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千葉のアリアドネ さんのレビュー一覧 

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/01/10

    歴史的録音あり、往年の名演奏あり、曲名は知っていてもなかなかCD購入に至らない曲あり、それもこれもみんな詰まってこのボリュームでこのお値段。お買い得などというレヴェルを遥かに超えている。一か月たっぷりとラヴェルを堪能させてもらった。録音は、年代、レーヴェルにもよるが(ex.54年のDECCAの子供と魔法と53年EMIのダフニスには大きな違いがある-当時EMIの技術にカラヤンは大不満だったというがよくわかる)概して良いレヴェルあり、名演の数々を味わうに不足は無い。個々の演奏の魅力に触れる紙幅は無いが、アンゲルブレシュトのパッション(ダフニス)、クリュイタンス旧盤(クープラン等)の新鮮さ、スゼーの柔らかな美声等が特に印象に残った。売り切れないうちに早々の購入をお勧めする。

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     2010/08/28

    これは楽しめた。小理屈をこねるのでもなく、楽理に汲々とするのでもなく、自らの思うブルックナーを伸び伸びと歌いあげている。フレージングの取り方など往年の大指揮者たちとは大分異なるが、感興はみずみずしくも豊か。強奏部では充実した響きを出すが、輝かしくもケバケバしくはない。まだ50歳にもならないというのに、自分固有の語法でもって、纏めにくいであろう初稿を、大きなスケールでここまで構成する手腕は並ではない。今後の続編に大いに期待するとともに、録音済の曲については是非完成稿も聞いてみたい。旋律を長くは歌わないこのやり方が完成稿でどのように聞こえるか楽しみなところ。

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     2010/08/28

    昨年ベーム盤(CD)を購入。この曲に魅せられ、大いに期待して購入した。「会話オペラ」に対訳は誠にありがたく、シュトラウス贔屓の私としては大いに喧伝するつもりであったのだが・・・。演出良し、フレミング良し(好みはあると思うが)、他の歌手も不満は無し、しかしもう一つ納得できなかったのは指揮のせいだろう。不可解に思ってクラウス盤を購入して納得。やはりこの曲は(知名度は低いが)素晴らしい曲なのだと。アプローチの方向は甘美さをもつクラウスと、晩年のシュトラウスの古典志向に立脚したベームとでは違うのだが、彼らに比べ、シュトラウスがそれまでの経験を全てつぎ込んだ「劇場への遺書」から多くのものを紡ぎだす力が、シルマーにはまだ不足していると思わざるを得ない。美しくはあるが「綾」と「ドラマ」、そして全体を俯瞰した構成力が十分だろうか。両者にくらべると平板に聞こえ、全体が長く感じられる。シルマーはまだ51歳とのこと。シュトラスウス指揮者が払底してる今(私が音楽ファンになった70年代は時代を代表する指揮者がシュトラウスで圧倒的な演奏を世に送りだしていた-ベーム、カラヤン、ショルティ、更にケンペ、サヴァリシュ・・・名前で評価するわけでは勿論ないのだが… ティーレマンらシュトラウスを重視する人もいるものの現状は寂しい)今後の成長に期待したい。

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     2010/08/21

    冒頭から重低音のしっかりした、まことに充実した響きで、今日のVPOでも指揮者次第でこうした音がでることにまず驚かされる。人様を驚かそうとかお楽しみを与えてやろうとかいう姿勢は皆無。迫力はあるがケバケバしさはなく、純音楽的、且つ誠実なアプローチから自然に対する愛情が滲み出る。シュトラウスに対する敬意と深い共感を感じさせる演奏だ。老練な(各場面の情況描写が巧みで、場面変化の持っていき方にうまみのある、かといって俗っぽいスペクタクルには決して陥らない)ベームやケンペに比べると、やや単調に流れるところもあり、そこは今後の鍛錬に待ちたいが(といっても当録音は10年前、現在はどんな演奏を聞かせているのだろう)、堂々とした正面勝負の演奏に喝采を送る向きも多かろう。ベームやケンペが山容複雑な立山や剱岳とすれば、ティーレマンはどっしり堂々とした薬師岳を思わせるとでもいうべきか。充分5点の価値ある演奏と思うが、これからの更なる成長を期待してあえて4点としたい。今宵はワルキューレのバイロイト生放送もある。楽しみだ。

