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Straussist さんのレビュー一覧 

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  • 9人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/09/15

    日本のクラシック批評史上最大の汚点として決して忘れてはいけないのが、20世紀おける偉大な指揮者サー・ゲオルク・ショルティを不当に過小評価したことである。日本のクラシック評論家連中は、ドイツ精神主義を最高のものとして崇め奉るため、楽譜に忠実な指揮をするショルティを「精神性がない」、「無機的」、「血が通っていない」とことあるごとに貶していた。クラシックを聴き始めた頃の私は、この批評を鵜呑みにしてショルティを無視してしまった。それが大間違いであったことに気が付いたのが10年近く経った頃であった。以来、私はショルティを貶した評論家連中を信用しないようにしている。ショルティが指揮したマーラーの交響曲第8番は、ショルティの代表作の一つである。演奏時間は79分とCD1枚に収まっているが、せかせかしている印象はなく最初から最後まで充実した音楽を聴かせてくれる。ショルティはバーンスタインのように感情移入やテンポの激変することはしないで楽譜に忠実に指揮している。しかし、ショルティのすごいところは一音も無駄にすることなくしっかりと明瞭な音を鳴らしている。しかも、音に色彩感があり彫りが深く、オーケストラ、ソリスト、合唱を見事にコントロールして最高の音楽を引き出している。また、驚異的なのは1971年の録音なのに、最近のデジタル録音でも聴こえてこない楽器の音が次々と聴こえることである。サー・ジョージ、あなたは本当に偉大な指揮者でした。愚かな評論家に騙されたとはいえ、あなたの演奏を聴かなかったことをお詫びします。
    追記:生前のショルティを評価していた数少ない日本の評論家に吉田秀和先生がいる。河出文庫から発売されている著書『マーラー』で、ショルティのマーラー演奏について吉田先生は的確で素晴らしい解説を書いているのでお薦めしたい。

    9人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/09/11

    現在、マーラー演奏において最も信頼できる指揮者はラトルである。ラトルの指揮するマーラーの魅力は、感情の起伏の激しさにある。マーラーの交響曲を演奏で重要なカギとなるのが、人間の感情を音でしっかりと表現できるかである。最近の感情表現の乏しい演奏が多い中で、ラトルの思い切りの良さは特筆している。ラトル盤を聴いて、やっぱりマーラーは感情を曝け出さない限りマーラーの音楽にならないと思った。クールなマーラーなんか絶対にいらない。

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  • 9人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/12/30

    バーンスタインのマーラーは、誰も踏み入ることのできない前人未到の領域に達しているが、『復活』交響曲はバーンスタインに最も似合っている曲ではないだろうか?気宇壮大であり、劇的であり、何度聴いても心が高揚させられる。聴いているだけでバーンスタインがタクトを振り回し、指揮台で何度もジャンプしているのが想像できてしまう。演奏時間は93分も掛かっているが、全く遅いと感じない。バーンスタインの晩年の指揮は遅いものが多い。しかし、私はその遅さに違和感を感じたことがない。それどころかマーラーが表現したかった音楽と感情を、バーンスタインは力の限りに鳴らし、響かせ、そして語りかけている。バーンスタインのマーラーは遅いのではない。深いのである。だから聴き手の心が揺さぶられるのである。マーラーを聴きたいのであれば、まずはこのバーンスタインが指揮した『復活』を聴くべきである。音楽を聴いて心の底から喜びと感動を与えてくれる演奏はそうはない。

    9人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/12/18

    マーラーの交響曲第9番は、マーラーの最高傑作だけでなく人類が創造した究極の音楽だと思う。私が最高の演奏として挙げるのがバーンスタイン&コンセルトヘボウoの演奏である。多くの人がバーンスタイン&ベルリン・フィルによる一期一会の演奏を挙げるが、私はこの時期のバーンスタインはマーラーの9番で表現したいことを全て出し切っていないと感じるからである。一方、コンセルトヘボウoを指揮しているバーンスタインは第1楽章から凄まじい演奏を展開している。溜息するようなゆっくりと始まり、激しい箇所では他の誰よりも心が引き裂かれそうなまでに激しく表現して、またはかない箇所では、他の誰よりも心の寂しさが表現されており、私は心を揺さぶられる。バーンスタインの指揮に対して、過剰すぎる、濃すぎると言う人がいるが、そんな人にマーラーを聴いてほしくない。第2楽章はリズムが弾んでいてなぜかウィンナワルツを茶化しているようで、ニヤリとさせられる。続く第3楽章は打って変わって猛スピードで畳み掛けるが中間部で現れる第4楽章を予告する箇所における切ない表現は、バーンスタインだけしか表現していない。そして、第4楽章。マーラーが書いた最も美しい音楽であるアダージョをバーンスタインは、万感の想いを込めて指揮をしている。喜び、悲しみ、諦めといった感情を心の奥底まで掘り下げ、死を自覚し、生への別れをゆっくりと深い呼吸をさせながら消えていく音楽を私は聴いたことがない。バーンスタインの最高傑作。マーラー演奏の到達点。クラシック究極の名演奏。と褒め言葉を並べても足りないし、これ以上の演奏は望みようがない。マエストロ・バーンスタイン、いやレニー、あなたに深く感謝します。

