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Mickey さんのレビュー一覧 

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     2012/12/13

    全曲55分弱は決して遅くないのだが、テンポの変動の大きいバーンスタイン盤などに比べ、インテンポのクレンペラー盤は聴感上は極めて遅く聴こえる。この遅いテンポでじっくり描かれた薄明に照らし出されたかのような彼岸の世界はクレンペラー盤ならではの美しさだ。夕映えに火照るかのようなシュヴァルツコップの歌唱がクレンペラーの作り出す彼岸の世界に見事に融けこんでいる。録音はこの時期(61年)のEMI録音としては奇跡的にバランス感覚の良い優秀録音で、クレンペラー〜フィルハーモニアの対抗配置がよくわかり、左右に分かれた第一、第二ヴァイオリンのかけあいや中央左手奥に配置されたコントラバスの弾みのある低音が、この曲では極めて効果的に働いている。前出のHQCD盤は我が家のスピーカーでは何故かハイ上がりに聴こえたが、本SACDではハイ上がりのバランスも改善され、当時の優秀録音が最新録音のように瑞々しく蘇った。残念ながらハイブリッドではなくシングルレイヤー仕様なので、SACDプレーヤーをお持ちでない方は、この後発売されるであろうDSDリマスター盤のCDを待たれた方がよいかもしれない。

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     2012/10/09

    20番、27番の2曲が素晴らしい。20番に渦巻く蒼白い炎、27番の諦めきった諦観をカーゾンは人工的とも思える精緻なタッチで現実の音に置き換えている。これらの2曲はブリテンの伴奏も凄い。オケ部分が単純に書かれた27番など指揮者側では何もできないはずなのに、ここまで天国的な甘みな表情を引き出せるとは。カーゾンはスケールの小さい小技の効いた職人的なピアニストだと思っていたので、初めてこの演奏を聴いてカーゾンの真骨頂に目覚め、目から鱗の思い。これでカーゾンを再認識し、ケルテスとの他の3曲を聴いてみる。26番の緩徐楽章など、録音当時まだ珍しかったエンベリッシュメントが逸早く加えられているのもカーゾンらしい。それでもこちらの3曲は20番、27番ほど突き詰められたカーゾンを聴くことはできない。カーゾンなりの良さを認めつつも、これら3曲は他にもっと面白い演奏が思い浮かんでしまう。カーゾンはやはり最晩年のブリテンとの録音時に大成したようだ。星5つは20番、27番での評価。

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     2012/09/15

    クナの「ポピュラー・コンサート」は以前出ていた本国英デッカによるマスターテープからの復刻盤を所有しているので、それとの比較ができます。また、本盤には一部だけが収録されている「ウィーンの休日」は、SHM-CD仕様のクナの英デッカ録音の全集にマスターテープからのリマスターで収録されているはずですが、私が所有しているのは、同じ板起しによるグランド・スラム盤(廃盤?)なので、それとの比較ができます。結果はギルド盤のリマスターは英デッカ盤とも、グランド・スラム盤ともまるで違う別の録音のように聴こえます。板起し同士の比較では、よりハイ上がりながらグランド・スラム盤の方がLPらしい音がしています。また、マスターテープによる英デッカリマスターとの比較でも、本盤の方がより中域が厚く、高域は丸く聴こえます。ギルド盤のリマスターの音質はLP盤からの板起しというより、オープンリールのミュージックテープからの復刻のようにも聴こえます。ステレオ初期の録音のCD化では音が突っ張って聴こえる場合が多いので、こうした聴きやすい音作りの方向性はそれなりに評価できます。

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     2012/09/02

    ハイドシェックは私にとっての永遠のアイドルです。ただレコーディングは出来不出来があるので、これも当初はあまり期待していませんでした。聴いてみると案の定、アマチュアレベルの実況録音でやっぱりかと思わせられました。ところが冒頭のカデンツァからハイドシェック流全開で、ハイドシェックが凄いことになっていました。この曲のピアノパートは第一楽章などヴィルトゥーゾ風に書かれているので、かなりメカニックな書法が目立ちます。ハイドシェックはその一つ一つを例によって微妙なルバートをつけて弾いているので、メカニックなフレーズに見事に生々しい表情の美しさが生まれました。第二楽章の沈潜したタッチの瑞々しさも出色。フィナーレのロンドのテーマはアーティキュレーションが少し崩れていて初めはドキッとさせられますが、これもハイドシェック流。ハイドシェックを聴く上では録音もオケもこのレベルでも一応許容できる範囲です。むしろオケの指揮はハイドシェックによく合わせているところが評価できます。併録の初期のソナタも近年のハイドシェックらしいニュアンスの豊かないい演奏です。次はハイドシェックが健在の間に「皇帝」のさらに良い条件での録音を期待しておきたいところです。

