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座敷童子 さんのレビュー一覧 

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/09/13

    これはすごい!!!
    悲惨な飛行機事故で1949年に僅か30歳の生涯を終える数ヶ月前の演奏会の貴重なライブ録音。今までトータルバランスで前年のイッセルシュテット盤が一位だと思っていたが、音質が物凄く改善されたこの盤はイッセルシュテット盤をも凌駕したといえる。70年以上も前の録音でありながら、こんな生々しいヌヴーのバイオリンが聴こえてきたのには、まさに驚きである。なるほど、目の前でこんな演奏されたら、指輪を無くすほどの拍手をしたご婦人がいたという逸話も、すごい説得力を持って聴こえてくる。とにかくこの録音は、ヌヴーの演奏に尽きる。なんでこんな音が出せるのか不思議でならない。第一楽章の入りからもう完全にノックアウトされてしまい、呆然とするうちに聴き終える、そんなブラームスである。特にこの録音は強烈な音声の変化を味わえて素晴らしい。70年を経てもなおこの曲のピカイチ。他の追随を許さない。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/04/29

    ザルツブルグ時代の教会音楽の集大成と言うべきヴェスペレK339は、オケが単なる伴奏では無く、合奏と合唱が対等に競り合うというモーツァルトが目指した教会音楽の究極の姿を体現した名曲であるが、この演奏は合奏と合唱のバランスが極めてよく、合奏と合唱の絶妙な掛け合いを堪能することができる。寡聞にしてヴェスペレK339のこのようなアプローチの演奏は聞いたことが無い。あらためてヴェスペレがいかに名曲であるかを痛感した。素晴らしいモーツァルトである。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/09/18

    1968年8月21日のこの演奏会は、ワルシャワ条約機構軍のプラハ侵攻の翌日という、政治的に異様な状況下で演奏された、きわめて特異な演奏会です。同日に演奏され既にリリースされているロストロポーヴィチとのドボルザークのチェロ協奏曲のライナーに、
    「この演奏は45年間で聴いた交響曲第10番の中で最もきらめき、はらわたをえぐるような演奏だった」
    と書かれていたもので、どうしても聞きたかったのですが、これが初のリリースになります。

    CDを聞き始めると、場内が異様にざわついています。前のドボルザークのチェロ協奏曲の比じゃありません。
    演奏はそんな騒ぎを無視して始まります。
    この曲は最初弱音で入りますので、騒ぎを聞いているんだか、演奏を聴いているんだかわからないほどの状態が30秒ほど続きますが、会場内の「シー」という声に圧倒され、やっと会場が落ち着きます。

    交響曲第10番は初めて聞きました。演奏はとにかく壮絶。
    もともと曲自体が分裂症気味の作品ですが、高速で絶叫する各楽器はまさに「きらめき、はらわたをえぐるような演奏」です。

    そして最後は絶賛の嵐。
    ドボルザークのチェロ協奏曲と同様、この演奏も、最初の罵声から絶賛の拍手の嵐まで、音楽の持つ強い力が、政治とか国を超えて人々に訴えかける強さというものを感じさせる最高のドキュメンタリーだと思います。ドボルザークのチェロ協奏曲がロストロの答えだとしたら、交響曲10番はスヴェトラの答えなんでしょうねぇ。

    それにしても同じ日の演奏が、それぞれ切り離されてバラ売りされているのがとても不思議です。

    ちなみに、この10番の録音にはアンビエント・マスタリングという擬似ステレオ方式が用いられていますが、録音全体の音量レベルが低いことも相俟って、演奏の迫力を削いでいる印象を受けました。私はモノラルに再リマスターして聞いていますが、迫力が違います。やはりモノラルには余計なことをしないのが一番ですね。ちょっと残念です。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/12/19

    この全集は録音が素晴らしく、スヴェトラ・ロシア国立管の良さを堪能できます。確かに交響曲第1番の第4楽章は旧全集の方が出来がよいですが、それ以外の交響曲の解釈はほとんど変わりがなく、音の良いこの全集がおすすめ。この録音で特筆すべきは「イーゴリ公」からの2曲(序曲・だったん人の踊り)です。旧盤(私が聞いたのはメロディア盤です)で収録されていた「イーゴリ公」序曲は録音が悪く、全くノリの悪い演奏でしたが、この全集で再録されたものは録音、解釈とも絶妙で、金管の響きも心地よく、これからどんな舞台が始まるのか楽しみ、見てみたい、そんな気持ちにさせる超名演です。だったん人の踊りはメロディア盤には収録されておらず、初めて聞きましたがこれも素晴らしい演奏。個人的にはこの2曲を聴くだけでも、この全集の価値はある、と思っているくらいです。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/07/17

