トップ > My ページ > らぷとる さんのレビュー一覧

らぷとる さんのレビュー一覧 

検索結果:20件中1件から15件まで表示

%%header%%

%%message%%

  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/03/26

    木管楽器主体とピアノの室内音楽で、肩の力を抜いて気楽に聴ける楽しい曲なのだけど、どこかで聴いたような気がするものばかりで、同時代にフランスで活躍した(?)ストラヴィンスキー、レスピーギや同国人のサン=サーンスとかの影がちらつく。同レーベルのベートーヴェンの木管室内楽集(作品16, 17, 20)も確かにモーツァルト時代の管楽器奏者にアドバイスをもらって作ったせいかモーツァルトっぽいところがある。でもベートーヴェン独特の語法がすでに間違いなく刻まれていてしつこさも感じるがずっと楽しめる。パリ管の首席奏者たちということで流麗とか軽妙とかいわゆる「フランス流」に期待される要素が盛り込まれている。それゆえなのか「型」にはまっているような窮屈さを逆に感じてしまう。宣伝文句の「フランス流」に期待しすぎたかも。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/03/04

    2007-13年に映像付きで収録された、1・7番を除いてフランクフルト近郊ヴィースバーデン近くにあるエバーバッハ修道院で行われたコンサートの模様。教会のような残響過多になりそうな空間でよくぞ巨大編成オーケストラとコーラスの過剰な音響をクリアに捉えたものだ。演奏は好みが分かれそうで、序盤はさらさらと美しく流しておいて終わりに向けて盛り上げていく傾向がある。10番第1楽章は入っている一方「大地の歌」が入っていないのに「全集」というのはどうか。それと関係あるのか宗教色の強そうな8番が特にあっさりしていて、人によって空疎に響くかもしれない。第二部の荒涼とした雰囲気はテンシュテットの胸を掻きむしりたくなる焦燥感を与えるような演奏にはほど遠く「ひとごと」のように突き放した表現に終始する。終結部に向けてエネルギーを蓄えて盛り上げていく手法は納得できるし爆発もすさまじく、音響的には大満足である。前後するが7番は全編を通して不思議な美しさに満たされて美しさに説得力がある。クレンペラーのとんでもなく引き延ばされたテンポから立ち現れる、9番で描かれる天国とは逆のあの世感は全くない。6番は2楽章スケルツォ、3楽章アンダンテ・モデラートの順で保守的である。7番同様美しさを強調して感動的で、荒々しさを求める向きには少々物足りないかも知れない。1〜5番はCDでも生演奏でも耳にする機会も多い曲で常識の範囲に収まっている。5番の第4楽章や4番の第3楽章は大きな幸福感に包まれる。やはり後半に重点を置くものの終わった途端に力尽きる感じはなく、1、2番でさえ幸せな気持ちに満たされる。3番は希有な名演だと思う。何度でも聴きたい。9番も前半はとばし終楽章を感動的に仕上げるスタイル。10番は1楽章だけだからかひたすら美しく、マーラー全体の終楽章という位置づけなのかも知れない。マーラーは聴いてみたいけどどれもこれも長くて音が大きくてとっつきにくいし誰の演奏を聴いていいかわからない、という人には前半が疲れないし映像の助けもあるのでよい選択ではないだろうか。特に歌のある2〜4、8番は字幕を日本語にできて便利。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/03/02

