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エルガー(1857-1934)

CD エルガー:チェロ協奏曲、ガル:チェロ協奏曲 メネセス、クルス&ノーザン・シンフォニア

エルガー:チェロ協奏曲、ガル:チェロ協奏曲 メネセス、クルス&ノーザン・シンフォニア

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    ココパナ  |  北海道  |  不明  |  2021年07月09日

    イギリスの作曲家、エルガーとオーストリアの作曲家、ハンス・ガルの組み合わせ。メネセスは1982年チャイコフスキー国際コンクールで優勝したブラジルのチェリスト。同郷のブラジル出身の指揮者、クルスとの共演で、オーケストラはイギリスのノーザン・シンフォニアである。ハンス・ガルという作曲家の名はほとんど知られていないと思うが、ユダヤ人であったため、ナチスの迫害を逃れてイギリスに渡り、作曲・指揮活動を行った人物。そのため、ここに収録された2曲は、いずれも「イギリスで生まれたチェロ協奏曲」ということになる。本アルバムには、無名なガルの協奏曲が先に収録してある。製作者側にとって是非聴いてほしい作品ということになるだろう。聴いてみると、確かに美しい部分のある作品である。3つの楽章からなっているが、全曲を通じてほとんど管弦楽による強奏はなく、特に前半2楽章は雰囲気が近い。チェロが紡ぐとりとめのない幻想的で、しかしこまやかな主題は少しずつ変容していくが、そのチェロの歌を支えるようにして、管弦楽のパートが添えられる。全体的に微細なパーツによって編まれた音楽で、チェロが朗々と響き渡るものでもない。その響きは確かにイギリス音楽的であるが、旋律が内包する和声の扱いはドイツ・オーストリアを思わせる。終楽章はより速い経過的な音楽と感じられ、無窮動的で、無調的な要素も散見できる。エルガーの曲は、名曲として知られはするが、こちらも内省的な作品で、積極的に聴衆に関与するような性格の作品ではないだろう。そのためアルバムの中での雰囲気が沈静な音楽で統一されている感がある。本アルバムは、それなりに音楽を長く聴いてきた人でなければ、やや敷居の高いものと感じられるかもしれない。しかし、演奏は素晴らしいものだと思う。メネセスのチェロは、きわめてアコースティックで、柔らかいぬくもりを感じさせるもので、余分なものがなく、淡々と、しかし滋味豊かな情緒に満ちている。エルガーの協奏曲のアダージョに特徴的な、祈りにも似た美しい禁欲的な厳かさがあり、楽曲のシックな雰囲気を落ち着いて素直に表現しており、いかにも大家の演奏といったところ。また技巧的で細やかなパッセージも、非常にスリムに表現されている。エルガーの曲では2009年録音のソル・ガベッタの名演も印象に残るが、より内密的と言えるこのメネセスの演奏も、同曲の代表録音として挙げたい内容だ。ガルの無名曲の周知とともに、地味ながら存在感のあるアルバムとなっている。

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