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SACD ショパン:バラード、リスト編曲集(ショパン、シューベルト、ワーグナー) 河村尚子

ショパン:バラード、リスト編曲集(ショパン、シューベルト、ワーグナー) 河村尚子

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    しんしん  |  千葉県  |  不明  |  2013年11月04日

    河村さんのバラード全曲は、このCDの録音の2か月ほど前にリサイタルで実演を聴きましたが、ライブでの感興を伴う演奏とはまた異なり、録音セッションでは作品と直接対峙して、彫琢を極めている感があります。 だからといって特に変わったことをしているわけではなく、むしろ抑え気味にじっくり弾き進めているようにみえるのですが、現在の河村さんの充実ぶりを示す、濃密なメッセージが伝わってきます。 たとえばバラード第1番で第2主題が再現するクライマックスでは、通常の演奏はめいっぱいに膨らました風船を一気に解放するような感じで弾かれますが、この演奏ではガスを抜くことなく、さらに一段と圧力を増していくような感じがあり、それがすばらしい高揚感に結びついているようです。この超有名曲の録音はそれこそ何十種類、何百回となく聴いてきましたが、これほど深く納得させられた演奏はないといってもよいと思います。 また、ショパン自身は4曲のバラードをまとめて弾くことは考えていなかったと思いますが、河村さんは「4曲をまとめて聴かせる」ことを意識しているようです。通して聴くと、まるで4楽章の交響曲を聴いたような統一感と充実感があります。 後半はリストの編曲ものですが、テーマは「愛」の関係で統一されており、配列もショパンの歌曲→シューベルトの歌曲→ワーグナーと、前半のバラードからのグラデーションがうまく図られていて、プログラムとしても秀逸です。

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    DP−900で聴いています  |  愛知県  |  不明  |  2013年12月29日

     なんとまあ素晴らしい録音でしょうか。フォルテッシモでも音の伸びが頭打ちになることも歪を伴うことも無く、高く天に舞い上がるかの如き光彩を放ちながら消え去ってゆく様は、まさにSACDならではのダイナミックレンジを存分に活かし切ったレコーディングと言えます。演奏も確かに表面的な華やかさを避け、一音一音の隈取に配慮した懐の深い曲の運びに好感が持てます。冒頭の超有名曲、バラード第1番については、どうしてもポリーニの1999年盤CDの息を飲むような深く美しい和声から、華麗でゴージャスな終結部へと至るスマートな構成感には及んでいないと思います。録音がいいだけに、今後の川村さんの研鑽に期待します。

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