    あっさりした演奏で聴き疲れがまったくしない。1日で全曲聴き通せたのはこの全集が初めてでBGMにはいいかもしれない。ベートーヴェンのとてつもなく速い指示を実現するためオーケストラの規模を小さくしたそうで(NHK「達人×達人」)、録音して15年ほど時間が経っているが今聴いても正しいパフォーマンスだそうだ。確かに力を溜めてどーんと解放してほしいところをさらりと流されると聴いた気がしないというか確かに物足りない。ちまたでは早口言葉だのラジオ体操だのと叩かれているようだが経験上速度に関しては何度か聴いているうちに馴染んでくるし、そうなればあっという間に通り過ぎる箇所にもなにかしら発見があるかも知れない。とは言っても同じほど時間をかけるのならと他の指揮者のCDのを聴くことになり一度聴いて以来棚にしまったまま。2019年ライヴのコンセルトヘボウとの4番は全く違う印象で大変充実していたし、10年ほど前のフランクフルト放送響とのマーラー全集には全てではないにせよ繰り返し聴きたくなるのがある。それからするとやや期待外れだと感じてしまう。もしかすると超売れっ子で世界中で指揮できるパーヴォ氏はオーケストラごとに表現を変えて聴衆の反応をみるという壮大な実験をしている最中なのかも知れない。コロナのせいで公演がなくなってしまったが、旧に復したあかつきには真っ先に聴きに行きたい指揮者である。早口言葉の第九は御免だが・・・

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/03/01

    スコット・ロスの弾くイタリア協奏曲のような軽快で華やかな響きを期待したが、チェンバロ2台の音域をどちらも中低音寄りに設定しているのか、ゴージャスには響くが軽快さが薄い。長調のアレグロが地響きを立てて進むような趣で、うきうきするような楽しさが感じられない。オリジナルのオルガンのように低音をしっかり響かせる意図かもしれないが、せっかく軽やかな音色のチェンバロが2台もあるのだからもう少し別のやりようがあったのではないだろうか。そもそもオルガン版だって子バッハの練習用に作ったそうだから巨大な教会オルガンではなく普通の家(といっても大きい?)に設置できる大きめのタンスぐらいの小さいパイプオルガン(ポジティーフ?)を想定したのだとするともっと軽やかに響いてほしい。マリー=クレール・アランの旧盤(1978〜80年録音)を聴いて以来、異なる弾き手と異なる楽器編成のものをいくつか聴いてきたが、今のところ編曲版のベストはロンドン・バロックの通奏低音入り小編成の弦楽合奏、オリジナル版はアランの歴史的オルガンを使った新録音(1993年録音)かな。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/03/01

    ラヴェルのような特異な例を除いてオーケストラとピアノで両立する楽曲はほとんどないと思う。このリスト版は1〜3番はなんとか聴けなくもないが、第九は終楽章の独唱と合唱が伴奏の間をぴょんぴょん跳び回る奇妙な旋律に置き換えられこれが第九とは悲しくなる。4番に5番の先取りも聴き取れず、6番の独創性も大曲に挟まれた8番の軽妙洒脱もピアノ音に塗りつぶされ作曲意図を削ぎ落としたあらすじのような曲に変えられていて全くおすすめできない。理由を整理すると3つ。
    (1)楽器の音色の区別がなくなること。ピアノの単色では1番から9番へと拡大して行く管弦楽の規模と多様性の変遷が表現できない。
    (2)ピアノ曲にはピアノ曲の良さがあること。耳がピアノの音しか受け付けないという人は別だが、32のピアノソナタや数曲の変奏曲があるのに交響曲をピアノで聴く意味があるのか疑問。
    (3)ピアノでは打楽器の効果がほとんど表現できないこと。ベートーヴェンの交響曲の革新性をなす大事な要素が消える。
    大きな演奏会が珍しかった時代ならピアノ版や室内楽版を聴くことに一定の意味はあっただろうし、腕に覚えのある方なら自分で演奏する楽しみもあるだろうが、現代の普通の聴き手にとって、コンサートが頻繁に行われCDやダウンロードで楽曲が手軽に入手できるのにわざわざピアノ版を聴く意味があるのか疑問だ。あらすじを読んでも小説を読んだことにならないのと同じではないか。
    以下はお節介を承知で。ベートーヴェンの交響曲に興味をお持ちの方へ、過去の名指揮者から最近の人気指揮者まで全集が入手できますのでまずはそちらをお聴きになることを強くおすすめします。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/02/28

