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マーラー(1860-1911)

Blu-spec CD 交響曲第10番(クック全曲版) インバル&フランクフルト放送交響楽団

交響曲第10番(クック全曲版) インバル&フランクフルト放送交響楽団

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    宗仲 克己  |  東京都  |  不明  |  2023年09月28日

     最終楽章のコーダでマーラーの魂は最期の輝きを放つ。わずか7小節を残す、第394小節のH♯から第395小節のG♯までの1オクターブ+6度の音域を、ヴァイオリンとヴィオラの奏者全員が Portamento で燃え上がる。そして、G♯も奏者全員で viel Bogen で強く長く伸ばす。最後の4小節で嬰へ長調で下降する5つの音は、まさしく人生の最期に心の平穏を見出した安堵の溜息のようである。煉獄をめぐり、魂の叫びの不協和音のカタストロフを経て、「生への回帰」を希求したマーラーの魂の最期の輝きは、痛ましいほどに美しい。  インバルの演奏を聴くと、インバルの職人気質の生真面目さが感じられる。一般的には、この部分は H♯から G♯へ一気に跳躍する演奏の方がむしろ多い。ピアノで弾く場合でも、グリッサンドをかけることなく跳躍する。Artist であり Artisan であるインバルは、この部分の Portamento を厳密に追求する。本ディスクの1992年1月のフランクフルト放送響との演奏は、2011年6月のコンセルトヘボウ、2014年7月の都響との演奏と並んで、マーラーの最期の Portamento を最も忠実に演奏したものである。実際には、Portamento をかけながら G線・(D線)・A線(ヴァイオリンもおそらくA線まで)と弦を乗り移り、全体として滑らかに音をつなぐためには非常に高い合奏技術を必要とする。第1・第2ヴァイオリンとヴィオラ奏者の総勢40名前後が、弦を乗り移る際の音程を少しずつずらすことによって、音がスイープするように滑らかにつながる。 G♯の viel Bogen も然りである。強奏ゆえにボウイングの速度は速いが、演奏者のそれぞれが弓を返すタイミングを意識的に少しずつずらすことによって、一つの音が切れ目なくつながる。一人で弾いたら絶対に不可能なことが、大勢で弾くことによって可能となる。まさしくオーケストラによる合奏の妙である。  「マーラーの本当の“最後の音楽の遺言”は、交響曲第9番の最後ではなく、交響曲第10番の最後である。」とクックは指摘している。マーラーが遺した最終楽章のわずか4段の略式譜は私の胸を打つ。「君のために生き!君のために死す!アルムシ!」という書き込みや、Portamento や viel Bogen といった指示の一つひとつにも、自身の音楽の最後に込めたマーラーの意思を感じる。村井教授は、「絶望の叫びと聴くか、勝利の雄叫びと聴くか、様々な聴き方が可能」と指摘されている。 Portamento による表現は、マーラーの音楽のアンビヴァレントで複雑な性格を象徴していて効果的である。