    これは1978年日本公演で、当時NHKで放映されて噂になっていた演奏会の録画である。
    ライナーを読むと、信じられないことに、NHKには当時の映像が残っていなかったらしい。じゃどうしてDVDが出せたかというと、なんと一般の方の提供によるものだというから驚きだ。それも業務用であるUマチックで保存してあったというからさらに驚く。
    今では考えられないことであるが、当時は家庭用のVTRでさえ珍しく、高3だった私は友人の金持ちのボンボンの家にVTRがあってすごくうらやましかったことを覚えている。
    そんな時代に、家庭用VTRではなく、それよりもさらに珍しかった業務用Uマチック(当時のUマチックの普及台数はわからないが、恐ろしく少なかったはず)であり、なおかつそれでNHKの音楽番組を録画しようという人が当時日本で何人いたか・・そしてそれが今でも残っているとは、ほとんど信じられないくらい奇跡的なことなのだ。

    ともあれ、それがNHKに提供され、残っていたFM放送の音源とミックスして今回陽の目を見たということで、たかが30年前のことであるが、簡単にネットで検索できる現代では考えられないほど、いかに困難・希少かつ奇跡的な復活であったかをかみしめながら見る必要がある。提供してくれた方にはいくら感謝しても感謝したりないほどである。

    この映像には演奏以前にものすごく珍しいものが映っている。「赤扇」ならぬ「白扇」が指揮台の上に鎮座しているのだ。
    ライナーを読むと、スヴェトラ曰く「指揮者には常に新鮮な空気が必要なのです。日本に来るとこんな便利なものまで見つけられて本当に助かります」。
    どうも日本で買ったらしい。
    でも、まてよ。
    これ以前のスヴェトラの映像には「赤扇」は登場しない・・・ということは、ここからあとは想像だけど、この日本製「白扇」、効果は絶大だったが、国立交響楽団の指揮台に日本製はふさわしくないということで、持ち帰った「白扇」を、当時のソ連の総力を挙げて(笑)分析、小型化したのが「赤扇」だったんじゃないかと思う。当時のソ連はまだまだ東側の盟主とし西側には強烈な敵愾心をもっていたから、十分あり得ることだと思う。公演で堂々と「白扇」を使っているところを見ると、スヴェトラはおそらくそんな事には頓着しなかったんじゃないかなぁ。伝説の「赤扇」のルーツがこの日本公演にあると考えると何だか楽しい。

    演目は「悲愴」と「森の歌」。一晩でやる演目にしては、かなりのヘビー級。「1回で2回お得!」ではないが、興行側の気合も半端ではない。

    チャイコフスキーは、お決まりのスネリーギョフ氏のティンパニーの連打とロシアンブラスの咆哮。弦の音などトランペットに簡単にかき消されてしまうが、バランスだなんだ、などと言わずに、当時のソビエト国立交響楽団の凄さを堪能しよう!
    驚いたことに第3楽章でスヴェトラは指揮を突然止めてしまう。実際には手を止めているだけで、目線と顔のわずかな動きだけで、オケをコントロールしているが、いったい何があったのがはわからない。白熱するステージで「白扇」の風を堪能していたのか・・また謎が増えた。

    そして圧巻は「森の歌」。
    最後のスヴェトラクレッシェンドの物凄さは言葉を失ってしまう。
    普通の演奏会なら、エンディングはこのくらいかな、と思える音量を軽く通り越し、冗談抜きにNHKホールが崩れるんじゃないか? と心配してしまうほどの大音響。
    ステージのオケの全景とオーバーラップしたスヴェトラの表情がみるみる変っていき、「まだまだ行け!」と叫ぶような表情で右手を次第に振り上げてゆく姿には言い様もないくらい感動する。
    こんなシーン、一度見たら絶対忘れっこない。皆さんも是非見てください!

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/06/13

    1968年8月20日深夜「人間の顔をした社会主義 」を標榜するチェコスロヴァキアのドプチェク政権のもと進められた社会主義の民主的改革「プラハの春」は、突如チェコスロヴァキアに侵攻したソビエト連邦の戦車群によって押しつぶされたのでした。いわゆる「チェコ事件」です。

    当時ソビエト国立交響楽団は戦後初のイギリス訪問公演を行っており、初日の公演が21日のこの演奏会です。(ドヴォルザークのみ)
    侵攻してきたソ連軍に対しチェコスロヴァキア国民は消極的抵抗に徹しましたが、それでも市街戦で100人以上の死者を出しています。当時はインターネットなどありませんから、21日の時点では現地からの一切の情報が遮断されており、唯一の情報源はアマチュア無線のみという状況のなか「戦車」「市街戦」という断片的情報が一人歩きして、イギリスでも非常に不穏な状況だったようです。

