現状である。そんな中で、本録音は正真正銘の同時演奏であり、この技術的な難題にエンジニアS・エルザムが果敢にチャレンジし、立派な成果を修めた記録である。非常に残響の多い会場での録音であるが、混濁は無くディテールが失われることも無い。音場は左右の広がり奥行き共に申し分なく、ホールの暗騒音も豊かで、臨場感溢れる優秀録音である。圧巻はオルガンの重低音の迫力で、なんとそのピークは第1楽章後半の静謐なアダージョに現れる。目視でわかるほどぶるぶると激しく振動するサブウーファーにより、
    リスニングルームの壁が大きく揺さぶられる瞬間は実にスリリングだ。CDへのリマスターは可もなく不可もなくといった水準だが、オリジナルマスターテープの音質が本CDのレベルに留まるはずがなく、最新のEMIリマスターSACDの音質を知った者にとってはなんとも歯がゆい限りだ。しかし全く無名の本ディスクにSACD化を望むのは無理な注文であろう。

    11人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 8人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/02/25

    才気に溢れる若きメータの推進力ある指揮ぶりに加え、フィーンフィルの美音と、ソリッドでパンチの効いた目の覚めるようなデッカ録音の3カードが揃った「復活」の代表的な名盤の待ちに待ったSACD化である。録音エンジニアのジェイムズ・ロックはロイ・ウォーレスやウィルキンソン、パリーらの名人の下で研鑽を積み、70年代後半からはデッカのチーフエンジニアとして活躍したが、ミキサーとしての腕は諸先輩には遠く及ばず、音場が窮屈だったり、楽器間のバランスや間接音の溶け合いが不自然であったりと、我々がデッカ録音に期待する平均水準に届かない仕事も多い。例えば、デュトワのモントリオール録音の中にもロックの仕事がいくつかあるが、J・ダンカーリーのサウンドと比べるとその技量の差は一聴瞭然だ。そんなロックの仕事の中で、本録音は彼のベストジョブのひとつに挙げられるハイファイ録音であり、CD時代に入ってもキングのハイパーリマスタリングや本家によるADRM、レジェンズ等で何度もリマスターされてきたが、今回のSACD化は群を抜く高音質である。まず冒頭の低弦の生々しさと力強さに圧倒されるが、これに重なるファゴットの下降音型もしっかりと聴き取れるし、ウィンナオーボエとイングリッシュホルンで奏される主題の、どこか鄙びたメロウな音色も素晴らしい。そしてこれに重なるウィンナホルンの複雑な管共鳴が醸し出す深いコクも味わい深い。続く全奏での下降音型とシンバルの一撃ではゾフィエンザールの空気の振動が、そのままリスニングルームを震わし、スピーカーのトゥィーターから放たれた微粒子が部屋を満たし、壁に吸い込まれて減衰していく様は、マーラーの音楽を聴く醍醐味に満ち溢れている。また終楽章のコラール主題がブラスで奏される部分で聴かれるブレスノイズも極めてリアルだし、復活のコーラスに先立つフルートとトランペットによる夜の森の情景描写も惚れ惚れするほど美しい。尤も、細かいところを言えば、スピーカーの外側まで広がるような音場の広がりが今ひとつであることや、ティンパニが異様に近い箇所があったり、合唱の距離感に違和感を残す等、パリーやウィルキンソンがゾフィエンザール録音で成しえた空間再現性においては歯がゆい部分も残すが、それは無いものねだりといえよう。最後に、本SACD-SHMシリーズでは最近DG音源が増えているが、正直言ってDG録音でオーディオ的に価値のあるものは皆無といってよい。ユニバーサル社には「良い音を極める」という意味において、デッカ録音のさらなるSACD化を期待したいし、デュトワ&モントリオールやシャイー&コンセルトヘボウ等、J・ダンカーリーが収録したディジタル期の優秀録音についても積極的なSACD化を強く望むものである。

