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風信子 さんのレビュー一覧 

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2019/01/29

    オーケストラの醍醐味を味わう 妖怪・物の怪・悪魔・魔法使いは何処か黄泉の国との繋がりを連想する 人間が想像力で生み出した世界であれば 音楽にもその題材は足跡を残している コンサートに何を並べるかは好みに尽きるが 与えられたテーマに敵う選曲であっても自ずと指揮者の音楽性を映すことになる ナガノの選曲も興味深い 全六曲中 演奏時間の長い二曲が面白い ドヴォルジャークの”真昼の魔女”とバラキレフの”タマーラ”だ 魔女と呼ばれるような残虐な行為をした女性を描いた交響詩だ 明快闊達な演奏が恐怖の情景よりも心理を描写して美しい 聞き応えがあり大いに愉しんだ ライヴとあって気も入っている ナガノがモントリオールで歓呼を受けたことは間違いない あなたも如何

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2019/01/28

    豊かな響きを愉しんだ ドビュッシーとラヴェル 印象派の弦楽四重奏曲として屡併記されてきた二曲は作曲家二人の音楽がどう近似しまた相違するかを際立たせている ドビュッシーは主情的であり叙事的傾向を有する ラヴェルは対称的に 主知的とは言わないが客観視する眼差しの下に叙情する ラヴェルがドビュッシーを参考にしたことは間違いない ドビュッシーにはマス・トーンへの嗜好が顕著だ ラヴェルはモノ・トーンへの偏愛を示して音彩すなわち音色が意味を持つ この弦楽曲にても音の色彩は意味深い エルサレムQuar.は四つの弦が4つの線を野太く朗々と鳴らす 神経質にならず運動する中で感じ歌う精神が貫かれている 何より四人がよく聴き合っている 四つの音を超えた音響を作り出している 爽快にして明快な印象派クァルテットとなった 古き良き時代の通念に染まっている人には違和感があるだろう スコアを読もう エルサレムQuar.がスコアを通して二人の天才と正面から向き合っていることが分かる あなたも如何  

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     2019/01/27

    クレモナQuar.は音色に魅力がある ここでもヴァイオリン属製作地クレモナの名に違わない美しさを鳴らしてみせる この一連のベートーヴェン録音では新旧様々な楽器を組み合わせて演奏しているが この2番&9番では 古の名器を弾いている その音色は明るく軽やかだと言ってしまえば事足りるものではない 音楽が新鮮な風貌に生まれ変わっている それは聞き慣れたベートーヴェンの楽曲から新たな表情と光陰を見せてくれることだ 第2番が歌と踊りの合成物だと分かる 後に古典派と呼ばれる時代と音楽風土の一端であることを示している そして第9番が一分の隙もない構造物だと思い知る 周到な設計図に散りばめられた弦楽の技法と新たな響きの創造の変転に目が眩むようだ そこにはそこはかとない抒情とロマンティシズムが醸成されている 新たな世界がベートーヴェンの中に生まれていた 発見と新たな対話ができるクレモナQuar.の演奏を あなたも如何   

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     2019/01/26

    アーノンクールが最後に残したもの その一つがこれだ アーノンクールもコレが好きだったんだと思うとムズムズする モーツァルトが苦手だった少年のわたしが親愛感を抱いていた”ハフナー・シンフォニー”が来ようとは 思わぬ歓び 演奏はアーノンクールらしいもので 鋭く斬り込み 独特の間を挟んで音像を切り出していく 典雅であり優雅な趣きを好む人たちは眉を顰める でも”古典派”の音楽と演奏が退屈で仕方がなかったわたしにはこうでなくてはならない 18世紀にこう演奏されていたかどうかは知らない 今コレが愉しい メリハリを利かせた演奏は併録の”ポストホルン〜”やマーチにも活かされる セレナードは野外演奏を想定して書かれていることもあり 管楽器の妙が味わえる 野趣濃く音色に遊ぶ楽しさはアーノンクール演奏の魅力だ 衒学的風貌を排した楽興の時がここにはある 回想でなく追憶せず 今を愉しもう あなたも如何

