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Nokton さんのレビュー一覧 

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/01/26

    内田光子の、この世のものと思えない、『あっちの世界』に行っちゃったような絶美の演奏はそりゃあ凄いものですが、でもシューベルトのアンプロンプチュって本来あんなに隔絶した冷たい世界でなくもう少し穏やかな世界だと思うのです。その意味でブレンデルのシューベルトは未だにリファレンスとしての価値を失っていません。最も脂の乗り切ったバランスの良かった時期の演奏で、音色、構成感、歌心、どこをとっても納得の演奏。そう、シューベルトってこういう人だよねと思いつつ慰撫される貴重な時間を過ごさせてくれます。この盤はマストアイテムではないでしょうか。若い方なら大切な人と二人でお聴きになることをお勧めしますよ、いやホント。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/01/26

    この愛らしい曲を、こんな可愛らしい人が、と思って聴くときっとびっくりしますよ(笑)。やはりロシア・ピアニズムの直系らしく鳴らす時にはガツンと鳴らします。思わずオタオタと座り直しました。この曲の演奏としてそれで良いのかどうか、今でも考え中なのですが、ここには借り物でない自発性があるのもまた間違いありません。グリーグだってただのサロン音楽には終わらせないという意気込みやよし。メジューエワのその後の活躍ぶりをすでに暗示していたようです。それにしても、これでいいのか…。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/01/26

    みなさんお書きになっている通り、これはこの曲の最も美しい演奏です。演奏技術というものは時代と共に進化するもので、この曲も今では若手の奏者が軽々と演奏しても不思議でないのかも知れません。しかしこれ程香り高く高貴な演奏というものは技術だけで成し遂げられるものではない事を、まざまざと提示している録音です。かつてチェロを弾いていた友人が、おそらく彼の宝物のひとつであったはずのこのLPを、私の誕生日にプレゼントしてくれたのでしたが、それは未だに素晴らしい思い出になっております。この曲を初めて聴く方への、あるいは大切な日のプレゼントとしても、ぜひお勧めしたいと思います。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/01/06

    いろいろな聴き方で楽しめるセットになっていますが、ひとつの特徴はアルゲリッチの好きなシューマンが多く収録されていること。特にOp.44,73,121の3曲は共演者を変えた別録音が収められ、聴き比べの妙が味わえます。中でもOp.44のP五重奏はまったく別のスタイル、アプローチに因るもので驚かされます。CD4では往年の『火の玉お嬢』を彷彿とさせる、汗が飛び散るのが見えそうな壮絶な競演が、CD8では一転して穏やかな、甘やかさと渋みを兼ね備えた(ちょうど古いボザールトリオの録音のような)大人の演奏が聴かれます。面白いのはマイスキーが参加しているのがCD8の方で、いつもならCD4のような演奏をする彼なのにどうした事でしょう(笑)。あるいはこちらでは今井信子さんの意向が強く反映しているのかも知れません。この辺り、まさに室内楽の楽しみのど真ん中を射るものです。他にOp.73『幻想小曲集』は通常はクラリネットかチェロで演奏されますが、ここには珍しいフリューゲルホルンの演奏が収められています。聴きなれない音の新鮮さを超えて、これは見事な演奏でした。このBOXの隠れた収穫はこの演奏だったかも知れません。シューマン以外ではショスタコーヴィッチの五重奏が、曲も演奏も極上と思います。「ピアノ五重奏曲に駄曲なし」かも知れぬと思うこの頃…。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/12/29

