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mari夫 さんのレビュー一覧 

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     2019/04/02

    夭折したカンテルリが残したレパートリーの大部分を網羅した企画。EMIに残されたフィルハーモニアとのスタジオ録音と、NBC響を中心としたほぼライブの録音。かなり重なる曲目もあり、ハイドンの93番などは三種類も入っている。いくつかはステレオ。カラヤン(12歳上)の生涯が1950年代半ばで断ち切られていたとしたら、すでに数多くの優れたレコーディングは残していたとはいえ、少くとも帝王のイメージはなかっただろう。バーンスタイン(2歳上)がニューヨーク・フィルの常任にもならぬうちに「消え」ていたら、彼は演奏史に名を残さなかったのではないか?そう考えると、36歳の若さで逝ったこの若き俊英がもっと長生きをしていたらという想像を馳せることは避けがたい誘惑でもあるが、不十分な音質であるとはいえこれだけのレコーディングが残されたことは、感謝すべきことだろう。トスカニーニに気に入られていたということからも推測できるように、カンテルリのスタイルは実に直截で、いささかも低徊趣味的なところはない。実際同じNBC響との『展覧会の家』はトスカニーニとかなりよく似ている。ただし、2年後のトスカニーニより音は良くないし、演奏の結晶化度も劣る。11枚目のイタリア・バロックの諸曲は当然この時代のスタイルだが、その限りにおいて演奏はびっくりするくらい良い。特にコレッリとジェミニアーニは単なる娯楽音楽の域をはるかに出ている。多分オケの協奏曲として組み合わせられているバルトークもまた、同時期のカラヤン(フィルハーモニア)と並ぶ傑出した名演。ベートーヴェンは颯爽として活気に満ちた名演。しかし晩年のトスカニーニのやや引き攣った癇の強い感じはない。ステレオで残された第五は風格さえ感じさせるが、事故のために第一楽章が未収録で終わったのは実に惜しい(三楽章以下は本人の最終承認を得ていないテイクというが)。ブラームスの二曲も同様で、このイタリア人指揮者はドイツものを実によく構成している。特に一番の堂々たる威容は既に大家の風格が十分。チャイコフスキーでは、「悲愴」が特に良い。上滑りせずに密実に構成された名演は只者ではない。フランスものも良くて、特にニューヨーク・フィルとの「ダフニス」は光彩陸離たる名演で、この録音が惜しいが、実に熱狂的な拍手も納得。ボストン響とのレスピーギも同じようにもう少し音が良かったらというところがある名演だが、「アッピア街道の松」の迫力などはそれでもこの俊英の能力を確信させるに十分なほど。序曲だけだが、「セミラーミデ」と「シチリア」の二曲は、強靭なリズムでの快進撃で、彼のイタリア・オペラを聞いてみたかったと惜しませる怪演。録音はこの時代並みで、聞き慣れているならそう問題はないだろう。

