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風信子 さんのレビュー一覧 

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     2017/09/29

    オペラ嫌いのためのオペラ・ファンタジー ロッシーニの同時代人セドラク編曲という古典作品が嬉しい 楽器の性格と音色を縦横に使い廻して 場面で主役になる声部を担わせている 一時間を超える全24曲を飽きさせないで聴かせるイタリアーノ・ディ・フィアーティはハルモニームジークとはいっても Cl・Fg・HrにObを加えるに止まらずTrp3本とヴィオローネを加えた12人編成で演奏している もう小吹奏楽団といってもいいが 歌を歌う主体はClとFgそしてObで Hrは下を支えTrpの登場は限られている それにしても音楽が微笑んでいるじゃないか ロッシーニの陽性なる音楽の心地よさは他に類を見ないなと改めて感じ入る 自由で自然な歌が泉のごとく湧き出てくる 歌のないオペラはロッシーニの旋律創作の妙を披瀝して唖然とさせる いつのまにか愉しい時間が過ぎていく お聴きになっては如何 

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     2017/09/28

    繊細にして輻輳した音楽 イタリア人にしてドイツ音楽家 誰よりも複雑な音楽を描いたブゾーニを実演で聴く機会は滅多に訪れない 決して難解な音楽ではないが重層した音塊を透明感を持って再現するのは至難 またそれを聴き取る耳を持つ聴衆も多くは居まい 均整のとれたフォルムを形成した楽曲には刺激物や虚仮威しが皆無と言っていい 大向こうは唸らせても遊興気分で座る客を引きつける見得は切らない ロマン派風の大オーケストラが古典の佇まいを崩さない この稀代の名ピアニストにして教育者は誠に品がいい 歌舞伎ではない 能楽の如き精妙にして奥深い味わいを持つ 分かる人には解る音楽なのかもしれないが聞かれないのは勿体無い この曲集にはその一部であっても管弦楽曲 協奏曲 室内楽 ピアノ曲が網羅されている アルブレヒトとタマヨの指揮するBRSOが素晴らしい ヴィトシンスキのピアノもいい これが入手困難になっているのは残念だ どこかでお見かけの折は お聴きになっては如何  

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     2017/09/27

    明るいクラリネット軽やかなファゴット豊かなホルン三者のハルモニー音楽を無性に聴きたくなる時がある 言わずと知れた人が息を吹き込んで振動を音にする管楽器演奏は歌やおしゃべりを聞いている親しさと和やかさに等しい空気に包んでくれる それがなんとも言えず心地よい 呼吸しない音楽はないけれど それがより一層近くに感じられる音楽形態が吹奏楽だろう 曲が”魔笛”とあっては堪らない 夢幻と牧歌性を持った”魔笛”の音楽に相応しい音色 しかもピリオド楽器の合奏なのだから 18世紀オーケストラ奏者たちは見事な演奏で期待に応えてくれた 巧まずして愉悦をもたらす技量にただ感嘆する 聴くわたしたちも構えず食事しながら或いは手仕事をしながら耳と気を遊ばせればいい すると心が広がり視界が開けるようだ 寛ぎのなかで縛られない心が翔び回る‥ お聴きになってはいかが 

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     2017/09/24

    隅から隅まで しかも幾度となく聞いている音楽は”プーランク”だけだ また全曲を聞いてしまった 映画も小説も一度感動すれば忘れないから そこに図書があってもヴィデオがあっても ほとんどの本もDVDも二度見ない 一部例外と”詩歌”は繰り返し見るが ほとんどは並べているだけ 所謂”積ん読”だ なぜプーランクは繰り返すのだろう しかも全ジャンル隈無く聞く 分からないことがないプーランクである 難しくて聞き取れない曲はない 当然聞いて疲れない ディーリアスもその部類に入るが オペラや歌曲まで頻繁に聞くことはない ところがプーランクにも膨大な歌曲があるが CD5枚を一気に聞いても苦にならない ディーリアスもそうだが 平易で穏やかで懐かしい音楽だ 勿論力の入る心揺すぶられる楽曲はいくつもあるが 総体として居間或いは書斎の中に収まる制御が利いている 日常感覚を麻痺させるカタストロフィーを抑制する機知が働いている プレートルを筆頭に演奏は優れたものだ お聴きを     

