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harekazuya さんのレビュー一覧 

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/09/20

    セル、サヴァリッシュ、シノーポリなど定評のあるものを聴いてもどうも正体がつかめないような、手からするりと抜け出てしまうような、とらえどころの無い感覚を持っていました。この演奏ではじめてシューマンの交響曲の素晴らしさに出会えました。夢幻的な表情と現世的ともいえるような音の運動性が波状的にやってきて、渦にまきこまれます。行方も知れず流れに身をまかすと、一切の束縛を離れた一つの究極の到達点へと誘われます。柔らかく、暖かく、胸が熱くなるような世界です。交響協曲を構造物としてみた場合には欠陥のある世界であり、アンサンブルずれを指摘できる演奏かもしれまん。けれどこの微妙な音がもたらす豊かなニュアンスこそ今のアバドがもとめるものであり、それによってアバドはこの世では稀にしか到達できない世界の住人になっていると感じます。そして聴く私たちにも生きることの素晴らしさとして、その一滴を受け取ることができます。アバドはいったいどこまでいけるのでしょうか。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/04/23

    現代楽器、古楽器といったジャンル分けの先をゆくような演奏です。一番は当初の18世紀オーケストラを思わせるような小気味の良い音で、見通しの良い強奏とゆったりした表情の弱奏のコントラストで心地よく、この曲のベストの演奏と感じました。3番はそれに比べると少し物足りない感じがありました。
    ギレリス/セル/ウィーンpやグルダ/シュタイン/ウィーンpに耳が慣れており、もっとロマンティックな感情のひだを求めてしまいます。しかし何度か聴くうちに、ベートーベンが求めたのはむしろこちらの端整で真っ直ぐな表情なのかもしれないと思えるようになりました。今後の4番などにも期待がかかりますが、ソナタの全集にもぜひ取り組んでもらいたいと思いました。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/02/09

    こうしてまとめてセルの録音が手に入れられるのはとてもうれしいことです。1970年の来日時からセルを聞き続けている私は、ウィーンフィルとのブルックナーの7番とウォルトン他の入った2枚以外は所有していますがとても魅力を感じます。どなたか音質の評価を教えていただければ幸いです。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/12/11

    ヴェデルニコフのピアノは、時折オーケストラを聴いてるようなに気になります。一音一音が独立し、生きた調べを奏でているようです。10本の指全てが違う響きを達成しながら全体として調和のある世界を組み立てられるピアニストの頭の中はいったいどうなっているのだろうかなどと想像しても、私のような凡人にはまったく理解はできません。けれど音楽は極めて説得力があり、もし私にピアノの才能があるならこんなドビュッシーが弾きたいと思わされます。透徹しながら、微熱をおびているようになまめかしく、静かにけれど確実に胸に迫るものがあります。感覚的悦びを通り越し、存在の脆さを自覚しながらも内で燃える炎を見据えるくもりのない視線を感じます。こんな知的なピアニストにははじめて出会いました。知性も極めれば感覚や、本能や、存在の意味までを現すことができるのだなと改めて知らされました。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/11/17

    音にはまったく刺激がないのに、知的にはこの上なく刺激に充ちた演奏です。
    聴いていて肉体的な高揚感がありません。
    けれど内に燃える炎は強く光ります。
    ベートーベンが当時のオーケストラを、リハーサルも練習もいい加減で怒っていたという話がブリュッヘンのインタビューにでてきましたが、もしかしたらベートーベンが求め、憧れていたてのはこういう世界なのだろうと思いながらも、むしろそれゆえにベートーベンの体質からもっとも離れた演奏なのかもしれないとも感じました。
    触れることも、変える事もできない精神というものは、伝染性を持っていてそばにいるものを染めていきますが、この演奏はそうした意味で精神そのものと思いました。
    ベートーベンの演奏にまた新しいページが拓かれたことには違いありません。
    きっと長く聴き続ける演奏となるでしょう。

    7人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/08/12

    目が覚めるような鮮やかな音色とアンサンブルです。特にデュティユーからラヴェルにつながっていくところの、ふるいつきたくなるような美しさには言葉もありません。外に向かい拡散するエネルギーが分光器によって撒き散らされるように鮮烈にきらめきます。メロスの集中とはある意味対照的で、ドビッシーを主に楽しみたいときはメロスを、ラヴェルを聴きたいときはアルカントをと、贅沢な楽しみ方をしています。なんと幸せかことでしょうか。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 8人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/07/20

