宮部みゆき

本 蒲生邸事件 文春文庫

蒲生邸事件 文春文庫

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    peko-rock  |  大阪府  |  不明  |  2013年01月28日

    文庫の分厚さと、二・二六事件という史実を題材としたものだということで、歴史に弱い私は、舞台が事件発生の年に移った直後まで「ごたごた用語が飛び交うややこしい話になると嫌だなぁ」と思っていました。しかし、さすがは宮部みゆき。そんな心配は杞憂で、瞬く間に夢中にさせられていました。気づけば猛スピードで読み進めていました。戦争に突入する大きな転換期であった歴史的事件を題材にし、そこにタイムトリップという非現実的な要素を絡ませたうえで、人間を描くことに何よりも重点を置き、時を経てもその普遍的に変わらない部分を見事に描ききっています。これだけの材料と発想ならば、下手をすると時代の動きやタイムトリップというところによがって、こねくりまわしてしまいそうな所を、きちんと【人間】に焦点を当て、しかもその大きな材料を効果的に使うことによって、ぶれることなく完成させています。最後の場面での主人公の語りかけには、ぐっとくるものがあり、あたかも自分もタイムトリップして、見てきたような気持ちになっていることに気づきました。同じ材料があっても、この作品は他の人には書けないだろうなと思える、宮部みゆきらしさが光る力作だと思います。 ミステリが好きですが、歴史物・自分がリアルタイムで知らない時代を背景にしたものは苦手で、それだけで敬遠していました。また、タイムトリップのような非現実的な要素を、リアルな日常という舞台に取り入れたお話はあまり好きではありませんでした。でも、宮部みゆきならば、こういった材料を方法の一つとしてうまく使って、主題が霞むような違和感を感じさせず、私のような読者でも引き込んでくれるんだと、改めて作者の筆力に舌を巻く思いです。 ミステリの要素は少ないですが、不可解な謎を追っていく展開もあるので、特に私のような「読まず嫌い」な若い読者にはおすすめしたいと思います。 読まず嫌いな面を変えてくれたかもしれません。間違いなく、私にとって大切な本の一冊になりました。

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