『六段の調』 朝比奈隆&大阪フィル
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ブルノのおっさん | 北海道 | 不明 | 2017年10月14日
誠に面白い企画!日本の古典筝曲のオリジナルな魅力を損なわずに、管弦楽の音色が見事に調和しています。六段の調は、箏単体で弾かれる場合の通常の平調子で演奏されており、あくまで箏は原曲そのまま。そこに、箏の旋律を邪魔しない程度の絶妙な管弦楽で味付けされていきます。荒城の月は、いわゆる古典筝曲ではありませんが、日本を代表する名曲です。本来は非常に短いこの曲を、よくぞここまで発展させ、大きな作品に仕上げられたものだと感心してしまいます。そして最後は、筝曲のなかでも抜きんでて優れた名作である千鳥の曲。この編曲版は原曲とはやや異なる高さに調弦され、管弦楽による壮大な序奏と、手事の直前には原曲にはないものと思われるカデンツァ風の手も聞かれます。歌唱も箏奏者による弾き語りではなく、ソプラノによる西洋式歌唱法です。しかし、原曲の旋律とほとんど変わるところはなく、日本語特有の発音にも留意されています。朝比奈といえばブルックナー、ベートーヴェンなどの、純クラシック系の指揮者というイメージが強いですが、比較的若い頃に本盤のような興味深い録音を残していたとは、かなり驚きました。私もそうですが、普段は普通のクラシックを聴いている方々も、ときにはこんなCDにふれてみると、音楽の幅が広がって面白いと思います。2人の方が、このレビューに「共感」しています。
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