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mimi さんのレビュー一覧 

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/12/22

    「ヨハネ受難曲」という曲は、従来、超越的・理知的・劇的と言われる事が多かったと思います。もちろんこれは4福音書中、疑いなく最も特異で最も思弁的なヨハネ福音書の性格に拠る所が大きく、J.S.Bachの作曲もそのように行われている訳ですが、情緒的・感情的で慈愛に満ちたとされるマタイに比較して、従来のヨハネ受難曲の演奏も、威厳に満ちた劇的で崇高な性格のものが多かったのではないでしょうか。古のKarl Richterの名盤でも、ヨハネの激しさ・神々しさは群を抜いていますし、E.JochumやM.Corbozなどの大指揮者の名盤も、あまりの激しさに時に気疲れする程でした。ヨハネの名演を聴き尽くした訳でもないのに、えらそうに断言はできないのですが、Junghanel/Cantus Collnの最新盤は、その点が全く異なるように思います。突拍子もない連想ですが、まるで聖母マリアの眼差しで語られた受難曲とでもいうべきでしょうか。とにかくこれほどに優しく、常に慈愛に満ちた、まるでもう一つのマタイのようなヨハネ受難曲には初めて接します。声楽が8人でOVPPであるのはもちろん、器楽も小編成ですが、隅々にいたるまでー激しい群衆合唱も含めてー常に演奏者の、イエス・キリストに対する思いと涙が感じられ、決して遅い演奏ではないのですが、全曲が本当に慈しむように美しく奏でられます。OVPPの演奏の質としては、群衆合唱、審問の部分なども含め、決して現代最高の技術と言い難い面もみられますし、またEvangelistのHans Jorg Mammelも経験豊富で安定した歌唱ながらいま一歩の崇高さを求めたい気がしないでもないですが、Junghanel率いる演奏者全員の、この異様なまでの心の篭りようの前では、不満を言う気にもなりません。挽歌のRuht whol〜終曲Ach, Herrにかけての部分は、最上のマタイ受難曲の名演以外で、こんなにも人間に対する慈愛を放射する音楽にはめったに出会う事はなく、慣れ親しんだヨハネにも関わらず、涙無しに聴き終える事ができませんでした。Junghanel/Cantus Collnの最も素晴らしい部分が出た演奏ではないでしょうか。これまでにない、素晴らしいヨハネ受難曲の演奏として、多くの方に聴いていただきたいと思います。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/08/31

    録音データが記されていないのですが、おそらく50年代から60年前後、Stereoという記載が一ヶ所ありますが、録音はおそろしく貧弱で特にオルガンは全く奥行きのない平板な音です。最初のGoldbergと同じ頃、おそらくLeonhardt最初期の録音で、正直購入時あまり期待していなかったのですが、貧しい音に釣り合わぬ素晴らしい名演でした。前半オルガン、後半チェンバロの構成ですが、いずれも各声部の明晰さ、テンポとリズムの全く恣意性を排した透明さ、しかもすでにLeonhardtが先鞭をつけた時代に裏打ちされた微妙なアクセント、ずれもふんだんに駆使され、他奏者の録音の良いフレスコバルディと比較しても全く遜色がありません。さすがに後年(70年代)以降のLeonhardtのフレスコバルディと較べると、テンポとフレージングにおいて若々しさを感じますが、それもかえってこの盤の大きな魅力になっています。フレスコバルディの深く精緻な多声構造を表出することにかけて、Leonhardtは初期から唯一無二の存在であったことを、あらためて確認できる貴重な演奏で、録音は悪いですがフレスコバルディ演奏史上の名盤の一つと思います。

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     2011/08/18

    G.Frescobaldiの鍵盤作品(かなり声も入ってますが)を、一つのレーベルと限られた演奏者で網羅する画期的な企画です。核となるのは、主にオルガンを受け持つF.Tasiniと、主にチェンバロ担当のS.Vartoloで、両者とも自分の力量を生かした誠実な演奏と言えるでしょう。ただ、ルネサンス鍵盤音楽の頂点としての、Frescobaldiのまるで幾何学模様の如き精緻な多声構造が十全に表出されているか、という点ではやや疑問符がつきます。特にS.Vartoloは高い技術を持っていると思うのですが、テンポやフレーズを表出的に動かしてややロマン的な表現に傾くため、明晰な演奏とは言えません。Leonhardtなどの、全く恣意的な感情表現を排した、まるで数学的建築構造をみるような透徹したFrescobaldiには到底及びません。さらにこのシリーズは、近年の録音も含まれているにもかかわらず、所々録音が非常に不安定なのもウィークポイントです。とは言え、他に代わるものが殆どない点でも、確実に値段以上の存在価値のある全集とは思います。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/07/27