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     2010/08/21

    これはまさに『文化遺産』。シュトラウス最後の美しいオペラ「カプリッチョ」。作曲者が自身の「劇場への遺書」とも評したこの作品の真価を、台本作成に携わり、初演(42年ミュンヒェン)も担当したクラウスが十全に表現した素晴らしいCD。この「芸術をテーマとした大人の会話オペラ」には、シュトラウスの永年にわたるオペラ作曲の経験が全てつぎ込まれていると言われるが、その再現にクラウスほど相応しい人もいないだろう。明澄さとロマン性を併せ持つ素晴らしい指揮で、有名な月光の間奏曲(49年7月ミュンヒェンの放送スタジオで作曲者が生涯最後に指揮した曲でもある)など聞き惚れるのみ。歌手陣も初演を担当したウルズレアク(クラウス夫人)、ホッター等クラウスの意図をよく体現しており飽くことがない。録音は53年当時としては悪くないが、クラウスの指揮をもっと細かく味わいたいとの思いが募るのは致し方ないところ。ステレオで聞きたい向きには、奇しくも同じオケを振って、晩年モーツァルトに傾斜したシュトラウスの古典性に軸足を置き、名歌手達とシュトラウスの巧緻を、劇性をもって描いたベーム盤(71年DG)がお勧め。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/08/13

    フィガロやコシに比べれば演奏回数は少ないのだが、ベームは「モーツァルトの青春オペラ」に最高水準のCD(当演奏)とDVD(80年バイエルンライブ)を残してくれた。初めての方には対訳のある国内盤DVD(グルベローヴァ、グリスト、アライサ、タルヴェラ)が良いだろう。だが大きなスケールで曲全体を包み込んだ、慈愛に満ちたDVDに対し、73年録音ながら、60年代を思わせる溌剌とした当演奏もそれに劣るものではない。
    全ての音があるべきところにあり、その音の綾が表現し尽くされているベームのモーツァルトの魅力はCDの方が聞きとりやすい。60年代のセッション録音が、時として少々締めすぎて硬質な感を与えるのに対し、ここではベームの確固たる音楽の枠組みを、SKDが質朴ながら美しい音と柔らかな絶妙のニュアンスで十分に満たしている。初出時に高崎保男氏が「ベームのモーツァルトのオペラ録音で最高の出来」と評したのも頷ける。歌手陣も良い。早逝したオジェー(34)のクリアー、清楚なコンスタンツェはグルベローヴァとは違った魅力あり。グリスト(38)は当たり役の一つだがDVDの歌唱の(38)方が更に良い。シュライヤー(35)はベルモンテの理想像の一つ。モル(35)も模範的な歌唱だが、少々上品なオスミンだ。レヴューを書くためにCDを2回、DVDを1回聞き直したが、演奏の素晴しさだけでなく、作品そのものの力にすっかり魅了されてしまった。広くお勧めしたいCDである。

