ブラームス(1833-1897)

CD Late Piano Works: Afanassiev

Late Piano Works: Afanassiev

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  • ★★★★★ 

    yk  |  京都府  |  不明  |  2018年01月22日

    私は1992年の発売当時から老人になった今も好きな演奏でしたが、評価が分かれる演奏ですね。日本ではかなり有名な録音ですが、メーカーがDENONと言う事もあるのか海外では今もって余り知られていないようでもあり、たまに見る海外評でも極端なテンポの遅さを評価しないものが多いように思います。実際他の演奏家の演奏を聴いても、コノ演奏が”標準的”な演奏ではないことは誰の耳にも明らかでしょう。これを演奏家の奇を衒っただけの根拠の無い恣意性だと感じる場合には受け入れられないのも当然かも知れません。 しかし、これらの作品に色濃く刻印されているブラームスの”晩年”(これらの作品を書いたときブラームスはまだ60歳になる直前でもあり、現代の基準に照らして常識的な意味での”晩年”であったと考えるのかどうかは興味深い問題でありえますが・・・・)という要素をどの様に考える(感じる)かによって、また別の評価がありえる演奏でもあるとも考えられます。また、浅田氏の文章(私も余り好きなものではありません)の評価の如何はともかく、日本贔屓で実際日本のお寺で演奏するなど一種の日本”マニア”でもあるアファナシエフの”文学”は実際この演奏に何らかの影をおとしていることも十分にありえるようにも思われ、それが日本人の”晩年”に対する観念と呼応して我が国での評価が高くなっている・・・・と言った要因もある様にも思われる。ブラームスの音楽にジャポニズムなど異質の要素を持ち込むのはルール違反だという向きには、その”異様さ”だけが際立ってしまうのも止むを得ないのかも知れません。 しかし、ブラームスの書いた色彩に満ちて微妙この上ないピアノの音のニュアンスをこの遅いテンポによってアファナシエフの(日本人向け?)文学に沿った表現となし得た・・・・と言う事は、ピア二ストとしてのアファナシエフの力量によるものであり、何より時代・国境を越えたブラームスの”晩年”の音楽の力を示すものではないかと私は(今も)思います。その意味で、日本人の琴線に触れるだけのある種ローカルなブラームスであるのかもしれませんが、仮にそうであっても私はこの演奏を良しとして受け入れたいと思います。

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  • ★★☆☆☆ 

    Papachan  |  北海道  |  不明  |  2016年06月27日

     「ピアノ版チェリビダッケ」とでもいうべきでしょうか。磨き抜かれた音響は確かに素晴らしいものです。ここまで音響を磨いたため、ここまで極端に遅いテンポになったとも考えられるでしょう。ある意味魅力的であり、この演奏が好きだという方は、中毒症状すら起こしかねない演奏です。しかし、これらの曲は、ほんとうにこんなに絶望的に暗い曲集でしょうか? 少なくともここに表現されたような「瀕死のブラームス」ではない、と私は断言します。酸いも甘いも、喜びも悲しみもすべて包み込んだ、晩年のつぶやきがここにはあります。この演奏を絶賛される皆さんは、このCDに添付された浅田彰の文章、そしてアファナシェフ自身の「文学」に引きずられ、先入観を抱いたまま聴いていませんか? これらがどれだけブラームスの音楽とは縁遠いことか! 遅いテンポのために音と音の間隔が開いている、これをもってブラームスの晩年の世界は新ウィーン楽派に通ずるなどというのは、自己満足の解釈の極みです。結局アファナシェフがここで表現しているのは、ブラームスの音楽そのものではなく、彼の目に映ったこれらの曲集の「文学」でしかないのです。したがってこの演奏にブラームスの「音楽」を求めれば求めるほど、違和感を強く感じてしまうことになります。アファナシェフの「文学」が通用しないOp.119-4は、名演として私も高く評価します。しかし、それ以外は全く共感できない演奏です。遅いテンポが問題なのではなく、そのテンポが絶望的な曲想の表現以外に、何の必然性もないこと、したがって空疎な、間延びした「音響」しかそこにないことが問題なのです。例えば、有名なOp.118-2ひとつとってみても、この演奏のほぼ倍のスピードであっさり弾いてしまったケンプの演奏(ちなみに私はケンプというピアニストはあまり高く評価していませんが)のほうが、よほど心に沁みる「音楽」ではないでしょうか? 演奏だけなら☆3つでもいいが、ライナーノートの浅田彰の、先入観を与えるだけの感傷的な文章がひどすぎるため、残念ながらさらに☆1つ減点です。

