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John Cleese さんのレビュー一覧 

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/02/25

    この製品より一足先にリリースの第4番〜第6番のシングルレイヤーのものと合わせてこのところ毎日聴き入っております。往年の名盤が、これまた素晴らしい音で蘇って感動しております。以前からSACD化が最大に効果的なのはアナログ円熟期の70年代中・後期の録音ではないかと思っておりましたが、事実素晴らしい効果を上げているのが本ディスクではないでしょうか。なにより音場が広大で奥行きもたっぷり、楽器間の遠近感の再現など感心するほかないですね。CDとの差は明瞭です。もう戻れません。第5番のクライマックス、通常CDでも迫力は凄いですが、こちらは余裕のある鳴り方で少しもうるさいと感じません。第8番の両端楽章を聴いていて、この緻密さ、一つ一つの音が空間に広がっていく際にその微妙な重なりすらもカラヤン先生は計算しつくしていたのだなあと、いままで40年もLPとCDで聴いてきた演奏なのに、今回初めて気が付きました。実は、なんと8番の第1楽章、第4楽章では、一瞬ですがカラヤン先生と対局の位置を占めていると思われたチェリビダッケ先生の有名な90年東京ライブを聴いているような錯覚すら覚えたのです。響きそのものに恐ろしいほどこだわっている点ではこのお二人の大先生はそれほど隔たったところにはいないのでは、とそんなことすら考えさせる衝撃の新盤です。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/02/03

    これでもかという程の、むせかえるような美音が波状に次々と押し寄せ、難しいことは一切言わずにこの快感に身を委ねるのが一番ですね。第二、第四楽章が本当に官能的でロマンチックな響きの「夜の歌」になっています。ショルティ先生のクソ真面目な「真昼の歌」と真逆の世界。ただしショルティ先生の場合は真面目にやりすぎてかえってこの楽章の屈折したユーモアが浮き出る場面があるのですが。今のヤンソンス先生とコンセルトヘボウなら当然こうなるであろう、という予想の通りにことが運び、大変美しい音楽が出来(しゅったい)しています。満足ですが、「予想通り」という点が一点減点です。「予想以上」ではないのです。贅沢な要求でしょうが、マーラーなんだからさ、もっと悩ましいところか、あるいは第七なんだからさ、どこか喉に引っかかるようなところがあってもいいじゃないか、など文句があってもいいかもしれません。文句のつけようがない、ところが文句ですかね。朝比奈先生の八方破れのライブやテンシュテット先生の暑苦しさが懐かしい・・・このコンビのマーラーはすべて聴いてきましたが、器楽のみの第五、第六がなんとも微温的な出来で、一言でいえば淡泊なんですが、この第七は録音の優秀さ・生生しさも加わって、前二曲では曲の外側に立って、少しよそよそしかったヤンソンス先生がここでは踏み込んでいる感じで、それらを完全に凌駕する出来栄えです。前述のようにあまりに楽天的なところが減点ですが、これは以前のリリースにも共通することですから、これも個性と考えたほうがよいのかもしれません。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 8人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/12

    待望久しかったヴォツェックとルルのCD化、それだけで買いです。少なくとも私は。かつての名録音が続々と復刻しているのに、他の方も指摘しておられますが、なぜかベーム先生のヴォツェックがカタログになく手に入らない状態が長らく続いておりました。ヴォツェックは、私のとってはアバド先生とかドホナーニ先生の盤ではなく、ベーム先生盤なのです。昔のLP、豪華な箱入り輸入盤は今も自宅に保存しております。幼い日、ジャケットの青白いフィッシャー・ディースカウ先生のお顔が怖いのなんのって。ホラー映画のポスターより怖かった。ブーレーズ盤とならんで十代の大昔からの愛聴盤がどうCD化されているか楽しみです。ブーレーズ先生のLPは国内盤ですが、やはり立派な箱入り、懇切丁寧な冊子分厚い解説書で。昔は贅沢でした。今は別の贅沢ですね、一つの音源に贅を尽くすのではなく、音源の数で贅沢ができます。フィッシャー・ディースカウ先生のあのホラージャケットもついにミニチュア版でお目にかかることができます。

    8人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/02

    いまだレヴューが一件も無いのが不思議に感じられるほど素晴らしい演奏です。悠然とした、まさに巨匠芸ともいうべき堂々たるテンポ、ライブの粗さなど微塵も感じさせない菅と弦の緻密で絶妙なバランス。ここで焦って盛り上げてやろう、引っ張ってやろう、などというあざとさが皆無であるだけに、作品そのものに対する敬意が感じられ、私は大変感銘を受けました。実演は聴いておりませんので、生演奏に接した方々とは感想が異なるのかもしれませんが。
    最後にこれが日本のオーケストラであるとは信じられない金管のいぶし銀のような音色も素晴らしいです。一楽章の冒頭のコラールだけでこれは凄いと思いました。ブラインドで聴かされたら「アメリカのオケじゃないよね、これは渋いね〜やはりヨーロッパのオケでしょ?シュターツカペレ・ドレスデンあたりかな?」とか言ってしまいそうです。

