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Bartokian さんのレビュー一覧 

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     2023/08/11

    最近の愛聴盤です。不覚にもハイドンのピアノソナタをこれまで敬遠してきたことを後悔しながら、またしてもハイドンの天才に打たれています。特にロンドン滞在前後の2曲(変ホ長調 Hob. XVI:49、ハ長調 Hob. XVI:50)のすばらしいこと! モーツァルト・ベートーヴェンのソナタと比べた時に何よりも感じるのは、ハイドンの音楽的知性です。ポール・ルイスの演奏は申し分のない出来で、機会があれば生で聴いてみたい演奏家が加わりました。録音はハルモニア・ムンディのこの会場(ベルリン、テルデックス・スタジオ、2017年4月15日、8月20-22日)らしく充実したものですが、同じ会場での他の録音に比べるとやや残響が多めでしょうか。

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     2023/03/26

    発売直後にBBC Radio 3 Record Reviewで紹介されているのを聴いてすぐに購入し、折に触れ聴いてコロナ禍の日々に慰めを与えられたディスクですが、改めて後半(nos. 7 Es-Dur, 16 g-moll, 9 E-Dur, 18 gis-moll, 23 H-Dur, 24 h-moll)を聴き直してレビューします。ピョートル・アンデルシェフスキは、実は第1巻よりも傑作の多い「平均律」第2巻から選んだ12曲を自分流に並べ替えています。目的の1つはおそらく、必然的にアカデミックな連想をまとうフーガを機械的な調性の順序から解放することで、弾き手にも聴き手にも自由を与えることにあったのではないでしょうか。実際、ここでは、フーガが前奏曲に劣らずリズミックな自由をもって演奏されています。たとえば第7番や第24番のフーガはほとんど舞曲のような軽やかさで進みます。かといって、第9番・第18番のフーガを聴けばわかるとおり、厳粛さ・荘重さが欠けているわけではありません。一部の前奏曲(9, 18など)は前半後半がそれぞれリピートされ、2回目は控え目な装飾音を加えられています。アンデルシェフスキのピアニズムは柔らかな美音が特徴で、それは第9番の前奏曲のように弱音を奏している時、特に際立ちます。録音(ベルリン、テルデックス、2019年12月&2020年8月)は申し分なくこのピアニストのニュアンスを捉えています。このアルバムをおおよそ40年前に発売されたマルタ・アルゲリッチのバッハ(DG、1980年)に比較するのは褒めすぎでしょうか? ざっくりした音色でほとんど即興的とも言えるアルゲリッチと、磨かれた音色で解釈を周到に練ったに違いないアンデルシェフスキとでは対照的かもしれません。しかし、前進するリズムと因習にとらわれないバッハという点でアルゲリッチを連想したのは事実です。ちなみに、ジャケ写でアーティストが着ているブランドをブックレットに明記してあるCDを見たのはこれが初めてです(草)

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     2023/03/25

    交響曲第6番についてレビューします(評価の星もこの曲の演奏に対してです)。現時点では、シカゴ交響楽団とのこの録音(シカゴ、オーケストラ・ホール、1979年2月&1980年2月)は、このマーラー全集と最近出たDGアバド全集でしか入手できないようですね。なんとアバド&シカゴ響の8枚組セットからは省かれていて、単発でも手に入らない(シカゴ響との1, 2, 5, 7番は廉価盤で出ているのに)という、「みにくいアヒルの子」扱いの可哀想な6番。ここのレビューでも必ずしも好意的に取られてはいないとお見受けします。アナログの録音はパッとしませんね(管に比べて弦、とりわけ第1楽章のヴァイオリンの音が引っ込み気味)。私はこの演奏を、基本的に感情を表出することを目的としたものと受け止めています。もちろんアバドらしく抑制し、構造を冷静に捉えた上での感情表出なのですが、たとえば第3楽章(アンダンテ)の中間部後半の高揚する箇所での恐ろしいまでの盛り上がりはどうでしょうか。第1楽章では、再現部で第1主題が回帰してからの音の張り詰め方。そこまでの抑制はここからコーダへ向かうクライマックスのためだったとわかります。そして、まさにコーダがこの録音の白眉です。ppからffに移る箇所(第382小節、練習番号37冒頭)のシカゴ響の金管(ホルン、トロンボーン、バスチューバ)の均一で強靭な響きを聴くと、一体これほどマーラーを演奏するのに適した金管隊が地上に他に存在するのだろうか、という心持ちになります。また、コーダ終結部(第473小節、練習番号45の直前)のリタルダンドがかかったffのトゥッティの「エモい」響きといったら! 音響として輝かしいばかりでなく、この交響曲全体のエモーションをこの1小節に集約したかのような表現です。1970年代終わりのアバドが打ち立てた金字塔と言ってもいいでしょう。アバド全集で再聴しましたが、ジャケットがLP初出時の「孔雀の羽根」モティーフの色調を忠実に再現していてホッコリしました。なお、ブックレット・ジャケット裏のトラックリストは誤ってアンダンテ→スケルツォの順に記載しています。実際には、初出時と同じくスケルツォ→アンダンテの順の収録です。

