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チャイコフスキー(1840-1893)

Blu-ray Disc 『スペードの女王』全曲 ヘアハイム演出、マリス・ヤンソンス&コンセルトヘボウ管弦楽団、ディディク、他(2016 ステレオ)(日本語字幕付)

『スペードの女王』全曲 ヘアハイム演出、マリス・ヤンソンス&コンセルトヘボウ管弦楽団、ディディク、他(2016 ステレオ)(日本語字幕付)

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    村井 翔  |  愛知県  |  不明  |  2018年08月11日

    確かに力作だとは思うが、主役の男女が共に死んでしまうという悲劇的なストーリーもあって、あまり好んで観るオペラではなかったのだが......またしてもヘアハイム・マジックが炸裂。作曲者チャイコフスキー自身を登場人物の一人、エレツキー公爵と重ねているが、エレツキーはリーザの婚約者ではあるものの、同性愛者の彼が本当に愛しているのは、実はゲルマン(肉体関係もあり)というのが今回の「裏設定」。全く歌のパートのない演技だけの部分ではスタンドインを起用しているが、エレツキー/チャイコフスキーはほんらい出番のない箇所も含めて全場面に登場し、狂言回しとしてオペラ全体を仕切ってゆく。たとえば第1幕幕切れのラブシーンは彼が居ることで微妙な三角関係の場面に変容するし、第3幕でのリーザのアリアも彼が居ると二人共通の苦悩を歌っていることになるなど、何とも面白い。若き日の伯爵夫人=フォン・メック夫人の肖像画とエカテリーナ女帝の肖像の切り換えから始まって、チャイコフスキーの自己表象である「籠の鳥」(ジャケ写真)と第2幕の牧歌劇、さらに第3幕のトムスキーの歌との関連付け、伯爵夫人、リーザ、そしてチャイコフスキーの命を奪うことになる小道具「グラス一杯の水」に至るまで、細かい部分が実に良く出来ているのには毎度ながら感心させられるが、第2幕に登場してくる女帝自身がゲルマンの女装なのは傑作。 ゲルマン役のディディクは前の録画(2010年リセウ)に比べるとかなりお腹が出てきたが、輝かしい声は健在。スラヴ系テノールにありがちな発声上の癖がなく、美しいベルカントなのもありがたい。リーザのアクショーノワはこの役にしては細身な声だが、歌・演技ともに素晴らしい。伯爵夫人(ディアドコワ)はドスを効かせ過ぎない音楽的な歌唱。普通の上演に比べて遥かに出番の多いエレツキー役のストヤノフももちろん非常に達者だ。ヤンソンスは作品の重苦しさ、暗さを強調せず、端正にまとめているが、演出がきわめて雄弁なので、これもまた賢明か。

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