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     2019/02/14

    Scribendumの二つのボックスとは違うソースによる4枚組BOX。曲目など重複がある(テークは違うものでライブ)にせよ、協奏曲などそうでないものの方が多いため、ベイヌム・ファンには見逃せない。ドビュッシーはベイヌムでもとりわけすぐれたレパートーリーで、「映像」は7年ほど後の、そして「海」は16年後のものがScribendumにはあって、特に後者はステレオ盤だから、当然こちらは分が悪いが、年代を考えれば音は良い方。「春」はScribendumにはなかった曲目なのでとりわけ貴重。その「春」と「海」は戦中の録音にも関わらず、レンジは狭いにせよ、同時期のメンゲルベルク盤などより音は良い。「映像」は更に新しいだけ音も良い。ベイヌムのドビュッシーは濃厚な色彩感と弾けるようでダイナミックな推進力が素晴らしいが、ここでも不自由な音ではあるとしても、その特徴は窺われる。彼がモデストで控えめな性格だったので同僚たちにはウケが良かったが、聴衆に理解されるには時間がかかったと(大変立派な)解説書にあるけれど、ベイヌムの演奏の燃え上がったら消しようもないような盛り上がりは、そんな形容とはどうも折り合いがつかない。2枚目はフランスとオランダの作曲家の作品が二曲づつで、「ダフニス」は「春」同様初出なので貴重だし、演奏も凄い。ただ惜しむらくは音の鮮明さが、オケの色彩感を味わうにはこの曲としては今ひとつなところが残念。フランクとオランダ勢の二曲は象徴主義的な曲だが、ベイヌムのロマンティックな叙情性を堪能させる。後の二枚の大半は名だたるソリストを迎えた協奏曲がメイン。二曲のベートーヴェンのベイヌムは、いずれも堂々たるバック
    ・アップだが、ソリストも大家ぶりを発揮している。一番新しい(58年)ヴァイオリン協奏曲は音もいいが、フランチェスカッティの漲る美音と前進する音の運びが見事だ。カーゾンのピアノ協奏曲第3番は特に個性的というのではないが、堅固で立派な音の作り。最後の4枚目ではリパッティのバッハという超貴重テークがある。47年録音なので芳しい音ではないが(でも翌年の「映像」はもっといいので、せめてそのくらいの音だったらとは思う)、劣悪な音でもリパッティの光の沁み入るせせらぎのような演奏は垣間見る(聞く?)ことが出来る。メニューインのモーツアルトはゴシゴシとした演奏で、滑らかさや優雅さには欠けるが、音楽の骨格の立派さに感銘を受ける。クレンペラーとかシゲティのモーツアルトに近いかも。ロザムンデの抜粋は一番古い40年だが、最初の弦からメンゲルベルクみたいなポルタメントがかかってびっくりだが、それ以外は極端にロマン的な演奏ではない。ずいぶん違う個性のようでもやはりボスの影響はあったんだね。最後のシェーンベルクは、先鋭かつ彫りの深い名演で、ベイヌムのこの辺のポストロマン派の演奏をもっと聞きたかったと思わせる演奏だ。ひょっとするこれが一番聞きものかもしれない。

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     2019/02/07

    このシリーズはグリュミオーのBoxもそうだが50年代の録音が多く、その後のステレオ再録音があるため大多数が「旧盤」となるが、実はこの時期の方が演奏家の全盛期にあたり、充実した内容である傾向がある。安いけれどモノーラルの「旧盤」かなどと片付けない方がいい。音も悪くはない。フランチェスカッティは、伊達男が香水を振ったような美音のヴァイオリニストではあるが、その腕の映えは何とも見事だ。ベートーヴェンの協奏曲(特に三楽章)やチャイコフスキー(一楽章)のカデンツァ、クロイツェルの変奏曲などは音楽がうなりを上げていて溜飲が下がる。ドイツ風でも、増してやスラブ風でもないが、ヴァイオリンの音楽として極上のレヴェルに達している。直系だからというのでなくパガニーニの協奏曲は究極の名演だし、『詩曲』などは、モノであっても目くらめくほどの名人芸だ。ミトロプーロスの伴奏も含めて実にいいのはプロコフィエフ。出だしの主題からして面目躍如。セクシーな美音がうねりながら前へ前へと音楽が進む二楽章の悩ましいこと!ハイフェッツやオイストラフ、ミルシュテインなどこの曲を得意とする名だたる名手たちをすら凌ぐ。一番も聞いてみたかったな。同じミトロプーロスとの組み合わせのブルッフも予想通りの名演。この二人は相性もバッチリみたいだ。それに引き換え唯一のステレオ盤であるモーツアルトの二曲では、老巨匠ワルターの重くゆっくりとしたテンポに前に行きたいフランチェスカッティは居心地が悪そう。何れにせよ、フランチェスカッティは真のヴィルトゥオーゾの名に相応しい。シゲティやシェリングに比べると、「チョイ悪」みたいなところがあるにせよ、決して単なる「フィードラー」ではないことは、ベートーヴェンのソナタ(例えば7番のフィナーレや8番の一楽章)や二曲のバッハの厳しい表現を聞けば感得されるはずだ。バッハでは協奏曲もセルの厳しい伴奏共々にいい。あまりの美音であまりの妙技だから「精神的」でない、みたいな先入観を持たれがちだが、どうしてどうしてそんなことはない。彼が20世紀中判の代表的な名手であることに議論の余地はない。ただ惜しいのはラロの「スペイン交響曲」が入っていないこと。そこは画龍点睛を欠いた。

