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mari夫 さんのレビュー一覧 

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     2015/02/11

    何とも凄まじい演奏です。ただ指が回るというレヴェルではありません。ヴァイオリンという楽器の板の隅々まで、どんな早さの箇所であろうとも、完全に振動しているというような演奏です。弓も弦に吸い付いているように同化しています。いや肉体と楽器が同化しているという感すら覚えます。そして最も肝心なことは、そこから自由自在に生みだされる音楽が、ベートーヴェンやブラームスのこれらの曲に対する予断をすら超えて、文字通り天衣無縫だと言うことにあります。天使の音楽とも悪魔の楽匠ともどちらにも取る人はいるでしょうが、この演奏が唯一無二であることだけは否定出来ません。

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     2015/01/24

    リヒテルが初の西側進出だった60年アメリカ・ツアーの翌年ヨーロッパに行った際にロンドンで録音されたのがリストの二曲協奏曲で、63年にパリで録音されているのがベートーヴェンの比較的地味な三曲のソナタ。本当はこのほかに9番と11番も吹き込まれている。時間の関係でそれをはしょったのは大きな手落ち。この分で星一つ減らしました。ただそれ以外では彼のベストアルバムの一つでしょう。リストは幻想性と奔放な迫力を併せ持ったリヒテルの天馬空を行くがごとき一面を最もよく代表し(協奏曲録音としてはラフマニノフと並んでベストか?)、翻ってベートーヴェンは、冷静なリヒテルの巧さを良く代表しています。とてもアメリカでの「熱情」ソナタと同じ人とは思えません。つまりこのピアニストの両面を見せてくれるところが素晴らしい。録音もとても良くて、この時代的にはベストの音質といえるのでは?

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     2015/01/20

    リヒテルのCBS及びRCAへの全吹き込みということだが、アルバムの実質的中心は、幻であったリヒテルが初めて西側、それもアメリカに登場した記念碑的なイヴェントの記録である(それだけのほうが一貫していただろう)。CDの順番は、コンサート(ないしレコーディング)の日付順で、収録はオリジナルのLPではなく、コンサートの曲順に修正されたものである。スタジオ録音とツァー最後の十二月のコンサート・ライブ(ほとんどおなじプログラムによるニューヨークとニューアーク)は、いずれもRCAによるステレオ録音だが、十月の五晩にわたるカーネギーホールのコンサートはCBSによるモノーラル盤で、音質も残念ながらRCAのものより大分落ちる(同時期のソ連や東欧の録音―リヒテルにはそれしかなかった―の殆どと同じ程度)。これはCBSの責任というより、ソ連演奏家の版権を有するセクションがCBSによる機材とエンジニアの導入を拒否したためであることがリーブレットに書かれている。RCA録音はライブの方だってかなりいい音だから(スタジオ・レコーディングも、従来の単発のCDより音が良くなっているように感じる)、残念至極な事情だった。このリーフレットを書いたのは当時CBSにいたジェド・ディスラーだが、録音発売の交渉は、リヒテル自身が発売を渋ったということで(折衝の仲介にあたったのはアイザック・スターンだったという!)、結局十分な形では市場に出回らなかった。渡米が報じられるやこの企画を煉ったディスラーにしてみても無念であったことはことばの端端に伺われる。この録音はずっとあとに来日に合わせて日本で少しだけ出回ったが、それを見たリヒテル本人が発売中止を要請してすぐに消えて、コレクターズ・アイテム化したものである。
      この後年の日本の事情については、吉田秀和氏の『世界のピアニスト』のリヒテルの項に書かれている。60年のリヒテルも発売に渋ったのは演奏が気に入らなかったからだといい(しかし彼は12月の公演の録音には既にスタジオで付き合っていたRCAに声をかけたらしい)、吉田氏は実際、この文章の中でカーネギー・ホールでの最初の晩の『熱情』ソナタ(のレコード)を酷評している(二楽章とものすごい速さでひきまくる終楽章とのあいだに「バランスがまるで感じられない」と)から、両者は相応している。確かにべートーヴェンはフィナーレにアレグロ・マ・ノン・トロッポと書いているかもしれない。でもこの突如として奔流のように流れ出すフィナーレを私は素晴らしいと思う。今回また音が良くなったスタジオ録音(テンポとか基本的な枠組みはライブと変わらない)がこの曲の代表的な名演であることには異議はないし、何が何でも「爆演」がいいとも思わないが、このライブの一期一会的な凄さは尋常ではない。音と音の間の緊迫感が違う!少々の破綻が気になるならこの手のライブは避ければいい(フルトヴェングラーのバイロイトの第九も含めて)。ご本人が気に入らなかったのは仕方ないが、ディスラーは、打ち合わせに遅れてきたリヒテルが、ある世界的なピアニスト(誰だろう?)のビラをみて、自分はこのレヴェルじゃない、ピアノを弾くただの人なんだからもう演奏は止めだ、といってゴネた(でも演奏会はやったらしい)という話を紹介している。そういう人なんだよ。自分の中に飼っているデーモンを扱いかねていたんでしょう、きっと。でもわれわれファンはそれを嘆賞する権利はもっている。
      他のコンサートも印象はほぼ同じ。全部が12月のコンサート(10月のとも多くの曲目は共通している)並の音で聞けたらとは思うが、この歴史的「事件」の全貌が聞けただけで素晴らしいことだ。他の曲について語り出したら切りがないが、異常な興奮度の拍手を切り裂くように弾き出されるスクリアビンに触れないでおくわけにはいかないとだけ書いておきたい。それとシューマン「幻想曲」も、あまりに音が歪みすぎるし、デーモンが暴れすぎなプラハ・ライブよりこちらの方をとりたいとも。例によって長文大変失礼。