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     2010/08/08

    62年の「トリスタン」の歴史的成功でベームとヴィーラントの協力関係は確立され、ヴィーラントは63年の「マイスタ-ジンガー」新演出、65年からの「リング」新演出、68年の「マイスター」新演出(初演100年記念)といった重要公演をベームに委ねることになる(68年のマイスターはヴィーラントの逝去によりウォルフガング演出となりOrfeoから08年CD化されたのは周知の通り)。ベームの出演は71年の「オランダ人」迄だが、バイロイトは記念すべき100年記念式典(74年)にベームを来賓に招き、式典ではベームの指揮でマイスターの第3幕第5場が演奏された。
    当CDは新バイロイト様式のピークを演奏面で示すものと言えるだろう(当時の技術ではヴィーラントの暗い舞台を映像で残せなかったことは返すがえすも残念だ)。ニルソンの言葉「遅くひきずるようなテンポで、上昇するときに誇張したフォルテッシモになるクナッパーツブッシュ式の「指輪」ではなく〈・・・だから良いんだという向きも理解できるところではあるが…筆者注〉、ベームのテンポはより早く、クナッパーツブッシュと比べ、オーケストラの響きは透明な明るさと明快さがあった」(自叙伝より引用)はこの演奏の特徴を良く言い当てている。ベーム当人は「バッハとモーツァルトで洗い直したワーグナーの演奏様式」(自叙伝「回想のロンド」)とコメントしており、これはワーグナーの脱神話化(人間ドラマ化)を指向したヴィーラントの思いと完全に一致していたのだろう。従って演奏は彼岸的というよりは此岸的だが、そこにおけるベームの劇的な表現能力は全く驚異的だ。持ち前の楽曲構造の抜群の把握力、構成力とあいまってこの長大なドラマがスリリングに「突き進んで」いく。当時新時代のワーグナーとして興奮を巻き起こしたとのことだが、今聞き直してもその感銘が薄れることはない。クナ流、フルヴェン流(どちらも立派だが)とは違うワーグナー演奏の金字塔として広く観賞をお勧めしたい。
    心配なのは音質。私は初期のCDで聞いているが、音質がLPに全く及ばない(音の底が浅く、演奏の凄み、深みが伝わってきづらい)。ワルキューレ1幕の終盤から第2幕へかけて、全曲中でも白眉なのだがいつ聞いてももどかしい。その後音質が改善されていると良いのだが。当盤を手にされた方是非コメントをお願いします。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/08/07

    ベームが完成に執念をかけ、「白鳥の歌」ともなった有名な映像。貴重なドキュメント映像付きなのは誠に有り難い。音声収録は81年3月30日開始。4月4日まで収録は順調に進んだ(ドキュメントの撮影は4月4日と云う)が、あと1日、オレストの登場シーン収録予定の4月6日朝、ベームは発作で倒れ、闘病生活を余儀なくされた。しかしまさに執念の力、6月11日(R.シュトラウスの誕生日!!)最後に指揮台に立ち(座り)、2時間の収録後、VPOに謝辞を述べ、R.シュトラウスからもらった作曲のスケッチブックを贈ってVPOに別れを告げた。8月14日、87歳を目前にベーム逝去。以前からVHSを持っていて、死の直前とはとても思えない素晴らしい内容に驚嘆していたが、ドキュメントを見ると、グリンツィンクのアパートを出る時は歩行もままならない老人なのに(病院から担ぎ込まれて実は影武者が指揮したなどという無責任極まる本が未だに出回っているが)、いざ指揮台に座れば眼光の鋭さは往時のままだ。エレクトラ初挑戦とはとても思えないリザネクはじめ、ベームファミリーの歌手陣の渾身の名唱(このメンバーの芸達者ぶりは指摘するまでもない)。そしてVPOの凄さ。抜群のアンサンブルの良さは気合いのなせる技ではないか。渾身のベームの指揮。ラストで精一杯体を動かしてクライマックスを築くところは感動的。ライブの時のたたみかけていく様な迫力ではないが、別種の緊張感がある。音色の美しさ、ニュアンスの豊かさ。ベームの古典的シュトラウスの到達点として後世に伝えるべき内容だ。フリードリッヒの演出は登場人物の内面に迫った秀逸なもの(こちらもドキュメント映像がフリードリッヒの演技指導等まことに興味あふれる内容)。20世紀を代表するシュトラウス指揮者の最後の映像という意味だけでなく、エレクトラの最高レベルの演奏、映像として、またこの作品を深く考える情報を提供するDVDとして広くお勧めしたい。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/05/09