    6人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/02

    HMVウエブ上の案内とまったく異なるデザインのジャケットのLPが届きました。しかしこれは嬉しい間違い。カスリーン・フェリアー先生の大変美しいポートレートのジャケットでした。これだけでも購入する価値があります。LPは昔廉価版で英デッカから出ていたものを持っていますが、それと比べても厚みのある暖かで穏やかな音質となっております。内容はいまさらあげつらうまでもありますまい。フェリアー先生の白鳥の歌。英国ではいまだ「キャス」と愛称で親しまれている永遠の歌姫の素晴らしい遺産です。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 8人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/11/27

    個人的な思い入れも多い音源で、ほんとにそれ自体アートと言ってもいいくらい美麗な付加価値をもつDG輸入盤二枚組オリジナルの箱入りLPを大事に聴いてまいりました。CD時代になって(ほんの数年後ですが)カラヤン先生が同じマーラー9番をライブで出したことに仰天したのも、はや35年ほども前になるのですねえ。そのライブの圧倒的名演に隠れてしまった感のある当録音ですが、繊細・緻密で、聴きようによってはやや神経質ともとられかねない面が、かつてのLPを彷彿させるデジタル臭のないこのような柔らかな音で聴くとかえって新鮮です。CDの音はつまり気味であまりこの録音の良さを生かしておりません。このSACDと比較するとよくわかります。CDの団子状になってしまった音の塊が、今回シングルレイヤーSACD化によって「綺麗にほぐされた」という印象です。細部までよく聴こえ、ダイナミック・レンジの桁外れの幅の広さは、最近聴いて仰天の、歴史に残るであろう名盤と断言してもいいクルレンツィス先生の「悲愴」の最新録音を想起させるほどです。

    8人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 17人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/11/24

    驚異的な音質改善です。正直、予想を遥かに上回り、数年前に全交響曲すべてそろえたシングルレイヤーSACDよりもいい。かれこれ40年近く経つオリジナルLP時代。30年くらいになる初期CDからずっと気になっていた「音場の狭さ」が一気に解決しました。その点が特に気に入らなかった9番がかなり広大なパースペクティヴを得て、生まれ変わったようです。バーンスタイン先生の創る気宇壮大な音楽に釣り合わない窮屈な感じの音。わかります?この思い。その他、3番・5番などもムジーク・フェラインの空気まで伝えます。従来のデッドな音はいったい何だったのでしょう?ブルーレイがハイレゾは2.0ですが通常再生でも5.0なので音場が広くなったと感じるのかなと思い、CDの方と比較しましたがこっちも音の傾向は同じで、従来のデッドで窮屈な音場とは一線を画しております。
    音の悪さでは定評のあるDGのバーンスタイン先生のマーラーもこの調子でリマスタリング、ブルーレイ化していただけませんでしょうかね!下手なSACD化よりも。

    17人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/11/11

    これを「恣意的」と呼ぶのだろうか。聴きながらそんなことを考えました。いや、違う。恣意的という言葉は、オリジナルの音楽が求めている方向と異なる方向を再現者・演奏家が勝手に取り始めたときに使う言葉で、この演奏には、それは全くあてはまらない。
    いままで聴いてきた「悲愴」の演奏とは一線を画し、たった今出来上がったばかりの初めて耳にする曲であるかのように響く、この斬新な演奏。
    一聴して恣意的とすら受け止められないほど、最大限に拡大されたダイナミック・レンジ。同じく最大限に拡大された緩急のつけ方も、過激という形容すらあてはまりそうです。
    しかし「恣意的」という感じではないのです。これこそ作曲者の求めたこの曲の姿ではないか、とすら感じます。つまり、ここで再現者・演奏家は、その表現においては、作曲者の忠実なしもべとして誠実にその意図を再現する務めを果たし、その結果として、この空前絶後の名演が生まれたのでは。第一楽章が終わったばかりで、完全にノックアウトされてしまいました。あのショスタコ14番の、あのダ・ポンテ3部作のクルレンツィス先生ですから、期待はしていました。でもそれを上回る出来です。
    いまどき「悲愴」を聴いてこんなに衝撃を受けるとは・・・個人のランクではマルケヴィッチ大先生のベルリン、ロンドン両名盤をしのぐ「悲愴」の出現です!