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     2023/03/24

    「アルルの女」第1・第2組曲についてレビューします。ジャケットに使われているゴッホの絵画のように独特の色彩感を持った演奏です。この頃のアバドとLSOは良い音を出していますね。特に「前奏曲」のヴァイオリンのやや暗くザラっとした触感の音色、大好きです。録音(ロンドン、セントジョンズ・スミス・スクウェア、1980年1月&ウォルサムストウ・タウン・ホール、1980年9月)はDGのアナログ録音の最末期ですが、あらゆる点で充実した音像を楽しませてくれます。このコンビには同時期にモーツァルトの交響曲第40・41番の録音(セントジョンズ・スミス・スクウェア、1980年1月&1979年10月)があり、40番と第1組曲はおそらく同じセッションで収録されたのでしょう。LSOは達者なオケですが、いかんせん響きがこじんまりしています。あの細密画のようなモーツァルトやビゼーにはぴったりです。ウィーンフィルとシカゴ交響楽団ではふさわしくない。逆に、ベートーヴェンやマーラーをLSOで録音しようとアバドとDGが考えなかったことにも不思議はないと思います。

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     2023/03/19

    DGのアバド全集を入手して久しぶりに聴いた、「春の祭典」についてレビューします。この録音(クロイドン、フェアフィールド・ホールズ、1975年2月)を、1970年代前半のアバドの指揮スタイルのコンテクストに置いて考えたいと思うのです。この「春の祭典」の演奏には、こちらもよく知られたLSOとの録音、ベルク「管弦楽の3つの小品」(デナム、アンヴィル・フィルムスタジオ、1970年12月)との類似性を強く感じます。ベルクでは、すべての楽器の音が峻厳に屹立していて、音楽の横の流れよりも縦の独立した響きを重視しているように感じられるのですが、この「春の祭典」でも印象はほとんど同じです。第1部冒頭のファゴットのソロから、第2部序奏の管・弦の冷え冷えとした響きを通って、最後に(やや遅れて)裂ぱくの気合いで打ち下ろされる大太鼓まで、アバドは独特のモダニズム美学でこのストラヴィンスキーの作品を解釈しています。同じ時期にLSOと録音したチャイコフスキーの交響曲第5番(1970年12月)やブラームスの交響曲第4番(1973年3月)を、アバドは全く別のスタイルと音色で指揮しています。それにしても、当時のLSOはいろんな録音会場を使っていますね。この2枚組は4カ所、1980年代中頃のラヴェル選集はなんと5カ所で録音されています。まさに「流浪のオケ」です。演奏家も録音技師もさぞかし苦労が多かったことでしょう。

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     2023/03/18

    アバド&ウィーンフィルの「悲愴」についてレビューします。アバドにしては異例に熱い演奏で、限りなく「爆演」に近いのではないでしょうか。もちろんアバドのことですから音楽のフォルムは崩していませんが、第1楽章展開部冒頭の例のフォルティッシモの爆発的な音には驚かされますし、第4楽章でもアバドらしからぬ感傷性が一貫しています。この録音(ムジークフェライン大ホール、1973年10月)のウィーンフィルはとても硬い音色に聞こえます。この12年後から始まるベートーヴェン・ツィクルスの録音での同じオーケストラの音色の柔らかさとは対照的です。すぐに連想したのは、同時期にDGが録音したカルロス・クライバーのベートーヴェン交響曲第5・7番(1974-76年)です。この頃のDGには、新進の指揮者にウィーンフィルを強引にドライブさせた録音シリーズを作ろうというコンセプトでもあったのでしょうか? もっとも、楽団員は「これや! こういうのを待ってたんや、アバドはん!」とウィーン訛りのドイツ語で言いながら、嬉々として演奏していたのかもしれませんが。

