交響曲第2番、第5番(ピアノ版) ヘンリ・シーグフリードソン
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ココパナ | 北海道 | 不明 | 2021年07月08日
このディスクの第5番の第1楽章を聴いていて、思わず「これはいい」と呟いてしまった。田園的な情緒、牧歌的に移ろう時間、そしてときに勢いを持って奏でられる情緒の清々しいこと。なんと清冽な音楽だろう。この録音を聴いていると、元来のオーケストラ曲とはまた違ったよりクリアな抒情性が得られていると感じる。それは、もちろんピアノという楽器のもつ音響そのものの効果というのもあるのだけれど、加えて編曲が優れていること、そしてピアニストがその編曲の長所を的確に引き出していることがある。編曲に際しては、ピアノ譜的に音の密度を濃くしたりせず、原曲が淡い雰囲気を持つ個所では、淡々とシンプルに、かつ必要なものが十全に備わった、見事なパフォーマンスとして完成されている。これは、聴きモノだ!第2楽章、第3楽章は、まるで北国の夏、ゆるやかに動く雲によって描かれる光の自然美を感じさせるような、情景的な風情が漂っていて、夢中で聴いた。第2番も素晴らしい。ことに第1楽章は、まるで最初からピアノのために書かれた音楽であるかのように、凛々しく、十分な恰幅を持ち合わせ、運動的な心地よさも堪能させてくれる。第2楽章は、むしろオーケストラ曲より時の流れを早く感じるほどのなめらかさがあり、それでいてシベリウスらしい和音、響きの繋がりが瑞々しく響く。第3楽章と第4楽章は、ピアノで弾いた場合、少し単調に聴こえる部分がないことはないけれど、シーグフリードソンは存分に起伏を持ってアプローチしている。フィナーレに向けた盛り上がりも、適度な白熱を帯び、ピアノという楽器の能力を全開まで高めた編曲であり、演奏であると納得させられる。「編曲モノにはあまり縁がない」という音楽フアンでも、シベリウスの音楽が好きならば、「編曲」というカテゴリに惑わされることなく、いつのまにか没頭させてくれるのではないか。それほど「よく出来た」芸術が示されているディスク。0人の方が、このレビューに「共感」しています。
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