『トスカ』全曲 シュトゥルミンガー演出、ティーレマン&シュターツカペレ・ドレスデン、ハルテロス、アントネンコ、テジエ、他(2018 ステレオ)(日本語字幕、解説付)
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 2019年08月29日
ティーレマンの指揮はここでも見事。『トスカ』はプッチーニ諸作の中でも特殊なキャラクターのオペラなので(アバドはさすがに振らなかったが、この作曲家をあまりやらないムーティもレパートリーにしていた)、R.シュトラウスと同じような振り方で押し切ってしまえる。歌にぴったりつけるテクニックもさすがだ。歌手陣ではテジエが出色。一見、紳士的だが実はすこぶる陰険な悪役を的確に表現している。ハルテロスも声楽的には非常に高度だが、この人物の演技性人格の表出という点ではオポライスの方が一枚上手。「歌に生き、愛に生き」のようにしっとりと歌い上げる部分は全く見事だが、スカルピア刺殺シーンなど激烈な部分の演じ方がちょっと型通りで嘘っぽい。アントネンコは相変わらず立派な声だが、演技も含めてひどく鈍重で、私のイメージするカヴァラドッシとは違う。 第1幕冒頭は地下駐車場での銃撃戦から始まる現代化演出だが、以下の一点を除けば特に見るべきところはない。バーデンバーデンのヒンメルマン演出に比べると、オペラへの「現代」の取り込み方が全く下手だ。その一点と言うのは、第1幕から出ている教会付き寄宿学校の生徒の一人が第3幕冒頭の牧童の歌を歌うのは当然としても、カヴァラドッシ銃殺シーンでも少年たちが銃を持たされ、銃殺の役割を担わされるという場面だ。中東やアフリカで問題化している少年兵問題をアピールしたということだろう。最後の「どんでん返し」については一応伏せるが、幕切れ直前の「スカルピアが殺された」ほか、幾つかの台詞を無効にしてまでやる意義のある読み替えとも思えない。1人の方が、このレビューに「共感」しています。
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