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     2017/09/23

    音色変転の妙ここに極まる 動機を展開し組み立ててゆく才に優れたメンデルスゾーンであるから 緊密な構造で澱みなく楽曲が進行する エラス=カサドの快速テンポが自然な流れを助けている ”賛歌”を現代オーケストラと演奏しながら ”歌”のない交響曲はピリオド・オーケストラと組む理由は偏に”音色”にあると聴いて実感した 例えば”スコットランド”のAdagioに第3ホルンとチェロがユニゾンでメロディを奏する部分の音色だ 現代楽器とその奏法では”旋律”が飛び出して聞こえる ピリオド楽器とその奏法ではオーケストラの波間に浮き沈みして見え聞こえている こうした音重なりの質の違いは楽曲の印象を違えてしまう ドラマチックな物語を想起させずにはおかなかった”イタリア”や”スコットランド”が 心象風景がもたらす明日への希望と意思の表明に聴こえる さらに歌えると好かったが メンデルスゾーンの”青春性”が直截伝わってくる演奏だった お聴きを  

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     2017/09/20

    古書で入手した西村雄一郎氏の”黒澤明と早坂文雄”をようやく読み終えたたら無性に聴きたくなった ”ピアノ協奏曲”は1946年の第二次東宝争議で給料も入ってこず生活に困っていた時期に集中して作曲していた 第1楽章のテーマは1940年に亡き弟を偲んで書いたピアノ曲”ポートレート”の旋律とか いくら書き進めても早坂は納得がいかず破棄しようと決めたようだ 止めたのは知己で作曲家の清瀬保二だった 量的にアンバランスな二つの楽章だが 清瀬のアドヴァイス以前はその差はさらに甚だしかったようだ 早坂の音楽性が見事に反映された傑作は清瀬の励ましがなければ残らなかった 生きて純音楽を追求するためには映画音楽を糧にしなければならなかった早坂だが ついには映画音楽をオペラやバレエ音楽と並ぶ芸術に昇華させようとそれこそ命をかけて精励した 長年患っていた結核が因となる肺気腫で急死した 享年41歳 早坂を通って武満徹 芥川也寸志 黛敏郎が世に出て行った できれば上記の図書もお読みを そして唯一無二のこの演奏をお聴きを 

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     2017/09/20

    ダニエル&ENPのウォルトン演奏に魅了されている 音楽に晦渋さを感じさせず自然の流れを描いて歌い奏でる すうーっと波に乗って音楽の上に浮かぶことができるのは素晴らしい ここに集められた三曲は謂わばウォルトン晩期の作品だ ヴィオラCon.は20代の作曲だが この50代で三管から二管編成へ書き替えられている ウォルトンは最後の20年に重要な楽曲を作曲していない そこで還暦前が晩年ということになる シベリウスと同じか否かは知らない ロッシーニにも近い例がある そう不思議がることはないのかもしれない 三曲はそれぞれに別の様相を装いながらも一貫した思想と美意識が感じ取れる それはウォルトンの魅力と言えるもの 明言するも大言壮語に陥ることなく精密に意を尽くそうとする態度が貫かれている 理知と形容するが相応しい物言いでありながら意気高く透明な情感に包まれている その音楽を聴けば見失っていたものが見える 聞き逃していた声が聴こえる 己と世界が一つの視界に収まる思いに至る この精妙な曼荼羅の世界を お聴きを