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     2019/01/25

    微笑みやロココ的な優雅さというようなワルター的なモーツアルト像からすればクレンペラー のモーツアルトは峻厳で異色である。剛直なリズムも外れているように思われる。クレンペラー は同じマーラー門下であったワルターをかなり意識していたらしいが、二人の芸風は確かに正反対だ。けれども、このモーツアルト集は不思議にいい。ロココというよりバロックと古典派を結ぶ音楽なのに、モーツアルトとして足りているところはない。あるいはモーツアルトの音楽家としての大きさなのかもしれない。概ね50年代と60年代の二種類収録されている交響曲群といくつかのセレナード集、そしてオペラの序曲集だが、いずれも見事な造形だ。両翼配置やクレンペラー 独自の内声部の活かし方がことのほか効果を上げている。この値段で買わない手はない。

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     2019/01/16

    この「前奏曲」は素晴らしい。なぜ一巻でなく二巻からという疑問は残るが、その音響の組み立て方(変ないい方だが)は実に面白い。とりわけ、ペダルを控えめにした速い曲でのアーティキュレーションというのか、リズムの取り方というのか、そこから紡ぎ出される音の妙味!このピアニストの持っている音のパレットの豊富さは、ミケランジェリやギーゼキングの名演すらも忘れさせる。連弾で弾かれた「海」はこの曲とピアノの親和性を強く印象付ける。オケ版よりも素晴らしいと言ったら言い過ぎだろうが、充分にこれだけで聴く価値がある。しかし、メルニコフはどういうレパートリーを志向していくのか、実に興味が惹かれる。

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     2019/01/16

    このレコーディングはかつて海賊版でもっていたが、モノで音もかなり劣悪で演奏の良し悪しを判断するには足りなかった。このCDはステレオだし、格段に音も良い。同時期のセル/クリーヴランドのライブとほど同等である。とはいえ、時代なりの音ではあり、特に強奏(一楽章や終楽章)では音が混濁(歪む)する。これがスタジオ録音だったらといううらみは当然ある、特に曲が曲だけに。クリーヴランドの透明な音のプレザンスは多少なりとも犠牲になっている。しかし、にも関わらず、これはセルには珍しいほどの、ライブならではの熱気によって特筆すべき名演となっている。完璧に結晶化された演奏が発火点を超えて燃え上がる、というような。一楽章や終楽章中間部の劇的な迫力は音のハンデを乗り越えて身に迫る。歌手ではフォレスターがいい。二楽章にせよ終楽章にせよ、深い声で聴くものを引き込む。この曲やセルの愛好者には一聴に価する、というか必聴の名演。

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     2019/01/14

    同じ作曲家の協奏曲と三重奏曲をファウスト、ケラス、メルニコフの三人で吹きこむというCDの企画は、シューマンでもあるが、これはそれに先んじたドヴォルザークで、もう一つチェロ協奏曲と「ドゥムキー」を組み合わせたCDもある(ドヴォルザークにはピアノ協奏曲もあるが、これは録れていないみたいで、メルニコフが好まないためかもしれない)。このヴァイオリン協奏曲は素晴らしい。ファウストの透明な美音、特にハイポジションがボヘミアの空と草原と川面を切り裂き飛翔する。ファウストの中でもとりわけ優れた、霊感に満ちた演奏。トリオの方は円熟した手法によって書かれた重厚な名曲だが、三人の威力は実に半端ない。特にメルニコフの腕の冴えは目覚ましい。録音は2003年だそうだが、最新のものと引けを取らない。大推薦盤だ。

