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ブルックナー (1824-1896)

CD 交響曲第8番 フルトヴェングラー&ベルリン・フィル(1949)

交響曲第8番 フルトヴェングラー&ベルリン・フィル(1949)

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  • ★★★★☆ 

    norry  |  東京都  |  不明  |  2011年09月23日

    EMI盤のフルトヴェングラー,BPOによるブルックナー8番(1949年3月14日。ダーレムのゲマインデハウス〔公民館〕における放送用録音)は,実は,バイロイトの第9ほどではないにしても,マスターテープのソースに問題を抱えている。それが最初に問題になったのが,TESTAMENTが1998年に発売した同じ演奏のCDである。このCDでは,ライナーの解説に,従来からEMIで発売されていたものは,実は3月14日のダーレムでの演奏と,翌15日のベルリンのティタニア・パラストでのライブとのmixtureであると指摘され,今般TESTAMENTが発売したのが正しく14日の演奏の録音である旨指摘されている。実際にこのTESTAMENT盤と,従前から我々が親しんでいたEMI盤とはだいぶ趣が異なっていて,特に,前者は,第1楽章冒頭で,第1主題がトゥッティで轟然と轟く部分が,余りの大音響のせいか,エンジニアが慌てて録音レベルを落とす様子が手に取るように分かるのが特徴的である。これに対し後者は,もともとブライトクランク(独エレクトローラが開発した人工ステレオ)で発売されたためか,かなり残響が加えられているとともに,上述の録音レベルの問題もうまく処理されており,かえって非常にフルトヴェングラーらしいと言えば語弊があるが,若干モヤモヤ感はあるとは言え,ダイナミックレンジの広い音響に仕上がっている。そして,今回発売のこのSACD盤であるが,一聴する限り,これはTESTAMENT盤と非常に似ているように思う(なぜか表示されている時間は割と違うのだが)。特に,1楽章の録音レベル切り下げの問題は全く同じである。私はいかにも元の放送用録音という感じの音のTESTAMENT盤も嫌いではないのだが,この録音レベル切下げは補正してほしかったと思う。本当にこの部分こそフルトヴェングラーならでは,という音が鳴り響いているからだ。各楽器の分離のよさや音場感の広さはこのSACD盤が優れていると思う。それでも,これを聴いて,やはり従来のEMI盤も手放せないことが分かってしまった。いずれにしてもこういった事情について,CDのライナーでもここのレビューでも他の雑誌等でも誰も触れていないのは残念である。演奏論について述べる余裕がないが,一言で言えば,やはりフルトヴェングラーのブルックナーは,他のあらゆる指揮者の到達しえない高みに達していることは,30年間聴いてきてますます明らかになってきたと思っている。最後になったが,是非リスナーの方には3月15日盤も聴いていただきたい。これは14日の演奏をさらに上回る,鬼神も避けて通るような凄まじい演奏である。このような演奏が可能な人間と団体が本当にいたのか,と思うような。

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