    9人の方が、このレビューに「共感」しています。

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     2015/01/20

    演奏はどれも素晴らしい(多分)。ただ同じ戦争直後の録音でも、脅威的な名演奏、(当時としては)名録音だった「春の祭典」と比べると、音質がかなり落ちる。(多分」とつけたのはそのため。ブラームスとハイドンはあとの条件の良い演奏があるし、ラヴェルは残念だが、マニア以外にはあまり買う価値はないかも。

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     2015/01/19

    実のところベイヌム目当てで買ったのだが、そっちの方は特筆するほどではなく、むしろグリュミオーの大家ぶりに感服。モーツアルトとかフランスものとかの名手と言うイメージが強いが、実に立派な名演で、ブラームスは入りからして、厳しく引き締まって、シゲティを連想してしまった。二楽章のオーボエのソロもうまい。ブルッフも同様の名演で、各々の曲の屈指の名演だろう。ハイティンクも、この場合、むしろベイヌムよりも頑張っている感じ。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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     2015/01/05

    バックハウスも、晩年になるとさすがにと思うこともあるが、このコンサートの時はよほど体調が良かったのか、絶好調の演奏が聴ける。加えて、モノであるが音がとても良く、彼独特の深く渋い、底光りする音を堪能出来る。ステレオ版全集はとかくいわれることもあるが、上記のムラが多少混入しているものの、最初期のものでなければこの音が生々しいステレオで聞けるということで何といっても捨て難いが、ベートーヴェンの二曲などはこっちの方が後の演奏にも関わらず矍鑠としている。カーネギーホール・ライブも演奏は素晴らしいが、ここまでの音は聞けないので、本ライブ盤の価値はすこぶる高い。バッハやモーツアルトもバックハウスならではの名演で、こんな渋い(けれども良い)モーツアルトは他にない。いずれにせよバックハウスのディスク中でも傑出したものであることは保証し得る

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/12/31

    リマスタリングのこともあるので、原則的には実際そのCDを聞いたもののみレビューするようにしているのだが、私の持っているシューリヒトVPOのブルックナー五番との組み合わせは今はないみたいだし、本盤こそ獅子王バックハウスの面目躍如たる最高の名演と信じているので、原則を破って書かせて頂きたい。音は下のレビューワーの方々は結構辛めの評価のようだが、私の持っている盤で聞く限り、決して悪くない。バックハウスの音が、デッカの燻し銀のようなのではなくて、渋さは保ちながら黄金の輝きを放っている。弾き方も、もう水っぽい音になってしまった晩年のステレオ版とは比べ物にならない、壮年の力と熟年の深さを併せ持った脅威の名演で、コンサートホールの隅々まで支配してしまったような威容が聞ける。シューリヒトも例によって飄々とした名人芸で最良のバックサポート振り。