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     2019/01/11

    なんといっても「復活」が素晴らしい。バイエルン放送響の底光りする音がスタジオ録音のフィルハーモニアのやや中性的すぎる音よりもこの演奏に深みと劇性を付与している。音がまたこの時期のライブとしては最上級の音だ。ヒスノイズなども少ない。あらゆる「復活」に冠たる名演といっても良い。四番はだいぶ前のモノ録音なのと、こういう曲ならフィルハーモニアの音にも不満がないが、演奏は同様に素晴らしい。音もそんなに悪くはない。「大地の歌」はその点では少し厳しい。これはスタジオ録音を取るべき。歌曲は音が良くない。特にフェリアーとのはノイズも盛大。ただ「若人」の方は他に録音がないし、貴重。ただこの値段だし、「復活」だけで有難や有難やと拝む気分。

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     2019/01/11

    ファウストとメルニコフのソナタ全集と対になる企画で、特徴も出来栄えもそれと並べられる。現代の最高峰というべきだろう。楽器自体はモダンだそうだが(でもピアノはスタインウェイではなさそう)。ケラスのチェロのヴィブラート、メルニコフのピアノのペダルはともにかなり抑え気味。発音の見事さ、リズムの生気が目覚ましい。とりわけ、特筆すべき演奏は四番のソナタと魔笛の変奏曲かな?それらの構造が浮き出てくる名演。三番のソナタでは三楽章のイントロでのリヒテル(ロストロトの演奏)の美しさが忘れられないが、このメルニコフも引けを取らない。しかし、ヴァイオリンとチェロのソナタ全部を入れているのにピアノ・ソナタはやらないのかな、メルニコフ(満を辞している?)。期待が高まる。

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     2018/12/28

    各々の楽曲が作られた時期に近い頃の楽器で弾くという企画にまずは座布団一枚、いや五枚。でも企画だけで演奏が面白くなかったら意味がないのだけれど、メルニコフの技と知性は万全というか感服の他ない。「さすらい人」では三楽章の表題歌曲の旋律が、この古楽器ならではのうらぶれた低音によって、「冬の旅」の終曲(ライエルマン)を連想させないではおかない。しかし他の楽章のダイナミズムやスケールにも欠けた所はない。エラールのメロウな音で弾かれたショパンは作品25だけだが(ソコロフには8だけというのがあった)、これも実に見事な演奏。メルニコフのショパンをもっと聞いてみたい。リストは正直なんども聞きたい曲ではないが、最後のストラヴィンスキーの燦然たる怪演に拍手。これでこそスタインウェー。

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     2018/12/28

    何処までも透き通った雅趣に満たされたアルバム。音の光と影の揺蕩いが織りなす贅沢な快楽。とりわけ極上の時が過ごせるのはフルートとヴィオラ、ハープのソナタ。フルートの透明な美音は堪え難いほどだし、それを支えるヴィオラのうまいこと。そしてファウストとメルニコフ、黄金コンビのヴァイオリン・ソナタもまた。といってケラスのチェロが劣るわけでもない。いずれ菖蒲か燕子花。

