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モーツァルト(1756-1791)

SHM-CD ピアノ協奏曲第21番、第9番『ジュノム』 内田光子、クリーヴランド管弦楽団

ピアノ協奏曲第21番、第9番『ジュノム』 内田光子、クリーヴランド管弦楽団

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    つよしくん  |  東京都  |  不明  |  2012年08月16日

    内田光子と言えば、今や我が国にとどまらず、世界でも指折りの女流ピアニストと言えるが、今から30年ほど前は、ジェフリー・テイト&イギリス室内管弦楽団をバックとしてスタジオ録音を行ったモーツァルトの一連のピアノ協奏曲の演奏で知られる存在であった。これら一連の録音は現在でも十分に通用するクオリティの高い名演であると言えるが、内田光子はそうした当時の高評価に安住することなく研鑽に努め、シューベルトのピアノ・ソナタ集やベートーヴェンの後期のピアノ・ソナタ集などの数々の歴史的な超名演を経て、現在の確固たる地位を築き上げてきたと言えるだろう。そうした現代最高の女流ピアニストの一人となった内田光子が、数年前からクリーヴランド管弦楽団の弾き振りによって開始したチクルスが、正に満を持して再録音に挑むことになるモーツァルトのピアノ協奏曲集である。既に、第1弾(第20番&第27番)、第2弾(第19番&第23番)が登場しており、本盤は新チクルスの第3弾(第9番&第21番)ということになる。第1弾、第2弾ともに至高の超名演であったが、本盤の演奏もそれらに負けるとも劣らない凄い超名演だ。かつて第1弾のレビューにおいても記したが、かつてのジェフリー・テイトと組んで演奏した旧盤とは比較にならないような高みに達しているとも言えるだろう。それにしても、モーツァルトの傷つきやすい繊細な抒情を、これほどまでに意味深く演奏した例は、これまでの様々なピアニストの演奏にあったと言えるであろうか。モーツァルトの楽曲は、ピアノ協奏曲に限らないが、一聴すると典雅で美しい旋律に時として憂いに満ちた寂しげなフレーズが盛り込まれているが、そうした箇所における表現が内田光子の場合は絶妙なのである。各旋律における表情付けの意味深さは鬼気迫るものがあるとさえ言えるところであり、諸説はあると思うが、モーツァルトのピアノ協奏曲の本質のベールが内田光子によってこそはじめて脱がれたとも言ってもいいのではないか。これら両曲の演奏の内面から浮かび上がってくるモーツァルト渾身の魂の響きは、あまりにも繊細にして優美であり、涙なしでは聴けないほど感動的と評しても過言ではあるまい。モーツァルトのピアノ協奏曲に旋律の美しさ、聴きやすさ、親しみやすさのみを求める聴き手には全くおすすめできない演奏とも言えるが、モーツァルトのピアノ協奏曲を何度も繰り返し聴いてきた聴き手には、これらの楽曲の本質をあらためて認識させてくれる演奏とも言えるところであり、その意味では玄人向けの演奏とも言えるだろう。いずれにしても、本盤の演奏は、モーツァルトのピアノ協奏曲演奏の真の理想像の具現化と言っても過言ではない、至高の超名演と高く評価したいと考える。音質は、2012年のスタジオ録音であり、加えてピアノ曲との相性抜群のSHM−CDだけに、十分に満足できるものと言える。ただ、これだけの超名演だけに、第1弾及び第2弾とともに、最近話題のシングルレイヤーによるSHM−CD&SACD盤で発売して欲しかったと思っている聴き手は私だけではあるまい。

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