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shef さんのレビュー一覧 

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/09/17

    日頃ドラティ/コンセルトヘボウで聴いているせいか、クーベリックの演奏が実にウェットに聴こえる。「走る悲しみ」じゃなけど、目頭が王冠を潤んでくる。
    情感タップリの歌い方、むせび泣くような弦の響きのせいだろうか。
    これはこれで好きな演奏、第2楽章のシニカルなニュアンスと宙にたゆたうような気怠さも好感。終楽章のなだれ落ちるようなスピード感も熱い情感を振り絞りつつもクールさを秘めていたりと、クーベリックのライヴはスリリングな要素が多い。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/09/15

    プレヴィン、一時はウィーンフィルと蜜月状態でハイドンからドヴォルザークやR シュトラウスというドイツ系を中心にいろいろなCDを出していた。このシェラザードもそうした一連の録音。 安定感のある美しい演奏で瑕疵もなく楽しめる。ただ欲を言えば、プレヴィンらしいスリリングな展開とか、目も覚めるような絢爛豪華な世界を描き出してほしかった。どこか大家じみた安定感に「早すぎるだろう」と突っ込みを入れたくもなる。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/07/13

    ロスロポーヴィッチ/パリ管の絢爛豪華なアクの強い「あざとい」演奏、この「あざとさ」を中和したコンドラシン/コンセルトヘボウの演奏、そしてモザイク画のような色彩感と精密機械のようなリズム感に彩られたマゼール/BPOといった優れた演奏の前で、プレヴィンは何を聴かせてくれるか興味があった。

    これは品の良いシェへラザードだ。ウィーンフィルの自発性を生かしながら、ここぞと手綱を引き締めたり、拍車をかけたりとプレヴィンは音楽を破綻なくドライヴする。リズムの切れ味はいいしリムスキー=コルサコフらしい豪華な色彩感も楽しめる。ただ、欲を言えば、すこし行儀良すぎるかな、と思う時もある。もうすこしえぐみが欲しくなる。

    乱暴な言い方をすれば、音楽を煽り、バランスを省みず爆発させるような演奏を「ロシア的」と形容するのは間違っているし、この曲はそういった性格のものではない。精密は管弦楽法を駆使した精密画だと思う。この観点に立てば、なかなか立派な演奏だ。そして、いかにもプレヴィンらしい、彼の世界を見事に描いている。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/05/15

    数年前、東京で聴いたフィルハーモニア/インバルの巨人は鮮烈な印象を残し、いまだに心に焼き付いてる。パステルカラーのステンドグラスのように柔らかな光彩と原色の如きアクセントを散りばめた鮮烈で幸福感に満ちた時間が。

    あの時のときめきが蘇るような演奏だ。都響も大きく成長したものだ。音の濁りも少なく、透明感を維持する。2楽章のリズムの良さ。3楽章の憂鬱な気分の漂うなか木管群のモノローグのような呟きと歌。
    美麗な演奏で幸福感させ味わうのだが、聴き終えると一抹の不満を覚えるのも事実。それは表面的は綺麗に研磨され、表象がみごとに映し出されるのだが、どこか虚像のような実体感の薄さを味わってしまうこと。 あるいは作為的,人工的香りを嗅いでしまうこと。

    とはいっても、それは美しさゆえのサイドエフェクトというべき作用かもしれない。
    美しいマーラーを優れた音質と臨場感で素直に楽しむ、楽しめること異存はないのだが・・・。

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  • 8人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/03/10

    1956年、36歳の若さで飛行機事故で亡くなった悲劇という背景は別にして、メンデルスゾーンのイタリアを聴けば、彼の才能にひれ伏すことになる。 
    1953年、33歳の若き指揮者が振ったにしては、まさに「異様だ」。 湧き上がる音楽、エッジの切れ味の良さ、トスカニーニ譲りのインテンポは新即物主義と評されているが、内なる声は充実し、細やかなニュアンスを散りばめている。 
    シューベルトの「未完成」も「この歳で!?」と呆れ果てるほどの構成力を見せつけ、透明なリリシズムと力強さを備えてる。
    シューマンの4番もただの力技ではない。 シューマン特有のリズムと和声を如何なく表現している。

