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浪漫楼蘭 さんのレビュー一覧 

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     2023/07/23

    ★このレハール醸造所のラベルが貼られたボトルのコルクを抜けば、それは極上の美酒。★『冗談の結婚』という直訳っぽい和訳タイトルには異議を申し立てたいが、オペレッタの内容に関しては絶賛しておきたい。ずっと忘れられ埋もれてきたが、これはレハールの隠れた傑作といえるだろう。★このオペレッタがアン・デア・ウィーン劇場で初演されたのは『ウィドウ』の前年にあたる1904年であり、やはり才気ほとばしる筆で書かれている。全体の曲調も後期に見られるような、ほろ苦く暗く不安な色調はまったくなく、どこまでも明るい歌で紡がれていて、安心して聴ける。ウィドウのダニロとハンナように2人のペアを中心に回る劇ではなく、どちらかといえば「オッフェンバック的」な陽気な群像劇に属するが、そのメロディの美しさはレハール以外の何物でもない。★出演している歌手陣も粒ぞろいの美声ばかりでワールドプレミア録音に花を添えている。実況録音なので客席からのいかにも楽しそうな反応が伝わってくるが、ダイアログ部分と音楽部分はトラック単位で切り分けられているので、台詞を飛ばして音楽だけ抜粋で聴くことも可能。★CPOは欠品になるとそのまま絶版になる盤も多いため、オペレッタファンはあるうちの購入をお勧めします。

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     2023/07/20

    ★『春 (Fru:hling)』は一幕物のオペレッタあるいはジングシュピールで、1920年頃にウィーンで『フラスキータ』の作曲の合間にわずか数週間で作曲されました。時期的には「ウィドウ」初演の15年後であり若書きの作品でも習作でもありません。★アン・デア・ウィーン劇場の地下、カバレット・ヘッレ(いわゆる地獄キャバレー)で1922年に初演されたレハール4作目の短編舞台作です。台本はルドルフ・エーガーによる。★同劇場で上演された一連の作品は、1906年上演の子供向けのオペレッタ『ペーターとパウルはシュララッフェン国に帰る』から始まり、1907年には『メリー・ウィドウ』のダニロのパロディである『ミティスラウ・デア・モデルネ』が上演され、続く1912年には同様の小規模作品『ローゼンシュトックとエーデルヴァイス』が上演されています。★『春』はレハール最後の短編オペレッタとなりましたが、ドイツ語圏でしばしば上演され、前作よりはるかに成功しました。1928年には作曲者によって『春の乙女 (Fru:hlingsma:del)』という3幕のオペレッタにも改訂されベルリンの動物園劇場で初演されています。★この作品の当時の人気の高さはその公演がラジオ・ウィーンで生放送されたことからもわかり、最初期のラジオ・オペレッタのひとつとなりました。その後その熱狂はかなり冷めていきましたが、それはオペレッタの数自体が増えすぎて、互いにレパートリーから外れてしまったことにもよります。★この作品が今日全編上演されることは殆どありませんが、個々のナンバーがコンサートで演奏されることはあります。音楽ではモーツァルトとシューベルトの引用を聴くことができ、レハール・ファンには貴重な1枚です。※【u:/a:】はウムラウト付き

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     2023/07/20

    ★楽曲の質も、演奏の質もそれぞれ、同じブリリアントから出ていた「二丁のヴァイオリンのためのシンフォニア」作品集を上回る内容です。ストラデッラはオペラやオラトリオ、カンタータなども素晴らしいものが幾つもありますが、独奏楽器を主体にした器楽曲でもその才能がいかんなく発揮されています。★このCDに収められたソロヴァイオリンのためのシンフォニアは、明るさの中に暗さを秘め、教会ソナタ的でストラデッラに特有の劇的でヴィヴァーチェな要素が織り込まれていて、イタリアの空気に晒された(同年生まれの)ビーバーのような荘厳さと弦の煌きが心地よい。★アウグスティノヴィチのヴァイオリンは、ラヴェンナのマルコ・ミンノッツィ・2017年制作というモダン・イタリアンの年若いモデルだが、スクロッラヴェッツァのような明るい音色と豊かな響きで楽曲とよくマッチしている。★ストラデッラがモーツァルトやメンデルスゾーンと殆ど変わらない年齢で凶刃に倒れたことは非常に惜しまれる。人の女に横恋慕などせずにヘンデルぐらい長生きして、もっと器楽曲やコンチェルトなどを書いていたら、これほどまで長い間埋もれていることもなかっただろう。

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     2023/07/13

    レハールの中期のオペレッタで、レハールの埋もれた蘇演作のリリースをやってきたCPOの一連のCDに加わるものです。他に比較する盤はありません。付随する大規模な合唱はないものの、バリトンのケーラーが役を兼業している点を考えれば登場人物が極端に少ないといえるものでもありません。
    CDの収録時間は、付録の「ローゼンストックとエーデルワイス」 序曲を除いて1時間21分ですが、ダイアログが省かれていますので、とりわけ音楽部分が短いオペレッタでもなく、台詞を除いた『ウィドー』や『微笑み』とも大差ありません。
    そしてこのオペレッタが書かれたのは、ルクセンブルクと同じ1900年頃であり、初演は1916年なので、ウィドウ(1905年)やルクセンブルク(1909年)の初演の方が早い。つまり若書きという代物ではないので「レハール節」というか、魅惑のメロディーが其処此処に詰まっている。先入観は禁物です。
    特に第1幕の4人娘の「トンボのワルツ」や「Du Du Du ワルツ」、パウルが歌うドラマチックで可憐な二重唱「お嬢さん、私は幸運に恵まれず」、第2幕冒頭にキティが歌う夢のようなリート「奥様それは言えません」、第2幕の「親愛なるテディベア」など耳に残る旋律が多い。
    第1幕のピアノ独奏による穏やかなワルツや、フランツがピアノ伴奏だけで歌うリートなど、レハールはミニマリスム的な構成への意欲的な挑戦もしている。ピアノ版の楽譜で家のピアノでいくつか演奏してみたら更に楽曲の良さがわかったのです。
    全体に非常によくできたアルバムですが、特にキティ、リリー、フランツなど、担当した歌手が配役の年頃(つまり若者)にぴったりの、若々しく瑞々しい声質なのが素晴らしい。大掛かりな構成のオペレッタではありませんが、何度でも聴きたくなります。レハール好きなら持っていて損はない必携の1枚だと思います。

