Denny Zeitlin

CD Mosaic Select: Denny Zeitlin

Mosaic Select: Denny Zeitlin

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    recorda_me  |  東京都  |  不明  |  2009年10月25日

    名門ジョンズホプキンス大学の医学生時代にデビューし、COLUMBIAに立て続けに録音したデニー・ザイトリンの初期の傑作4枚のうち、何度も再発された“Live At the Trident”を除くスタジオ録音の3枚とその未発表音源が、とうとうMosaicからコンプリートでCD化された。“Cathexis”と“Carnival”のカップリング盤はCollectablesから出ており随分と癒されたが“Zeitgeist”だけは待てど暮らせどCD化されず業を煮やしていた。どれも60年代中期の才気迸る瑞々しい名演ばかりであり喜ばしいかぎりだ。 自分の名前に掛けた「ザイトガイスト(時代精神)」というタイトルに象徴されるように、人間の心の深淵を垣間見せてくれるような懐の深いピアノを弾く。作曲家としても非凡であり、その雄大な曲想にはまるで上質の映画を見ているかのような物語性があり、聴く者の心に深い余韻を残す。俗にエヴァンス派として括られるが、どこかヒンヤリとして無機質で、ときに重厚で粘りのあるタッチは甘さを寄せつけず、それでいてあくまでもエレガントに優しく語りかけてくる。そこに人間を信じる暖かみを感じるのだ。“Music is Drug.”の言葉どおり、彼のピアノを聴いていると心が落ち着く。僕の愛する“Night And Day”はいつになく軽やかで心地よい。僕にとってジャズは身体の痛みとそれが生み出し続ける負の情念を、つかのま忘れさせてくれる麻薬のようなものだ。この精神科医を志した若者が弾くピアノにたまらなく惹かれる。人間という存在の切なさ、その心の不可思議さを、さながら万華鏡のように色彩感豊かに映しだしてゆく。これほど陰翳に満ちた深みのあるピアノを弾く人を他に知らない。この後、長らく音楽活動を休止してしまったのが惜しまれてならない。

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