    「火の鳥・1910年原典版」の演奏はNYPとの1975年録音が一番ではないか(ご自身のシカゴ響1992年の演奏は明瞭だがくどい)と思う。録音技師の意図かも知れないが生々しいホールトーンに浮かび上がる弦楽器の不気味な音に始まり、各パートの美しくも熱気あふれる音の時にめまぐるしい掛け合いで紡がれる極彩色の音楽絵巻はクセになる。22トラックに分けられストーリーの把握に便利だがタイトルが仏英表示。伝統に囚われない明晰な解釈を精確な指揮で実現するブーレーズ絶頂期の切れ味鋭い演奏。一時期のCDのやたらと耳に迫ってくる不自然に生々しい音響ではなく原音を志向したと思われる自然な音でいいのだが音圧が低いのが残念。おまけ扱いなのはひどい話だが、若いメータの「春の祭典(1977年録音)」も聴ける。尖ったところのないおとなしい演奏。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/02/26

    オルガン・トリオソナタは室内楽からの編曲も含み、本来合奏形式で演奏されてもおかしくない曲のようだ。これまでオリジナルのオルガン版だけでなく、フルート、オーボエ、リコーダー、ギター、ピアノ2台、チェンバロ2台、弦楽四重奏といろいろな版を漁ってきたがどれも決定打を欠く。
     本CDはバロックの弦楽合奏形式で演奏されていて、右手と左手のパートを2つのヴァイオリンかヴァイオリンとヴィオラ、ペダル鍵盤で演奏するべきパートを通奏低音としてチェロとチェンバロまたはポジティヴ・オルガンで演奏する。これがぴったりでとてもよい。伝記によればバッハは合奏用のトリオソナタを多数作曲したらしいが、あまりに当たり前の音楽で息子達も楽譜を真面目に保存せず散逸させてしまったらしい(怒!)。でも、オルガン曲に圧縮されたBWV525-530は優れた作品として大事に保管し現代に伝わっているそうだ。だからオルガンで演奏するだけでなく室内楽に戻して演奏することは決して邪道ではなく、失われたバッハのトリオソナタを偲ぶ意味でも正しいことになる。何より、一本調子のオルガンでは平板になりがちな緩徐楽章がとても美しく、その両端のヴィヴァーチェやアレグロの活気は時に原曲を凌ぐ。全てのクラヴィーア曲を合奏で演奏するのが正しいとは思わないがこれはかなりありなのではないか。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/02/26

    リュート奏者リンドベルイが選んだ16(と20)世紀イギリス作曲家の夜の曲集。タイトルの’Nocturnal’はダウランドの’Come Heavy Sleep’に基づくブリテンのギター曲のもの。ギターとともにこの曲を断念した奏者は作曲者のリュートへの情熱を知り自身の絶ちがたいNocturnalへの思いから手稿を研究しリュート演奏を実現した。軽い無調の8変奏からダウランドの元曲への転回はこの曲集一番の聴き所だ。前後の小品たちも輝いている。30年前のホルボーン集に収められた冒頭4曲は自ら率いた合奏団より輝きと深みを増した。単純で古式な楽器に多彩なニュアンスを吹き込む名手の奏でる星々に夜ひとり耳を傾けていると、遙か遠方の星々から眼に届くまでの気の遠くなる道のりと遙か昔に作曲者の書き記した音符が耳に届くまでの道のりが重なり合う。ホルボーンに続く当方無知の作曲家と詠み人知らずのケルト調の音楽、バードの子守歌が続く。400年後にブリテンの大曲を生み出した巨星ダウランドは天上界(星界)の諸元素は天界(惑星界)を通り地水火風の四大元素だけが地上界に降ると解き天上界を目指す上行旋律の4声のフーガ’Farewell’に乗って去る。ショパンの子守歌のように寄せては返す心地よい三拍子のグラウンド上に奏されるジョンソンの最終曲’Good night and good rest’を弾き終えたあとの30秒の沈黙は眠る聴衆を起こすまいとするかのよう。小夜啼鳥も歌い終えた夜、もう何も聴かず床に就きたい。その前に眠ってしまったとしてもリンドベルイの狙い通り。CDを演奏すれば何度でも、星はまた昇る。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2019/06/25