    シューマンの演奏においてはテクニックだけでは歯が立たない、とはよく言われるところですが、それはシューマンへの共感が、理性と情念とのアマルガムをくぐり抜けるという極めて個人的な経験を経たものでなければ真性のものになり得ないからです。その意味でポリーニの演奏など聴きたいとも思いません。この演奏に先立つこと数年、同じ曲目ではブレンデルの、おそらくシューマン演奏史を画した名演があり、私は長くリファレンスとして愛聴してきました。アルゲリッチのこの録音は、その後の彼女のシューマンへの傾倒の劈頭を飾るものだったと記憶します。あのじゃじゃ馬娘がいつの間にかしっかり母親になっていたんだなぁというのが率直な感想でした。このアプローチはブレンデルにインスパイアされなければ出てこないものだと個人的には考えていますが、それは置いておいても見事な演奏であることに変わりありません。ブレンデルのが成熟した男の演奏だったとすれば、ここにはやはり穏やかに熟した母性が感じられます。というよりこれを聴いてからブレンデルの演奏がなるほど男の演奏なのだと再認識した次第。同じように繊細な優しさを表現していても、ブレンデルはこんなにふっくらと抱き寄せるような柔らかな慈しみとは微妙に違うのでした。それでも『クライスレリアーナ』では曲の性格と相まって、アルゲリッチらしいテンペラメントのキラメキが感じられます。このバランスはその後の彼女のシューマンでは常に表現されるもので、『クライスレリアーナ』で掘り当てた鉱脈に対する自信の程が伺えるものです。なお、ブレンデル、アルゲリッチと続いたシューマンへのアプローチはその後マリア・ジョアン・ピレシュにも引き継がれました。この3人の聴き比べは、最良のシューマン体験となるでしょう。併せてお勧めいたします。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/12/29

    かつてLPでの初出の頃にも興味を惹かれたシリーズでしたが、当時は演奏者を代えて聴き比べるほどにはマーラーに入れ上げておらず、バルビローリやクレンペラーの数曲の録音で自足しておりました。こんなに買いやすくなって初めて手に取った次第ですが、これは残るべくして残った名演であると、やはり言わざるを得ません。特にライヴ録音された5,6,7番は傑出した演奏です。テンシュテットが癌と闘いながらの演奏であったことを思わずにいられないところですが、ここでのLPOの応答、集中力には目を見張るものがあります。同曲のセッション録音と聴き比べるとそのことは一層はっきりするでしょう。金管王国としての英国オケの優秀さも、マーラーのような曲ではあらためて確認できるところです。
    翻ってセッション録音におけるEMIの編集の手つきの粗さもまた耳に付くところがあります(2、4、5番など)。それは不快と言ってもよい程のものなのですが、それをも帳消しにするほどライブの演奏が素晴らしく、この3曲のためだけに買ったとしても十分見合うと言えるでしょう。

    器楽3部作とも言われる5〜7番においてテンシュテットは、ボヘミア出身のユダヤ人というマーラーの屈折した郷愁に焦点を当てているように感じます。あらかじめ、それも二重に故郷を喪失したマーラーの郷愁は、例えばドヴォルザークやスメタナのようにはストレートなボヘミア礼賛にはなりようがないものでしたが、それでも終生、見果てぬ夢のふる里としてのボヘミアへの想いを持ち続けたのだろうと感じさせる演奏になっています。
    7番は混乱した失敗作と言われることもある「難曲」ですが、マーラーに特徴的な、頻発するボヘミアやユダヤの俗謡の断片化したモティフによる葛藤(屈折した郷愁の表出)を、最終的にこの曲で乗り越え解消しようとしているマーラーの姿を見る思いがします。特に賛否両論喧しい終楽章(ハ長調!)はジレンマの解消の表現として見るならばあり得るものだったと思いました。そういう説得力を持つ演奏だという事です。
    そのようにこの器楽3部作を見直す契機を与えてくれたという意味でも、これらの演奏はわたしにとって貴重なものとなりました。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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     2011/12/28

    この値段ですからこの曲への入り口として最適の1枚と思います。ですがそれだけと言うにはもったいない出来。17世紀という時代を超えた幻想味とロマンティックとさえ言いたい曲の魅力は十分に表現されていると言えましょう。通奏低音の楽器編成も面白いもので、古雅でありながら多彩な音空間を展開しています。初めて聴く方でも飽きさせることはないはずです。バロックのレパートリーとしても、これはお勧めの1枚です。

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     2009/05/11

    やや渋いと感じるかも知れませんが、みごとな演奏です。演奏の牽引役は主にシェリングが担っていて他の二人は抑え気味、特にフルニエはもう少し前面に出ても良さそうに思います。ですが、おそらくこれがこの三人のバランス感覚なのでしょうし、ブラームスの抑制されたロマン性と構造との危ういバランスを表現するのに当を得た解釈だと思います。
    単にレファレンスとするには惜しい、三人の人間的な結びつきまでも想起させるような名盤です。

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