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     2019/01/25

    どうしてだろう ヒトは時として自明の事実を見なかったり聞かなかったりする これほど完璧な”ショスタコの第5”が評価されないとは不思議な話だ 否話題にもなっていない 何かのチカラが働いて無き者にされた感が強い 虚心を以って耳傾ければ スコアが完全に音化されていることを知るばかりだ 一時の弛みも淀みもない シカゴSOの能力あればこそと舌を巻く プレヴィンはスコアに書いていないことはしていない ただ息の入れ方と繋ぎ方に注意を払っただけだ 余計なことを考えないから 立て板に水のように交響曲は進んだ あっという間に全曲が終わった この屈託の無さが気に入らないのかもしれない だが だからこそこの聴後に言い知れぬ虚無感が広がっていることに気づく システマチックに堕っしたように見える第5交響曲の姿は作曲者が意図した見立てなのだ もし わたしと同じように妙な風評から敬遠していたのであれば あなたも如何

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     2019/01/25

    30年の時を超えて現れた若き日のブッフビンダー その明晰なピアニズムの性格は今日まで貫かれたものだ シューマンを録音していたことに感謝する 何と言っても”幻想曲” だろう 繰り返し聴き入ってしまった 勇猛闊達であり泰然自若な解釈はシューマンのピアノにおける表現性が如何に高く広いかを教えてくれる これは愉しい音楽だ いつものことだが ブッフビンダーは己の腕を誇って見せるような演奏をしない 音楽に奉仕して作曲家とわたしたちを繋いでくれる なんていい音楽だろうという感情が身内に溢れ出す 最善の努力は無限の通信力を持つ だから今もシューマンとの対話が可能なのだ そして”子供の情景”は簡素に徹して語り過ぎない心がけが浸透している 幽けき語り部の口調が実現されている 音楽の本質を見極めた演奏である ブッフビンダーは信頼に値する演奏家の一人だ シューマンが好きな方は勿論 わたしのように碌に弾かずピアノにシンパシーを持たない人も 是非お聴きになっては如何 

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     2019/01/25

    MTTはロマンチストだ ドビュッシーの音楽が身に親しく纏わり付いてくる風情は彼らしい 陰影を云々する人があるけれど サンフランシスコSOの音と響はアメリカ西海岸に射す陽光の下にある この明るさと軽さはドビュッシー音楽の煌めきを引き出さずに置かない 情緒溢れる演奏だが 身に降り注いだ光の粒は次の瞬間にはハラハラと零れ霧散していく 微かな香しさを残こして潔い 決して肌に何ものかを灼きつけたりしない あくまで儚い趣きを崩さず歌い継いでいく 次々に現れる風景と情趣に目が眩むことはない 感情過多に陥らないしなやかさは彼らのものだ スタイルや技巧を超えてドビュッシー音楽が愉しめた 美しいと改めて思った SACDであるのも頂上 あなたも如何  

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     2019/01/23

    ”幻想交響曲”が19世紀前期1830年の作品であることを改めて知らせてくれる演奏だ 異形の楽器編成や特殊奏法の存在から百年後のストラヴィンスキーと同列に並べた評価や演奏が横行したので きっとこのMTTの演奏に食い足りないものを感じる人もあるだろうけれど オフイクレイドは使っていないし 初版にあったコルネット・ソロは吹かせていないけれど MTTは残されたスコアの風景と物語を現代オーケストラで克明に描写し語り出している エキセントリックで奇矯な響きを殊更強調せず 主人公(ベルリオーズ)の恋に憧れ破れ傷ついた魂に寄り添い慰めるが如く優しく歌い出したMTTの人柄が偲ばれる 実にいい演奏だ ライヴであれば 終演後の聴衆の反応も記録されていることから 十分に伝えるべきが伝わった演奏であったことを示している 清々しい幻想交響曲を聴いた あなたも如何  