    8人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/02/25

    このSACD、残念ながらLP時から気になっていた全体的な抜けの悪さや、高域でのピーク感、強奏部におけるひずみと硬直感についてはあまり改善されていない。この時期のEMI録音は、本国でのパーカーやエルザムといった本隊精鋭チームによるものと、本録音のように海外支店にまかせきりで本社が全く関与していないと思われるものとの品質差があまりに大きい(大企業においてはよくあることかもしれないが…)。今回のSACD化においても、マスターテープの段階の重大な瑕疵についてはディスクごとに具体的にアナウンスすべきだと考える。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 10人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/02/25

    本録音はケネス・ウィルキンソンが本拠地キングスウェイホールで収録した無数の優秀録音の中にあっては、どちらかというと目立たない存在であったかもしれない。それは、初出CDやその後のクラシックサウンドの劣悪なリマスターは論外として、96-24リマスターされたオリジナルスにおいてすら、全体的に厚みが不足気味で、高域に若干のピーク感が感じられ、音がほぐれ切らないきらいがあったことが原因であろう。そこに今回の切り札ともいえる最新DSDリマスターSACDの登場であるが、冒頭から聴こえてくる、深い洞窟を思わすキングスウェイホール独特の暗騒音に、このリマスターが十分に信頼できるということを確信させられる。Dレンジ、Fレンジ共にアナログの限界までフラットに伸び、ミクロディテールの解像度と再現性は信じ難い高みに達している。オケの厚みや、サウンドステージの左右奥行き方向への大幅な拡大とトランスペレンシーの改善も目覚ましく、ソロの音像の大きさやオケとのバランス、各楽器のバランスと距離感、直接音とホールトーンとのブレンド感も完璧といってよい。従来気になった高域のピーク感も完全に払拭され、北欧とロシアのコンチェルトが有する冷たい空気感と木質の暖かみをしっかりと聴き手に実感させる。チョンの演奏においても、かすれる寸前の震えるようなppから、ボウイングノイズまでリアルなffに至る幅広いダイナミズムと音色の変化が、無段階にかつ忠実に再現されることで、逃げ場が無いほど体当り的で痛いほどの緊張感に貫かれた表現の中にも、一瞬の安らぎやゆとりも含まれていることが初めて分かった。録音の聴きどころはそれこそ全編に渡って現れるが、特にチャイコフスキーの第一楽章再現部で主題を吹くフルートが、オケの中からふっと浮かびあがる瞬間の正確な定位と立体感、音場の透明感、メロウでスウィートな音色、ホールトーンとの絶妙な溶け合いは、聴き手に麻薬のような陶酔感をもたらすに違いない。今回のSACD化により、本ディスクは音楽的にもオーディオソースとしても究極の一枚としてのゆるぎない位置を改めて確立することになったが、これを可能にしたウィルキンソン録音が有するとてつもないポテンシャルに改めて驚かざるを得ない。ウィルキンソン録音の中には、メータのトゥーランドットやショルティの幻想を初めとする、未だにハイビットリマスターすらされていない、超優秀録音が数多く存在するが、ユニバーサル社にはこれらのSACD化を強く望むものである。最後に本SACD-SHMシリーズも回を重ね、耳の悪くセンスが無い評論家による月並みな賛辞が並べられた解説の代わりに、セッション当時のモノクロ写真が掲載されてるが、これは大いに歓迎したいと思う。