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     2014/12/29

    ギーゼキングは亡くなる直前にベートーヴェンのソナタ全集に着手しながら1/3程度を残して急逝したのだが、49年の放送録音があり、本アルバムは、そっちを中心として、足らないものを晩年のスタジオ(自宅?)録音で補ったものである。22番はどちらにも入っておらず、従って厳密な意味での全集ではない。音質はEMI盤と比べてさして劣っているわけではないが、強奏はびりつき・混濁気味。正確に言えば、EMI盤もイマイチな音で、ギーゼキングは膨大の録音にも関わらず、音質的には恵まれないピアニストで、来日公演で聴衆を驚嘆させたという多彩な音は片鱗しか窺い知れないのは残念だった(ガリエラとの協奏曲は真性ステレオで、確かにそれだけのことはあるが、どうも奥行き感のないのは当時のEMI録音の通弊で、面目一新というわけにはいかない)。演奏は、戦前のものは晩年より激しい演奏が多く、ものによっては、晩年のモーツアルトと同じ人とは思えないほどの、乱暴と言ってよいほどのシューマンとかブラーム(二番の協奏曲)とかがあるが、この録音はそんなではなくて、EMI 録音に近いが、ややライブ的な感興はある。ただしミスタッチも散見(聞?)される。この名手にして結構それが多い(この演奏に限らないが)のはどういうわけだろうか?激しいにせよ、他のドイツ系の演奏家のようにタメをつくるタイプではないので、直接フトロコに飛び込んでくるような直裁さである。そこが好悪を分けるかもしれない。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/12/22

    第一集でも書いたが、こっちは殆どザールブリュッケンの放送録音。曲の密度が増すだけに聞き応えも上である。何しろ32番はEMIには残されていないから、この全集の価値はある。定評がある演奏だからそれ以上あまり付けくわえることはないのだが、ボーナストラックにある「田園」ソナタは、ディスコグラフィにもない録音だが、僅か二年の違いなのに、表情は戦前風にもっと濃厚。アゴギーギグも大きいしテンポも遅い。音は比較的には悪くない。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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     2014/11/14

    第一集につづいて素晴らしいボックス。買わない手はない。ただ第一集と多少の印象の違いはある。それは第一集がデッカの、第二集はフィリップスの録音だからだ。デッカのハイ上がりの、音の分離の良い(従って色彩的に聞こえる)音と、良くいえばよりナチュラル、悪くいえば分離というか抜けは今一つ気味のフィリップスの音。後半はステレオ録音が登場し、さすがに音の幅や個々の音質は格段に良いけれども、抜けの点では同じ傾向があり、昔はお団子気味と形容された傾向はある(デッカみたいなのは悪口を言えばドンシャリとかいっていた)。とくに強奏がややもやつく。ベイヌムをこれまで殆ど聞かなかったのは、LP時代に、端正だが何となく温い指揮者というイメージが流布していたせいだが、とんでもない間違いだった。こんなにボルテージの高い指揮者もいないくらいだ。これは上記の音の傾向が(当時の製盤技術のせいもあったのかは確認しようがないが)助長していたのかもしれない。よく聞いてみれば、発火点を超えると音楽はみるみる白熱化していく。温いどころではない驚くべき名演揃いである。「大地の歌」はほぼ同時期のワルターVPOと匹敵する名演(ブラ2もワルターNPOと)だが、この曲の名盤人気投票をすると問題にもならないというのはどうなんだろう、本当に。ブラームスは4番がやや温く聞こえるのは上記の音のせいのような気もするが、1番がデッカの旧盤より温いのは死の直前の衰えだという説には賛成し難い。そう聞こえるならやはり録音ないし製盤のせいだろう。多少テンポが遅くなっているが、ベイヌムの特徴である活気と集中力は衰えていない。むしろデッカのがトスカニーニを思わせるようにひたすら直進してくのに比べて、懐が深くなったと言うか、ニュアンスに膨らみが出て円熟してきたという見解をとりたい。ブラームスは三番も至高の名演で、とくに緩除楽章の弦の厚さと音の伸びが凄い。トスカニーニを引き合いに出せるのは「イタリア」かな。あんな陰鬱な国の演奏家たちとは思えない燦然たる演奏。その延長(というわけでもないが)で驚くべき演奏はドビュッシーとラヴェル。「映像」は、これだけモノだが、そのハンデをものともせずオケの奏者たちのノリノリの腕の栄えを堪能できる。第一集「幻想」の盛り上がりをミュンシュを凌ぐと形容したが、「夜想曲」の祭りなんかも同様。凄い狂熱の祭りだ。ベト2も地味な曲だが、実に良くできた名演で、私的にはトスカニーニの39年版に匹敵する。三曲あるブルックナーは、さすがに音的に解像度がもう少し欲しいと思うところがあるが、新古典主義の洗礼を浴びた(この点ではベームやカラヤンの同世代なのだ)、つまりワグナー的なロマン主義とは一線を画した名演であることは間違いない。バッハやヘンデルも、あの年代の様式の範囲では素晴らしい名演。とくに前者の組曲では四番のエネルギーに感服した。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/11/06