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  • ★★★★★ 

    うーつん  |  東京都  |  不明  |  2013年05月15日

     いちどこれで慣れてしまうと他の演奏が軽く感じられてしまう。ブラームスの晩年の心境を「ツイッター」したような小品集だからさりげなくノスタルジックであればそれでいいのだろう。だが、アファナシエフはそれでよしとしていない。ふつうならさらっと過ぎてしまう部分を持ち前のテンポ設定で凝視していく。ノスタルジーというきれいな言葉では汲み取りきれない苦痛や孤独、そこからの解脱を表現していく。小品集という枠組みを超えた重い内容であるが混じりけのないきれいな音で紡いでいかれるため極端な悲惨にはつながらない。さらっとした演奏に充ち足りない方にお勧めしたい。これの後に出た「バラード、ラプソディ、作品116」の巻もお勧めできる。

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  • ★★★★★ 

    sunny  |  兵庫県  |  不明  |  2012年11月15日

    ブラームスの後期の小品集は、小品とは、言いながら晩年のブラームスの寂寥感、生きる事の悲しみや、つらさ、孤独、苦しみや喜び(ちょっぴり)投影された珠玉の作品である。確かにシューベルトの即興曲に通ずるものがあり、楽譜通りに演奏しても、それなりの演奏となろう。ここにあるアファナシエフや、ポゴレリチ、或いは、ルプー等の演奏では、楽譜を読み込み、楽譜を超え、ブラームスの情感の心情に迫り、えぐり出そうとする、本質を表現せしめた音楽を奏でている。しかるに、テンポは、遅くなるのは、必然。とっつきやすい、耳心地のいい演奏では、ない。痛々しいほどに。それは、仕方ないのだ。これが、異端か。或る意味、正統。自ら獲得した証明。よく聴けば、実に優しい、繊細な音楽だ。

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  • ★★★★★ 

    lightnin  |  青森県  |  不明  |  2012年10月21日

     初めは遅いテンポに戸惑い曲想さえつかめない演奏であったが,くりかえして聴くごとに一つ一つの曲の持つイメージがはっきりしてくる。小品を小気味よくという演奏ではない。CDのライナーノーツにアファナシエフの後期のブラームスのピアノ曲観が書かれており,音より「静寂」の意義について語っている。深い解釈に裏付けられた演奏は,小曲を雄大なスケールで描いており,心に染み入る。

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  • ★★★★★ 

    つよしくん  |  東京都  |  不明  |  2010年09月19日

    これは凄い演奏だ。ブラームスのOP117〜119の3つのピアノ作品は、シェーンベルクの十二音技法にも通じるような深みを湛えた至純の名作であるが、アファナシエフの演奏は、正に、こうした近現代の音楽に繋がっていくような鋭さがあると言える。それでいて、晩年のブラームスの心の奥底を抉り出すような深みのある情感豊かさも、感傷的にはいささかも陥らず、あくまでも高踏的な次元において描き出している点も素晴らしい。テンポは、過去のいかなる演奏と比較しても、相当に(というか極端に)遅いと言わざるを得ないが、シューベルトの後期三大ピアノソナタの時のようなもたれるということはなく、こうした遅いテンポが、おそらくはアファナシエフにだけ可能な濃密な世界(小宇宙)を構築していると言える。研ぎ澄まされた鋭さ、深みのある情感、内容の濃密さという3つの要素が盛り込まれたこの演奏は、聴き手にもとてつもない集中力を要求する。同曲には、おなじく鬼才であったグールドの超名演があったが、内容の深みや鋭さにおいて、アファナシエフに軍配があがると言っても過言ではないかもしれない。HQCD盤が、これまでのところ最高の音質を誇っていたが、Blu-spec-CDは、さらに鮮明さが加わったところであり、この歴史的な超名演の価値をより高めることになった点も高く評価したい。

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  • ★★★☆☆ 

    おっさん  |  神奈川県  |  不明  |  2010年07月26日

     すごい演奏です。ぎりぎりの遅いテンポで、人生の深淵を見たようなあと味があります。でも、優れた演奏とは思いますが、あんまり好きではありません。何度も聴くと評価が変わるかもしれませんが、ちょっと今は疲れます。