    10人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/02/19

    アナログ末期にEMIの名人クリストファー・パーカーが収録した優秀録音が、録音後30数年を経てようやくその全貌を明らかにした。サウンドステージの広がりと奥行き、ホールレゾナンスから判断すると、前半の4曲がアビーロードスタジオで、後半の3曲がキングスウェイホールで収録されたものであろう。当然ながら後者のサウンドが優れるが、前者とて並みの優秀録音を寄せ付けない高みに達している。特筆すべきはスピーカの左右後方に原寸大で広がるサウンドステージの大きさである。指揮者を扇形に囲む分厚い弦楽器、その後方中央に定位する木管群、そしてその後ろ左右に広く展開する金官群と、これらを取り囲むように最後部に定位する無数の打楽器群の位置関係は、間違いようの無い確かさで定位する。特に力強くゴージャスでブリリアントな金管群の響きは、黄金期のEMI録音が放った最後の輝きのようにも感じられる。DレンジとFレンジの伸びは気が遠くなる程であり、海王星のオルガンの最弱音のペダルトーンもぶるぶると部屋を振動させる。オケのトゥッティでも混濁は皆無であり、マルチマイクを駆使しながらもこれだけ自然な音場を聴かせるパーカーの手腕にただただ感心するばかりである。このたびのSACD化によって本ディスクは数ある惑星の優秀録音の最高峰に君臨することになり、J・ダンカーリーが録ったデュトワ盤を肩を並べることのできる唯一の名録音となった。なお、演奏の素晴らしさは折り紙つきであるが、この新しいリマスタリングでさらに凄みと美しさを増したと言えば事足りる。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/02/18

    本録音はミュンヘンのヘルクレスザールで収録され、トーンマイスターはクーベリック録音でお馴染みの名手ハインツ・ヴィルトハーゲンである。しかし従来のCDではヴィルトハーゲン録音の良さが出ておらず、なんとも歯がゆい思いであったが、今回のSACD化で初めてこの録音の真価が明らかになった。ひとつ目はDレンジの大幅な拡大である。ポリーニの演奏がこれほどのダイナミックレンジを有していたとはうかつにも今回初めて認識した。Dレンジの拡大に伴い、演奏における微妙な音量変化もしっかりと聴き分けられるようになった。もうひとつはキンキンしていた高域がしっとりと落ち着いたこと。このような高域成分の音質改善に伴い、機械仕掛けのような無機的な演奏といった印象は随分緩和された。一方でホールの暗騒音や演奏ノイズといった「ライブ感」は相変わらず乏しいし、本来このホールはもっと暖かい響きがするはずだが、この硬質で冷たい響きを聴くとどうしても何か作為的な悪さが行われているように思われてしようがない。とは言っても、ポリーニの演奏とヴィルトハーゲンによる録音は見事にマッチしており、これが良くも悪くも本ディスクの価値を唯一無二のものに高めているように思える。好きではないが凄い演奏だ。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/02/18

    ラトル&BPOという現代最高ブランドのSACDということで購入したが、なんとも抜けの悪い録音に失望した。個々の楽器に肉付き感と立体感が全く感じられずよくできたシンセサイザー演奏を聴いているようだ。確かに最新のマルチマイクで丁寧に音を拾ってはいるし、Fレンジも超低域から超高域まで良く伸びてはいるが、いかにも「整えましたよ」といったサウンドには実在感が全く感じられない。尤もDGのカラヤンサウンドもこれに似ており、これがフィルハーモニーホールの正しい音響なのかもしれない。演奏も問題だ。暗くくすんだ、いかにもブラームス調のトーンは、第5交響曲として捉えるのであればそれもありかもしれないが、何といってもこの曲はシェーンベルク編曲なのだから、もっとパワフルに原色感を打ち出した前衛性を期待したいところだ。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/02/18

    一糸乱れぬ精緻なアンサンブルを磨きに磨き上げ、室内楽的なまでに透明で凝縮した響きが特徴の、非常にユニークなハルサイである。いつもならバーン!ドカン!と来るところは意図的に抑えられ、そのかわりに、これまで耳にしたこともない内声部が浮き上がる場面が随所に現れるのはまことに新鮮。しかし最後はとてつもない迫力をもってビシっと締めくくるところなど、さすがフィッシャー只者ではない。火の鳥も全く同様の路線のユニークな名演だ。DSD録音も特定の打楽器をピックアップするようなデモサービスとは一切無縁のナチュラル路線であるが、ホールに鳴り響いている音響全てを丁寧に拾っており、Fレンジもフラットに伸び切り実に音楽的だ。派手さはないが玄人好みの名盤といえよう。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/02/18

