『ルル』全曲 プティボン、ピィ演出、ボーダー指揮、リセウ劇場管弦楽団(2010)
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 2012年07月31日
プティボン演ずるルルは、ストラータス、シェーファーが比較的ニュートラルに、男によってレッテルを貼られない「素のままの女性」として演じたのに対し、人形のような童女から明確な悪女まで、表現のヴァラエティが多彩で豊富なのが特色。ルル像としては確かに一方の典型と言っていいだろう。同じ2010年夏のザルツブルクでのライヴも映像ディスクになったが、フェルゼンライトシューレという会場の使い勝手の悪さにかなり災いされているザルツブルク版よりも、全体としてはこちらの方が上か。ジュネーヴでの『ホフマン物語』ではプティボンに全裸に見えるボディスーツを着せたオリヴィエ・ピィだが、この上演では最初からボディスーツ(今回はアンダーヘア付き)着用のプティボン。第1幕第1場の画家とのからみでは早くも(見た目)全裸状態、しかも縄で縛られるという過激な展開に、この先どうなることかと思ったが、性的描写に関してはその後は一応穏健。しかし、舞台は前側と後ろ側に分割され、後ろ側(ゆっくりと移動する)では補助的な演技が展開。キッチュな着ぐるみの多用、原色をぶちまけたような装置と派手なネオンサイン、意味深な文字(独語、仏語、英語)を配するなど、きわめて猥雑で情報量の多い舞台だ。特にアンチリアルに徹した幕切れはなかなか秀逸ではなかろうか。 主役以外の歌手陣では、こんなに見た目がぴったりのゲシュヴィッツも珍しいユリア・ユオン(ドイツ系スイス人のメゾ・ソプラノ)と相変わらず達者なグルントヘーバーのシゴルヒが見もの。シェーンとアルヴァは丁寧に歌われてはいるが、欲を言えば、少し崩れた感じが欲しかった。ミヒャエル・ボーダーの指揮は作品を完全に手の内に入れたもの、リセウのオケも底力を見せ、ザルツブルク版のウィーン・フィルと比べてもさして遜色ない。3人の方が、このレビューに「共感」しています。
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