    確かに記録的価値が優先する映像ではあろう(この演奏の独自の大きさと美を味わうならCDの方が良い-DVDでは指揮姿が先入観を与えてしまうから)。大指揮者の最後に近い指揮姿を伝えるものとして、そして何より大指揮者と日本人の心の交流を後々まで伝えるものとして。さすれば少々長くなるが、真鍋圭子氏の「カール・ベーム、心より心へ」(82年共同通信社)を手がかりに、この来日を振り返ってレヴューとしたい。9月23日:羽田着。夜テア夫人と「トリスタン(前奏曲と愛の死)」(VPO、DG)のテストテープを聞き興奮してよく寝られず。30日:「フィガロ」プレミエ。会場へ向かう車中で皇族方の御臨席が話題に。君が代のテンポを復習しつつ会場へ。10月3日:フィガロ。6日:当コンサート。ウィーンの新聞には「カール・ベーム、スーパースター」の見出しが躍る。7日:東宮御所訪問。皇太子(当時)ご一家全員がお迎え。浩宮様、フィガロ、VPOコンサートの感動を語る。オペラにも造詣深い美智子妃殿下は「ナクソス島」についての専門的な質問をされる。8日:ナクソス島のプローペで執事役の台詞の間違い3か所を指摘して悦に入る。9日:「ナクソス島」プレミエ。作品が理解されるか心配していたベームだが、「日本での成功をシュトラウスが知ることができたらなあ」とはこの日の弁。12日新幹線で大阪へ。車中、純情な女子中学生にサインを求められ、サイン帳を受け取った女学生が涙ぐむ様に感激。「富士山を見ないで日本を発つと再び日本に戻ってくる」との美智子妃殿下のお言葉を思い出し「その通りだといいがね」とつぶやく(大変な歴史通のベームだが、京都や奈良の訪問はついにかなわなかった)。13日、17日:フィガロ。ホテル近くの公園を夫人と共に、かつて一緒に演奏したブレッヒやシュトラウスの歌曲「明日」(この歌詞!…-素敵な老夫婦!)等を口ずさみながら散歩。病気を隠して同行したテア夫人の体調次第に悪化。19日:引越公演の順調な成行に、責任は果たしたとの満足感を抱きつつ「天国のリヒャルトも喜んでくれたと思うよ」と言い残し、多くのファンに送られて離日。翌81年8月14日ベーム没(86歳)、同年10月22日テア夫人没。

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     2010/05/08

    晩年の巨匠と名オーケストラの絆を、今に伝える素晴らしい企画にまず拍手。73年、「英国オケのザルツブルク音楽祭初登場」という大舞台で、LSOは初顔合わせのベームに指揮を委ねた(他に当時主席のプレヴィンはショスタコーヴィチの8番他を演奏し好評だったという)。驚きをもって迎えられたこの組み合わせは、ブラームス2番の大ブラヴォーでも解るように批評家、聴衆から大きな賛辞が寄せられただけでなく、ベーム、LSO双方に深い満足を与えたという。特にプレヴィンのもと、モダン、アメリカ的と見做されがちであったこのオケが、独墺系作品でも優れた演奏ができると示したかったLSOにとっては、この上もない成功だった。確かに73年の演奏からは、本場でザルブブルクの主を指揮に迎えた彼らの緊張感と、それをがっしり受け止め、より気力、目配りが増したベームの充実度の極めて高い音楽が聞こえてくる。相思相愛となった両者の共演は、ベームの多忙からそう頻繁とはいかなかったものの、75年6月ロンドン、8月のザルツブルク(当CD)、次いでは77年6月(「フライイングブラーヴォー」で有名なブラームス2番の大熱演、BBC-現在惜しくも廃盤)、そして三度目の(最後の)ザルツブルク(当CD 、クラリネットのジャック・ブライマーは著書の中で「死と変容のラストリハーサルでは、終盤感動のあまり、少なからぬ団員が眼に涙して演奏を行った」と述べているそうだ)と続く。LSOはベームへの尊敬と感謝、そして関係の強化を願って「名誉総裁」の称号を授与した(これに対するベームの返礼がDGのチャイコフスキー3大交響曲録音である)。達人の多い管楽器が時にヴィーン的表情をみせるのが魅力的であり、弦も「ベームはLSOの弦をVPOに変える(イギリスの批評家)」とまでは言えないものの充実の響き。オケのダイナミズムがベームの音楽に活気を加えVPOとの共演とは違った魅力を持つ名演揃い。シェリングの真摯なVnは素晴しい(他の曲もこの組合せで聞きたかった)。ギレリスは(この曲珍しいのでは?モスクワライブのDVDはあるらしいが)情感の深い聴きどころも多々あるが、ミスタッチが目立ち残念。シューマンの4番はベームらしい骨格にロマン性も備えた(69年VPOライブ-Orfeoに比べ音楽の懐が深い)なかなかの名演。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/05/02

