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モンテヴェルディ(1567-1643)

CD 聖母マリアの夕べの祈り フィリップ・ヘレヴェッヘ&コレギウム・ヴォカーレ・ヘント(2017)(2CD)

聖母マリアの夕べの祈り フィリップ・ヘレヴェッヘ&コレギウム・ヴォカーレ・ヘント(2017)(2CD)

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    mimi  |  兵庫県  |  不明  |  2021年03月08日

    Philippe Herreweghe: Collegium Vocale GentによるMonteverdi/Vespro della Beata Vergineの再録音で、前回1986年録音から30年ぶり。Philippe Herrewegheという指揮者は古学演奏家のなかで、疑いなく現在では最古参、大御所の一人で、彼とCollegium Vocale Gentによる組み合わせは、ルネサンス・バロック音楽を聴くに当たり最も素晴らしい選択肢と思うのですが、私見によればかなり作品への適合性の問題があり、Herrewegheのデビュー時よりその傾向ははっきりあったと思います。彼らのVespro della Beata Vergineの初録音は、それほど強烈な印象を残すものではないながら、ふくらみのある暖かい演奏で、Herrewegheのこの作品に対する適合性のよさをうかがわせるものでした。今回の再録音、前回同様に他の数多あるMonteverdi/Vesproに比較して、特に新しい訳でなく、G.Malletto盤やS.Kuijiken盤のような音楽史的に徹底的に光を当て直したような学術的な特徴はありません。ただ、聴き出してしばらくすると明らかにそれと判る、Philippe Herreweghe: Collegium Vocale Gentの特徴が刻印されている。J.S.Bachの受難曲やLassusの名演で聴かれる、精妙ながらどこまでも柔らかで暖かな音楽であり、Monteverdi/Vesproでこれだけ刺激的でなく、聴きやすい演奏はPhilippe Herrewegheしかないかも知れません。しかもその聴きやすさは、決して勢いに任せて流したものと対極の、遅めのテンポでじっくりと歌い込まれた演奏によるものであり、こういった勢い重視(の演奏はMonteverdi/Vesproでは昔から決して少なくない。G.Mallettoが批判しているように)でない演奏で、これだけ聴きやすいのは、ひとえにPhilippe Herrewegheと演奏者がこの曲を細部にいたるまで研究し尽くし、それだけでなく、細部にいたるまで共感し心から愛して自分のものとしているからであると思われます。前回の録音と比較して方向性・解釈は全く変わっていないながら、演奏全体の精妙さ・ふくらみ・暖かさは比較にならない程増しており、これは演奏者全体の様々な意味での熟成によるものとみて間違いないでしょう。最近のヨハネ受難曲の新録音などを聴くと、旧録音に比して、特に音楽の構造的表出・厳格さの面で、ややある種の緩みが感じられ、どうしてもHerrewegheの「老い」というものを意識してしまうこともありますが、このMonteverdiではそういった緩みを感じる瞬間は(決して皆無ではありませんが)そう無く、最近の彼らの大曲録音では好演と言えるのではないでしょうか。決してMonteverdi/Vesproの歴史に残るような革新性はありませんが、暖かなVesproとして、古学ファンには一聴をお薦めしたいですね。

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