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     2012/05/23

    輸入盤仕様の二枚組で国内盤一枚以下の価格なので、歌詞対訳を諦めれば超お買い得。61年のLP2枚分のステレオ録音中心に、二枚目には53年のモノ録音からのおまけが7曲入っている。ただしカタリーなど有名曲はこのモノ録音の方に多い。DSDリマスタリングは本シリーズ共通の優れた出来で、ハイブリッドCD層でも改善度が大きいのも他の本シリーズ同様。カレラスに似ているといわれるステファノ独特の少し叫びが混じる歌唱法(そこが、また魅力!!)が旧リマスターでは強調されて聴こえるが、新リマスターではリリックテナー本来のしなやかさが聴けるようになった。ステレオ化に後れを取ったEMIなので、61年録音も疑似ステレオのような音場感だが、音質は明らかに53年のモノより進歩している。録音とは逆にステファノの声は8年の違いだが、53年の方がさらに輝かしかったことがわかる。それにしても、カレラスの声をさらに晴れやかにしたようなステファノ全盛期の美声でナポリターナが楽しめるのは、他の歌手では味わえない幸せな経験だ。

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     2012/02/22

    いつもながらのプレトニョフらしいクールなラフマニノフは、初めはさっぱりし過ぎているように聴こえるが、聴きこむと、プレトニョフ流に独自に読み直されたラフマニフ像が見えてくる。とにもかくにも、ラフ3というこの超絶技巧の化け物のような協奏曲が、サイボーグによってレアリゼーションされたかのような凄みを味わうことができる。人工的な樹脂質の質感を感じさせるこの時期のDGらしい録音が、その印象を強調している。この録音で聴くと、ロストロポーヴィチの指揮もいつになくスッキリと聴こえる。併録のプロコフィエフの3番はもう少し普通の意味での名演。

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     2012/02/22

    ラフマニノフの3番はチャイコフスキーコンクール優勝後の凱旋コンサートのライヴ録音。現在のピアニストたちによる意識的に細部のマニエリスムが強調された演奏に比べると、クライバーンのラフマニノフは楽天的で大味に聴こえるかもしれない。ところがこの曲を他のピアニストの演奏の後で聴いてみると、クライバーンならではの爽やかなリリシズムと、その細部にこだわらないグランドマナーのラフマニノフがあらためて新鮮に聴こえる。半世紀以上前の58年の録音ながら、ピアノの音質はこの20年後に録音されたこの曲のホロヴィッツのライヴ録音をはるかに上回る。この演奏は単なる歴史的意義だけではなく、他にはないクライバーンならではのラフマニノフの3番を聴かせてくれるという意味でも残しておくべき価値がありそうだ。

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     2012/02/07

    プレトニョフのチャイコフスキーの交響曲の再録はSACDになったので、興味を惹かれて購入。SACDらしいホールの空間性が良く収録されたきれいな音の録音で、プレトニョフ〜ロシア・ナショナル管の対抗配置もよく聴きとれます。肝心の交響曲の演奏は、私にはどうしてもムラヴィンスキーの凄絶な表現主義的演奏と比べてしまいます。それをクールな持ち味のプレトニョフに求めるのはお門違いなのですが。併録のロメオは個人的には興味の惹かれない曲なのですが、プレトニョフで聴くとチャイコフスキーのバレエ音楽が独立した序曲になったかのような面白さ。これはプレトニョフの面目躍如といった演奏です。この盤は録音もよく、総体的にはムラヴィンスキーと対極の演奏を聴けるという存在価値はありそうです。

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     2012/01/26

    シュヴァルツコップのモーツァルトの歌曲は、他の歌手によるモーツァルトの歌曲に比べても決してきれいな声で歌われているとは言えないのだが、どの曲もその濃厚な表情が美しい。「春への憧れ」一つとってみても、他の誰よりも晩年のモーツァルトの夕映えの情緒が熱く歌いだされている。この録音の伴奏には、当時のシュヴァルツコップの伴奏の常連だったムーアではなく、わざわざギーゼキングを起用したことが奏功している。ギーゼキングのモーツァルトのピアノ曲の演奏に聴かれるあのオルゴールのようなタッチが歌曲の伴奏でも聴けるのは望外の幸せだ。これは奇跡のコラボと言ってもよい演奏かもしれない。旧盤にはモノ表記とあるが、ステレオ最初期の55年のれっきとしたステレオ録音で、SACD化で左のギーゼキングのピアノと右のシュヴァルツコップの歌唱のそれぞれが瑞々しく蘇った。

