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烏 さんのレビュー一覧 

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     2009/09/21

    ヤナーチェクの音楽はいろいろな意味で、新たな転換点に立っている。この『イェヌーファ』もまた、オペラに新しい可能性を開いたように思う。特に人間の中に内在する情念を顕在化させるドラマとして描かれ、成功を収めたのがこの作品だ。タイトルロールを演じるニーナ・シュテンメは第1幕では地味な存在にすぎないが、第3幕では大いにその存在感を増している。もっとも、そのためには彼女の義理の母役のエヴァ・マルトンの力量が不可欠であったのだが。これに比して、男声2人はやや影が薄いか。演出については、各幕ごとに舞台に上げられた石がシンボリックな役割を担わされているのだろうが、これは成功しているとは言い難い。演奏は、時にもう少し鋭角的であってもいいと思うのだが。第3幕の序曲などは抒情的で美しいのだが、やや物足りなさも感じさせる。映像は技術的には美しいが、美術的には単調さを免れない。

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     2009/09/20

    そもそもこの『つばめ』自体がプッチーニのオペラの中ではややマイナーな存在だが、ここでヒロインのマグダを演じ歌うアイノア・アルテータも、そしてワシントン・ナショナル・オペラのいずれもが、これまではあまり知られていない存在である。しかし、このDVDはなかなかの拾いものであった。まず、アルテータがはまり役と言っていいくらい、マグダにぴったりなのだ。ジャケットの写真は映りが悪く(どうしてこんなのを採用したのかと思う)、実際はずっと綺麗でチャーミングだ。歌も演技も悪くない。ただし、一方のルッジェーロを演じるマーカス・ハドックは容姿は冴えないし、歌も特徴がないのは残念だが。演出は良くも悪くもリアリズムを基調に、豪華な舞台をしつらえたメトロポリタン風(ただし、万事に小型だが)。色彩と音質はすばらしく美しい。演奏は可もなく不可もなくといったところか。

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     2009/09/19

    みなさんいずれも絶賛していらっしゃるので書きにくいのですが、台本はいかにも歌うために書かれたという感を否めず、随所に無理や破たんがあるように思う。それが気にならないのであれば、ドミンゴのアリアもテ・カナワのアリアもともに美しく歌いあげられており、聴きどころは多い。フリードリヒの演出は意外にオーソドックスだが見ごたえはあるし、シノーポリの音楽も実に見事だ。ただし、1983年製作ということもあり、音質はやや劣るし、映像は鮮明ではあるものの、褪色したような色合いであり、この点での古さは免れない。

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     2009/09/17

    『三部作』の構成等については諸説あるようだが、プッチーニの意図はどうもよくわからない。見て面白いのは『ジャンニ・スキッキ』だろうし、ヴェリズモ・オペラとして捉えるなら『外套』がもっとも訴えかけるものが多いだろう。もっとも、トスカニーニはこれらの作品が大嫌いだったらしいが。全編を通して出演するアマリッリ・ニッツァだが、私見ではやはり『外套』でパリへの憧れを歌う彼女が一番か。演奏はやや凡庸。音質は良好で、映像は極めて美しい。

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     2009/09/16

    従来のオペラ観からは大きくはみ出る作品だ。テーマも、オペラとしての作曲技法の上からも。劇の全編を一貫して支配しているのは暴力であり、どうすることもできない逼塞感である。シェローの演出はこうした情念を見事に可視空間として提示した。出演者一同の演技力のレベルは驚くほど高い。ブーレーズの音楽は淡々と進行するかのようでいて常に緊張感を失わず、圧倒的な力を感じさせる。MCOもまた若々しい力演だ。音質、映像の美しさともに文句なし。

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     2009/09/15

    元来は19世紀後半の作品だが、それをすべて現代のパリに置き換えた演出。まったく違和感がないのはパリの持つある一面が今も共通するからだろうか、はたまたペリーの演出手腕なのか。これを見ていると、パリは現代のバビロンかと思ってしまうし、次にはストイックなオペラを見たくもなる。しかし、全編にわたって素晴らしいスピード感と躍動感に溢れ、ルーランの音楽も見事にこれに応えており、他ではなかなかに得難い作品である。なお、映像の美しさはDVDでは、ほぼ最高のレベル。

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     2009/09/15

    エンディングは『指輪』全編を締めくくるにふさわしく壮大で実に感動的だ。まずは4時間余りの長丁場を歌いきったジョーンズにブラボー。ここでは白一色のコスチュームだが(ワルキューレの戦士の服よりもジョーンズにはこちらの方が似合う)、それはまさしく彼女が巫女たることを表象しているのだろう。しかも、天上と地上と地下世界のすべての運命と悲劇とを一身に背負って、まさしく供犠として彼女は炎の中に身を投げるのである。音楽、映像ともに満足度は極めて高い。

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     2009/09/14

    このDVDを見ると、ロッシーニはやっぱりブッファだと思う。ここでの歌手陣は粒揃いで、穴がない。特に一人を挙げるなら、やはり主演のラーモアが光るだろう。舞台はシンプルだが、コスチュームは赤と緑のイタリアンカラーを基調にみごとに華やかだ。セルバンの演出も洒落ていて、これはパリのセンスだろうか。カンパネラの音楽も1幕の序曲からロッシーニサウンド全開だ。録音はもう少し明るさが欲しい。映像は文句なし。