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     2019/01/23

    貴重な演奏録音である それはコンチェルト・ケルンという稀有なアンサンブルの記録であると同時に バロック晩期から前古典派までのどちらかと言えばマイナーな10人の作曲家の作品が聴けることだ それがどの時代のどの地域の奏法とソノリティか知らないが コンチェルト・ケルンはどの作曲家の楽曲にも命を吹き込んでいる 退屈など一瞬たりと感じさせない 実に音楽の個性が克明に彫り出されていて新鮮な風が耳に吹き付ける とりわけ初めて耳にしたダッラーバコ フィルス フレンツル エーベルルには聞き耳を立てた 面白かった 音楽が個性を売り物にしていなかった時代の だからこその自由と利かせたエッジに新しい輝きを見つけてワクワクした 勿論名前に馴染みがあり一個一個の作品は憶えていなくても その響きに聞き覚えがある作曲家の作品も愉しめた 18世紀後期の音彩とサウンドには独特の魅力がある 春待ち遠しい日々に あなたも如何   

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     2019/01/23

    フランクは教育者であり理論が先に立った 残された各曲種の最も重要なもの それはほとんどが唯一の作品であり生涯の終わりに集中して書かれた ”ニ短調交響曲”も実質ピアノ協奏曲である”交響的変奏曲”も例外ではない 全てが渾身の一作なのであって一部の隙もない名作となっている それだけにフランクには他のフランス系作曲家の筆致とは一線を画する作風が貫かれている 先ず構築性を感じさせずに置かない その剛性は時に勘違いした演奏を生み出している事実は否定しようがない 慥かにドイツ音楽への憧憬はあったかもしれないけれど ロマンティシズムの性格は似て非なるものがある ブラームスに有ってフランクに無いもの 逆も真なり ブラームスは突き詰めれば”歌と踊り”であってフランクは”コントラプンクの変形変奏”なのだ 循環形式のイデアが自ずと必要となる 勘違いした演奏は縦の線ばかりに意識を置きすぎて音楽を重く硬直させてしまう マルティノンは分かっている 横の流れを活かすサウンド作りができている フランクの特質と芸術の美を見事に示している もしまだなら あなたも如何

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     2019/01/22

    もう好きにならずにいられない 第5番のこの愛らしさはどうだ 四つの弦の語らいが睦じい 親愛の情が溢れている 安寧の中のウキウキ感は第2楽章へ スケルツォとメヌエット両方がある第4番を除くと ここにメヌエットの踊りがあるのは作品18の6曲中第5番だけ 歓びの遊戯の後には平和の変奏曲が奏でられ フィナーレまで幸福感が消えることはない クレモナQuar.が名器を揃えて美しく歌い上げている この音楽に相応しい演奏となった この親密な語らいが発展し深まったのが第13番だ 後期6曲中最も華やかで魅力溢れる音楽では情の篭った言葉が次々と紡がれていく 思い遣る優しさが伝わってくるとき わたしはたくさんの人を思い出す なんと優しい音楽なのだろう クレモナQuar.の奏でる音の色と歌い口が静謐で抑制されていることで一層深みを増した ベートーヴェンの身内をいっぱいにしていた愛の希求と発露を忘れまい あなたも如何        

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     2019/01/21

    音楽の全貌を剰すところなく表出し切った名演 サン=サーンスの傑作にして最後の交響曲がいかに優れた作品であるかを示して余りある この時作曲者51歳 これは5番目の交響曲だった 余生を30年以上残したサン=サーンスは二度と交響曲を書こうとしなかった 当然である ライフ・ワークで弾き続けたオルガンをオーケストラに加えた今 自己の個性をこれほど誇示できたのだから 次は要らない マルティノン盤で聴くオルガン・シンフォニーはあっという間に終わる テンポが速いのではない 全てのモチーフが有機的に運動し呼び掛け応える 一分の隙もない緊密な運動体となって歌う交響曲は圧巻だ そして余白を埋めたというのが憚られる交響詩の雄弁さに舌を巻く 描出力は物語や情緒を超えて寓意やアイロニーまで伝えずに置かない 聞き応えがある 半世紀も前の演奏であろうと これを聴かずしてサン=サーンスは語れない もしまだなら あなたも如何