    「若き、不運な音楽家の遺産」という肩書きがなくとも、気持ちよく聴くことができる音楽だと思う。 たしかに録音も含めてベストだとは思わない。 だが、カンテルリだからこそ「聴こえる音楽」があるのは事実。
    その音楽を聴きたいと思うなら、ぜひ手元に置きたいアルバムだ。

    8人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/03/25

    1962年11月の録音。この9番、ゲルマン的な荘厳な、あるいは巨大な演奏を期待すると、肩透かしを喰らう。 
    1mov.冒頭、はっきりした弦の刻みで始まり、「宇宙の始まり」のよう神秘性は薄い。テーマもあっさりと奏され、全体的に流麗。
    スケルツォもリズムが明解に刻まれ、「象のダンス」といった重さとは別次元の音楽。
    3mov.も流れを重視した演奏。 深刻さや重々しさとはちょっとかけ離れている。 聴いていて「清々しさ」とは感じるが、もうすこし透明感がほしい。
    そしてフィナーレ。 バリトンがソフトに歌いだしたときは「ピエールどうした?」と思ったが、そのほかのソリストは無難。 コーラスは熱気がなく、薄めの響き。 最後はお祭り騒ぎのように終結に向かってなだれ込み、さすがのLSOが必死に追いつく様はスリリング。  全曲の演奏時間67分あまり。

    問題は録音。 なぜか低音が薄い。このおたりを上手に調整すればまあまあ楽しめる。


    わざわざこの9番を購入するのはモントゥ ファンだけだろう(ちなみに小生はモントゥ ファンです)

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/02/10

    少しほの暗い、柔らかな光に包まれた演奏。 

    ルスランはアクセル全開のムラヴィンスキーで聴いてしまうと、ちょっと物足りない。 たしかに端正で、終盤ティンパニィの強打というアクセントはあるが、上品過ぎる。ボロディンはチェコフィルの美味さに惚れ惚れ。スペインは、ロジェストヴェンスキーがパリ管を指揮した極彩色の演奏を思い浮かべてしまった。

    ではお蔵入り?と問われると、どこか心に引っかかる。 イタリア奇想曲のリズムの切れ、エスプリさえ感じさせる曲の運び。1812年だって、もっと壮大な演奏はあるけど、アンチェルの演奏は「脳天気な」勝利記念曲で終わっていない。 売られた花嫁ではリズム感の良さとチェコフィルの美味さに舌を巻いた。

    スラブ臭が薄いロシア音楽。それは、個人的には、欠点ではない。 むしろ「演歌的な」演奏よりも好きだ。そして往年のチェコフィルの魅力、だろうか。
    アンチェルはチェコフィルと相性が良いのかもしれない。

    聴き終わるころには、「お主、なかなかやるな」という気分にさせられる。
    派手な演奏ではない。  地味だが、噛めば噛むほど旨みが出てくる、そんなアンソロジーだと思う。 アンチェル入門には打って付け!!

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/01/24

    シューリヒトの音楽を「峻烈」と評する人も多いが、私の印象は「競泳選手の筋肉」だ。 体脂肪の少ない、しなやかなで強靭な筋肉。 均整の取れた体つき。アメフト選手のように「重量級」の演奏だってある。 たしかに重戦車がシュバルツバルトの木々をなぎ倒しながら疾走する「凄まじいパワー」で聴き手を圧倒するエロイカ。 
    それに比べ、シューリヒトは「スマート」だ。 和声の扱いやリズムに感性の閃きを「花火」のように一瞬咲かせる。 それはどこかエスプリに通じる。 そしてその花火を見たいがために彼の音楽に引き込まれる。

