レナード・ローズ/コロンビア協奏曲、ソナタ録音全集(14CD)
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フォアグラ | 愛知県 | 不明 | 2018年10月19日
レナード・ローズはスターン・トリオの一員のイメージでソリストとしては記憶がない。この全集でも聴いたことがあるのはグールドとのバッハとワルターとのドッペル・コンチェルトだけ。ほとんどが初めて聴くものだ。ローズが活躍した50〜60年代といえば、フルニエ、ナヴァラ、トルトゥリエ、ジャンドロンのフランス勢をはじめ、ロストロポーヴィチ、ピアティゴルスキー、シュタルケル、デュ・プレ、ヤニグロ等々多士済々であり、ローズが埋もれたのも仕方がないのかもしれない。実際ローズのCDは殆ど出ていないし。ところが、このセットは思ってもいない音楽を聴く喜びを私に与えてくれたのだ。まず、「シェロモ」でのミトロプーロスの鬼神のごとき指揮に一歩も引かないローズの壮絶な演奏にやられてしまった。モノだが録音最優秀。HMVの紹介から漏れているが、同じCD2に収録されているセル/NYPとの「ロココの主題による変奏曲」での気品ある優しい表現のすばらしさ。この2曲はオーマンディとステレオ再録音しているが、オーマンディも悪くはないのだが、ミトロプーロス、セルと比べると深みがもう一つ。ドヴォルザークも美しい演奏だが、終楽章末尾はもう少しオーマンディに盛り上げてほしかった。一方でドッペル・コンチェルトはオーマンディとの再録のほうが断然いい。早めのテンポであっさりしたワルターに比べオーマンディはじっくりとこくのある表現で同曲屈指の出来になっている。ここまで聴いてきてローズの良さは、豪快さやスケールの大きさはない代わりに端正で伸びやかな表現にあるとわかってくる。そうしたローズには室内楽がいいのは自明だろう。特にサンダースとの「アルペジョーネ・ソナタ」とシューマンは味わい深い逸品だ。ソニーは忘れられつつある自社のアーティストのコンプリートを進めてくれているが、なかでもこれは白眉のセットだと思う。5人の方が、このレビューに「共感」しています。
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