    モーツアルトの生誕200年を記念してその前年に吹き込まれた四大オペラ集、同時期にベームVPO の「魔笛」があるのに、これだけがベルリン録音というのはやや一貫性が欠けるようにも見えるが(「魔笛」だけドイツ語オペラだからと言うわけじゃないよね)、どれも聞き応えがある。デッカのウィーン録音はごく初期のステレオだが、中音域がめり込み気味なところは古さは感じさせるとしても、十分聞ける音だ(小差だが一番いいのは「ドン・ジョヴァンニ」かな?)。この値段この内容なら文句なしに買いだろう。ウィーンの三部作は指揮者以前にオケの音色と表現が前面に出ている。ハイ上がりのデッカの音もそれに拍車をかけていると思うが、歌の合いの手を弦が奏でるようなところの何とも表情たっぷりでとろけそうなウィーン調。ウィーンなまりでしゃべっているみたいだ(あくまで比喩です。なまり分かっているわけではありませんので念のため)。ウラッハ(ここでも吹いているんでしょうね)とコンツェルトハウスのクラ五重奏のあの甘美さと共通している。今風とは全然違う、ウィーンローカルの懐かしい味だ。フッチャイの棒の「魔笛」と比べても全然違う(それを分からせるためにここだけベルリン録音にしたというのはうがち過ぎか?)。このオケを巧みにさばいているのは老獪なパパ・クライバー。温いとかいわれがちだけど、クリップスもその上に巧く載っている。ベームのみ、あの厳格な指揮が少し背景に引っ込んでいて、棒があまり感じられないのは私だけかしら?
     歌手陣も充実している。とくにシェピの二役は傑出していて、ドン・ジョヴァンニは以後をこれを凌ぐ歌唱は出ていない。対するコレナのレポレロも、単なるブッファ役というよりドンの影のようなところがあって、いい。ペルの伯爵はいまいち品がなく陰険に聞こえるのは如何なものか。女性軍も何役かが共通している。ギューデンに駄目出しをしている向きもおられるが、ちょっぴり品のないところがかえってツェルリーナやスザンナには合っていると思う。三役歌っているデラ・カーザではとくにエルヴィーラがいい。伯爵夫人もいいが、フィオリディリージは少し声と表現が引っ込み過ぎと言うか暗い。妹のドラベッラを歌うルートヴィッヒは後年とは随分違う明るい声で姉より積極的な妹にうってつけ。あとダンコのドンナ・アンナもいい。「魔笛」は打って変わってきびきびしたフリッチャイの棒で進められウィーン組の駘蕩ぶりとは随分違う。モノなのがちょっと残念。歌手陣はこれも豪華。フィッシャー=ディースカウはどうしても能天気には聞こえないので、パパゲーノに抵抗があるのは分かるがやっぱりうまい。ヘフリガーも福音書家みたいじゃなくて若々しい。女性軍ではシュトライヒもいいが(でもグロヴェローヴァよりずっとというのは首を傾げる)、むしろシュターダーのパミーナがいい。あとモノスタトス役のヴァンタンは知らない名前だが、この愛すべき(?)役をうまく歌っている。いずれも十分推薦に価する。この値段はほんとに格安。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 8人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/10/28

    クリュイタンスの10枚組、ベームの15枚組に続いて素晴らしい50年代の名演BOX(それらよりちょっと割高ではあるが)。恥ずかしながらこれまで聞かずにいてしまったベイヌムの実力をまざまざと見せつけ(聞かせつけ?)られた。あの癖の強いカリスマ=メンゲルベルクと共に指揮をしていたとは信じられないくらい、ポートレート同様に、端正で崩しのない、一言で言えばモダンな演奏スタイルである。世代的にベームとカラヤンの間というのはうなずける。戦後のヨーロッパ楽壇には違う風が吹いていたのだ。だが、演奏のテンションは半端でない。端正でありながらも、あのミュンシュをも凌ぐほど音楽が極限にまでドライブされた、「幻想交響曲」を聞いてみればいい。相当速めのテンポで、ドイツ系の指揮者のように溜めもつくらず、阿修羅のように突っ走る有名なブラ1は、雰囲気はともかくとして、気迫の点ではトスカニーニを思わせる。当時はスタジオ・レコーディングもごく少なかったはずのーその割にベートーヴェンの主要交響曲は録れていないんだねぇ、残念ーブルックナー(7番)やマーラー(4番)も素晴らしい出来。もっとも後者のソプラノはあんまりベイヌムのスタイルに(出だしのところの縦の線も)合っていないが。これらを支えるコンセルトへボウの半端でない凄さは、このモノ録音からも十二分に伺える。最盛期というか、この時期にはBPOやVPOをも上まわっていたのではないかと思うくらい。けれども、LPOを指揮した「ハフナー」でもテンションはやはり高い。弓を普通より駒に近いところで弾かせていたようにも聞こえるが、メリハリというかエッジの利いた音づくりである(ただコンセルトへボウでは更に輝かしさが加わる上に管の威力と巧さが半端ではない)。フェリアーも参加している「春の交響曲」はライブのSP吹き込みと見えて音がかなり落ちる。に比べればマシとはいえ「軍隊」も他のハイドン二曲より少しぼけた感じ(日付が二つ載っているが前の方だろう)だが、オケの差もあるかもしれない。とにかく予定しなかったVol.2も注文してしまった。ステレオでオケがどう聞こえるか楽しみ。