    音楽はがっしりしているが「大きな質量」を感じさせない。 どこか春風のような「かろやかさ」を秘めている。 それでいてベートーヴェンの音楽をきちんと語りつくしている。 ベートーヴェンだけではない、モーツァルト、シューベルト、ワーグナーもそうだ。 

    パリ音楽院オケとの全集も大好だが、VPOとのエロイカもまた彼の音楽を十全に語った記録だろう。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/01/09

    ベルクルンド/ヘルシンキのひんやりした透明感あふれる肌と山の冷気のような鮮烈な空気感、一方、デイヴィスの温もりある陶器のようなきめ細やかな肌と北の大地をワシ掴みにしたような安定感。 Which?と問われると返答に困ってしまう(贅沢な悩みだ)。

    デイヴィスが、これ以前に、ボストンと録音したシベリウスも決して悪くない。 が、これを聴いてしまうとボストンとの全集は「箱庭的」に聴こえる。 それほど気迫がこもっている(とりわけ1,2番)。耳にする機会の少ない3,6番では、慈愛に満ちた眼差しを感じ取れる。

    たしかにLSOの音色は透明度のある暖色系で、北欧オケ特有の寒色系の透明感とは異なるが、アンサンブルの精度と機動性では上回る。 このあたりは個人の趣味の世界かもしれない。 私的には「両雄相立つ」で、その日の気分で好きな方を聴くのが一番だと思うが、いかがなものか。

    デフレ云々で世間は騒いでいるが、クラシック音楽ファンにとってこうした「ディスカウント」はうれしい。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/12/26

    スカルラッティといえばホロヴィッツの抜きん出た演奏があるので、他の演奏を聴いても心揺さぶられることがなかったが、ポゴレリチには驚いた。

    変人クラスのピアニスト、という印象しかなかった。ショパンにしても正直「疲れる演奏をするんだ」と思っていた。
    その彼がこれほどセンシティヴでプログレッシヴな演奏をするとは!
     
    まさに「光彩陸離」、なおかつ、ポルトガル王宮で鬱屈した日々を送るドメニコの心がにじみでいている。王妃に音楽を教える仕事があっても、彼にとってポルトガルや後のスペインは「音楽の都」ではない。そこは「辺境」であり「表舞台」ではない。ナポリに帰りたい、その望郷の思い、歯がゆさ、わびしさが音楽の間から感じられるのが良い。
    久々にスカルラッティを堪能させていただきました。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/12/03

    ショパンやシューマンではルイサダは独特の美学と雰囲気があり大好きだ。でもあまり古典派の音楽をルイサダでとは、正直、思っていなかった。どちらかと言うと「構築性」とか「求心力」にあまり重きを置かず、美しい、彼独特の繊細な音色を積み上げ、エスプリを感じさせるアーティキュレーションで世界を築くことに彼は美を見出していると感じていたからだ。結論を言ってしまえば、この傾向はこのアルバムでも続いているが、それでもなお後者の魅力が前者の不足を補って余りある。その意味では魅力的な世界だった。

    肩を張らないバッハ。ベートーヴェンも選曲が良かったこともあり、柔らかな青い光に包まれ、まさに「幻想的」だった。モーツァルトは柔らかな猫の背中を撫ぜているよう。ほんわかとした中にもちょっとした緊張とひらめきがちりばめられ、聴いていて楽しくなってしまった。

    初め、選曲があまりにも「お子様ランチ」で、敬遠していたのは事実。まぁ、ルイサダを信じて購入してみてください。彼の世界が十分に堪能できますから。

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/11/24

    ロンドンセットのみ所有。いろいろな指揮者が録音しているが、これだけの演奏水準のロンドンセットは見当たらない。近年は古楽器の小編成オケの録音も増えたが、聴き比べると風格が違いすぎる。カラヤンのハイドンは透明感はあるが、ドイツらしい粘着質な部分も垣間見られる。どっしりとして、その大地に根を下ろしたような安定感は安心につながり、ゆったりと音楽に浸れる。「軽やかさ」や「きびきびしたクリスピィさ」ではセルに劣るが、その(ややもったりした)重量感さえも心地よく感じてしまうのが、カラヤン マジックなのだろうか? 個人的にはセルが90番台で録音がストップしてしまった(計画はあったらしい)ことが慙愧に耐えないが、もし仮に完成したとしても、双璧だと思う。