    「実演で燃える」ベームのライブの中でも、BRSOとのものはとりわけ燃焼度が高いものが多い。当時この南ドイツのオケは「現代的な機能性の高さ」といわれたが、なかなかどうして「指揮者と一緒に燃える軍団」だったのではないか(当時の常任クーベリックも実演で燃える人だった)。録音当時79歳。60年代迄の、がっしりとした骨格が音楽の中にあるという感じとは少々違い、大河の奔流の様な迫力である。録音がベームのシュトラウスの細やかさ、味わいを捉えきっていないのは残念で、終盤部は後述の76年SKD盤が勝る。今やウィーン、ミュンヘン、ドレスデンと作曲者と縁の深いオケでベームの「英雄」を聴き比べられるのは有り難いが、私はかつてNHK-FMで放送された76.8.11SKDとのザルツブルクライブ(CD-R)が現時点では一番だ。流れの良さ、オケのコクのある響き、終盤部(ベームの「英雄」は終盤部が良いと私は思う)ではしみじみとした情感で感動に導く(是非正規盤登場を!!)。演奏時間は、剛毅な57年SKD41分43秒 ボスコフスキーのソロも素晴らしい必見のDVD(他の収録曲も凄い)63年VPO42分5秒、当演奏(73年)42分33秒、76年SKD42分39秒、ヘッツェルのソロ76年VPO44分43秒、ちなみにカラヤンBPO(85年)46分40秒、ケンペSKD(72年)44分12秒。晩年よくとりあげたシューベルトの2番(これも各種あるが)も活力ある好演(良い曲ですね!)。

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     2010/04/29

    今頃アンセルメのストラヴィンスキーかという人もいようが、これは大変魅力ある、また考えさせられる演奏だ。まず「ペトルューシュカ」。トップクラスの名演と思う。この人はクールな一面を持ちつつ、卓抜な情景描写、感情描写ができる人で(だからこそ「レコードスター」たり得たのではないか)、この演奏でも聴き手は舞台の情景(ロシアの復活祭のサーカス)を眼前に繰り広げられながら、哀れなペトルューシュカに同情の念を禁じえなくなる。「火の鳥」も同様だがこれは後年のNPOとの演奏をとるべきだろう。珍しい「結婚」が聞けるのも嬉しい。だが何といっても「春の祭典」が一番興味深い。オケの技量など今日からみれば悲劇的に低いが、冒頭、こんなに「春萌え」という感じを表現している演奏が他にあるか(鳥がさえずり交わし合うかのようだ)、春のきざしは何かおどろおどろしく…アンセルメは原始の祭りの「物語」を表情豊かに「描いて」いく。吉田秀和氏はスヴェトラーノフと対比させて、ブレーズとアンセルメを理知派として括っているが(「世界の指揮者」ちくま文庫P242)が、響きはフランス的だが物語性(標題性)を持ったストラヴィンスキーという面ではむしろゲルギエフに連なっている思われた。精緻、楽理、スマートばやりの昨今の春祭演奏、評価にはやや辟易していたところに、作曲者とも親交深いパイオニアの演奏を聴き、感ずるところ大であった。録音はこの時代としては驚異的な鮮明度。

