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hs9585 さんのレビュー一覧 

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/05/25

     年齢を重ね、最近ではバッハのオルガンの新しいCDに手を伸ばすことも少しずつ少なくなってきました。そうなった背景には、ヴァルヒャの演奏によってバッハのオルガン曲と出会ってしまったことも、大きく影響しているに違いありません。演奏が地味で起伏に乏しいとか、すでに時代遅れで忘れ去られつつあるとか、いろいろ批判的な意見も耳にします。しかし、この全集を購入されたほとんどの方々が、例外なく最高の評価を与えている点から見ても、今後も、この録音がその存在意義を増してゆくのだと思います。
     この新しい全集ででは、旧全集の末期ごろから並行して使用されたオランダ・アルクマールの大オルガンを接点として、南ドイツ系のジルバーマン・オルガンへと楽器の選択が変わり、15年の長きにわたり録音が継続され、1970年初頭に完成を見ました。いずれの楽器もピッチはノーマルに再調律され、大オルガン特有の落ち着いた味わいが特徴です。アルクマールの録音とストラスブールでの録音との間には約10年近い開きがあり、ヴァルヒャの演奏もその間に少なからず変化していて、旧全集ほどの均質性や統一性には欠けている感じがします。しかし、何よりそのステレオ録音の抜群の質により、旧全集では決して味わえないオルガンの立体的な響きを堪能することができます。
     なかでも1956年のステレオ最初期のいくつかの録音(その中には、フーガの技法や有名なニ短調のトッカータも含まれます)のクオリティーは、60年前のものとはとても思えないくらいです。そして、これに引き続き1961年から62年にかけてアルクマールで行われた、バッハのオルガン曲の中核をなす一連の自由曲の録音(パッサカリア、ファンタジーとフーガ、ヴァイマル後期およびライプツィヒのプレリュードとフーガ群を含む)は、おそらくヴァルヒャの演奏記録としての一つの頂点をなすものといえるでしょう。ここには、壮年期の充実した音楽運びに円熟が程よく加わり、その微動だにしない演奏解釈によって、バッハのオルガン曲の壮大な世界が語りつくされているように感じます。
     他方、ストラスブールでの録音では、すでに多くの評者により言及されてきた通り、一連のオルガン・コラールの録音が白眉であり、早くして枯淡の境地に達したヴァルヒャ以外の何人もなしえない、明鏡止水ともいうべき自然体そのもののバッハを聴くことができます。そんなコラール作品のいくつかの演奏は、自分自身の命終わるときでさえも耳元で鳴り響いていてほしいと感じるような、数少ない宝の一つであると思っています。
     思えば40年近く前、LPで初めてヴァルヒャのオルガンに接して以来、彼の演奏を聴くたびに何度励まされ、生きる勇気を与えられてきたことでしょうか。これからも、一人でも多くの方に、この演奏が親しまれていくことを願ってやみません。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 9人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/05/25

