トップ > My ページ > ジャック さんのレビュー一覧

ジャック さんのレビュー一覧 

検索結果:8件中1件から8件まで表示

%%header%%

%%message%%

  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/09/17

    以前のMETのような豪華さはないけれど、丁度良い舞台。演出もそういった方向で、奇をてらわず、オーソドックスだが無駄を省いて舞台に緊張感を醸し出している。映像は下からのアングル、クローズアップが多用されて、舞台全体が見えるカメラワークがもっと欲しかった。そんな事に関わらず音楽、歌でこのDVDは強い印象、長い余韻を与えてくれる。幕開きからしばらくすると、レベルの高さを認識するけれど時間とともにそれが間違いどころか絶対に変化してしまう。
    オケは気持ちの良い、軽快なテンポとリズム。停滞感、よどみがなくすっきり聞ける。美しい音で最後まで音楽に不満がない。METらしい合唱もすばらしい。質、量ともに全オペラハウス中最高なだけに、スタープレイヤーだけがオペラを作るのではなく、彼らがしっかりした土台を作っている事が分かる。合唱だけでも聴き応え十分。エンリーコ、エドガルド、ライモンド役の男性陣が演技、歌ともに申し分ない。特にエンリーコ役クヴィエチェンは安定感抜群で聞く側に舞台への集中を切らすことをさせない。アルトゥール役だけが不満を残すが大きな傷ではない。しかしなんと言ってもルチア役ネトレプコを賞賛したい。彼女の声は下から上まで適度な叙情、潤いが保れ、超高域でもそれが失われない。恋する女性のまさにその声で、しかも悲劇を滲ませるニュアンスがある。後半の演技、歌は奇跡としか言いようがない。数多くオペラを見てきたけれど是に匹敵するのはそうはない。歌と演技が一体化して、詩に強い説得力を持たせている。ネトレプコが歌うルチアは人の心を激しく揺らし、過去のルチア役を陳腐化させる強烈な一撃となった。そしてまたしても芸術としてのオペラに感激した。ルチアの演奏中最高のDVDである事はもちろん、全オペラの中でも歴史に残る屈指の名盤誕生。
    このMETのプロダクションは、1835年初演のルチアが21世紀以降も名作として残る事を証明し、すべてのオペラにもその可能性のあることを確信させてくれた驚異の名演です。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/03/10

    ガランチャのMET盤と前後して入手しましたが、両者を比較すると私はこちらのコベントガーデン盤の方が好きです。まずホセ役のカウフマンですが年齢を感じさせるアラーニャよりうんと若さを感じさせますし、(実年齢差は6才かな)歌い方も饒舌というよりパワー重視みたいなところがホセのイメージに合っています。カルメン役のアントナッチは確か50才位だと思いますが、年齢を感じさせないどころかカルメンの暗い情熱を十分に感じさせ、歌に緊張感があります。演技、踊りも申し分ありません。是もガランチャより優れているのではと思います。エスカミーリョは凛々しく、ミカエラは可憐に歌います。それらのため第一幕から、終幕までゆるみ無くこのオペラを聞かせ、楽しませてくれます。オケはパッパーノのうまさが目立ます。音楽のアクセント、歌わせ方、オケのドライブ本当に巧みです。2006年収録ですが、昨年の来日時は随分老けて、太ってしまったんですね。映像、舞台、演出は基本的にオーソドックスで安心感がありますし、録音も良い方だと思います。
    この盤も解説に出演者のプロフィールが一部しか載っていません。すべてのディスクで充実させ手頂きたく、苦言を呈したいと思います。

    6人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/03/10

    METらしい豪華な配役のこのディスクは第四幕がすばらしい。ガランチャ、熟成したアラーニャノの歌に感情が乗って迫力満点、説得力のある終幕になっている。久々にぞくぞくする快感を得ることが出来るオペラの舞台となったが、この終幕にしては他の幕はいささか物足りない。全体にオケ、歌ともに安全運転気味になってしまった。そのため緊張感、スリルがやや削がれ、ハバネラ、セギディーリャは不完全燃焼に終わってしまった。また代役となったエスカミーリョには同情出来るが、「男が惚れる男らしさ」が感じられず魅力に欠ける。歌に問題があるのでは無く、役作りと言うことかもしれない。
    しかし全曲を通して大きな問題があるわけでもなく、終幕の素晴らしさで強い印象、満足を得ることが出来る。
    映像についてですが、動きのあるカメラが上下左右頻繁に切り替わるので老眼の目に少なからぬ疲労を感じさせます。それに加えてこの価格にしては解説が和訳のみで、廉価版じゃ無いのに、出演者のプロフィールは一切なし、是は改めてもらいたい。プロフィールは絶対条件でしょう。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/07/22

    15ものオペラをブリテンは作曲しているにもかかわらず、生の舞台、ビデオを含めて彼の曲をまだ一度も見ていませんでした。今回このディスクで初めてブリテンのオペラを見て、もっと早く見ておけば良かったと後悔しています。このディスクはおそらくゲネプロを収録した物と思いますが、十分なリハーサルを積んだことが、演奏、歌、演技にはっきり出ています。演奏、歌、演出、青を基調とした舞台、どれもが統制のとれたしっかりとした揺るぎのない物です。ブリテンの音楽は戦後の音楽には違いはないが、心に残る音楽だし、武満徹を思わせる部分もあり、意外と聞きやすい音楽です。「ねじの回転」は現代演劇に上質な音楽をつけた最上級の舞台となっています。一方物語はやや難しいので、十分に理解し楽しむためにはそれなりの時間が必要になると思います。ヨーロッパでは「ビリー・バッド」がたびたび上演されているので、是非日本でも上演して欲しいのと、日本語字幕つきビデオもより多くリリースされることを強く希望します。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/07/19