    6番はショスタコ交響曲中一、二を争う不人気曲だが、駄作と決めつける前にこの演奏を聴いて下さい。確かに、二重言語とか隠された抵抗とか語られてはいるものの一応わかりやすく勝利の終楽章に突き進む運命型の5番の次がこれ?と初めは私も思った。やたら深刻で濃密なモヤモヤ感で塗りつぶされた1楽章、突然我に返ったように陽気な2楽章、そんなに急いでどこへ行くのか快速3楽章(前の年に作った弦楽四重奏曲第1番と同じ終わり方)、重いのか軽いのか、葬送なのか狂騒なのか、支離滅裂で人を喰ったような曲に戸惑った。でも、何度も聴いているうちにこれは作曲家の5番作曲前後のエピソードではないかという思い込みから抜けられなくなった。そんなもの単なる見当違いとしても、バーンスタインが言うような悲愴や西側をコケにする意図は感じないし、ムラヴィンスキーのような驚速超絶演奏や、味も素っ気も削ぎ落としてきれいに整頓されたK.ザンデルリンクの演奏では物足りない。1楽章でマーラー色たっぷりに死か狂気を覗き込むかのような恐怖をとくと味わわせてくれるハイティンク盤が私は大好きである。2楽章、3楽章のコントラストもいい。音響も素晴らしく、ACOの音色もホールトーンも味わい深い。東のコンドラシン盤と双璧をなす西側の名演奏。全15交響曲中で一番好きだ。カップリングの12番は二番煎じの駄作じゃないか?・・・と私も好みで決めつけているだけかも知れぬ。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2019/06/24

    FMのエアチェックテープ→LP→初期CD(音遠め、LPひっくり返すところの中断がそのまま)→リマスターCD(音が近くなり、中断なし)とメディアを換えて聴いてきた。リマスター盤は音に酔いそうで初期CDの方が好み。冷徹だの知的だのスコアが透けて見えるだの言い古された評判より音楽を聴いて下さい。NYPはVPOと同い年なのにずっと現代的な音で、キレのある演奏は緻密で強烈、スピードと力がみなぎる。CBSの録音も生々しく未だに鮮やかで、目を閉じるとまるでホールに居るみたい。新録音よりトータルで遥かによい。どうでもよいことだけどジャケットの絵が車に踏み潰された小鳥みたい。
    ご注意:1910年全曲版に惚れると組曲版がつまらなくなり、最悪の場合聴けなくなることもあります。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/06/08

    オルガンにはあまり詳しくないもののトリオソナタやBWV565などの有名曲には長らく馴染んできたが、こちらの全集に収められた同曲にはなかなか馴染めなかった。どしゃんばしゃんと機械音(?)が賑やかだったり、早いペダル音の頭が遅れたり、重低音が濁っていたり、このオルガン壊れてるんじゃないかと。それでも柔らかくて味わいのある音に惹かれ何度か聴いていると、現代楽器による旧録音がまるで電子楽器で演奏しているかのように味気なく感じるようになって旧録音を聴く気を失ってしまった。2回目の全集を完成したのに間をおかず歴史的楽器で新録音に取り掛かった理由がわかった気がする。お安い旧録音も魅力的だが、演奏内容は新録音がまさっていると確信する。アラン自身による解説文も読み応えがあるので国内盤がおすすめ。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/09/27