    年齢を重ね、最近ではバッハのオルガンの新しいCDに手を伸ばすことも少しずつ少なくなってきました。そうなった背景には、ヴァルヒャの演奏によってバッハのオルガン曲と出会ってしまったことも、大きく影響しているに違いありません。演奏が地味で起伏に乏しいとか、すでに時代遅れで忘れ去られつつあるとか、いろいろ批判的な意見も耳にします。その中で、もっとも古いヴァルヒャの旧全集がこうして廉価版となり、手軽に楽しめるようになった今、この演奏で初めてヴァルヒャを知ったという方々も多々おられることでしょう。そして、この全集が、今もって存在意義をいささかも失っていないことは、このHMVのレビューにて、現時点で35人もの方々がコメントされ、ほぼ全員により最高の評価が与えられていることによっても明らかです。長くヴァルヒャの演奏を愛してきた者にとってこれは一つの驚きであり、また、喜ばしいことでもあります。
     新全集はかなり値段が下がったとはいえ、購入に踏み切るにはまだ多少の決断が必要と考えている方も多いかと思いますので、ヴァルヒャの新旧のバッハオルガン全集の簡単な比較を情報として提供したいと思います。
     まず、旧全集ですが、1947年に北ドイツのリューベックで録音が開始され、その後、中部ドイツのカペルに舞台を移して1952年に完成を見ています。オルガンの音域の問題で、フラット3つの変ホ長調・ハ短調の曲を中心に全体の1/3ほどがリューベックで録音され、それ以外がカペルで録音されました。いずれも小ぶりな楽器ながら非常に音色が美しく、ノーマルピッチよりも約半音高い当時のコーアトーンのまま調律されている点が特徴です。楽器の価値だけみれば、この旧全集に使用された2台のほうが新全集を明らかに上回っているといえるでしょう。
     そして、こうした楽器の選択が、40代に差し掛かったばかりのヴァルヒャ全盛期の演奏に、より一層の輝きを与えることにもつながっているようです。特に自由曲では早めのテンポ設定がなされ、時折自然なルバートもかかる覇気にあふれた解釈は、BWV531、532、551といったバッハ青年期の作品群に、なにより強みを発揮しています。これらのナンバーは、新全集では1969年以降のやや丸みを帯びた円熟した演奏にとって代わられ、勢いの点で幾分の物足りなさも感じられるとすれば、テクニック的にピークの時期にこれらのナンバーが集中的に録音された旧全集の存在がその価値を増すのは当然ともいえます。特に、新全集に含まれないホ長調トッカータBWV566は、ヴァルヒャの数あるオルガンの録音の中でも最も輝かしいものの一つとして挙げてよいと思います。一方、旧全集でのコラール作品群の演奏ですが、これはヴァルヒャ自身も後のインタビューで述べている通り、新全集よりもやや遅めのテンポ設定がなされており、音楽の深淵に沈み込むような瞑想的な解釈が大変印象的です。また、クラヴィーア練習曲集第3巻に含まれる4つのデュエットは、後にEMIの録音でヴァルヒャが多用したアンマー社のチェンバロで演奏されています。これはヴァルヒャの商業チェンバロ録音としては最初期のものにあたると思います。
     絶賛が尽くされた当時の演奏評をひもとくと、各声部の聞き取りが容易であることや、低音の明瞭性が特徴として挙げられており、このレビューにみなさんが記されている内容と基本的に変わりはありません。こうした演奏評の原動力となった録音の秀逸さも特筆されてしかるべきでしょう。
    かく評価を得た旧全集も、新全集が上梓されて以来永く廃盤となり、ファンの間で文字通り幻の録音となっていました。それが、1980年頃、突如LPの全集として復刻されたときは、3万円近い価格にもかかわらず、なけなしをはたいて即購入し、毎日のめりこむように聞いた思い出があります。最初にCD化されたときも、似たような価格設定でしたね。今や、それが2千円で楽しめるというのは、なんとも信じられない話です。
     次に新全集ですが、旧全集の末期ごろから並行して使用されたオランダ・アルクマールの大オルガンを接点として、南ドイツ系のジルバーマン・オルガンへと楽器の選択が変わり、15年の長きにわたり録音が継続され、1970年初頭に完成を見ました。いずれの楽器もピッチはノーマルに再調律され、大オルガン特有の落ち着いた味わいが特徴です。アルクマールの録音とストラスブールでの録音との間には約10年近い開きがあり、ヴァルヒャの演奏もその間に少なからず変化していて、旧全集ほどの均質性や統一性には欠けている感じがします。しかし、何よりそのステレオ録音の抜群の質により、旧全集では決して味わえないオルガンの立体的な響きを堪能することができます。
     なかでも1956年のステレオ最初期のいくつかの録音(その中には、フーガの技法や有名なニ短調のトッカータも含まれます)のクオリティーは、60年前のものとはとても思えないくらいです。そして、これに引き続き1961年から62年にかけてアルクマールで行われた、バッハのオルガン曲の中核をなす一連の自由曲の録音(パッサカリア、ファンタジーとフーガ、ヴァイマル後期およびライプツィヒのプレリュードとフーガ群を含む)は、おそらくヴァルヒャの演奏記録としての一つの頂点をなすものといえるでしょう。ここには、壮年期の充実した音楽運びに円熟が程よく加わり、その微動だにしない演奏解釈によって、バッハのオルガン曲の壮大な世界が語りつくされているように感じます。
     他方、ストラスブールでの録音では、すでに多くの評者により言及されてきた通り、一連のオルガン・コラールの録音が白眉であり、早くして枯淡の境地に達したヴァルヒャ以外の何人もなしえない、明鏡止水ともいうべき自然体そのもののバッハを聴くことができます。そんなコラール作品のいくつかの演奏は、自分自身の命終わるときでさえも耳元で鳴り響いていてほしいと感じるような、数少ない宝の一つであると思っています。
     以上、取りとめもなく書き連ねてきましたが、今後、ヴァルヒャの演奏に興味を持たれる方々の参考に少しでも貢献できれば幸いです。

    9人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/07/03

    1970年台初頭に録音された、小編成のモダン楽器によるマルゴワール最初の水上の音楽。私自身にとっては、幼少の頃、放送を通じて聞いた水上の音楽最初の全曲版であり、思い出もひときわ深い。当時の最新の研究成果を踏まえ、異版からの挿入曲を随所にちりばめて各組曲の拡充が図られている。オケ部は弦楽器がソロ的に扱われており、結果として管楽器の音色が大幅にクローズアップされ、特に金管群でのナチュラルホルンの活躍が目立つ。ニ長調組曲(及び王宮の花火の音楽)ではD管ホルンの自然倍音列が生む音程の外れを敢えて調整しない奏法が取られ、打楽器も加わって野趣たっぷりの音楽が展開される。最近の取り澄ましたピリオド楽器演奏では決して得ることができない、力強くメリハリの利いたヘンデル像が楽しめる名演である。

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