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     2017/09/19

    19世紀前期のウィーンはシューベルトのシンフォニーを無視した ハイドンの亜流にして憧れのベートーヴェンとは似ても似つかぬ歪な駄作と判じたようだ 見た目は今風だが100年先の未来音楽を予告してると分かろう筈もないのだから 時代の不興を託ちはしないが シューマンによって開かれたシューベルトの窓から真のシューベルト像を持って翔び立てたのは誰だろう わたしの知る限り ハ長調D944はシューリヒト ロ短調D759はダウスゴーとインマゼール ハ長調D589はブリュッヘンとインマゼール‥ 全集のピリオド・オーケストラは概ね良好でシューベルトの息吹を届けてくれた さらに現代オーケストラの演奏も多数居並ぶ只中へ参入するジンマン&TOZのシューベルトや如何に これは色彩感に富む華やかな全集となった 躍動するリズムの鼓動が心地よく終始ワクワク感を掻き立てる 創意に遊ぶ豊かさを持ちシューベルトを感じ愉しむ精神がオーケストラに行き渡っている 清々しい希望ある魂が蒼穹を伝って先へ先へ進んでいくようだ 聴き遅れたことを後悔している お聴きを   

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     2017/09/19

    驚いた プロコフィエフの語るが如き歌いかける音楽に そしてユロフスキの巧まざる音運びに 多くの指揮者が捲し立てるが如き煽りが一切聞かれない エキセントリックな刺激物を鏤めた脅しの影もない プロコフィエフが音楽に込めたものを解き放つ演奏 繊細な心根より発せられた”声”に通う思いの丈を素直に聴いた ロマンチックではないリアルな叙情の息吹に吹かれる清々しさ その潔さ 簡潔にして十全な”音”からの印象が胸に深く残る 劇付随音楽であれば 実際の公演を観て聴く機会はないのが残念だ だが純器楽曲以上に舞台音楽にこそプロコフィエフの才は煌めいていると思わせられる ユロフスキが取り組む意味も窺い知れた お聴きを  

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     2017/09/17

    PENTATONEのSACDショスタコーヴィチ交響曲シリーズで未だ録音がないのはNo.2〜4,10,12〜14の7曲だから ヒメノが揮るならNo.4か10だと思っていた すでにユロフスキの録音がある第1番を取り上げたのはヒメノの意思と察する 交響曲作曲以前の小品を三曲帯同させたのは確たる意識の表れと見る ブルックナーがそうであったようにショスタコーヴィチも指揮者ヒメノが生涯にわたって追求していくべき作曲家と自覚しているのだろう 交響曲第1番は指揮者によって全くその様相を変えてしまう不思議な曲だ またフィナーレで突然ピアノが重要な役割を担って登場してくるという突拍子のない面も持つ ショスタコーヴィチの管弦楽法の響きを体得するために初期作品に問いたいと考えたヒメノは正しい 木管と金管のそして管と弦のバランスを見極めたと思われる このディスクの聞き物は付録の小品集の方かもしれない 勢い第1シンフォニーは成熟したソノリティを実現した 独特の管弦楽法を若きショスタコーヴィチが既に獲得していたと明かされる演奏になった 実に聞き応えのある一枚 お聴きを 

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     2017/09/17

    素晴らしい指揮者の登場 第一弾がブルックナーとは驚いた しかも第1番ウィーン版と来ては見逃せない 初版に注目が集まっている昨今 晩年に大きく手を入れた最終版を取り上げる豪胆さに清々しさすら憶える しかもブルックナーが交響曲に手を染める前夜の習作管弦楽曲の付録付きだ 実に愉快 さて演奏は これが美しい 持って回らず穿ち過ぎず実に流れのいい清涼な演奏なのだ 四半世紀前の初版に比してロマンチックに偏ったとかクドくモタれるとか囁かれる1891年版を初めからこうであったと思わせる自然で流麗な表現で貫いている 長さを感じさせず重厚感を持たせず 山から森を抜けて流れ出てきた清流のごとき風情なのだ 気持ちのいいブルックナーだ 演奏と録音の素晴らしさも見逃せない お聴きを  

