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SACD テクノデリック [2019リマスタリング]

テクノデリック [2019リマスタリング]

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    KD6-3.7  |  東京都  |  不明  |  2019年06月13日

     最新技術でのリマスタリングによる、音のクリアな分離と解像度は申し分ない。何よりも、1981年初発当時のジャケット復刻が「最高」だ。アルファ村井氏の思惑や教授のこだわり等々、裏事情があったらしいが、このジャケットこそが「正解」だと自分は思う。内容については語りつくされてきた通りだ。ポストロックの先駆とか、世界初のサンプリング本格活用とか、生楽器の復権とか、ミニマルに代表される現代音楽やエスニックミュージックの影響とかについて、もはや追加すべき言葉はない。  少し違う切り口で妄想レビューしたい。初発当時の雑誌「FM fan」のディスクレビュー(湯浅学氏だったような記憶があるが、定かでない)の最後が「・・・意味ありげに聴こえるのがいささか不満。」であったことを、今だに鮮明に覚えている。確信犯的なのかアーティストの無意識の力なのか、まさに「意味ありげ」な音とメッセージが散りばめられた本作は、コンセプトアルバムを意図したものではないと思うが、聴くほどに過去100年、つまり20世紀前半以降の前衛芸術や社会動向が滲み出てくるように聴こえてならない。本作にも影響を与えた現代音楽家スティーブ・ライヒの、「ディファレント・トレインズ」が意図したように。 たとえば「新舞踊」。原題のノイエ・タンツは、第一次大戦後のワイマール体制下のドイツで表現主義的なモダン・ダンスとして発表された。またモチーフとなっているバリ島のケチャは、1920年代に西欧のドイツ人画家・ヴァルター・シュピースが現地の舞踏家と協力して創始したものだが、バリに渡る前に、シュピースは監督ムルナウの補佐(かつ同性の愛人)として表現主義映画「ノスフェラトゥ」の制作に携わった。そして「階段」。急速な都市化と「メトロポリス」的な工業化が進む街の群衆を描いたような、暗喩的な歌詞に、機械音と軍靴と装甲車のようなリズムがからむ。また、「京城音楽」。1910年の韓国併合。帝国主義の植民地化。「46歳以上の人々は日本語を話す。」さらに「体操」。戦前から続く、軍隊のような日本の学校教育の露悪的なカリカチュア。「手掛かり」。戦場の銃撃のようなビート感。「長い壁が見える。終わりがない。」デヴィッド・ボウイが「ヒーローズ」で歌ったベルリンの壁。共産主義国家の圧政。「鍵を使って開けよう。」東西統一。  初版ジャケットの、軍人めいた服を着た不気味な三人の肖像写真に話をもどす。オットー・ディクスやエゴン・シーレの描く殺伐とした人物画のようでもあり、「カリガリ博士」のようなドイツ表現主義映画のアクターのようでもある。やがて、ジャケットはロシア構成主義風デザインの、ソヴィエト農民の女性に変わった。1919年のバウハウス設立(その後、ナチスにより閉鎖)から、今年はちょうど100年。世界で排外主義や極右思想や強権的政治があらわになる現代。このアルバムの再発は本当に「意味ありげ」だ。

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