ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲(ベーム&ベルリン・フィル、1951)、ベルク:ヴァイオリン協奏曲(フレッチャ&ベルリン放送響、1964) フェラス
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Maya | 熊本県 | 不明 | 2012年11月16日
この四半世紀様々な演奏でベートーヴェンの協奏曲を聴いてきましたが、最近最もうたれたのがこれでした。この曲も両翼配置のオーケストラが伴奏すると俄然美しいので、メニューイン/クレンペラー、スーク/ボールト、ツェートマイアー/ブリュッヘンなどが特に記憶に残っています。このフェラス/ベーム盤はモノラルゆえオケのステレオ感は当然ないわけですが、高い巌か深い森のように立ちはだかる暗いオケを切り分けかけのぼっていく独奏の、ほとんど痛みさえ感じさせる清純さに比類のないものを感じました。 51年といばフェラスは当時まだ18歳ほどということになります。その後のムターを知るゆえ若さだけでは驚きませんが、このひりひりするような存在感はどこからくるのか。揺らしも破綻もなくほとんどまっすぐ弾いているのに、次の音が無事つむがれるのか決して安心できないのです。ほとんどの奏者がもたらす安心感がない。にもかかわらず懸命につむがれていく。それゆえに旋律が既成のものの複製ではない、唯一無二、今生まれたものと思えるのです。表面的にはまるで似ていませんが、精神的にエネスコ、メニューイン、シゲティを思わせます。 なお私が知る限りでフェラスのベートーヴェンで忘れ難い凄演としては、1959年プラード音楽祭ライヴでケンプとの「クロイツェル・ソナタ」(M&A)、そして1970年の三重協奏曲(ハイドシェク、トルトゥリエ、マルティノン。DOREMI)があります。年々崩落ぎりぎりで奏でているような熱気が強まっていきます。故にこのディスクでの意志と熱気の危うい均衡はかけがえがない瞬間をとらえたものということができます。2人の方が、このレビューに「共感」しています。
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