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  • ★★★★★ 

    カズニン  |  東京都  |  不明  |  2014年02月23日

    マーラーが全曲オーケストラ化してくれていたらとは思いますが、素晴らしい音楽です。

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  • ★★★★★ 

    つよしくん  |  東京都  |  不明  |  2012年08月25日

    インバルは、今や押しも押されぬ世界最高のマーラー指揮者であると言える偉大な存在であるが、現在におけるそうした地位を築くにあたっての土台となったのは、何と言っても1980年代に、当時の手兵であるフランクフルト放送交響楽団とともにスタジオ録音を行ったマーラーの交響曲全集(1985年〜1988年)であると言える。当該全集は、CD時代が到来し、マーラーブームとなっていた当時にあって、最も規範的な全集として識者の間でも極めて高いものであったところだ。当該全集において、インバルは交響曲第10番を収録していたが、それは全曲ではなく、アダージョのみの録音であった。インバルは、当該全集におけるスコアを精緻に、そして丁寧に描き出していくという普遍的とも言えるアプローチからしても、第10番については、マーラーが実際に作曲したアダージョにしか関心を示さないのではないかとも考えられたところであるが、当該全集の完成後4年ほどしてから、ついに、第10番の全曲版をスタジオ録音することになった(本盤)。第10番については、既にご案内のとおり様々な版が存在しているが、本演奏では、最も一般的なクック版(ただし第2稿であるが)が採用されている。その意味では、インバル自身にも、版については特段の拘りがないと言えるのかもしれない。インバルは、近年では東京都交響楽団やチェコ・フィルなどとともに、マーラーの交響曲の再録音を行っているところであるが、今後、第10番の再録音を行う際には、どのような版を使用するのか大変興味深いところだ。本演奏のアプローチは、全集と同様に、スコアを忠実に音化していくという、近年のマーラーの交響曲演奏にも繋がっていくものであり、バーンスタインやテンシュテットなどが個性的な名演の数々を成し遂げている時代にあっては、希少な存在であったとも言える。昨今のインバルのマーラーの交響曲演奏に際してのアプローチは、この当時と比較すると、思い切ったテンポの振幅を施すなど、全体の造型を蔑ろにしない範囲において、より劇的な解釈を施すようになってきているだけに、本演奏における精緻にして正統的とも言えるアプローチは、極めて貴重なものとも言えるだろう。もちろん、楽譜に忠実と言っても、無味乾燥な演奏には決して陥っていないのがインバルの素晴らしいところであり、どこをとっても、秘められたパッションの燃焼度には尋常ならざるものがある。正に、血が通った演奏であると言えるところであり、これは、インバルのマーラーの交響曲に対する深い理解と愛着の賜物に他ならないと言える。いずれにしても、本演奏は、いまや稀代のマーラー指揮者として君臨するインバルの芸術の出発点とも言うべき素晴らしい名演と高く評価したいと考える。そして、今般、かかる名演がBlu-spec-CD化がなされたということは、本演奏の価値を再認識させるという意味においても大きな意義があると言える。いずれにしても、インバルによる素晴らしい名演をBlu-spec-CDで味わうことができるのを大いに喜びたい。なお、前述のように本演奏はクック版第2稿によっているが、今後、インバルがチェコ・フィルまたは東京都響と同曲を録音する際には、クック版第3稿またはその他の稿による演奏を期待したいと考える。

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  • ★★★★☆ 

    MISPRISIONER  |  東京都  |  不明  |  2012年04月08日

    マーラーの第10番の全曲版は、筆者はマゼッティ版を高く評価しているのだが、本盤の演奏は、クック版の良いところも悪いところも、そのままストレートに音にしていると同時に、極めて端正な、かっちりとしたマーラー像を提示する。この端正さは、ある意味、インバル最大の美質に数えられるものだろう。実際、ここに聞き手は、彼の個性を強く感じ取ることになるだろう。しかしその一方で、そこからこぼれ落ちてしまうものが存在するのも、また事実ではないだろうか。その「こぼれ落ちるもの」とは、その作曲家「らしさ」に他ならない。ブルックナーならブルックナー「らしさ」、ショスタコーヴィチならショスタコーヴィチ「らしさ」という、各々の作曲家の「個性」のようなものが、インバルの演奏からはことごとく「こぼれ落ちて」いるように思える。言い方を替えるなら、作曲家の個性が、インバルの個性に吸収されてしまっている、とでも言おうか。しかも、ここで演奏されているのは、マーラー自身が完成させた作品ではなく、他人の手で化粧が施された作品である。ここでのクックの仕事が、高い評価を与えられているのは事実であるが、では、「マーラーらしいか?」というと、否定せざるを得ない。クック自身、「交響曲第10番をマーラーが完成させた姿」ではなく、「マーラーが残した素材を、オーケストラで演奏できる水準にする事」を追求しただけである。その意味で、このディスクの演奏は、二重に「マーラーらしさ」が抜け落ちてしまっている。従って、このディスクを評価するに当たっては、その要素をどう見るかによって、結果は大きく変わってくるだろう。筆者は、純粋に「マーラー作曲/D・クック編集編曲」作品として録音を評価した。クックのスコアからでも、もっと内面的な深さや音楽の暗い面を抉り出すことは出来るはずである。録音当時のインバルには、このクオリティが限界だったのだろう。もし、今、インバルが都響やチェコ・フィルとこの作品を録音したとしたら、一体どうなるだろう? まぁ、それはまた別の話なのだが…。

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  • ★★★★★ 

    ゆう  |  愛知  |  不明  |  2007年06月22日

    すばらしい

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  • ★★★★★ 

    I&W  |  JAPAN  |  不明  |  2007年05月04日

    22:50+11:04+3:58+11:04+21:53=70:49

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  • ★★★★★ 

    湧  |  水戸  |  不明  |  2003年06月20日

    インバルのマーラー全集の中でも出色の名演。ラトル&ベルリン・フィルの方が「マーラーっぽい」演奏をしているとは思うが、このCDはインバルの個性とクック版の透明な響きが実にピタリとハマっている。特に第5楽章がすごい。フルート・ソロの孤独な響きは聴くたびに癒される。

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  • ★★★★★ 

    kunicci  |  神奈川県  |  不明  |  2003年06月17日

    マーラー自身の完成作でないとわかっていても、彼の手がけた最高傑作だと思う。指揮者もオケも凄まじい程の燃焼力。形は整然としているのに、音の出し方・ニュアンスが真に迫っていて、聴いていると感情が作品に寄り添い「体験した」と感じられる!

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