    オランダ、デンマーク、ドイツ、スウェーデン、ベルギーの5台の歴史的オルガンを弾き分けた演奏。ブクステフーデのオルガンCDはこれまで1枚ものばかり持っていて、オルガン作品全集を購入するのは初めてなので、他の奏者との比較はできませんが、演奏・録音・装丁・価格(輸入盤)を総合して、おそらく現在最も素晴らしいものではないでしょうか。Foccroulleの演奏は、どの楽器においても極めて明晰で、優秀な録音も手伝ってブクステフーデの作品の細部にいたるまでくっきりと鑑賞できます。しかも作品によっては、北ドイツ楽派らしく極めて壮大な響きも用いますが、その場合にあっても演奏は常に清冽な詩情を湛えており、聴いていてもたれることがほとんどありません。ブクステフーデの膨大な作品の、多様な姿が一つ一つ誠実に描き分けられています。もちろん個々の有名曲においてはこれ以上の演奏もあるのでしょうが、少なくとも自分の乏しい試聴歴では、これより満足できるブクステフーデ作品集はそうなく、このBachの偉大なる先達の音楽を知るのに最もお薦めできる盤と思います。輸入盤のFoccroulleによる解説は、極めて詳細で誠実なもので、読みごたえ十分です。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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     2011/07/25

    他のレビュアーに便乗するような書き方で恐縮ですが、自分も評判が良いので期待していた割に満足できませんでした。ほぼ10人のOVPPに準じる演奏形態ですが、それ以前の問題があると思います。J.S.Bachの音楽は極めて質が高いため、いかなる演奏スタイルでも必ず何らかの魅力は感じ取れますが、さりとてどういう風に演奏しても最高という訳ではありません。むしろBachの音楽の演奏ほど難しいものはなく、その最も重要な点は正しいリズムとテンポ、フレージングを(全ての声部において)見出すことで、多くの曲においては未だに最高の演奏というものは現れていないのが実情と思います。ユングヘーネル&カントゥス・ケルンの演奏も、この点で正しいリズム、テンポを見出しておらず、結果としてこのBachの最も難解な多声構造を持つ曲で、柔らかだけれど、曖昧模糊とした響きの塊しか作り出せていません。OVPPとしてはどちらかと言えば近年の演奏に属するのですが、S.Kuijken/La Petit Bandeの全ての声部が透明で明瞭に独立したロ短調ミサと比較すると、その質の差はあまりにも大きいようです。カントゥス・ケルンでは、Vespro(Monteverdi)やシュッツの好演に較べてBachのカンタータ集などで今一つよい印象を持てなかった理由が、このロ短調ミサの演奏を聴くと判るような気がします。もちろん悪い演奏ではないですが、演奏形態にかかわらず、全てのロ短調ミサの中で平均レベル以上の演奏ではないように思います。

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     2011/07/17

    いずれも15年以上前、J.MacGregorが30代の録音ですが、やはりとても通常のクラシック・ピアニストに対する感覚では推し量れない、一口で言って非常に求心力の強い演奏です。まずフランス組曲ですが、モダン・ピアニストのほとんどが、この曲集の愛らしい旋律や和声にとらわれて、内部構造の不明確な、外見はバロックでも内実はGallant様式の亜流のような音楽を作ってしまうのに対し、MacGregorの演奏は、複数声部を完全に独立させ、時には旋律や和声を犠牲にしても(?)まるで低音声部が主役のような、あくまで強固に多声的・構築的な音楽を実現しています。明らかにGouldの影響を受けていると思われる部分もあるのですが、そういった外見以上に、この点をモダン・ピアノではっきり実現できているのは確かに過去Gould以外は思い当たりません。ぱっと見、強烈な印象はそれ程にないのですが、繰り返し聴くにつれ、フランス組曲の簡素だが堅固な音楽に惹きつけられていきます。明らかにモダン・ピアノによるフランス組曲全曲での、数少ない名演奏の一つと思います。フーガの技法は、演奏の組み立てはさすがに若々しくラフで、即興性を重んじてるかと思えるほど。決してペダルも忌避せず、縦の線も厳格に揃えているわけではないのですが、各々の声部が完全に独立し、数人の奏者(声部)が自由にしかも生き生きと発言しつつ、全体を構成していく様が、MacGregorの強烈なテクニックに支えられて圧巻です。最新のGoldbergの名演に較べると、演奏全体の考え抜かれた透徹さは一歩譲りますが、それでも数あるモダン・ピアノによるフーガの技法中で、これだけ古典派以降のピアノ音楽伝統に囚われない、バロック的でも現代的でもある自由な演奏は、Gouldのピアノによる数曲を除いては、他に越えるもののないレベルであると思います。Gouldがいない今、現存するピアニストでMacGregorほどに、多声音楽に根ざしたJ.S.Bachの本質を生き生きと正しく伝えることのできる奏者は、いないのではないでしょうか。J.S.Bachの音楽を愛する、できるだけ多くの方に聴いてもらいたい好演盤です。

