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モーツァルト(1756-1791)

DVD 『コジ・ファン・トゥッテ』全曲 グローガー演出、ビシュコフ&コヴェント・ガーデン王立歌劇場、ウィンターズ、ベーレ、他(2016 ステレオ)(日本語字幕付)

『コジ・ファン・トゥッテ』全曲 グローガー演出、ビシュコフ&コヴェント・ガーデン王立歌劇場、ウィンターズ、ベーレ、他(2016 ステレオ)(日本語字幕付)

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    村井 翔  |  愛知県  |  不明  |  2018年08月22日

    ロイヤル・オペラでの『コジ・ファン・トゥッテ』の舞台がはねた所から冒頭シーンが始まる。するとカップルでオペラを観に来ていたフェルランドとグリエルモが「あんたの女性不信には我慢ならん」とばかりにカーテンコールに出てきたドン・アルフォンソに喧嘩を売り、客席から舞台に上がってゆく。フィオルディリージとドラベッラが最初の二重唱を歌うのは本物そっくりに作られたオペラハウスのロビー(クラッシュ・ルーム)で、姉妹が舞台に上がっていってしまった婚約者たちを待っていると、そこへドン・アルフォンソがやってきて・・・・という展開。そこから舞台は「外」へ出て行くのだが(次のシーンは『ハリー・ポッター』シリーズで有名になったキングス・クロス駅か?)、どの場面も明らかに芝居の書き割りと分かるように作られている。他の五人が現代のロンドンっ子なのに対し、オペラから出てきたドン・アルフォンソだけは18世紀の服装だが、第2幕の管楽セレナードの場面になると舞台上にさらに18世紀風の額縁舞台が出現、姉妹以外は全員が18世紀のファッションになる。デスピーナがバーの女主人であるのはピーター・セラーズの現代化演出を思い出させるし、ドラベッラとグリエルモの二重唱の間に彼女が彼の仮装(付け髭だけだけど)を取ってしまうのはポネル演出の映画版と同じ、というように過去の名演出の引用もある。要するに『コジ』が「オペラについてのオペラ」、つまりメタフィクションであることを強く意識した演出。ドン・アルフォンソの例の教訓の歌とともに舞台上に電飾で出るCOSI FAN TUTTEのタイトルは、まもなくCOSI FAN TUTTI(男も女も皆こうしたもの、という意)に変わるが、演出家が主張したいのは、このオペラはたわいないお芝居に過ぎないが、そのお芝居は「貞節」など机上の空論でしかないという恐ろしい真実を暴いてしまうということ。 歌手陣は六人とも申し分ない。ウィンターズ/ブラウアーの姉妹は見た目上、フィオルディリージが小柄でドラベッラが大柄であることが最初はちょっと気になるが、歌・演技ともにきわめて高水準。クレンツレの渋い狂言回し役も素敵だ。かつては垢抜けないイメージもあったビシュコフがピリオド・スタイルを十分に踏まえて、洒脱かつ心理的綾の表出も見事な指揮を見せているのは驚き。譜面にないヴァリアントを適宜加える18世紀スタイルの歌唱。ほんの少しだがレチタティーヴォの歌詞が書き足されているようで、日本語字幕もかなり思い切って言葉を足しているが、これはこれで結構だと思う。

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