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     2023/03/16

    オリジナルカップリングの第93番+第101番で聴きましたが、第101番についてレビューします。まず、録音の澄んだ響きがすばらしい(ウィーン・コンツェルトハウス大ホール、1988年11月)。次に、ヨーロッパ室内管弦楽団の音色。第1楽章提示部主題のヴァイオリンが軽やかに奏する上行音階の何と気品に満ちていることか。第3楽章トリオでティンパニが弦・管と同時に入るタイミングと響きの良さ。最後に、アバドのハイドンは全般的にアバド流の味つけが濃いのですが、第101番の料理が録音された8曲の中で最も成功しています。第1楽章の気品にはすでに触れましたが、コーダで軽くアッチェレランドをかけるやり方。第3楽章メヌエット主題の歌わせ方の巧みさ。第4楽章展開部=再現部の弦だけで奏される、精緻な対位法で処理された主題の箇所。これは、ハイドンの交響曲の数多ある名録音の中でも五指に入ると思います。ハイドンの天才を理解させてくれると同時に、アバドの才能の大きさを感じさせる演奏です。やはり1980年代後半がアバドのピークの1つだったのでしょうね。

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     2023/01/04

    20世紀後半−21世紀初めのヨーロッパ音楽界を代表する指揮者の1人Claudio Abbado(1933-2014)に最大限のトリビュートを手向けたドイツ・グラモフォン(DG)に敬意を表して、高価ではありますが、40年来のアバドファンとしてはポチらざるをえません。DGのページによれば販売わずか2,650セットとのこと、まさに“labour of love”ともいうべきこの企画を立てたDGに感謝したいと思います。まだ現物を見て・聴いていないためコンセプトについて書くしかありませんが、DG・デッカ・フィリップスに録音した音源はほぼ網羅されているでしょう。もちろん、漏れはあります。晩年のマーラー室内管との自由闊達な録2枚の録音、ブラームス「セレナーデ」第1番(+ナタリア・グートマンのシューマンVc協)とコーリャ・ブラッハーのストラヴィンスキー&ベルクVn協はイタリアDGからのリリースのためか省かれています。また、他レーベルゆえ当然ですが、すべてベルリンフィルとの名盤、ヒンデミット「室内音楽」、ザビーネ・マイヤーのモーツァルトCl協、ムソルグスキー「ボリス・ゴドゥノフ」、チャイコフスキー交響曲第5番、モーツァルト交響曲選集、一連の企画もの(ヘルダーリン、プロメテウスなど)もここにはありません。ともあれ、3種類のブックレットを含む、指揮者についての資料的価値も持つセットの到着を楽しみに待ちます。個人的には、まず、古いものではLSOとの(CDで入手しそこねた)リヒャルト・シュトラウスの交響詩、思い出深いモーツァルト交響曲第40・41番などを再び聴くことにし、新しいものでは(怠慢で入手しなかった)モーツァルト管とのシューマン交響曲第2番・シューベルト「グレート」、ルツェルン祝祭管とのブルックナー第9番などを初めて聴くことにします。アバドは個性的な指揮者だったと思います。最近BBC Radio 3で流れる演奏を聴いて、「これは誰の指揮だろう?」と思っているとアバドであることが多いのです。曲自体の良さを引き出す能力を備えた稀有の音楽家でした。

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     2022/05/04

    明るい音色と速めのテンポで演奏される、溌剌としたハイドンです。たとえば第1番第1楽章提示部・再現部でのクレッシェンドなど、これまで耳にしてきた演奏とは一線を画していいて、「え、これが作品76?」と驚きます。同時期に出たThe London Haydn Quartetの作品76とは好対照です。じっくりとしたテンポで弦の音色の肌理を聴かせていく後者も捨てがたいのですが…。ともあれ、この作品が好きなリスナーなら一聴して損はないでしょう。

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     2020/04/26

    どれもすばらしい演奏でした。昔のグリュミオーやジャンドロンによる録音に馴染んでいた耳には、全く別の楽曲のように聞こえる。ここで演奏している中堅音楽家たちは本当に感性が鋭敏で、一瞬たりとも退屈な瞬間がないと言っても誇張ではない。最初なので通して聴きましたが、本来なら1曲ずつ集中して聴くべき演奏。1つだけ特記するならば、イザベル・ファウストのヴァイオリン・ソナタ。ややゆっくりしたテンポで、音色に極度に繊細な配慮を施しながら奏していく。また、録音がすばらしい。このレーベルの最近の録音は優秀ですね。3つのソナタの間にドビュッシー晩年のピアノ小品を配する構成も粋です。

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