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     2011/06/11

    マタイ受難曲という特別な作品に対して、こんな言い方が許されるかどうか判りませんが、非常に面白い演奏です。マタイを良く知っている人間にとっては、ここも違う、あそこも違う、という風に聴けば聴くほど後年の完成稿との違いが面白い。もちろん、この初期稿が後年の完成稿より芸術的価値が上、ということは絶対にありません。音楽史上、明らかに職人肌であったBachは、素材を時間をかけて丹念に磨き上げ、一歩一歩完成に近づけるため、ほぼすべての場合において改訂によって完成度が段違いに上がります。しかしながら、ゲオルク・クリストフ・ビラーが指摘するように、マタイの初期稿を聴くことは、実際にはみることができないJ.S.Bachの芸術的作業の進行過程をつぶさに実感できることであり、それは疑いなく非常にスリリングな体験です。他のレビュアーも言われるように、マタイが初めてな人に薦められるものではありませんが、すでにマタイ受難曲を良く知り、大切に思っている人には、必ず貴重な聴体験となるでしょう。樋口隆一氏/明学バッハアカデミーの演奏は、取り直しの利かないライブ一発どりで、それ故の傷や騒音、ミスなどは言うまでもなく、演奏の完成度としても2年後のヨハネ第2稿程ではありませんが、日本人による初演、世界初CD化の重責を果たす上で充分な堅実さをもった演奏と思います。初期稿のCDがまだわずかで、本家のビラー/ライプツヒの盤が極めて高価である現在、日本のBachファンには一度は聴いて頂きたい貴重なCDです。もちろん、樋口隆一氏のBach研究の最先端を行く的確な解説および、見事な歌詞対訳も持っておく価値が十分あります。

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     2011/06/08

    ヨハネ受難曲第2稿のCDも、数種類以上が聴けるようになった現在、学術的・資料的価値はもはやそれ程高くないかも知れませんが、日本人演奏家のみによる第2稿は、自分の乏しい知識ではこの盤だけのように思います(間違ってたらすみません)。演奏は、ライブ録音の一発収録であり、それ故の傷(ミスや不調など)や会場の雑音などが当然かなりありますが、それを考慮した上で演奏家の力量はかなり高いのではないでしょうか。全曲通してムラはありますが、Evangelistの高野二郎さんは、Bachの様式をよく理解された国際的にもトップクラスの歌唱と思われますし、他のソリストも総じて立派と思います。加えてオーケストラは常設でないことが信じられない整然とした合奏、コーラスもアマチュアながら非常に心の篭ったコラール等を聴かせます。樋口隆一氏の指揮は、ピリオド団体のBachにありがちな飾り気の無い、ひたすらBachの音楽の本質のみを提示しようとする地味ながら求心的なもので、随所にBach音楽の本質を理解したものでなければ出せない表現・音楽が聴かれます。ヨハネの古くからの名盤の中では目立たないかも知れませんが、ヨハネ第2稿がほとんど別曲と言えることを考えると、Herreweghe/Collegium Vocale Gentの驚異的な名盤には及びませんが、まだ限りある第2稿全曲としては、未だに貴重な盤ではないでしょうか。付加価値かも知れませんが、樋口隆一氏の世界のBach研究最先端の情報を踏まえた詳細な解説、そして第2稿全曲の(樋口氏自身による)見事な歌詞対訳は必読物です。個人的には、価格はやや高いですが、日本のBachファンには御薦めしておきたいですね。