    10枚目の30・31・32から聴き始めましたが、違和感を覚えました。完璧に美しいのですが、ベートーヴェン聴いてる気がしないのです。鼓舞したり、共感に持ち込む要素がそぎ落とされています。最高のパントマイムか、剣豪の無駄のない動きを超スローモーションの画像で見ているようです。そして、最初から聴き始めました。初期のソナタにはまったく違和感がありません。フォルテピアノの音を意識したような右手の少し強い音も効果的で、ベートーヴェンの気概や新鮮に音楽に向かう姿勢が感じられます。聴き進むうち、このアルバムはベートーヴェンの音楽表現の成長と、精神の純化の形跡を、完璧な音で表現しようと言う壮大な試みなのだと理解しました。力づくではないのに壮麗きわまりない「ワルトシュタイン」など、いくつかの峰々を超え、また最後のCDに戻ってきました。今度はまったく違和感がなく、クールと感じられた表現が、ぬくもりと血の通ったものになり、静かに充実感を持って音楽に向き合えます。ベートーヴェンの成長感じることで、私も少し成長できたなと思いました。音楽にできることの最高のものがここにはあります。

    8人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/07/14

    前にレビューを書かれている方々の文章のあまりの面白さにつられて購入しました。私はショパンを聴くと不快になることが多く、ショパン音痴と思っておりました。それでも、ペルルミュテ、アラウ、ヴァーシリィ、アンスネスなどには親しんできました。最近それがある種の響きが達成されているか、否か分かれ目なのだと自覚するようになりました。その響きが聴こえず、音のアタックを連ねて雰囲気や、陶酔を演出するものに嫌悪感を感じてしまうようです。
    このポミエの演奏は両方を一度にやっているように感じます。アタックの瞬間の音を耳に残しながら、その後に響きでそっと、じわっと入ってくるのです。しかし決して感傷的ではありません。共感があるとしたら、ショパンの革新性を見つめる冷徹な眼差しがあるだけでしょうか。たまらなく美しい瞬間が多くありますが、うっとりするより、笑ってしまいます。こんなのありかという新鮮な驚きと、突き放しながら真摯に音楽に向かうポエミの真面目さ、それらを下品にならずにやってしまう人としての柔らかさへの感嘆などが入り混じった笑いです。本当に面白かった。ショパンが苦手な人にこそお奨めしたいアルバムです。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/06/10

    名盤が目白押しのこのカップリングですが、これほど美しく歌い、切実にリズムが刻まれている演奏を他に知りません。カベーの同時代の空気感とももちろん違いますし、ジュリアードの乾いた叙情とも違います。ハーゲンの穏やかなみずみずしさとも違うし、アーバンベルクの突き放し客体化された音とも違います。過去から現在を見ているのでもなく、現在から過去を判断しているのでもありません。しかし他のどの演奏よりも透徹しているのにクールでなく、今ここに生まれてきたように無垢で、痛いほど官能的なのです。時折この世のものとは思えない美しさを表出するこのカルテットのベストの演奏の一つがこのアルバムです。ドビュッシーもさることながら、音の感覚的悦び以上のものは感じたことがなかったラベルから、永遠を願う祈りのようなものが感じられたのは驚きでした。この年になるまでメロスをあまり聴いてこなかったのが残念であるような、けれど必要なときだから出合ったような、以前から知っていて求めていた音であるような、不思議な感覚に襲われます。子どものときに感じていた、自分を高い空の上から見ている自分を感じる感覚を思い起こさせる演奏です。夏の暑い日に火照った身体と心を冷やしたり、疲れて雑念から逃れられないとき、自分を取り戻すのにこれほど有効な音楽はないでしょう。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/06/04

    ブラームスの2番はLP時代からの愛聴盤で、いまだにベストの演奏の一つと思っています。ヨーロッパに帰ってからのジュリーニの演奏にはどうもついていけず、なんとはなしに遠ざかっていました。今回価格につられて買ってみて充実した音に心が満たされました。ゆっくりと歌っていても密度を失っていません。それどころかゆるぎのない確信と力強さを感じ、同時に既成のものに縛られず無心に音楽に向かう柔らかさな無垢さも兼ね備えています。音色的にはスーパーオーケストラに劣るかもしれません。しかしそれだから真摯に音楽に向かう姿勢がより強く感じられます。ジュリーニが作る大きな構えにオーケストラのメンバーたちが信頼をよせ、迷い無く集中して、確信にみちた表現を聴かせます。そういう意味ではチェリビダッケに近いものがあるかもしれません。けれどチェリビダッケに感じる息苦しさがここにはありません。きっと実生活でよい人なのだろうと想像したりします。現代では維持しにくい人間の優しさや良心に包まれたい時、それもノスタルジーやセンチメンタルという逃避は避けたい時、これほど有効な音たちはそう多くないと思います。