    ソナタ2番の1楽章からあっけに取られる。楽譜がないのでわからないが、少々脱線しているのでは?突如中断して初めに戻るんじゃないかとひやひやする箇所もある。情緒の欠片もない精確無比のポリーニ盤が効きたくなるが、聴き続けるうちに耳が吸い寄せられる。3楽章中間部のニュアンス、陰影、呼吸、これぞ大家の技であるとわたくしは断じる。心にじんわり沁み込む「子守唄」「舟歌」も絶品。こんな演奏に出会えて生きてて良かったと思える。バラード3番もソナタ3番も時々怖くなるが、終了後の充実感は他の演奏に代えがたい。即興曲もポロネーズも。そういえばフランソワも日生ライヴのごとく酔拳みたいな超技を披露した。そんな危うくも味わい深い演奏をする人はもはや絶滅してしまったのかも知れない。貴重な演奏記録ではなかろうか。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 23人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/05/02

    自伝も読んだし5回じっくりと聴き通しましたがなにゆえこの音楽がこうもうけるのか不明。あっさりと現代的な語法を否定されたのでは音大で真面目に作曲の勉強をしている学生さん達の苦労が浮かばれまい。Nスペや金スマや自伝本や評論家氏の記事や日の出写真がなかったらこれほどもてはやされただろうか。細かいことですが、金スマ冒頭で海外でも絶賛と紹介された「現代のベートーヴェン」は誤訳でしょう。画面でdigital-age Beethovenと読めたから「デジタル世代のベートーヴェン」では?前後の文章を読んでませんが、佐村河内氏がゲーム音楽作者であることを思うとはたして賞賛の言葉なのか。
    聴き手・オーケストラ・指揮者のせいでつまらないのかもしれないので中立の評価にしておきます。
    ご購入時にはそのお金を何に使うべきか良くお考えを。今は過去の超名演が信じられない値段で買えますからね。

    23人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/02/26

    2月25日の演奏会場でフライング購入し(レコード屋は成田に着いたばかりと言った。HMVより1000円も高かった…)、終演後早速聴いてみたが彼らは今の成功に留まらずどんどん先へと進んでいる印象だ。16番に関しては、DG盤、その後のDVDからさらに変貌し、表現がさらに純化しているような気がする。もしかするとこういう方向は受け付けない人も居るかもしれないが、一つ言える事は、4人があたかも一つの自律的な楽器のように自在に演奏する様は驚異であるということ。いったいどこまで高めるつもりか怖くなると同時に、彼らと同時代に居合わせたことを大変な幸運と思う。ちなみに、当日の演目はベートーヴェンの6番とハイドンの「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」。6番は普通に大変な名演であった(1曲目からフル回転)。メインの「7つの言葉」はイエスの言葉を奏でるルーカスとそれを見守り支える3人が素晴らしく、最後の「地震」は弦楽四重奏でこんなことができるのかと言いたくなるほど、大地も裂けんばかりのド迫力であった。他所の模様でもよいから、CD化いや映像付でDVD化してもらえないものか。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/06/24

    「動物の謝肉祭」はポピュラーな曲ですが、原典版が室内楽であることはあまり知られていないように思います。小規模で演奏するとこの曲が実に機知に富んだ名曲揃いであることに驚かされます。1978年と古い録音ですが、当時の(フランスに縁のある?)名手をずらりと揃えて行われたのは驚嘆に値するのではないかと思います。指揮&ピアノ1:フィリップ・アントルモン、ピアノ2:ギャビー・カサドシュ(あのカサドシュの奥さん)、フルート:アラン・マリオン、バイオリン1&2:パスキエ&トルトゥリエ、チェロ:ヨー・ヨー・マ(「白鳥」の美しいこと!)等々・・・。30年以上前にエアチェックしたテープを大事に聴いていましたが、ふと検索して未だに販売されているのを知り、早速取り寄せてもらい、美しい音で堪能しました。オーマンディのいい意味で大味な名演「オルガン付き」のおまけ扱いですが、素晴らしいおまけがついたこのCD、買って損はないと思います。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

検索結果:20件中1件から15件まで表示