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2019/01/21

    60年前後昔の録音だが 今以てマルタンの貴重な録音の一つであり続けている こうしてカタログから消えないのには理由がある マルタンはスタイルを変えて膨大な作品を残したが アンセルメが取り上げたのは第二次大戦の終結時期から10年程度までの作品であり マルタンは熟年期にあり最も旺盛な創作精神に満たされていた しかもどの作品も発表からそう時間を経ていない時期の録音となった 音楽に鮮度がある アンセルメはマルタン音楽の性質と魅力を持ち前の分析力と抒情性で紡ぎ出している フランス音楽のエスプリとフランク以来の構築的構成感をもって音楽像を立ち上げている 剛性と柔軟性を併せ持った独特のマルタン像が打ち立てられて アンセルメのマルタンはオベリスクとなった ここには弦楽器 管楽器 鍵盤楽器の協奏曲とオラトリオが並ぶ 協奏的作風はマルタンの一大特徴であり 哲学的メッセージ性はまたどの作品をも貫くテーマである マルタン入門には格好の一枚だ あなたも如何   

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2019/01/21

    大野がモネ劇場の監督になった時の記念演奏会の記録だった 都響に戻って五年 さらに今新国立劇場の監督になった これからが彼の本領発揮だろう 久しぶりにこのディスクに邂逅した 聴き直した どうしたんだろう 哀しい マーラーが泣いている 高らかにラッパが鳴り テュッティが轟音を響かせる 分かりやすい(陳腐な)メロディーが綿綿と連なる楽曲の道を歩きながら 峰に登り 谷に下りしながら 沸沸とわき出る寂寥のあぶくに身内が埋まっていく 息苦しいほどの淋しさ悲しさはどこから来るのだろう 聴いているのが苦しく辛い この深い喪失感と分厚い閉塞感に息が止まりそうだ 大野とモネ劇場管はマーラーの真影を抉り出した この痛みを嫌う向きは多いだろう それはこれまでの多くのレビューに刻印されている そしていつもの事だがヒトは見たいものしか見ないし聞きたいものしか聴かない マーラーの孤独は掬われない これもいつもの事だが わたしは涙の中で居ても立ってもいられなくなる マーラーの悲愴を通って生きる勇気をもらう 聴いてよかった 本当にマーラーを愛するなら あなたも如何 

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2019/01/20

    13番目の弦楽四重奏曲になるはずだったイ短調は 出版が第14番の後だったので第15番となった 第1楽章とフィナーレのスケッチを終えたところで病いを得たベートーヴェンは作曲を中断していた 治癒した翌年完成初演しているが直ぐに出版はされなかった 作品として個人の心情に直截連なるものになり過ぎたか さらに手を入れる心積もりがあったのかもしれない ”病いが癒えた者の神への聖なる感謝の歌”と書き込まれた第3楽章が中心に置かれ楽曲の貌となっている 前後の楽章と明らかにバランスを欠いているがその美しさと神々しさに抗うことがベートーヴェン自身もできなかったのだろう いつ聴いても心洗われる クレモナQuar.も共感を込めた演奏を展開する 弦楽五重奏曲ハ長調は第1交響曲と第2交響曲の間に作曲されている 第1交響曲と同じハ長調であり 交響曲創作過程で生まれた副産物だったかもしれない フリース伯爵からの委嘱作だったとも考えられるが 印象が薄い曲だがよく書けている クレモナQuar.は活気ある演奏で応えている あなたも如何    

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