    話の内容はこうである。
    ウィーンの寄宿学校では毎年開かれる舞踏会があり、キティ、リリー、ミッツィ、イゾルデの4人コンビは「Libellentanz (トンボ踊り)」ワルツを踊る。それは伝統的に上流階級の娘たちの結婚市場となっている。リリーは既に建築家のパウルと婚約していたが、それは破談寸前であった。婚約中にパウルはキティと恋に落ち、リリーと別れることを望んだからだ。リリーは、ポールが代わりに理想の結婚相手を見つけてきたなら別れてもよいと言う。
    やがてキティの兄のフランツが現れる。フランツは妹を一人で育てて彼女の面倒をみている。それ以外は天文学者であり「天体観測者」として知られている。キティは舞踏会で兄をリリー、ミッツィ、イゾルデに紹介する。フランツはリリーと恋に落ちる。その結果としてオペレッタ特有の「誤解」が生じ、フランツは一度に3人の女性と婚約してしまうことになる。
    しかし、最後にはすべてが解決してハッピーエンド。天体観測者フランツはリリーと結ばれ、彼女の元婚約者パウルはキティを手に入れる。

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     2023/06/14

    21才の若きメンデルスゾーンに対する演奏者の解釈が、ひとつひとつのタッチに入念に込められていて、決して技巧を誇るかのような速弾きで弾き飛ばさない。そのため一音一音のニュアンスが際立って、真珠のように豊かに溢れ出している。
    20才のショパンによる第1番と同じように、溌剌としながらも瑞々しくて、夢見るように甘く、多感な青年期の深い情緒を湛えた名演奏にして名解釈。
    長年にわたり何人ものヴィルトゥオーソたちの同協奏曲を聴いてきたが、過剰な「コン・フォーコ」で穢され、黒焦げになっている演奏も多かった。
    80歳なるダヴィドヴィチのこの美しい演奏は、メンデルスゾーンのピアノ協奏曲第1番における理想形の極致だ。

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     2021/01/15

    コリン・デイヴィスが主に母国である英国のBBC交響楽団とロンドン交響楽団で収録したベートーヴェンの交響曲全集(第9番のみBRSO)およびヴァイオリン協奏曲とピアノ協奏曲全集、荘厳ミサとハ長調のミサ曲。
    壮年期70年代のデイヴィスによる充実したタクトで、手兵のオーケストラをぐいぐい引っ張っていく。非常にアグレッシブなベートーヴェン的演奏だが、一方でとてもナイーブで情緒的な部分もみせる。彼は晩年にドレスデンとも全集を録音しているが、やはりこちらの方が鋭角的でより劇的なコントラストであり、溌剌とした若さと生気に溢れている。この70年代のデイヴィスのベートーヴェンを推す声も根強くある。
    CDでの発売は、以前に韓国盤の交響曲全集に含まれていたのと、日本で第3番以降が単発で発売されたことがあったが、デッカのグローバル盤としてはLP時代以降初となる。特に第1番はLP/CDいずれにおいても同時期の未発表音源であるが、特に発売が憂慮されるような内容ではなかった。第6番はBBC響の他にロンドン響とのセッションも追加されている。各CDの紙の収納ケースには懐かしいLP時代のオリジナルが用いられている。
    演奏もさることながら、ヴィットリオ・ネグリがプロデュースした録音も概して素晴らしい。エンジニアによって創られたサウンドというのではなく、録音会場と録音年によって差もあるが、まさにセッションをそのままテープに封じ込めたような音。まるで指揮台の上で聴いているような感覚にとらわれる盤もある。カップリングされた協奏曲やミサ曲も定評のあるものだ。ベートーヴェン好きにとってはマストバイではなかろうか。

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     2019/06/06

    いやこれ持ってるべきでしょ。フォルテピアノで弾くモーツァルトのクラヴィア・ソナタは、こう云うと語弊があるが、精神性満開で弾くものではないと私は思っている。それはレンジが広く、強いコントラストと微細なニュアンスを引き出せるモダン・ピアノによる演奏の役割だろう。
    リュビモフの演奏は非常に落ち着いていて、理性的であるが無表情というわけでもない。Bスコダとはまた違ったよい魅力を感じる。これを鳴らしている部屋から抜け出すと、まるでモーツァルトが隣室で、誰に聞かせるわけでもなく、寛ぎながら独りで試奏しているかのような錯覚がする。アップライト・ピアノのような親近感というか、構えたところのない、作曲家の日常とひと続きになったような演奏。そしてその音色にとても好感を覚えた。求めやすい価格に対して余りある内容だと思う。

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