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     2012/01/22

    シベリウスの演奏は現在では北欧圏の指揮者達による、より濃厚かつリアルな演奏が普通になってしまったので、今やバルビローリのシベリウスも良き時代の産物に聴こえてしまうほどだ。モントゥーも然り、昔の指揮者のシベリウスの方が、今の指揮者よりも淡泊だったのかもしれない。それでもバルビローリならではの曲から一歩距離を置いた観照的なシベリウスは、他では代えがたい独自の魅力を伝えてくれる。カレリア組曲、バラードのイングリッシュホルンのむせかえるような懐かしさなど、他の指揮者が束になっても敵わないバルビローリの独壇場だ。この録音はもともと優秀なバランスの録音だったが、今回のSACD化でさらに瑞々しいアコースティックが蘇った。ジャケットがオリジナルLPのフィンランドの風景に戻ったのもうれしい。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/12/15

    この盤は従来artリマスタリング盤で聴いていたが、艶やかなシュワルツコップの歌唱と背後に広がるオーケストラが絶妙なバランスで再生され、これで十分と思っていた。そこで購入をためらっていたSACDだが、聴いてびっくり。これは何だ!? シュワルツコップの歌唱と背後のオーケストラがさらに瑞々しく蘇ったではないか。この改善効果はハイブリッドのCD層でも確認できるので、SACDプレーヤーを所有されていない方にも是非お勧めしておきたい。久しぶりに聴いたシュワルツコップのR.シュトラウスはどの曲も彼女ならではの濃厚な味わいで聴かせるが、一例を挙げれば「東方から来た三人の王様」など、キリストの降誕に立ち会った三人の王の驚きが感動に打ち震えるかのように歌いだされていて、その熾烈な表現の強さに改めて感嘆。

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     2011/12/15

    EMIへのギーゼキングのスタジオ録音はギーゼキングらしい強靭なタッチが一応は捉えられてはいるものの、いかんせん角の丸いボケた音質になってしまっているのは当時の録音技術の範囲内では致し方ないものと諦めていた。そこで待望のSACD化である。結果は見事!! これでやっと詰まり気味の音質への不満が解消された。この改善効果はハイブリッドのCD層でも顕著なので、SACDプレーヤーを所有されていない方にも是非お勧めしておきたい。久しぶりに聴くギーゼキングの前奏曲集はやはり凄い。ミケランジェリやツィマーマンのピアニスティックに翻案された演奏もそれはそれで楽しいのだが、前奏曲集に盛り込まれたドビュッシーの革新的な響きの面白さはギーゼキングの演奏でなければわからない。

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     2011/10/13

    グルダのモーツァルトのピアノ協奏曲では定評が高いアバドとのDG盤があるが、アバドの指揮が精彩に乏しいこともあり、個人的には高く評価できない。そこへいくと、アーノンクールとのこの共演盤は、アーノンクールの主張のはっきりした指揮のもと、グルダ本来の魅力が全開。少し筋肉質でたっぷりした弾力性を備えた、そのピアノのピュアで贅肉の削ぎ落とされた美音はジャズの経験から生み出されたキーボード奏者ならではのものかもしれない。23番フィナーレの短調のサブテーマの弾き方など、涙が出るほど美しい。誠に残念ながら、グルダとアーノンクールとのモーツァルト協奏曲の録音は他に2台ピアノ用の協奏曲のみで終わってしまったが、これは相方を務めているジャズピアニストのチック・コリアともども、目から鱗の新鮮な名演。この盤は廃盤のようだが、興味のある方は是非中古盤でも入手されることをお勧めしておきたい。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/10/06

    フルートとハープ協奏曲はランパル、ラスキーヌ盤の粋でエレガントな演奏で育った耳には、朴訥で鈍い印象のピリオド演奏は受け付けられなかった。ところがこのアーノンクール盤は例外。ピリオド奏法のタドタドしさを逆手に取った演奏で、開始早々、何やら怪しげなパリの見世物小屋のショーを見る趣。この曲にはこういう側面もあったのかと、目から鱗の思い。チリンチリンと鳴る吉野直子の古楽器のハープの古雅な音色もオルゴールのようでチャーミング。通常もどかさしさが先に立つトラヴェルソのフルートも、ここではくすんだ木管の音色が全体のアンサンブルの中に見事に調和している。フィナーレのロンドのテーマではアポジアトゥーラの読み替えがあるという、ドッキリのオマケ付き。アーノンクールはただの鼠ではなかった!! 併録のオーボエ、クラリネット協奏曲もピリオド演奏として高水準のの出来だ。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/06/14

    既に所有している録音が多く含まれているが、バジェット価格なので購入してみた。作曲家別の編集なので、初めてこの歌手を聴いてみようという入門用にはふさわしいかもしれない。私にとっては現在国内盤で聴けないプッチーニ、ジャンニ・スキッキの「お父様にお願い」が聴けたのが最大の収穫。後年のステレオ録音(未CD化?)ではなく、カラヤンとのモノ録音の方が収められている。その遅いテンポでネットリと歌われた歌唱は麻薬的な魅惑を放射していて、これが聴けるだけでもこのセットを購入する価値はある。

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