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     2010/04/29

    言わずと知れた名盤である。クラウスの没年54年3月の録音。早すぎた死はこの僅か2ヶ月後である。Decca録音であり、リマスタリングも成功しているのか音は聴きやすい。シュトラウスの膨大なスコアが皆聞こえるとはさすがに言い難いが、この指揮者の卓越した解釈を味わうには充分だ。洗練された官能性等書き尽くされてきた言葉をここでは繰り返さないが、再生不可能な味わいを持つ当演奏は今後も不滅の価値を持つだろう。ベーム盤と聴き比べるとシュトラウスの多面的な演奏可能性に改めて気がつくが、全く素晴らしい高弟(語り部)を2人も持ったものだと思う(2人の「共通性」やその後のシュトラウス演奏への影響を考えるのも面白い)。歌手ではゴルツ(42歳、バレエの素養もある彼女は当時の代表的サロメ歌手だった)が強さに加え柔らかさもある格調ある歌唱で、クラウスの指揮によく応えている。他の歌手陣はやや魅力に乏しい(デルモータは健闘しているが。パツァークは軽すぎる)。このCDには嬉しいオマケがある。歴代のサロメ歌手(4人)の録音のサワリ(3人は最終盤のモノローグ)が収録されていて、4人目はゴルツのやや前にサロメ歌いとして一世を風靡したリューバ・ヴェリッチュだ(指揮はライナー)。こちらは直接官能に訴えかける強い歌唱。付録も含め、シュトラウス演奏史を考える上でも好個のアルバムとして広く(特に若い方にも)お勧めしたい。

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     2010/04/29

    72年パリオペラ座の「影の無い女」でパリジャンを熱狂させたベーム(フランスのオケを振ったのは戦後初めてとか、引越公演のパリでの指揮は50年代には結構あるようだが)。翌年リーバーマン監督の招きで再び指揮台へ立ったのが当公演、熱狂の様子は日本の音楽誌にも掲載された〈更に8月にはニルソン他とオランジュ音楽祭のトリスタン野外公演で再びセンセーションを巻き起こす。フランスのオケとの交流は80年パリ管の定期(新世界他)まで続いた〉。録音は年代からすれば良いとは言いかねる(オケの解像度がやや低い)が、観賞に差し支えることは無い。凄いのは女性陣の配役。ニルソン、リザネックのベームのエレクトラ定番コンビに加え、DVD(81年)で鬼気迫る演技、歌唱を披露したヴァルナイが加わる。ニルソンは初めのモノローグではやや不安定だが、リザネックとのやりとりが始まる頃には調子が戻っており、ヴァルナイとの対決では両者の火花の散らし会いが凄まじい〈オレストの死(誤報なのだが)を聞いたクリテムネストラ(ヴァルナイ)がエレクトラをを嘲笑するところは凄いを通りこして本当に怖い〉。ゾーティーンのオレストも健闘。ベームも渾身の指揮。アンサンブルは幾分甘く聞こえる部分もあるが(録音のせい?)、フランスのオケの透明感ある明るさが、ベームの古典的エレクトラに適合しており新鮮な魅力がある。音楽が尻上がりに白熱していく様は全盛期のベームそのもので、聴衆の大歓声ももっともと頷かされる。37年前はこんな凄い公演が観られたのかと思うと、当時の人を羨みつつ感無量。

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     2010/04/29

    まず音質の素晴らしさに驚く。丁寧なリマスタリングが効を奏したのだろう。声はもちろん管弦楽のニュアンスも相当聴き分け可能で「ウィーンのベルク」の美を堪能できる(スカスカした音になっていないのが良い)。ウィーン国立オペラ再開時の音楽監督ベーム4公演の一つ。他の3公演〈フィデリオ(開幕公演)、ドン・ジョヴァンニ、影の無い女〉もこのレベルの音質で聴ければ・・・。4公演の選曲(もっとポピュラーな演目を求める向きも多かったろうが)と演奏レベルの高さに、ベームの意気込み、シュトラウスとベルグに対する強い「恩返し」の思い(作品普及への強い意志)を見る。幸い?当公演は大好評だったと伝えられる。ベルクの精緻な音楽を、理論のための音楽でなく、人間のドラマへ昇華させていく(作曲者の意図はまさにそこにあったのでは)ベームの姿勢は既に明確。ウィーン国立オペラでの演奏であるため、65年のDG盤に比べ、より、ベルクが古典派からの流れの末に位置するウィーンの音楽家と実感させる内容だ。歌手陣も豪華だが、大抜擢された若きベリー(25歳、ブーレーズ盤の歌唱はこの11年後)の体当たり的熱演に、まずは耳を傾けるべきだろう。ライブの熱気もあり、DG盤とは違った存在意義を持つ名演として一聴をお勧めしたい。

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