『ピーター・グライムズ』全曲 ブリテン&コヴェント・ガーデン王立歌劇場、ピアーズ、ワトソン、他(1958 ステレオ)(2CD)
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ユローヂィヴィ | 大阪府 | 不明 | 2014年03月07日
ブリテンによる自作自演。1958年録音という古さを感じさせない演奏と音質。 20世紀の傑作オペラの一つと言えるだろう。 この物語に描かれているような事件・問題は現代の日本でも起こっていることだ。 ピーター・クライムズという男は舞台上だけの人物ではない。残念なことだがピーターのような社会に受け入れられない人物を社会は事件が起きる前に救わなくてはならない。 傷いた心を抱えたピーターやピーターが生活する厳しい環境・荒々しい海の風景をブリテンは音楽で雄弁に語りかける。 厳しく悲しいほどに美しい音楽だ。 ピーターを悪く言う人々の多い中にエレンという教師で未亡人の女性がピーターをかばい手助けをする。そしてピーターは辛い現実から抜け出てエレンを希望にして新たな生活を夢見る。 第1幕、第1場のエレンがピーターを助ける場面やピーターが夢を語る所は文章を読んでいるだけでも素晴らしい。 実に感慨深い作品だ。1人の方が、このレビューに「共感」しています。
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つよしくん | 東京都 | 不明 | 2011年07月06日
ブリテンは、パーセルの主題による変奏曲とフーガ(青少年のための管弦楽入門と称されているが、作品の質の高さからしてもこの呼称は全く気に入らない。)だけがやたら有名であり、他は、近年小澤による渾身の名演によって知られるようになった戦争レクイエムを除けば、殆どの作品はあまり知られているとは言い難い。ブリテンは、交響曲や管弦楽曲、協奏曲、室内楽曲、そして声楽曲など多岐に渡る分野の作品を数多く遺しているが、その真価は何と言ってもオペラにあると言えるのではないか。これは、ブリテンと同じ英国出身の大指揮者であるラトルなども同様の見解を表明しており、20世紀を代表するオペラとしてもっと広く知られてもいいのではないかとも考えられるところである。ブリテンは、10作を超えるオペラを作曲しているが、その中でも名実ともに傑作であるのは本盤におさめられた「ピーター・クライムズ」であるというのは論を待たないところだ。ピーター・クライムズという問題児に冤罪の濡れ衣を着せて、多数の人々によって自殺を強要されるという、いかにも20世紀的なテーマを扱っているが、ブリテンはこうしたストーリーに組曲「4つの海の間奏曲」や「パッサカリア」などに編曲されるほどに魅力的で親しみやすい管弦楽を付加して、実に奥深い内容を有した作品に仕立て上げていると言える。同曲の名演としては、ブリテンによる自作自演である本演奏とデイヴィス盤(1978年)が双璧にある名演として掲げられる。オーケストラや合唱団は同じくコヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団と同合唱団だ。ブリテンは、作曲者であるとともに指揮者としても相当な実力を有しており、同曲の演奏においても作曲者としての権威はいささかも揺るぎがないと言えるが、デイヴィスの指揮もその統率力といい、彫の深さといい、ブリテンに決して引けを取っているとは言い難い。両演奏の大きな違いは、主人公であるピーター・クライムズ役であり、骨太なジョン・ヴィッカーズに対して、抒情的なピーター・ピアーズと言ったところではないだろうか。したがって、後は聴き手の好みの問題であると言えるが、ブリテンと長年に渡って親交のあったピーター・ピアーズによる名唱は、同曲の静謐な悲劇を見事に音化していると言えるところであり、私としては本演奏の方をわずかではあるが上位に置きたいと考えている。その他の歌手陣も最高の歌唱を披露しているのも素晴らしい。英デッカによる超優秀録音による極上の高音質も、本名演の価値を高めるのに大きく貢献していると評価したい。3人の方が、このレビューに「共感」しています。
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Johannes | 埼玉県 | 不明 | 2009年01月04日
「ピーター・グライムズ」を聴くのは、これが初めてであるが、オーケストラの演奏も良いし、ピーター・グライムズ役のピーター・ピアースの歌声も素晴しい。歌詞は英語で判り易く、近代のオペラとしてお勧めしたい。2人の方が、このレビューに「共感」しています。
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straussist | 香川県 | 不明 | 2007年02月25日
ブリテンの最高傑作であるこのオペラの存在を知って10年になるが、ようやく国内盤で聴けて感無量である。ある漁村を舞台に、多数の人間が一人の人間を社会から抹殺するという、救いようも無い物語であるが、ブリテンは最高の音楽でこのオペラを描き切っている。特に間奏曲をはじめとする自然描写の音楽はブリテンが天才音楽家であること見事に証明している。2人の方が、このレビューに「共感」しています。
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ABC | 静岡県富士市 | 不明 | 2006年10月04日
この不当に評価の低い名作の中の名作が作曲者自身の演奏で聴ける。にも関わらず、わが国の聴衆の無関心さ、反応の薄さはどうだろう。近・現代の調性音楽作曲家の中で最も偉大な作曲家たるブリテンの、不可解なほどの評価の低さに違和感すら覚える。深く、しかし何処か冷めた語り口で進められるこの作品は、そしてこの演奏は古今のオペラの傑作のひとつである。この値段で手に入るのだから一度聴いて見て頂きたいものです。3人の方が、このレビューに「共感」しています。
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