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/10/03

    近年のヒストリカル放送録音などからの復刻ものでは屈指の充実感を味わいました。収録の3曲とも音質も良好。5番は50年代にはまだ珍しい原典版。当時はクナ大先生やクレンペラー大先生のように、カットが多く現代の感覚では到底受け入れがたい改訂版での演奏が一般的だったことを考えると、さすがカラヤン先生は慧眼であったなと感心します。基本的な解釈ははるか後年のベルリン・フィル盤と同じ路線でブレがない。音は、モノラルですが聴きやすく、決して聴き手に我慢を強いる類のものではありません。そして第8番。ステレオ録音。これも後年の解釈と同じで、すでにカラヤン先生のブルックナー像は確立されていたのですね。深淵、かつ連綿たる情緒のアダージョ、そして怒涛の第四楽章クライマックス、金管の強奏で「死の告知」が戻ってくるところなど後年のベルリンもウィーンも凌ぐ戦慄の大迫力。大団円の充実感は言わずもがな。この値段でこれだけの満足感。コストパフォーマンスが素晴らしいです。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 18人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/09/17

    内容はもう昔から定番の有名なものばかり。ですのでここは音質の話が中心です。ほんの少し以前にショルティによる旧デッカ録音の集大成がでたばかりで、その第一集もかなりの音質向上が見られましたが(第二集以降は資金不足か、新マスタリングなしで旧リリースから向上なし)今回はウィーンでの録音などを間引いてシカゴ録音に特化したものです。こちらも昔単独で出ていたCDと比べて音質は明らかに向上しています。中・高音の角が取れ硬さが軽減され、なによりも低音の、バスドラなどの歪が気にならなくなりました。Dレンジも拡大されているような気がします。もちろんまだ108枚のCDすべてを聴いたわけではありませんが、マーラー、ベートーヴェンのアナログ時代の録音は明らかな向上です。マタイ、あとマイスタージンガーなどデジタル時代のものも少し聴きましたが、こちらははっきりとわかるほどの向上はないと感じましたが、一点、デジタル時代のライブ、ショスタコーヴィッチ10番は、昔からデッカ録音とは思えない劣悪な音質で解像度も悪くなんだこれは?と思っていましたが、これはかなりマシな音になっておりました。

    18人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/08/14

    これは凄いリマスターです。音質改良の度合いが素晴らしい。アナログ時代のオケコンのベスト盤と信じて疑わないクーベリック〜ボストン響が目の覚めるような高音質で蘇りました。すでにほんの数年前に廉価版CDのエロクエンスから復刻が出ていますが、従来のマスターを使用しているだけですからこのSACDとは比較になりません。かなり音量をあげてもいささかも本来のアナログのオリジナルの優美さは決して損なわれることなくシンフォニーホールの空気まで見事に捉えております。この後、70年代から80年代、さらにデジタル時代となってどんどんDG録音はこういった優美さを失って、ただキンキンとうるさい音を提供するレーベルとなっていきます。当時も不思議でしたし、今も不思議です。何でこういう録音ができなくなったのでしょうか?

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/06/03

    待望久しいアバド先生のマーラー第6、シカゴ響との名盤のSACDシングルレイヤー盤の登場です。予想ではつい先だってSACD化された第5番の次に来るのは第7ではないかと思っていましたが、それは予想外でしたね。角笛3部作を順番通りはやらないだろう、たとえばカラヤン先生のチャイコフスキーのSACDシングルレイヤー化でも、後期3大交響曲をさしおいてコッチを先にやるのかよ!と驚きの技を繰り出すユニヴァーサルさんの企画方針は読み切れないものがございます。
    しかし、予想した通りになったのは見事な音質改良のほうでした。LP時代からのこの愛聴盤は従来のCDではとても満足のいくものではなく、シングルレイヤーのSACDならば、ここはこう聞こえるのではないか、こうあって欲しい、と思うところがことごとく現実のものとなり大変嬉しい限りです。なかなかシングルレイヤーSACD化されても予想を裏切られることも多いのですがね。。現に第5番の方はなにか冴えなかったですね。でも今回は大満足の出来でした。次は是非、第7を!アバド先生のベルリン盤もSACDで愛聴盤ですが、シングルレイヤーではありませんし、ハンマーの登場で初めて桁外れのDレンジの広さを思い知る瞬間以外は、意外に大人しい印象の方が強く、やはり若きアバド先生がシカゴをバリバリ鳴らしている当盤に手が伸びてしまいます。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 14人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/11/22