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  • ★★★★★ 

    レオブルー  |  東京都  |  不明  |  2010年02月11日

    初聴の作品がほとんどなので、ブラームスのこれ等が本来?どうなのかは他演奏者でまた確かめないと分からないのですが、そうする必要もないかも知れない。奏者本人の、コンテンポラリーと言っていいくらいの表現は、充分楽しめました。軽めに解きほぐされたであろうか、そこは今の邪道だととらえられても、何人にも演奏されてもいつも同じところから見ていても飽きるしつまらないだろうと考えてしまう彼の技量は相当なものと感じます。ここは賛成派です。

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  • ★★★★★ 

    スカラベ  |  札幌  |  不明  |  2008年07月12日

    「切れ味、抜群」踏み込みの良い、しかも溜めの利いた作品117の謡いまわし。音楽の行間に沈黙が、しっかりとあることの凄味。燃え尽きてからの道行き。聞く人をして宿命を考えさせずには、おかない手腕。しかし、全ては感性の見せる幻なのか。「たかが音楽、されど音楽」久し振りにプロの技を聞かせて頂きました。

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  • ★★★★★ 

    かんぼう  |  東京都  |  不明  |  2008年01月30日

    結局、この演奏を読み解くあるいは受け入れるためには理性ではなく感性や直感が必要なのかもしれない。ロストロ・ゼルキンのチェロソナタと同じ世界にこの音楽はあるよなう気がする。風変りな演奏をしているようで、本質的なものを提示しているように思う。この音楽を聴いて、感傷に浸ることもできるし、無感情になることもできる。浅田の指摘はある意味的を得ている。

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  • ★★★★★ 

    ともりん  |  京都市  |  不明  |  2007年04月14日

    かつて、大好きなブラームスのライブラリーの一部にしようと思って当盤を買ったところ奇矯な解釈に聞こえて腹を立てた覚えがある。しかしそれから10年近くを経て今では、ブラームスの独奏曲集としてこれ以上の愛聴盤はない。まずアファナシエフは私にブラームスを感傷で聞いてはならないことを教えてくれた。表面的にはロマン派のようで、実は古典的造形力による表現世界の奥行きを聴かねばならない作品である、と。ブラームスに対する誤解を解いてくれる天啓ともいうべき録音である。

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  • ★★★★☆ 

    pianomania  |  秋刀魚は炭火がよい  |  不明  |  2006年09月30日

    評価はやたら高い。が、誉めている思想家の方はヴェデルニコフのピアノの状態を判断できないようなので、注意して聴いてみた。表現と雰囲気は確かに面白い。しかし、この曲集の最大の特徴、如何に素材と音を切り詰めて、最も効果的な音響を作るか、これが表現できないとこの小品集は完成しない。何故この作品集が西洋音楽史上奇跡のピアノピースと呼ばれているのか、これでは分からない。何故ブラームスがバッハのシャコンヌを左手一本にアレンジしたか、分かってない。バラード集の方が数段素晴らしい。

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  • ★★★★☆ 

    ひのき饅頭  |  愛媛県  |  不明  |  2005年05月19日

    すいません。誤植をしてます(私は結構してしまいます。ごめんなさい)。「音の持つ力」です。「音の持つ本来の力」のことです。アファナシェフのベートーヴェンの日本LIVEで聴くことができます。現役ではソコロフとフェルツマンの2名が「音の持つ本来の力」を引きずり出す名手です。是非聴いてみてください。

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  • ★★★★☆ 

    ひのき饅頭  |  愛媛県  |  不明  |  2005年05月19日

    ブラームスは左手が強く、内声を操る技術が無ければ、音楽になりません。これは最低限の技術で、出来なければ内声が作品の外郭を食い散らします。例外的にアファナシェフは作品を、語りの世界に持ち込むことで、この問題から逃れてブラームスという材料で自分の音楽を聴かせてくれます。が、音も説得力もいまいちです。近年の「音も持つ力」を生かした強烈な演奏ではありません。再録を望みます。ブラームスの本質はロストロ・ゼルキンのチェロソナタが抜群です。ピアノならブッフビンダーが良いです。

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  • ★★★★★ 

    てつ  |  千葉市  |  不明  |  2004年06月19日

    遅いテンポがかえってブラームスの本質を炙り出す絶対の名演。グールド盤より、本盤の方が私には心に沁みました。特に117の3曲と118-2はいつ聞いても鼻の奥がツンと鳴ります。

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