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     2011/06/02

    第1巻に記したのと同様に、モダン・ピアノによる古典派・ロマン派的な平均律全曲として、リヒテルと同等かそれ以上の名盤と言えると思います。平均律第2巻は、バロックから前古典派に向かう近代的色彩を有する音楽と、一方で数百年に及ぶ多声音楽の歴史を体現したような音楽が混在している訳ですが、当然のことながらGuldaの演奏は前者のような曲においては、鮮やかな適合性を示し見事です。複雑な対位法を駆使した曲(第22番を始めとして)においても、さすがにテクニックにおいてこれ以上無い程のレベルだけに、声部の弾き分けは確信的で乱れは全く見られません。ただいくつかの曲において、やや単調な印象に陥ることが多いのは、おそらく複数声部の意味付けが曖昧になってしまうからでしょうが、これが十分で感動的なレベルの第2巻の演奏はわずかしか知りません。平均律第2巻の難曲である所以の一つで、これ以上の演奏が無い訳ではありませんが、Guldaの演奏もモダン・ピアノによる超一流のものであることは間違いないと思います。歴史に残るピアノの巨匠が、全身全霊で真摯に取組んだ平均律として、後世に残るものではないでしょうか。個人的に自分の愛聴盤ではありませんが、第1巻同様古典派以降の音楽を主に鑑賞される方には大いにお薦めできると思います。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/06/02

    恥ずかしながらこの名高い録音を全く聴いたことがありませんでしたが、発売元がDeccaに変わり大分値段が下がったので、思いきって両巻とも購入しました。自分は決してGuldaの熱心な聴き手ではありませんが、この平均律全集はGuldaの長いキャリアにおいて、特に大きな比重を持つ仕事だったのではないでしょうか。何より20世紀を代表する程の巨匠レベルで、充分な条件のもとに平均律全曲録音を残しているのは、Guldaの他はおそらくリヒテルしかいませんし、そしてある意味名高いリヒテルに匹敵し得る唯一の平均律全曲と思います(G.Gouldを全くの別枠として)。リヒテル同様基本的に、古典派・ロマン派音楽をベースにした和声的Bachであり、主旋律と伴奏という発想が基本にある訳ですが、リヒテルがロマン派的Bachの(節度ある)模範だとすれば、Guldaの平均律はMozart的平均律のおそらく究極的姿ではないでしょうか。J.S.Bachの死後、その音楽が忘れられていく中で、平均律を脈々と伝え続けたウィーン古典派の作曲家たち、Haydn, Mozart, Beethovenらの演奏していた平均律はこのような姿だったかも知れない、と思わせます。もちろんGulda特有の(Mozart的?)装飾音や、第24番フーガを始めとするやや大仰なクレッシェンドなど、バロック以前の音楽としては異質な部分はありますが、自分のように日々ルネサンス・バロックを中心に聴いてる者からすれば、モダン・ピアノによる他の奏者の平均律に比較してGuldaのこの盤が、特に騒ぐ程のレベルとは思えません(ある意味リヒテルの方がデフォルメは強いかも)。何よりもGuldaの磨き抜かれた音と、驚異的技術、そして全ての音に漲る表現の確信は20世紀を代表する巨匠の証明以外の何物でもなく、モダン・ピアノでこれに匹敵するレベルの平均律全曲としては、やはりリヒテルの録音以外に較べるものは思い浮かびません(Gouldは別枠)。個人的に自分は、このような古典派・ロマン派的Bachを愛聴することはないのですが、古典派以降の音楽を主に愛好される方に対しては、リヒテルと同等かそれ以上にお薦めできる名盤ではないでしょうか。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/05/24

    チェンバロ版「優雅なインドの国々」は、厳密にはラモーの作品とは言えない編曲物のようですが、Roussetの演奏があまりに素晴らしく、楽しいため、すっかり愛聴盤となってしまいました。ラモーのオペラ中の名作「優雅なインドの国々」は、管弦楽組曲版がよく聴かれていると思いますが、このチェンバロ編曲版をRoussetの演奏で聴くとオーケストラ版以上にラモーの音楽の特質、素晴らしさが端的に判ります。チェンバロ演奏としては近年のRoussetらしく、どちらかといえば装飾は控えめに、曲構造をストレートに表現する演奏ですが、Roussetの天才的な音楽把握力と最高のテクニックにて、この上なく美しいラモー/クラブサン曲集が生まれています。目立たないCDですが、バロック音楽の楽しさを存分に満喫できるお薦め盤と思います。

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  • 9人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/05/24

