『ライヴ・アット・ザ・ロイヤル・アルバート・ホール』 ヴァレンティーナ・リシッツァ
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Poirot | 東京都 | 不明 | 2013年03月04日
このコンサートをライブで聴きましたが、コンサートの最初に、本人がマイクを持って登場し、メッセージを述べるというちょっと変わった形のもので、曲間の拍手も、数度立ち上がって応えただけで、大半は、いすに座ったまま顔だけ客席の向けてうなずく程度というものでした。しかし、演奏はすばらしいの一語につきます。あの巨大なロイヤル・アルバート・ホールでも、その音の美しさは特筆もので(大きい割には音響はいいホールですが。なお、ピアノはスタインウェイではなくベーゼンドルファーを使用していました)、かつフォルティッシモでも音が濁らないところはたいしたものです。そして、技巧の方もすばらしく、かつ演奏は機械的にはなっていないということで、久々の本物のピアニストの登場だと感じました。聴衆の反応も大変よいものでした(このライブでの音がCDにうまく収録されていることを祈ります)。演奏時の動きも、ごく自然ななもので、好感が持てました(ときどき、見ていると演奏を聴くのに邪魔になるような異様な動きや百面相まがいの演奏家も居ますが、本人は満足でも、聴衆からは迷惑です)。彼女のデビューの仕方を見ると、もうコンクール出のピアニストはあまり期待できない感じで、実力がより直接評価される時代になったのかもしれません(最近の大コンクールの優勝者では、それほど才能を感じる人はいないように思います)。なお、演奏とは直接関係はありませんが、ちょっと気になったことは、コンサートのポスターの写真、そしてCDのブックレットの写真は、どうみても本人と同一人物には見えない(よくみれば、面影はありますが)という点で、何でこうなるのか不思議です。これだけの才能なら、外見をビジュアル系のように装う必要は全くないと思いますし、本人にも失礼でしょう。次のアルバムも期待しています。5人の方が、このレビューに「共感」しています。
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