    このBOXの白眉は「展覧会の絵」だ。オリジナルスコアの改変が随所に認められるが、これがホロヴィッツのように悪趣味でないうえ、どれもが見事にツボに嵌っている。小人の後半の左手の半音階パッセージや、カタコンブ後半の右手のトレモロ、終曲のコーダの処理など惚れ惚れする上手さだ!それに何と言ってもワイセンベルクならではのモノトーン調で、硬質かつ強靭なタッチがこの曲に見事にマッチしている。単発盤は廃盤状態が続くが、BOXでも十分安いのでもとはとれる。なおLPではB面に入っていた「クープランの墓」が収録されていないのが残念だ。なお、有名なブラームスの第一コンチェルトは2012年の最新リマスターになっており、手元の岡崎リマスター国内盤と比べてずいぶん音がほぐれ、歪っぽさも解消しスッキリとしたサウンドに生まれ変わっているのも嬉しい。これも第4弾でSACD化されるかも・・・。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/02/15

    この録音の特徴は何と言っても当時のピアノ録音の常識を覆した圧倒的な低域のダイナミクス、弦の振動が見えるような生々しく、ハンマーアクションのノイズまで聴き取れる超リアルな高解像度、真珠のような高貴でマットな輝きを放つ高域のトーン、実大のコンサートグランドの大きさを伝える絶妙な距離感とナチュラルなホールレゾナンスである。エンジニアは新鋭のコリン・ムーアフットだが、このリスト録音に先だって同会場で収録されたベートーヴェンソナタがK・ウィルキンソンによるものであることを考え合わせると、この文字通りの超絶録音はムーアフットが師匠ウィルキンソンの教えに忠実に従ってマイクをセッティングした成果であることは明らかだ。もちろん現代においてもこれを凌駕する録音は未だ一枚も無いといっても過言ではない。そしてアシュケナージの演奏がまたテクニック、表現力共に素晴らしく、間違いなく彼のベストフォームを示している。驚異的な指の廻り、香り立つような美音、圧倒的なダイナミックレンジ、濁りのないペダリングに加え、不自然なアクセル、ブレーキとは無縁の堂々たるインテンポはまさに巨匠的であり、この曲集のスコアイメージを正確に聴き手に伝える唯一の演奏である。惜しむらくは全集でないこととリマスタリングがいまいちであることだ。抜粋版とはいえ、せめてマゼッパと雪かきだけでもいいから録音して欲しかったし、これほどの名盤が過去に96-24でリマスタリングされていないことは大いに疑問が残る。ユニバーサルにはSACD-SHMでの再発を強く望むものである。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/02/06

    ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集、第九、幻想交響曲らとともにクラナートセンターにおける数少ないセッションにおいて円熟期のK・ウィルキンソンによって録音された貴重な1枚である。これも他のアルバムと同様、実に素晴らしい出来で、「夜の歌」の全ディスク中、J・ダンカーリーがコンセルトヘボウで収録したシャイー盤と共に王座を分かち合う圧倒的な優秀録音である。冒頭の低弦のさざなみの後ろで不気味に存在感を主張するバスドラムの水銀のように鈍く重い響きや、続くテナーホルンの明るくて軽いが深い独特の音色がフレンチホルンともテューバとも異なることを、これほど明確に捉えた録音はざらにはお目にかかれない。サウンドステージの広がりや奥行きは原寸大でスピーカの後方に広がるが、どんなにオーケストレーションが混みあっても、どんなに音量が膨れ上がっても、混濁や歪みは一切無く、リスニングポイントからホールの後壁が見えるような見通しの良さはウィルキンソン録音の真骨頂だ。ソロ楽器の定位と立体感の両立もこれ以上は望めない高みに達している。時々強奏部で堅さを感じさせるがこれはCDフォーマットの限界かもしれず、いつの日かSACD化で改善されるのを待つしかなさそうだ。全盛期のショルティ&CSOの演奏は、スコアに書かれた音符やダイナミクスを機械的な正確さで再現したもので、時に暴力的に聴こえる場面もあるが、これだけの技術と力を示されると、こちらとしても何も言えなくなってしまう。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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