    そのような中でのイギリス訪問公演初日、演目は皮肉なことにチェコスロヴァキアの代表的作曲家の一人ドヴォルザークのチェロ協奏曲。何かが起きない方が不思議です。

    ライナーによれば最初の序曲「ルスランとリュドミュラ」では何事も起きなかったそうです。(「ルスランとリュドミュラ」は収録されていません)
    ただ、事前に聴衆にまかれた政治ビラには、抗議のためチェロ協奏曲の後では拍手をしないようにとあったとか。これは何故か「ポーランド」のライナーに書かれています。

    チェロ協奏曲の開始前にロストロポーヴィッチとスヴェトラーノフが入場した直後、会場から罵声が飛びます「ソビエト野郎は帰れ!」
    この模様は音は不明瞭ですがしっかり録音されています。
    ロストロポーヴィッチの手記によれば、周囲から事前に演奏中止を勧められましたが、石が飛んで来て愛用のチェロが傷つくことも覚悟して保険をかけてまで、ステージに立ったとのこと。

    そして、ロストロポーヴィッチは涙を流しながら演奏したそうです。チェコの人々への悲しみと、祖国ソビエトへの怒りがないまぜになっていたのでしょう。

    数年後には亡命するロストロポーヴィッチとソビエトあってのスヴェトラーノフでは全く立場が違うのは想像に難くありません。USSR国立交響楽団のメンバーは公務員ですから、彼らにとっては素晴らしい演奏をすることが仕事です。彼らの気持ちはわかりませんが、この一連の公演で、チャイコフスキーの「ポーランド」を始め、「古典」「法悦の詩」と素晴らしい演奏が残されているのは、この日の演奏会が影響しているのではないかと思います。

    それにしても骨太の音のぶつかり合いは凄い。ロストロポーヴィッチの気持ちがびしびしと伝わってきます。

    そして演奏終了後の拍手の凄いこと。事前に拍手をしないように根回しされていただけに、聴衆がロストロポーヴィッチの魂のこもった演奏にいかに共感したかがわかります。
    こんな凄い拍手は聴いたことがありません。

    それにしても開演前の罵声から絶賛の拍手の嵐まで、音楽の持つ強い力が、政治とか国を超えて人々に訴えかける強さというものを感じさせる最高のドキュメンタリーだと思います。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/05/31

    古典交響曲も凄いが、このCDはなんと言っても「ポーランド」が圧巻。

    1968年のライブですから、ステレオとは言っても、最初の演奏に比べると録音は落ちるけれども、演奏の中身は圧倒的です。
    中間の楽章も緊張感がとぎれず、聞き所がいっぱいあり、全くなかだるみしない。第4楽章の緊張感あふれる演奏は、他のスヴェトラーノフの「ポーランド」でもなかったものだ。
    両端楽章は完全に音の饗宴、特に第5楽章のブラスセクションのファンファーレには泣けた、最後のパーカッションはまるで演奏者の姿が浮かぶような強烈なインパクトであった。

    「ポーランド」って名曲だったんだ・・・と改めて認識した次第。
    というか「ポーランド」を名曲にしたスヴェトラーノフが凄いと言うことなのか・・などと考えながら聞いていた。

    それにしても、演奏の緊張感は尋常ではない。
    ということでライナーをめくってみて、この演奏会がただの演奏会ではないことに気が付いた。

    演奏日・・・1968年8月24日。
    ソビエト国立交響楽団の初めてのイギリス公演での録音。

    英文のライナーを眺めて、音楽に関係ない異様な文字が目につく
    「・・・could not have come at a worse time politically.」最悪の政治状況??
    「Dubcek」ドプチェク!

    そうか、1968年8月20日午後11時。ソ連軍がチェコに侵攻し、「プラハの春」が戦車によって押しつぶされた日だ・・・・

    この時点で西側から見れば、ソ連は自由を踏みにじる完全な「敵」国。
    その中でのイギリス公演は、通常の親善公演ではありえなくなってしまった。

    最初の公演日が翌21日で、演目がなんとドヴォルザークのチェロ協奏曲。まさに皮肉中の皮肉であろう。聴衆から「ソ連に帰れ!」という罵声が飛び、異常な雰囲気でコンサートが始まるが、ソリストのロストロポーヴィチ(彼は数年後に亡命している)の涙ながらの演奏に圧倒された聴衆は大絶賛を送ったという。

    その数日後がこのコンサート。

    スヴェトラーノフや団員たちの心情も尋常ではないはず。
    当時のソ連はばりばりの共産主義の時代で、国立交響楽団のメンバーの大多数は共産党員だったはずではあるが、聴衆のほとんどが敵意むき出しのなかでのコンサート。そして、初日のロストロポーヴィチの涙の演奏を目の当たりにして、どんなことを考えたのかは知る由もないが、彼らの出来ることは音楽を演奏するのみであり、その回答がこの演奏だったのではないだろうか。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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