    ミンコフスキのロンドンセットをここ一週間ばかり聴いていたが、結局、カラヤンとセル、ワルターに戻ってしまった。改めて、このセットのすばらしさを感じて、レヴューを書き込んだ次第。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/11/24

    ロンドンセットのみ所有。いろいろな指揮者が録音しているが、これだけの演奏水準のロンドンセットは見当たらない。近年は古楽器の小編成オケの録音も増えたが、聴き比べると風格が違いすぎる。カラヤンのハイドンは透明感はあるが、ドイツらしい粘着質な部分も垣間見られる。どっしりとして、その大地に根を下ろしたような安定感は安心につながり、ゆったりと音楽に浸れる。「軽やかさ」や「きびきびしたクリスピィさ」ではセルに劣るが、その(ややもったりした)重量感さえも心地よく感じてしまうのが、カラヤン マジックなのだろうか? 個人的にはセルが90番台で録音がストップしてしまった(計画はあったらしい)ことが慙愧に耐えないが、もし仮に完成したとしても、双璧だと思う。


    ミンコフスキのロンドンセットをここ一週間ばかり聴いていたが、結局、カラヤンとセル、ワルターに戻ってしまった。改めて、このセットのすばらしさを感じて、レヴューを書き込んだ次第。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/10/17

    表面を綺麗に仕上げた演奏ではない。無骨、そしてアインザッツも時に荒れる。即物的、客観的。過剰な感情移入はないし、むしろ、淡々と音楽は進む。それでもこの演奏の「重み」は異様でさえある。それは、音楽の対比が創り出している。時に、もがき、えぐるような痛み、苦悩、そしてその痛みを慰撫するような、心安らかな諦観じみた優しさ。この相反する様相のとてつもない対比。
    アーベントロートはその「絶対的な」対比を重量感ある、しっかりした構造の中に破綻なく収めている。これって、ほかのブラームス演奏では見られない。あえて言えば、晩年のカラヤンが指揮した4番にも同じような要素が見られた。彼の場合は「焦燥」が滲んでいたが。3番にしても、それ以上に4番は、ぜひ、一聴すべきだと思う、特にブラームス ファンであるなら。おそらく、手元に置き、しばしば聴きたくなる演奏だから。 

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/10/09

    好きか?と問われればyesと答える。でも人に勧める気にはならない。推薦するならラローチャ、アラウ、Lクラウス、ピリス、宮沢明子といくらでもある。グールドのモーツァルトは「対位法で捉えた」モーツァルトだろう。強力な左手が紡ぐリズムと和音。旋律がまぐあうような恍惚とした音楽ではない。誤解を恐れずに言えば、(バッハというより)ベートーヴェンのようなモーツァルトだ。総じて速めの(速過ぎるケースも)演奏だが、浮き足立っていない、と感じるのは「対位法」の表現に徹しているからか。

    稀代の天才、それが果たしてモーツァルトに通じるかどうかは個々が判断することだろう。冒頭に書いたように個人的には「これもアリ」だと思う。グールド以外にも奇想天外な演奏はある。中にはグールドに啓発されたかのような演奏も。でもこれはグールドだからか可能なのであって、他の者には不可能だ。
    唯一無二、だからこそ価値あるレコーディングだと思う。
    モーツァルトの音楽をリセットする、それだけでも手元に置く価値はある。この演奏を聴いてからモーツァルトを聴く。おそらく、新たな発見があるはずだ。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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