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/09/15

    聴けば聞くほどに魅力がいや増す演奏 先ず音響塊の立体感と遠近感に 次に音色が放つ色彩感と情感に目を見張る 決して描写音楽に堕っしていない 何よりも素晴らしいのは一曲一曲のディテールが明確なこと そして機械的なリズムに流れないこと 真に歌っている 語るように表現しているがくどさがないキレの良さ オルガンがこれほど完璧な楽器だったと初めて知った そしてフィナーレ とてつもない感動が押し寄せる ラヴェルの名編曲でも為し得なかったムソルグスキーの身内で鳴っていただろう”キエフの大門”が初めて現出している ぜひお聴きに 続くストラヴィンスキーの”ペトルーシュカからの三つの踊り”は余白を埋める添え物などではない  ”展覧会の絵”を超える壮絶な演奏だ これもお聴きを わたしはSACDを7chで聴いた ギユーの創造する音楽はただ大音響で人を脅かすような無粋なものではないが やはりイヤフォンでは真価を味わえないだろう 

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     2017/09/14

    ウォルトンの放出するエネルギーに圧倒された 集積した音塊の波が次々に打ち寄せる 迫り来る波動は尽きることがない天体の運行のようだ ウォルトンの音楽には隙間がない リアリストが口火を切れば言い尽くすまで口角泡を飛ばす 自ずと平素は寡黙になる ウォルトンは寡作だった 80歳を越える寿命を得ながら 晩年はわずかな作品しか残さなかった ウォルトンの作曲は心身の消耗を伴っただろう これほど緻密な音構造を組み立てるのなら命を削ることになる ”第1交響曲”は変ロ短調で書かれた 大曲では珍しい チャイコフスキーの第1ピアノ協奏曲やショスタコーヴィチの第13交響曲に例を見るばかりだ ウォルトンも第三楽章に”憂鬱”と記しているように陰鬱な調性であり ウォルトンがこのシンフォニーにいかなるテーマを抱いていたかを明かしている 第二楽章には”悪意”とある 両大戦間の空白期の世界の精神状態を如実に描き出した 戦後セルの要請で書かれた”パルティータ”は音楽の桃源に遊んでいるようだ 音楽より生まれ音楽に還るがごとき恣意の全く入らない音の生成のみが綴られている 次の年”第2交響曲”が誕生する これは名演奏だ お聴きを   

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     2017/09/13

    過ぎ去った時と失われたものへの愛惜を歌うグリーグ 向きを変えれば 見果てぬ夢と届かぬ憧れに囚われているグリーグ その音楽は彼の欠落感や劣等感から始まっているように聞こえる だがそれはドン・キホーテの清浄な精神を発露の源としている 女々しく脆弱な甘えや阿りの真逆にあるもの だからひ弱さをあからさまにしながらも人の心に添うて語り歌うことができる 四半世紀前のナカミチの演奏だが 若々しくまた老成している 気取りのない語り口でグリーグの真実を言い当てている 愛おしさと切なさが綯い交ぜになって胸に迫るが さらりと吹き抜ける秋風のごとき肌触りだ フロール&POも快演 お聴きを 

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     2017/09/12

    今2017年 ユロフスキはベルリン放送SOの音楽監督になる 不惑に至ったユロフスキだが ロシアからドイツへ移住した18歳の時 BRSOを指揮した演奏がここに記録されている ”リア王”だ ショウタコーヴィチ晩年の映画音楽に加えて30年前のシェイクスピア劇のための音楽も演奏している 両曲の対比も面白い 何より演奏の素晴らしさに舌を巻く さらに19歳での”ゾーヤ””ベルリン陥落” 22歳での”マクシム三部作” 23歳での”ひとり”が記録されている ここからユロフスキは指揮者生活をスタートした 栴檀は双葉より芳しの感を深くする グリン指揮の”ハムレット””馬あぶ” ジャッド指揮の”新バビロン””五日五夜”も充実した演奏を聴かせる これは掘り出し物である 限定発売ということで手に入り難くなっているのが惜しまれる イギリス ロシアに加えてついにドイツにも主導するオーケストラを持つユロフスキのこれからに注目が集まる できればお聴きを  
      

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