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     2009/09/13

    タイトルロールを歌うユングだが、容姿も演技も(声もまた幾分か)なんだか腕白小僧みたいな趣だ。単純で直情径行なジークフリートだからこれでいいという気もするのだが、できればもう少し上背と、そして声と演技に深みとがあればと思う。ジョーンズのブリュンヒルデは、声量を含めて歌唱には概ね満足なのだが、これも贅沢を言えば、もう少し若ければと思わずにはいられない。なにしろジークフリートと対峙する場面では、お母さんに見えかねないのだから。演出については、3幕冒頭のエルダ登場の場面は、なんだか芋虫みたいで威厳がない。禿(ハゲ)の鬘もどうかと思う。知性を強調したかったのだろうが、成功しているとは言い難い。ブーレーズの音楽はここでもますます快調。

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     2009/09/13

    ギリシャ悲劇『メデア』を現代に置き換えた演出だが、この場合はそれが成功しているとは言い難い。なぜならば、メデアは単に個としての存在ではなく、共同体や民族、はては神々の体系までをもその背景に背負った存在だからだ。それを現代の個として表現してしまうと、ありきたりの嫉妬の物語に還元されかねないからにほかならない。たとえば蜷川のギリシャ悲劇の表現などは、こうした方向とは全く正反対のものだ。タイトルロールのナントッチはよく歌ってはいるが、やはり個性の強烈さを主張するには至らない。劇全体の表現もそうだ。なお、映像は美しいが、演出とともにこれもやや個性には欠ける。

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     2009/09/13

    ジークムントは1982年のバイロイトでも『ローエングリン』のタイトルロールを歌っっているホフマン。体格、声の質ともにヘルデンテノールとしてはやや線が細いが、逆に抒情的な側面もあり繊細さもあるジークムントだ。この時点ではベストか。アルトマイアーのジークリンデはホフマンと釣り合いはあまりよくないものの、単体としては悪くない。シュヴァルツのフリッカ、サルミネンのフンディングなどの脇役陣の歌唱は立派だ。さて、ここでのシェローの演出だが、2幕の大振り子のアイディアは秀逸。また、3幕エンディングの赤々とした光に照らしだされる断崖は、終末の予感のうちに滅びの美をたたえて悲壮である。ブーレーズの音楽は金管を咆哮させるタイプの演奏ではないが、響きも美しく端麗だ。低弦がもう少し荒っぽくてもとも思うが。

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     2009/09/11

    フローレスとチョーフィ2人の歌の聴きどころ満載のDVDだ。まずフローレスだが、高音の美しさと技巧の安定度は抜群だ。カルロ・フェニーチェ劇場が拍手の嵐となるのももっともだ。ただ難点を言えば、似合っているとは言い難い髭(これは個人的な好みの問題かもしれないが)と、フランス語の発音が今一つうまくないことだろう。フランス語に特有の鼻母音が響かないのだ。その点で一方のチョーフィのフランス語は美しい。もっとも、こちらはやや音が籠もる欠点があるのだが。それでも歌の実力はたいしたもので、こちらも万雷の拍手喝采に包まれる。フリッツアの音楽、音質、映像ともにハイレベル。

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     2009/09/10

    シェローの舞台は30年近くを経た今も古びてはいない。そして、その一方では古典的な風格をも感じさせるようになった。また、ブーレーズのオペラでは、かつてアンチ・ワーグナー、ドビュッシーの『ペレアスとメリザンド』の名演があったが、ここでは真っ向からワーグナーを壮麗に響かせている。
    出演陣の中での注目はやはりツェドニクのローゲか。なお、1980年の収録であるが、映像(一応の水準)、音質(こちらはかなりハイレベル)共にレベルは高い。

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     2009/09/10

    ここで特筆すべきは、収録時に弱冠26歳の指揮者ハーディングと、こちらはベテランの演出家リュック・ボンディの2人だろう。互いにうまく響き合ってマーラー・チェンバー・オーケストラと共に瑞々しい世界を作り上げている。ソプラノのドランシュは、2002年にはやはりハーディングと『ドン・ジョヴァンニ』を、また2003年には佐渡裕と『椿姫』をいずれもエクサンプロヴァンス音楽祭で収録しているが、この『ねじの回転』が最も成功していると思う。音質、映像(遠景では時に不鮮明だが)ともに美しく、コストパフォーマンスは高い。

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     2009/09/09

    まず何よりも、ロバート・ウィルソンによる高度に様式化された演出と、抽象化された舞台が目を引くだろう。それはあたかもギリシャ悲劇を能の表現形式によって演じたかのごとくである。プロットと、そもそもこの劇の性格からすれば、それは十分に的確で説得力もあるといえるだろう。音楽そのものはガーディナー畢生の名演と言ってよい。オーケストラは「オルケストル・レヴォルショネール・エ・ロマンティーク」が起用されているが、これがまた指揮者と一体となって見事な様式美を形作ることに成功している。映像も美しく音響もクリアだ。

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