『シチリア島の夕べの祈り』全曲(フランス語) ヘアハイム演出、パッパーノ&コヴェント・ガーデン王立歌劇場、ハロウトゥニアン、イーメル、他(2013 ステレオ)
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 2015年04月04日
珍しいフランス語オリジナル版での上演だが、ヘアハイム演出に手抜きなし。序曲の間にパントマイムで「過去の因縁」を克明に見せた後、幕が上がると舞台上に観客席が出現。ドラマ全体が劇中劇という仕様だ。フランス人たちは明らかに19世紀の服装で、13世紀のシチリア島民vsフランス占領軍の対立に19世紀半ばのパリ(初演の時代)における若い芸術家vs保守派の対立が重ねられている。プロシダが新芸術の守護者たるバレエ・マスターという設定もあって、第3幕に挿入される本来のバレエ「四季」はないにもかかわらず、ロイヤル・バレエ団の出番は豊富。オペラの要所要所にバレエを重ねるこの手法は実に新鮮だ。第2幕ではナイフをかざすテロリスト御一党がバーにつかまってバレエのポーズをとるのに笑ってしまうし、第5幕でのシュロットの女装(見てのお楽しみ)もいゃあ、やりますね。ここまであれこれいじっても、話が見えなくなるどころか、むしろ明晰で分かりやすくなるところが、さすがヘアハイム。 パッパーノの指揮もまことに強力。もちろん演出に沿った解釈だが、『ドン・カルロス』仏語版などに比べればまだ定型的な音楽が多いと思ったこのオペラから、これほどの深層心理学的な深みを引き出すとは驚きだ。歌手陣ではいわゆる二枚目テノールとは一味違ったイーメル(ハイメル)の悩める主人公ぶりもなかなか良いが、この演出で遥かに彫りの深いキャラクターになったフォレ、シュロットの宿敵同士が圧巻。できればこの演目を日本に持ってきてもらいたいところだが、NHKホールにこのセットを作るのは無理か。ともあれ、演出と指揮の圧倒的勝利。必見である。6人の方が、このレビューに「共感」しています。
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Lorenzaccio | 埼玉県 | 不明 | 2015年03月13日
演出としては分かりやすく違和感なく進む。細かくは書かないが初心者にも受け入れやすいと思う。Ballet は全てカット。また繰り返しなどの省略はやむを得ない程度の分量にとどめている。Hymelが大変良い。終幕の省略されがちなMelodia含め好調(最高音Dはさすがに避けているが)。能天気な曲で場に相応しくないとか言われていたが個人的には明るくて好きな曲です。超難役なHélèneは誰が歌っても楽譜通り歌うことも大変そうなのだが健闘している。他も良い意味で無難な感じで現在この曲を楽しむには満足すべき水準と思える。欲を言えばオケにかつての若いころのMutiがFirenzeで指揮したようなVerdiの音楽を感じたいところだが無い物ねだりですね。2人の方が、このレビューに「共感」しています。
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