    実はとりたててショパンに関心が強い人間でもないので、大それたレビューの資格なぞ無いのですが、このコンチェルト1番は実演も含めて十数回以上聴いた中で最高の一つではないかと思います。特に第2楽章RomanceはArgerichの音楽性と長く幅広い経験・背景から生まれた、美しく同時に深い音楽で、自分の様なショパンに馴染の薄い人間でも強く引込まれました。シューマンは逆に自分の思い入れが非常に強い曲なので、いかに天下のArgerichと言えど、完全に満足はできないのですが(リパッティなど含め、過去に満足できた演奏が殆ど無い)、緩急自在のArgerichらしい奔放な演奏で、新日本フィルの好演と相まって非常に高いレベルのシューマンであることは間違いありません。我が国に寄せて下さる無垢の善意に、日本人の一人として心から感謝します。一人でも多くの方に聴いて頂きたいですね。

    9人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/05/21

    これは名演と言えるのではないでしょうか。ラモーのクラブサン曲はそもそも、F.クープランと趣が大分異なり、斬新な描写が鋭いリズムに支えられ一種前衛的とも感じられる世界ですが、Pinnockの再録音は3巻のクラブサン曲集より、およそ半数を選曲、構成し直したもので、その演奏は極めて明快で確信的です。フランス風エスプリとは遠い世界かも知れませんが、ラモーの音楽の特質を十二分に理解した上で、曲の僅かな隅々でテンポやリズムをさりげなく変化させ、細やかな工夫をちりばめ、気軽に勢いで弾き飛ばすような所は皆無。しかも変転する細やかな表現の背後に、ラモーならではの強固な論理性を常に内在させており、それが「めんどり」のような一見たいした内容でない描写音楽のような小品にも、実に充実した内容が表出されることに繋がります。古雅な味わいは乏しくとも、これほど内容が充実し、表現に自信を持ったラモー/クラブサン曲集は少ないのではないでしょうか。HansslerのBach/パルティータ全集に次ぐ、近年のPinnockのチェンバロ名演奏と思います。現在チェンバロ奏者として円熟の極みにさしかかるPinnockには、もっと新録音を届けて欲しいです....。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/05/17

    不勉強にしてOVPPによるヨハネ受難曲は、数種類しか聴いたことがありませんが、J.RifkinやA.Parrottが実際のBach演奏に適用し始めた当時に較べると、その演奏の質の向上は信じられないくらいです。この最新の、Ricercare consortによるヨハネも、1パート1-2人、総勢8人という構成であちながら、驚くべき声楽の質の高さを聴かせてくれます。群衆の合唱の比重が高いヨハネでは、各人の声質・声量のバランスがとれていて、なおかつ指揮者がよほど厳密に歌手間をコントロールできていないと、縦の線および声量の乱れが、容易に堪え難くなってしまいますが、Philippe Pierlot/Ricercare Consortは、激しく激する合唱部分でもそうした不満を感じさせず、OVPPであることを忘れさせるくらいの完璧なバランスを実現しています。それどころかいくつかのコラールや、挽歌’Ruht wohl’などでは、これほど美しく純な印象を与える演奏は経験がなく、終結合唱の心の篭った美しさを聴くと、やはりこれ(小編成)がBachの意図した再現に近いのでは、と思わされます。もちろん、ヨハネ受難曲の再現として全く不満がないわけでなく、冒頭合唱や第2部の多くの群衆合唱など、少人数で早いテンポでたたみかけると、劇的を通り越して劇画的に陥る部分も有り、Evangelistの歌唱もともすれば外面的な激情を意図しがちで、ヨハネの本来的な姿である福音書の聖句の正確な伝達を逸脱しているのでは、と感じられることもあります。それでもこれだけ美しく質の高いヨハネ受難曲演奏が、OVPPにて現れつつあることは悦ばしいことで、お薦めするべきではないかと思われました。今後のOVPPによるJ.S.Bach演奏がますます楽しみです。できたらKuijken/La Petite Bandeも、OVPPでヨハネを再録音してほしいですね.....。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/05/14

    演奏はP.Hantaiの、(Leonhardt譲りの?)時代考証をあくまで尊重する誠実この上ない良演奏ばかり。半音階的幻想曲とフーガや数曲のトッカータなど、チェンバロによる演奏としてはこれ以上ない名演も含まれているので、全体評価としては以上の通りとさせていただきます。しかしながらVirigin Veritas×2シリーズは、多くの場合、演奏の質以外は、安かろう、悪かろうの典型的商品で、CDの装丁はお粗末、曲順の編集もなげやり、音質も劣悪というのによくぶち当たります。この盤もCD1の終わり、無伴奏ヴァイオリンソナタ2番の編曲/Gigueで聞くに堪えない音飛びが数分に亘って続きます。著しく誠実さを欠くレコード会社の姿勢には、疑問を感じざるを得ません。原盤が手に入るようなら、そちらを入手するよう努力したいと思います。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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