    6人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 10人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/06/02

    70年の来日時、私は中3でした。テレビにかじりついて「英雄」を聴いていたというより、画面に吸い込まれるように我を忘れて圧倒されていたのが思い出されます。それだけに、このアルバムが発売された当時の驚きと喜びは忘れられません。秋葉原の量販店に山積みしてあり、「これを聴かなきゃ一生の損」とコピーが添えてあって、本当にその通りと思いました。それにしてもなぜ「英雄」の方は出てこないのでしょうか。NHKがテープを紛失したと言う話は聞きましたが、誰かエアチェックをした人はいるでしょう。映像つきでも、多少音が悪くてもぜひ発売して欲しいものだと希望します。セルが、チェロのトップにいたリン・ハレルと交じあわせていたアイコンタクトも後で思うととても切なく、きっとセルの健康状態を気遣っていたのではなどと思ったのも懐かしく、しかも今もリアルに思い出す瞬間です。亡くなった吉田秀和氏も書いておられましたが、本当に何かが天に向かって立ち昇っていくように感じました。この後セルはアラスカによって演奏をしましたが、セルとは思えない内容だったと聞きます。これらは正にセルの白鳥の歌であり、20世紀の貴重な遺産だと思います。

    10人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 8人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/05/26

    以前LPで何枚か持っていましたが、今回CDで全集を買いなおしました。私の装置でもついにCDの方が音質が上回っているようで細かなニュアンスが伝わり、素晴らしい音で演奏が楽しめました。それと共に以前はドイツ的と感じていた穏やかな歌い方が、むしろイタリア的に感じられてとても興味深いものがあります。まったくコンセプトが違うアバドのライブDVDとの共通のものまであるように思います。ゆっくりと豊かに歌いながら、表現はあくまで上品です。ここぞという時の強さにも格を感じさせます。長い間に熟成させたものと、自分が本来持っているものを全て出し切り、ゆるぎない時が紡がれています。ドレスデンを出るときスイトナーは、ベルリン・シュターツカペレを絶対に世界一にしてみせると心に誓った、という話を聞いた人がありますが、この演奏がスイトナーの結論なのかもしれません。芸術作品として、一つの時代を生ききった男のドラマとして、これほど私たちを楽しませてくれるものはそう多くはないでしょう。

    8人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 9人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/05/24

    聴いて、見て、とても楽しめる演奏でした。古楽的なアプローチはもう目新しいものではありませんが、小編成のオーケストラの持つ透明なテクスチュアに奏者の自発性を加え、音楽的勢いと感興を導いています。威圧的な表現は微塵も感じられず、常に自由に音が息づいています。巨大オーケストラの一糸乱れぬアンサンブルと大音量に疲れを覚える私としては、森の中で美味しい水の泉を見つけたような清清しさと心地よさです。随所に音楽の魔法の時間があらわれます。特に2番と8番の出来がよいように感じました。現代に、そして未来に向けてベートーベンの演奏の可能性の一つを示した優れた演奏だと思えます。私にはスタンダードなセル、線が綾となって永遠へつながるヴァント、柔らかな響きに内的な密度を高めたスイトナーなどなどと共に、ベストの全集の一つです。特に室内楽をお好きな方におすすめしたい演奏です。

    9人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/05/22

    音量や量感は少し控えめですが、弱音のニュアンスが絶妙です。ゆったりとしたテンポですが、一刻一刻に微妙なうつろいや情感が詰め込まれていて、結果として心理的に振幅の大きな演奏となっています。上品で包み込むようなやさしさに溢れていますが、軟弱であったり媚びを売ったりする要素は皆無です。ブラームスの中のイタリア的な面に光をあてた演奏といえるかもしれません。シューリヒトでは早すぎると思う人、バルビローリ/ウイーンでは少し強すぎると感じる人たちにおすすめです。私にとってはセル、ヴァント、ケンペなどとともにベストの全集の一つです。なお徳間ジャパン盤での感想です。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/05/08

    ベルリンクラシックス盤での聴取の感想です。多くの方が指摘されている通り、ピッチの不安定さのようなものが多々ありました。ただし私は絶対音感はないので自信はありませんし、音ゆれというよりは録音条件の違うテープのつぎはぎで、音質差がでているように感じます。マイクのセッティングや気温や湿度での音色の差などいろいろ想像はできます。けれど音楽自体はまったく申し分なく素晴らしいものでした。節度とバランスをわきまえながら、主張すべきは主張します。現代の状況の中で知性の爪あとを残さず音楽的純度を上げるのは至難の業でしょう。そうした意味で得難いすぐれた演奏と思います。私にとっては、ベスト5に入る全集です。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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