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     2010/10/12

    私にとって、クラシック音楽、マーラーそしてバーンスタインと初めて出会うことになった演奏である。それまで、クラシックどころか音楽そのものに興味がなかったが、このバーンスタインとウィーン・フィルによるマーラーの第6番を聴いたことにより、以後今日までクラシックの魅力に嵌ってしまった。マーラーの交響曲第6番は、マーラーの作品の中で最も感情の起伏が激しく表現主義を先取りした作品であるためか、多くの指揮者が突撃するような速いテンポで演奏している。しかし、バーンスタインの指揮はテンポは遅いであるにもかかわらず、他の指揮者の演奏が陳腐な物にしか聴こえてこないほどに壮絶な演奏を繰り広げている。この演奏に立ち会った佐渡裕は、バーンスタインはマーラーの6番をマーラー自身の悲劇、そして二つの世界大戦とユダヤ人の大量虐殺という人類の悲劇を予言したものとして表現したかったのだと証言している。そのためか、暴力的な音(特に最終楽章のコーダ!!)で表現されているにもかかわらず私は深い感動を覚える。このような指揮をしたバーンスタインは本当に凄いが、バーンスタインの指揮に破綻することなく反応してこれ以上のない最高の演奏をしたウィーン・フィルも絶賛したい。1966年の初共演以来、相思相愛の関係であったバーンスタインとウィーン・フィルによる究極の名演奏である。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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     2010/09/11

    ラトルがチャイコフスキーを指揮。しかも、《くるみ割り人形》をレコーディングしたことに正直驚いた。でも、最初に聴いただけで魅了された。例えば、第1幕第1曲“クリスマス・ツリー”の柔らかで軽やかな響きは、これまでのベルリン・フィルにはなかったものである。そして、有名な“ディヴェルティスマン”の音による語りの上手さ絶妙で、舞台を観なくても物語が想像ができてしまう。また曲全体において幻想的で詩情に満ちており、ラトル&ベルリン・フィルが現在最高のコンビであることを証明させくれる名演である。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/05/04

    私にとって初めてチェリビダッケとブルックナーを聴いた演奏である。その頃、私はクラッシックを聴き始めて間もない頃で、チェリビダッケもブルックナーも知らなかったが、教育テレビで放送されたこの演奏を観て圧倒されたのを覚えている。それから8年後、EMIから発売されたミュンヘンでのライヴ録音を聴いたが、それほど感銘を受けなかった。なぜなら、EMI盤では、入念に作り上げられたチェリビダッケの音が捉えられていなかったからである。(同じくEMIから発売されたドビュッシーの《海》やチャイコフスキーの後期三大交響曲は、しっかり捉えられたのに残念である。)そして、90年の東京ライヴは20年前テレビで観た時の感動が蘇ってきた。一音一音無駄にすることなく音がホールの隅々まで響き渡り、時が流れていることを忘れさせ、チェリビダッケによる破格の名演が聴くことができる。この演奏は、数多く演奏された来日公演の中でも最高の名演ではないだろうか。その場で聴いた人達が本当に羨ましく感じてならない。

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  • 12人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/04/17

    待望のティーレマン指揮による『ニーベルングの指環』のバイロイト・ライヴの登場である。毎年、年末のFM放送を聴いていて、いつCD化されるのか待ち通しかったが、ようやく登場して嬉しい限りである。(気になるのがティーレマンの『リング』がグラモフォンやデッカから発売されなかったことである。最近、救いようのないくらいに情けない新譜ばかりが発売されていることを考えると、経営状態が非常に悪いのだろうか?それと、国内盤は発売されないのか?)この録音で賞賛すべきは、もちろんティーレマンの指揮である。重厚でスケールが大きく豊饒な音を作り、ゆったりとしたテンポを採っているが、停滞感がなく瞬発力を持ったパワフルな指揮は、聴き手を圧倒し、時間を流れているのを忘れるくらいにワーグナーの超大作を堪能させてくれる。ティーレマンは、本当にとんでもない指揮者になったものである。日本では、フルトヴェングラーのコピーやら、クナッパーツブッシュのパクリと軽蔑する評論家が多いが、いい加減に正当な評価をすべきである。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/10/28

    ロマンティックという言葉が、これほど似合う演奏が他にないホロヴィッツがピアノ芸術の頂点を極めた伝説のゴールデン・ジュピリー・コンサート。このライヴにおけるホロヴィッツのピアノはドラマティック展開される超絶技巧に加え、筆舌尽くしがたいほどに色彩豊かで美しい音色に心の底から感動させられる。この演奏以降、ホロヴィッツの演奏は、枯れたものが多い(一緒に収録されている第2ソナタも必聴の名演)だけに、この録音は貴重である。

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/10/28

    ジュリーニの最高傑作あり、ブルックナー演奏史に残る超名演。私はブルックナーの交響曲はゆったりと時を忘れさせるような雄大で、大伽藍を思わせる荘厳な音楽を理想としているが、ジュリーニ盤はこの条件を完全に満たしている。そして、ジュリーニの気高い指揮に委ねて至高の音を響かせるウィーン・フィルの演奏は何と美しいことか。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/07/13

    世界トップクラスの実力を誇りながら、過去10年間、レコーディング活動において、不当な扱いを受けてきたハイティンクとシカゴ響が手を組んで録音したマーラーの第3番。これは、2000年代マーラー演奏史における最高の名演である。ハイティンクの指揮は、バーンスタインのような感情移入は少ないが、ゆったりと余裕のあるテンポと丁寧で誠実な音作りで、マーラーの音楽を雄弁に表現している。一方、シカゴ響も見事である。スタートして間もないにもかかわらず、ハイティンクの棒にしっかり応えて世界最高峰のオーケストラが廃れていないことを十分に証明している。かつて、フィリップスで打ち切られたハイティンク&ベルリン・フィルによるマーラー・ツィクルスが、今度はシカゴ響と完成されることを願っている。(ただし、ハイティンクの年齢を考えると厳しいので、なんとか第8・第9・大地の歌は録音してほしい。)

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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