    日本語字幕つきで「3部作」1セットDVDは多分初めてなので楽しみにしていました。「外套」はメトロポリタン盤、「ジャンニスッキッキ」は最近グラインドボーン盤が出ていましたが「修道女アンジェリカ」は初登場なので特にうれしいく、貴重な1枚です。「外套」はメトロポリタン盤の方がオケ、特にレバインの指揮がいいので音楽の流れがいいし、適度な緊張とドラマ作りのうまさが際だちます。演出もメトの総力投入みたいなところがあって飽きさせません。ただメト盤には決定的な欠点があります。収録当時既に50代半ばのストラータスは声、ビジュアルともいただけません。このDVDはメト盤の裏返しでソプラノのニッツアがすばらしく、強い印象を残します。「ジャンニスキッキ」はグラインドボーン盤が圧倒的に優れています。なんと言っても演技がすばらしい、このDVDではまさに演技が最大の欠点で、喜劇が喜劇らしくなく笑えない物になってしまいました。演奏、出演者の声そのものには別段不満はないので惜しまれます。さて「修道女アンジェリカ」ですが、優れた女性歌手が大勢必要なオペラですから上演自体大変な事です。全体に平凡な演奏になっているように思います。音楽の起伏がやや薄く入り込みにくい感があり、盛り上がりに欠けます。比較的シンプルな舞台なのに無駄と思える舞台装置のアップがあったり映像もちぐはぐな感じがします。こちらも大きな欠点がないのに残念です。総じてこの「3部作」は演出、演技に不満が残ります。3曲に出演したソプラノ、ニッツァのプロモーションのような形になってしまい、現在のイタリアオペラのレベルが反映されたのではと、少々心配になります。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/07/19

    この曲が上演されるのはヨーロッパでも多くはないと思いますが、数年前新国立劇場で見ました。ビデオディスクでは3枚目になると思いますが、前2枚はいずれも20年ほど前の物なのでこのディスクは貴重です。この曲は前、後半に分けると前半はあまり良く書けていませんが、後半はプッチーニらしい聞き所が随所にあって好きです。ですから前半の演奏が結構大変だと思いますし、その善し悪しが評価を分ける所でしょう。このディスクの前半の演奏はやや大味です。デッシーの立ち上がり、オケ、出演者の演技がそれぞれいまいちなところがそんな印象にしていると思います。後半は逆にうまくかみ合って力強い演奏になっています。演出はオーソドックスな物で見やすく、わかりやすいものです。結果的に後味のいい、印象に残る演奏でプッチーニ好きには欠かせない一枚です。ただこのディスクの日本語字幕はいただけません。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/06/25

    トゥーランドットには優れたDVDがないのが残念でしたが、このDVDはなかなかいいと思います。歌手陣がしっかりしているし、演奏も適度なテンポ感があってすんなり聴けます。演出、舞台装置は平均的な水準ですが、最後の落ちは「なるほど」と思わせてくれおもしろかった。全体にゲルギエフ
    盤を超える出来になっていて、最初に買うトゥーランドットとしてはお薦めできます。生のフリットリを一昨年他の演目で聞きましたが、強い芯のある声の持ち主で、演技力、ビジュアルにも優れています。このDVDでもその特徴が良く出てこのDVDを優れた物にする主因になっていますが、生は一段と強い印象を受けました。一方、リューに強い性格と信念を期待する聞き手には最高ですが、もう少しひ弱なリューを考えるならフリットリは少々重いかもしれません。可憐なソプラノで歌われるリューもまたいいかもしれません。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/06/23

    ストーリーがカルメンと類似していると言われるようだが、確かに主人公が悪女と関わったり、入隊したりするけど、さほど似ているとは思わない。
    やはりカルメンの方が数段良くできている。しかし主な歌手たちは十二分な声と演技力で、散漫な部分を持つこのオペラをそれなりのオペラとして聞かせてくれる。出演者はこのdvdがおそらく初めての舞台と想像するけれど、後年の名作を思わせる随所にあるプッチーニらしい叙情的な歌を、彼らは美しく聴かせてくれる。演出、舞台装置はオーソドックスで、最低限の物でまかなっているけど、かえって過剰な舞台ではないので初めてみるオペラとして集中できて好感が持てる。ただもう少しドラマとして説得力のあるオペラにして欲しかったという恨みは残ってしまう。映像、録音は現在の標準的な物で特に欠点はない。新しいプッチーニ作品のライブラリーが加わったのはとてもうれしい。
    余談ですが、このdvdが上演されたトリノを2008年秋訪れましたが、そのとき残念ながらオペラはみれませんでした。非常に美しい町で、王宮が街の中心部にあって、オペラハウスは王宮の建物に組み込まれています。その周囲に碁盤の目状にアーケードがあり、おそらくイタリアでもっとも住みやすい町ではないかと思いました。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

検索結果:8件中1件から8件まで表示