    本日、届きました。本商品の購入を検討されている方々は、すでに既発売の録音はお持ちの方が多いと察しますので、演奏内容についてではなく、気になる音質向上の件に関して申し上げます。SACD化は期待通りの結果です。もともと優れた音質の録音であり、既発売のCDでも十分楽しめるものでしたが、オーケストラ部分はより一層ディティールが明瞭になりましたが、刮目すべきは歌唱の音質!これがまた伸びやか、かつ立体的なのですね。古いモノラル録音で立体的っていうのは矛盾しているようですが、実際そうなのです。今、ジークフリートの三幕にさしかかっていますが、ほとんど60年前の録音とは信じがたいレベルです。私は指輪全曲盤を入手するとまず最初に聞くのがジークフリート一幕の「ノートゥンク、なぜお前は折れたのか」から一気に三幕の前奏曲までなのですが、この時期のモノ・ライヴではあまり聞こえてこない残響成分のいわゆるバイロイト・トーンすら感じられます。ステレオであってもベーム先生の60年代ライブではあまり感じ取れないですね。これもSACD化によるものでしょうか。三幕の前奏曲。90年ごろ、バイロイトでご一緒した故宇野先生(ドイツ文学の道義先生、お兄様の方ではなく)と交わした会話、「指輪の中でピンポイントでどこがお気に入りですか?」「ジークフリートの三幕の前奏曲ですね」「おお!僕もです。短いけど、カッコいい音楽ですよね〜」をふと思い出しながら聴いております。

    14人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 10人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/11/07

    映画ファンでもありまして、メディアが新しくなるたびに「アラビアのロレンス」だとか「ゴッドファーザー3部作」、あと黒澤・小津ですかね、VHS→LD→DVD→BDとコレクションを買い替えて総入れ替え。こんなことに人生のエネルギーと金を費やすのはほんとにバカバカしいのですが、止まらない。そしてフルヴェン先生のヒストリカル音源もしかり。ウラニアのエロイカ、バイロイトの第九、戦後復帰の運命、5月25日も27日も、ブル8も44年49年54年しかもそれぞれ別の日のテイク・・・いったいそれぞれ板起こしだのSACDだの一体何種類買わせる気か?
    ・・・って、それなら買わなきゃいいだろう、と健常者の方々は簡単におっしゃるでしょう。それはその通り。病気の自分が悪いんです。ここにきてさらにリング、すでにローマはSACD化されているのですが、ミラノがついにSACDですか。ローマもミラノもLP時代から何種類も買っているのに・・・他の方も書かれていますが、音質がどれだけ向上しているか、それだけ。広告の写真のジャケット写真は昔出たミラノ国内盤リングと同じ。いや〜な予感。ウラニアなんかと違ってセットですから値が張る。実は同時発売のクナの57年バイロイト・リングは迷わずクリックしました。音は普通のCDの時でも十分いいですからね、期待できます。しかしこちらは・・・フルヴェン・ミラノは音悪いからな〜実は昔のLPまともに聞きとおしたことありません。耳が痛くなって。そんなわけでこちらいまだ迷っています。なんと罪作りな・・・

    10人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/07/10

    昨年、実際にバイロイトで本演奏を観ましたが、映像作品としてリリースされるとかなり印象が異なります。もちろん歌手の出来やティーレマン先生の紡ぎ出す音は生演奏と同じく感銘を受けましたが、平土間の2列目という舞台がよく見渡せる席で見たにもかかわらず、その時は気付かなかった細かい歌手の表情、動作まで明瞭に提示してくれるのはやはり映像作品の強みですね。映像では、実際の劇場ではとてもここまでは見えないという細部まで見えてしまい、イヴリン・ヘルツゥイスさんもさすがにお年相応に見えてしまいますが、実際の舞台ではそのような音楽以外の要素はまったく気なりませんでした。それに舞台が実際よりも明るい。第二幕の「夜」もこんなにはっきり見えてしまうのはいかがなものか。第三幕も紗幕があってよく細部が見えなくてもどかしい(以前のハイナー・ミュラー演出をおもいだしました)実際の舞台よりもよく見えます。やはり映像作品は舞台とは別物と考えた方がいいなと思います。
    第二幕、マルケ王に囚われたトリスタンが目隠しされて跪かせられる姿は否が応でも昨今の、テロリストによって処刑される直前の人質を連想させます。一貫してマルケ王は悪役にされています。フンディング並みです。一般に不倫の話は妻に裏切られる立場の人が高潔であればあるほど、モラル・ジレンマは大きくなり、主人公たちの悩みも深くなるわけですから、私はこういう演出は如何なものかと。カテリーナにしては極端な読み替えはありませんが、全てが終わって最後にトリスタンの亡骸と当惑するブランゲーネだけが舞台に残るという演出は初めてです。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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