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     2018/12/27

    ムラヴィンスキーは73年の初来日で評価が一変した。それまでもDGのチャイコフスキーや新世界(当時)のショスタコーヴィッチは決定版と言われていたが、来日後はロシア以外のレパートリーまで神格化された。それ以降の若い世代が来日公演を聞く機会がなかったことを悔やんでいるコメントをよく読む。しかし、実のところ、私は来日公演を三度聞く機会があったが、無条件に感嘆したわけではなかった。特にブラームス(4番)やプロフィエフの「ロメオとジュリエット』は面白くなかったし、ベートーヴェン(5番)も柄は大きいが、どうもアルカイックというか、骨ばかり見せられ(聞かされ)ているようであまり感心しなかった。吉田秀和氏も公演直後のベートーヴェン(4番)をえらい指揮者がベートーヴェンをああやるかねぇと言っていた(が、その後は肯定的な評価を書いていた)。ショスタコーヴィッチ(5番)は三楽章のクライマックスのスゴさには驚いたが、全体としてはかつての鋭利さを失っているように聞こえた。一つはかつてモスクワのオケとは全く違うと言われたオケの音が、それほど違わなくなっていたことだ。管楽器の音に魅力が感じられない。「ルスラン」の驚天動地の疾走は実演で初めて聞いたのでびっくりしたが、曲芸みたいなもので音楽的な感動ではない。骨格の大きさばかりが強調されているところは社会主義リアリズム的(彼が政府から睨まれていたとしても)なアルカイズムだと思った。プロコフィエフのモダニズムは聴けなかった。それで、どうもソ連の演奏家はオイストラフもリヒテルもムラヴィンスキーも65年くらいまでという印象を持つようになった。
    ということで、このセットもこれまで聞かなかったのだが、今回両方でこの値段なら聞いてみようと思った。批評家ky氏が一変したとかいうリマスターのセールストークに引っかかったというところもある。これに関していえば、yama/fanさんの評価と同感。ミケランジェリのベーゼンドルファーコンサートのCDもそうだったが、ky氏は空気読まないばかりか空気(音)聞いていないのではないか?
    演奏に関しては、やはりロシアものは凄い。特にショスタコ6は、どちらも雄大な冒頭はムラヴィン独自のものだ。他ではワグナーがどれも異常な迫力の演奏で、これは一本取られたという感じ。ベートーヴェンやブラームスは神品扱いする人がいるけれども、同意は出来ない。モーツアルトもこんなに緊張ばかりしている喜遊性皆無の演奏は好きになれない。

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     2018/12/27

    黄金コンピのドイツ正統路線のライブ録音で、どれも聞き応えがある。ヒスノイズがかなりあるが、それを取っていない分、音の伸びは良くて好ましい。一枚目のハイドンはセルの得意レパートリーだが、精妙さと併せて活力が素晴らしい。モダンオケによるものとしては究極のハイドン。二枚目はまず「未完成」が凄い。クリーブランドは低音は抑えめというイメージだったが、冒頭から深い音が聞かれ、構築性も高く結晶化している。二楽章は儚い旋律を受け継いでいく木管(特にオーボエとクラ)の上手いこと、またその伴奏の隙のないこと。甘さ控えめの辛党シューベルトだが、究極の「未完成」の一つ。ブラームスもこれと同じ路線上にあるスケールの大きな演奏。三枚目はちょっと音質が落ちる。特にベートーヴェンは、大分以前のスタジオ録音を明らかに凌ぐスケールの大きさだが、テープの保存状態の問題か、ノイズも歪みも他曲より目立つのは残念。モーツアルトはこれより良いが、クリア度はもう少し欲しい。一楽章がやや凝縮度に欠けるように聞こえるのはこの音のせいか。東京のライブを取りたい。

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     2018/12/27

    ライブだから技術的には完璧ではないが(特にシベリウスの三楽章では、冒頭でソロが記憶を失ったのかヨレヨレとなるし、ペトルーシカ でも混乱はある)、音楽の勢いとしては最上級の名演。特に60年代のブラ1&3、序曲そしてペトルーシカは瞠目すべき凄さだ。ブラ1はボストン響との演奏がフランス風に軽かったのとは一転して、重厚な迫力に満ちている。一楽章などはモントゥ ーがここまで?というようなアゴーギグが連発された超熱演。正直少しやりすぎだが、88歳の演奏とはとても聞こえない。3番も同様だが、こちらはやり過ぎはない。それと同じ日のペトルーシカは、色々な演奏が他にもあるが、これほどに力に満ちた演奏はモントゥ ーにしても他にない。精密さでは今の演奏の方が上だとしても、これほどに原初的な力に満ちた演奏は聞いたことがない。コンセルトヘボウの厚みのある音も極上。ただし残念なのは、50年代のと比べて音が格段には良くなっていないこと。ヘボウの重厚な色彩美が聴けたら、皆ベストワンといっても良いくらいなのに。とはいえ50年前後のは時代なりとしてもやはりその分感銘は少し割り引かれる。でも前に出ていた「幻想」よりは改善されている。ドリス夫人も交えた英語のインタビューも興味深く、モントゥ・ファンは買わない手はない。

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