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CD 『リスト・プロジェクト〜リスト:ロ短調ソナタ、ベルク:ピアノ・ソナタ、ラヴェル:水の戯れ、他』 エマール(2CD)

『リスト・プロジェクト〜リスト:ロ短調ソナタ、ベルク:ピアノ・ソナタ、ラヴェル:水の戯れ、他』 エマール(2CD)

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    marco  |  東京都  |  不明  |  2011年10月15日

    リストの音楽史的意義を考える意欲的かつ知的なプログラムで、二晩のリサイタルのライブ盤ということで完成度という点では若干厳しい部分もある。とりわけ一晩目の最終曲ロ短調ソナタは、ここまで並列化され相対化されてしまっては味も素っ気も無いが、エマールの意図は敢えてロマン主義の誇大妄想からの訣別とも捉えられる。まああまり肩肘張らずにリストの多様な展開に自由にインスピレーションを広げるのが良いのだろう。総じて言えば響きの感覚に清潔感があり、ニュートラルな楽曲把握が特徴と感じた。単なる速弾きや、こけ脅しの誇張でないリストは、現代的要求に呼応している。かなり印象的だったのが正確なトゥリル。音価と響きが完全に制御されたトゥリルが、今までに無い透明感のあるラインを精緻に表出しており、従来のリストから一歩進んだ演奏たりえると共に、メシアン等との対比にも強い説得力があった。「リストのピアノ曲はいつもマリンバのよう」と、かなりネガティブに語った友人がいたが、音数の多い表層に足を絡めとられているうちは、その先に行けない。その先には意外に清澄でシンプルな音楽がある。しかしそれには日々の鍛錬を経た現代のメカニックが前提として必須であり、その上でメフィストに魂を売るか、あくまでも覚醒し続けるかの選択が必要だ。エマールは勿論後者だ。スクリャービンのアウラに触れること無くそれでも十分に美しく構造的で印象に残る九番は望外の僥倖だった。

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