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  • 13人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/10/17

    50年代の半ばにトスカニーニとフルトヴェングラーが亡くなると、待っていたようにステレオ時代に移行する。巨匠たちの次の世代はどうしてもステレオ時代の演奏家と言うイメージがつきまとうから―世代にもよるだろうけどー、彼らが、巨匠たち存命時代に、行なったモノラル録音は再吹き込みの陰に隠れてしまいがちだ。とくに日本のように当時まだ実演を通して判断など出来なかった国ではそうだ。けれども、このベームの録音は、当時既に彼が素晴らしい演奏をしていたし、ある意味で後の演奏以上のものさえ少なくないことを分からしめるという点で、先に出たクリュイタンスの10枚組と双璧である。どの演奏も本当に充実している。しかも、音も、時代なりにとてもいい。モーツアルトやベートーヴェンは明らかに後の録音を凌ぐ出来だ。コンセルトへボウとのモーツアルト(とくに39と40)、後者ではVSOとの第九(これはほんとにいい意味での予想外!)、BPOとの第五はとくに素晴らしい。「英雄」はブラ1はLP時代の記憶よりも音が大幅改善で、とくに後者は堪能した。シュトラウスはドレスデンとのも名演揃いだが、ツァラになってやはりステレオの威力は大きいと改めて思った(あの出だしなんだから、効果抜群は当たり前と言えば当たり前だが)。この時期のベームはとくに甘さのかけらもないので(シューベルトだって)、ものによってはもう少し視聴者サービスがあってもと思わなくはないが、そういう人は他の指揮者を聞けばいいと言うことだろう。とにかく峻厳なマエストロに改めて襟を正す思いで聞かせて頂いた。大推薦。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/09/19

    好評のようだし、録音と値段を勘案すれば標準的な演奏としては良いのだろうけど、往年の巨匠たち(モントゥ、ミュンシュ、クリュイタンス)らに比べると、これといった特徴に欠ける。どこといって過不足ないのだが、それ以上の魅力がイマイチ。録音でこれらよりメリットがあるとはいえるけれど、たとえばダフニスの夜明けのシーンなど、何処か混濁していて、真の透明さには欠ける。ミュンシュの55年のラヴェルなど、ステレオ初期の録音なのに結構鮮明だし、オケの技量もやはりボストンの方が上だ。

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/09/19

    このアルバムの第一の存在理由は「ダフネ」である。普通だと中古市場で高値を呼んでいると聞くDecca盤の「影のない女」だろうが、冒頭の目の覚めるような音が持続されない。部分的にかなり歪む(前のアルバムでの「薔薇」もそうだった)。ひょっとして板起こし(って感じも他ではしないのだが)で中心部にいくと歪んでいるのか?「エレクトラ」はベームのレコーディング中でもベストのひとつの度迫力名演で(スタジオ録音とは思えない)、録音も本来いいのだが、私のもっているDG盤よりイマイチ鮮明でない(それと左右が逆みたい)。とはいえ、比較しなければいい音で、聞く価値は充分ある。「ダフネ」はあとのギューデンとの録音を聞いてないので比較できないのだが、戦中の録音としてまずまずの音で、演奏は素晴らしい。ライブのベームはこの時代からそうだったのだ。緻密、緊密にして凝集度が並大抵でない(この点では「影のない女」をしのぐ)。ライニングのタイトルロールも素晴らしい。「アリアドネ」はそれから10年あとにしては音は似たようなもの。歌手たちは当時のウィーンのベストメンバーだが、他にもっと音のいいのがあるから、そっちをとるべきだろう。10枚目のおまけは古いベームの録音の抜粋だが、「ベールの踊り」と「カプリチオ」以外はそれなりの音がして、当時の歌手たちのレヴェルの高さを窺い知れる。だが、やがて大爆撃の対象になる戦中のドレスデンで、こんな音楽を聴いていた聴衆って、どうなんでしょうね

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